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1万2000人以上が参加する「学ぶためのeスポーツ」とは

 ゲームを競技としてとらえる「eスポーツ」への注目度が高まっています。数年前からは、日本でもテレビや新聞で報道されるようになってきました。ただ、いまだにゲームと勉強は相対するものとして見られがちです。一方世界では、子どもにとっての「学びの入り口」として注目されています。先駆けてeスポーツを学習の機会として活用するNASEF(北米教育eスポーツ連盟)の、日本を拠点に活動する内藤裕志氏に詳しい事情を聞いてみました。

NASEFの内藤裕志氏

 NASEFは、北米を中心にeスポーツを通じた教育機会を、主に高校や中学校などに対して開発・提供する組織です。2021年1月の時点で、米国では47州の1330クラブ以上、カナダ6州の21クラブ、メキシコ4州の6クラブが取り入れており、加盟生徒数は12000人以上。次世代を担う若者に対する新たな教育機会の創出と拡大のために活動しています。

NASEF(北米教育eスポーツ連盟)

 eスポーツは付き合い方によって「集中力と俯瞰力を向上させる」「科学的推論を促進する」「言語学習を加速する」「デジタル及び印刷された単語・言語リテラシーを向上させる」「問題解決スキルを高める」「よりレベルの高い数学・数式に関連」「テクノロジー技術適正に強く関連」といった材料にすることもできるとして、試行錯誤を繰り返してきました。

 内藤氏によると「これまでの研究結果や経験をもとに、カリキュラムを組んで授業を進めています。組んだカリキュラムや蓄積したノウハウを共有することもでき、他の学校や先生のやり方を参考にアレンジを加えることもできます」とのこと。日本では19年11月にNASEFの拠点を開設し、取り組みを進めてきました。

 ゲーム(eスポーツ)を授業に取り入れるのは、多くの人が興味を持っているからです。例えば、キャリアデザインの題材としてeスポーツが活用されることがあります。アメリカンフットボール業界とeスポーツ業界を比較しながら、そこにはどのような仕事があるのか、自分が携わるとしたらどこになるのかなど、自分の強みを考えるきっかけを作るそうです。授業に興味を持ってもらうための導入には適していると言えるでしょう。

 「eスポーツが成り立つには、さまざまな役割が必要です。ゲームを作るエンジニアや、販売店、広く知らせるためのメディア、圧倒的な技能で観客を惹きつけるプロやストリーマーなどですね。eスポーツを通して産業の成り立ちの一端を学ぶことで、他の分野でも同じ考え方を応用できるようにする。そうすることで、『自分はどこを目指したいのか』を探してもらうことにつなげています」(内藤氏)。

 このように、海外では授業でeスポーツが取り上げられる場面もありますが、「教育に悪い」という印象が根強い日本でも同じようにできるのでしょうか。内藤氏は、「可能だと思っています。eスポーツやゲームは、スポーツや芸術と同じような類として、それを使って何かを学ぶツールだと捉えています」と答えます。

 さらに「ゲームやeスポーツは、いうなれば次世代を担う子供たちとコミュニケーションをとるためのメディア。時代によって若者の趣味や趣向の多様化が進んでいるなかで、どういったツールやメディア、チャネルを使うことでコミュニケーションができて、さらにそれが成長するきっかけを作ることができるのか」と続け、それを考えた結果としてeスポーツを学びの手段として用いているのだと言います。

 今後は、全国高校eスポーツ選手権を手掛けるサードウェーブとも連携しながら、NASEFのプログラムを日本向けにアレンジしながら高校生の育成と国際化に貢献していくことを目指しています。将来はeスポーツがゲームだからと言って頭ごなしに避けていると、貴重な“学びへの入り口”を見逃してしまうことになるかもしれませんね。

■外部リンク

NASEF JAPAN=https://nasef.jp/