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2021.10.06

eスポーツの市場規模はどのくらい? 国内外の現状や今後の成長可能性について解説

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 よく世界中で盛り上がっているとい言われるeスポーツですが、実際にどれだけの規模でeスポーツ業界が発展しているのかご存知でしょうか?

 今回はKADOKAWA Game Linkageが発表している調査データをもとに、国内外におけるeスポーツ業界の市場規模と、今後の成長可能性について解説します。現時点でどれだけの金額がビジネスとして動いていて、今後どういった要因で市場が成長していくかをまとめています。

eスポーツの市場規模はどのくらい?

 そもそも「eスポーツ」という言葉はまだ定義が定まっていませんが、一般的にはPCやスマホなどでプレーするコンピュータゲームを一種のスポーツとして扱ったり、プレーしたりするときの名称と言えます。そしてeスポーツにおける市場規模は、「スポーツ競技としてのゲームがどれだけの経済効果をもたらしているか」の金額が目安となります。

 KADOKAWA Game Linkageは2020年、eスポーツの市場規模に関する調査結果のプレスリリースを2件発表しています。まずはこちらを基に現在の状況を詳しく見ていきましょう。

2019年日本eスポーツ市場規模は60億円を突破。?KADOKAWA Game Linkage発表?
『グローバル e スポーツマーケットレポート 2020』発売
出典:KADOKAWA Game Linkage

2019年の国内での市場規模は61.2億円

 同社によると、2019年の日本国内におけるeスポーツの市場規模は61.2億円で、これは前年比127%の数値です。18年はeスポーツ元年とも呼ばれた年ですが、以来多くの大手企業が参入したことが市場拡大の要因になっているのだとか。

 また、この時点で2020年以降の数値の伸びを予想したデータにおいても、国内eスポーツ市場規模は大幅に拡大し続けることが見込まれています。

国内の市場規模は2022年には倍増、2023年には150億円超になると予想

 2019年時点で61.2億円である国内eスポーツ市場規模は、3年後の2022年にはおよそ2倍の122.2億円に急成長することが予想されています。

 さらにその翌年の2023年には150億円を超え、次世代の新たな文化として日本でも一大ブームになることが期待されているのです。ちなみに、同社によるとその背景にはモバイルeスポーツの存在があるとか。20年から5G(第5世代移動通信システム)商用サービスが始まりましたが、スマートフォンの通信品質が飛躍的に向上することが見込まれています。近年はコンソールやPC向けタイトルがモバイルに移植される流れがあり、5Gの存在がモバイルeスポーツを後押しするのではと期待されているのです。

世界の市場規模は1,000億円超

 eスポーツの市場規模は、日本国内のみならず世界的に見ても拡大を続けています。2020年の世界eスポーツ市場規模は9.74億米ドルで、日本円に換算すると1000億円超えとなっています。

 すでにeスポーツがひとつの文化として根付いている国々に続いて、これから数年の間には日本のようにeスポーツ発展期を迎えている国々での市場規模の急拡大が起こり、2023年にの世界市場規模は約16億米ドル、日本円では約1740億円にもなることが予想されています。

eスポーツの市場規模が大きい国

 今や世界中で親しまれているeスポーツですが、中でもeスポーツ業界の国内市場規模が大きく、認知も進んでいる「eスポーツ先進地域」を4つ紹介します。

アメリカ

 eスポーツの本場といえば、世界eスポーツ市場規模の多くを占めているアメリカです。

 アメリカでeスポーツがこれほどまでに広がっている大きな理由として、世界中でプレーされているeスポーツの人気タイトルを多数開発していることがあげられます。「リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)」、「カウンターストライク:グローバルオフェンシブ(Counter-Strike: Global Offensive)」、「ドータ2(Dota 2)」などのタイトルのヒットがアメリカでのeスポーツ人気に火をつけ、現在では有名プロゲーマーが、スポーツ選手や音楽アーティストに匹敵するスター的人気を得ているほどです。

