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京都サンガスタジアムにeスポーツ施設オープン! 西脇京都府知事「ピッチ上での大会も視野」

 3月28日京都・亀岡の「サンガスタジアム by KYOCERA」に、VR・eスポーツエリアがオープンしました。同日、こけら落としイベントとして「京都スタジアム杯 eスポーツ選手権」の決勝リーグを実施。西脇隆俊京都府知事に見守られながら、8チームが優勝に向けて競い合った。

「サンガスタジアム by KYOCERA」に新たにオープンしたVR・eスポーツエリア

 「サンガスタジアム by KYOCERA」は、2020年1月に竣工したスタジアム。これまではサッカーやラグビー、スポーツクライミングなどのスポーツで活用されてきました。この度オープンしたエリアでは、eスポーツやVRを新たなコンテンツとして取り入れています。ゲーミングPCを10台以上設置するほか、大会やイベントを開催できるスペースも確保しています。3月27日と28日に開催された京都スタジアム杯もここで実施しました。

 eスポーツゾーンの普段の利用料は、一般が60分300円で15分80円、大学生が250円/70円、高校生が200円/50円、中学生以下が150円/40円の設定。

オープニングセレモニーのテープカット

eスポーツで広がる可能性

 28日に開催されたオープニング式典で、あいさつに登壇した古川博規京都府副知事は、「国内のスタジアムのなかでも初の取り組み。練習や大会の場として活用していきます。感染対策を取りながらではありますが、いずれピッチ上でeスポーツ大会を開催し、1万人以上の動員で会場を沸かせて、地方活性化につなげていきます」と期待を述べました。

古川博規京都府副知事

 同じく登壇した亀岡市の桂川孝裕市長は、「この度オープンする新たなエリアでは、デジタルイノベーションによる新たな人材育成も期待できます。このスタジアムから新たな文化を興せれば」と、若年層の関心を集めるeスポーツをフックに、IT・ICT人材の育成を図ります。

桂川孝裕亀岡市長

 京都eスポーツ杯と並行して実施された「知事の行き活きトーク」に参加したNASEF JAPAN(北米教育eスポーツ連盟 日本本部)のファウンダーを務める尾崎健介氏も、「高性能なPCに若いうちから触れていただくことで、電子機器やデジタル技術への慣れが養われ、世界は広がるはずです」と話しました。

知事の行き活きトーク

 現に、京都eスポーツ杯の選手として参加した京都府立大江高等学校 地域創生科1年生の藤島あやめさんは、ゲーミングPCと一般的なPCの違いについて知事から尋ねられた際、「映像などの処理が早い」と説明。実体験をもって、高性能PCがいかなるものか理解しているわけです。

 上記の話の通り、社会に出る前にPCに慣れておくことはプラスに働くはずです。会社で仕事をするとなると、現状はPCを使う作業がまだまだ多いからです。もちろん、将来的にスマートフォンや別のデバイスに切り替わっていくことも考えられます。ただ、「高性能なPCで何ができるのか」を知っておけば、課題解決に向けた選択肢が増えるのは間違いありません。そのためには、大人が適切に導く必要はありますが、入り口は何であっても問題ないでしょう。

 また、京都府立南山城支援学校に勤める浅井裕氏は、「eスポーツは老若男女、障がいの有無に関わらずフェアに競い合えます。オンラインなら場所も問わないので、ユニバーサルスポーツとして期待できます」と、eスポーツが生み出す新たな可能性について言及しました。

 ここまではeスポーツから派生する話でしたが、eスポーツ自体の発展についても話は及びました。JHSEF(全国高等学校eスポーツ 連盟)の細井洋一専務理事は、「eスポーツ関連産業は、今広がっているところです。プロ選手のセカンドキャリアとして、コーチや実況解説、ストリーマーなど、さまざまな職業が生まれてきています。eスポーツに取り組む人が増えれば、それだけ産業も発展していきます」と、裾野を広げることの重要性について説明しました。

 eスポーツの裾野を広げるための構想もあります。スタジアムの指定管理者を務めるビバ&サンガの小森敏史代表は、「来年度から、このスタジアムで京都eスポーツ文化祭の開催を検討しています。高校生主導で進めるイベントです。来場者へeスポーツの理解を広めてもらうほか、高校生にとっては大きな経験になります」と、認知拡大と教育の一挙両得を狙った施策を語りました。

トークセッションに参加する西脇知事

 主役を務めた西脇知事は、インベーダーゲームにおける“名古屋内撃ち”の名手を自称するほど、ゲームに理解があります。eスポーツについても、コロナ禍でもオンラインで大会やイベントを実施できるといて点で魅力を感じていました。トークセッションでは、「京都は歴史ある街であるとともに、文化が生まれる地でもあります」と紹介。eスポーツも新たな文化として芽吹こうというところですから「これを健全な形で発展させて、地域創生や人材育成につなげていきたいです」と締めくくりました。

苦しい運営のなかでも輝く試合

 「京都スタジアム杯 eスポーツ選手権」の決勝リーグは、8チーム2ブロックに分かれてのリーグ戦を行ったのち、勝ち数が多いチーム同士で決勝戦と3位決定戦が実施されました。見事、優勝に輝いたのは、福島県から来たチーム「Blast」でした。なんと、第3回 全国高校eスポーツ選手権で優勝したN高等学校を、決勝戦で下しての優勝です。

京都スタジアム杯 eスポーツ選手権

 決勝戦は大変アツい試合でした。それまでのリーグ戦などでの試合は、N高が序盤から優位に進め10点差以上を付けて半ば一方的に勝利する展開がよく見られました。ところが、決勝戦の「Blast」対N高「NRLG Cows」では一進一退の攻防を繰り広げていました。攻めたと思ったら守備に戻る、そしてまた攻めに転じるといった目まぐるしい展開。1試合目は試合時間の5分で決着がつかず、オーバータイム約2分でBlastが1点決めて1ゲーム先取しました。

 試合は2ゲーム先取なので、2試合目に突入。今度は序盤、N高が有利に試合を進めていましたが、次第にBlastが追い上げ、またもやオーバータイムに突入。すると1分経っても2分経っても拮抗したまま、その後も3分、4分と経過していきました。5分に差し掛かろうという瞬間、NRLG Cowsの鉄壁とも思える防御を巧みにすり抜けて、ついにBlastがゴールを決めて優勝しました。

 “スーパーセーブ”の連続に観客も驚き疲れるほどの激しい攻防の果てに、観戦していた関係者も声を上げながら拍手して素晴らしい試合を称えました。こんなに手に汗握った試合は稀でしょう。試合の様子は約1週間後にアーカイブとして配信される予定です。

優勝したチーム「Blast」

 大会の進行自体は、どんなチームがどのチームと試合をしているのか、いつ試合が始まるのかなどが分からず決してスムーズではありませんでした。後半にはMCのValtaN(バルタン)さんがチーム名と選手名を読み上げるなど徐々に改善されていったものの、粗が目立ちました。「日本初! 無線環境でのeスポーツ大会」とうたっていましたが、その説明や紹介もないのはもったいない気がします。せっかく素晴らしい会場が生まれたのですから、今後はどのような大会で、どのように・いつ観戦できて、誰が参加しているのかが分かると親切かもしれません。

「サンガスタジアム by KYOCERA」

 しかし、素晴らしい試合を見てしまうと、不備も少しかすんで見えました。スタジアムでのeスポーツ観戦という将来像も具体的になったので、実施の機会が待ち遠しいです。

ピッチ上でのeスポーツ大会も検討されている

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