韓国

 アメリカに次いでeスポーツが国民的人気を得ている国が、韓国です。

 韓国ではもともと国を挙げたデジタル化に取り組んでいました。その上で、政府公認のeスポーツ協会(KeSPA)やプロゲーマーの選手登録制度が存在し、世界の舞台で活躍するプロゲーマーを全体で育成するシステムを構築しています。日本で生まれ日本を本拠地とするプロゲーミングチームの中にも、韓国支部を設立する動きが多く、大会などで国をまたいだ交流が続いています。

中国

 現在国別人口数が世界一の中国では、eスポーツに興味を持つ人口の母数も桁違いです。

 多数のeスポーツファンを抱える影響で市場規模が拡大している中国もeスポーツ先進国であると言えます。また、モバイルeスポーツの領域においてはMOBA領域のタイトルを開発する企業を多く抱えており、今後盛り上がってくると予想されるモバイルeスポーツではアメリカのような立ち位置になるかもしれません。

東南アジア

 eスポーツ全体の市場規模として見た場合それほどの存在感はありませんが、モバイルeスポーツに限れば多くのプレイヤー層を抱え、今後大きく成長すると見られているのが東南アジア諸国です。

 東南アジアは、近年急激にスマートフォンの普及率が伸びていることから、モバイル関連のコンテンツ消費量が軒並み増加しています。eスポーツについても同様で、MOBAやシュータージャンルを中心に人気が出ているようです。

コラム:中国の現状

 eスポーツの巨大市場として注目される中国ですが、政治的背景によってその成長が鈍化する可能性が見えています。

 例えば19年に、18歳未満のゲームプレー時間を平日は90分、週末は3時間までとするゲーム依存症対策が講じられていましたが、今年9月、中国はこれをさらに厳格化させています。その内容とは「18歳未満の子供がゲームで遊ぶ時間は金・土・日曜日・祝日の午後8時から午後9時まで」という非常に厳しいものです。

 しかも、これらのルールは子供やその保護者への罰則を設けるものではなく、国内ゲームメーカーに対して未成年者の情報管理やログイン規制を徹底するよう義務付けるというものでした。eスポーツシーンは未成年を含む若者が中心になって活躍する業界であるだけに、これだけ練習時間を削られるのは大きな影響が出るでしょう。

今後もeスポーツの市場規模はますます成長していく!

 「eスポーツの市場規模はどのくらいある?」でも解説した通り、eスポーツの市場規模は今後も世界的にますます成長していくことは確実です。現在のeスポーツ業界で起こっている流れとして、以下のようなものがあげられます。

  • 視聴者数・ファン数の増加
  • スポンサーの増加
  • 大会数の増加
  • 5G通信の導入・普及

 KADOKAWA Game Linkageではこれらについてもデータを発表しています。どのような動きがeスポーツの盛り上がりにつながっているのか、詳しく見ていきましょう。

視聴者数・ファン数の増加

 KADOKAWA Game Linkageによると、2019年時点での日本のeスポーツファン(試合観戦・動画視聴経験者)の数は483万人です。

 2023年にはこれが1215万人まで増加するという予想データが出ており、近い将来日本でも多くの国民がeスポーツに興味関心を持って接することが確実視されています。

 より多くの人がeスポーツを楽しむようになれば、eスポーツ関連産業に注目する企業も増え、後述するスポンサー企業の増加にもつながっていきます。

スポンサーの増加

 20代から30代の若年層ファンが中心で、10代の人口も今後ますます増加することが予想されるeスポーツには、より若い世代へのPRを行いたいスポンサー企業も続々参入してきています。

 2019年時点の日本のeスポーツ市場規模の約8割はスポンサー収益が占めているというデータもあり、スポンサー企業の数が増えることは、eスポーツ業界全体の盛り上がりに直結すると言えます。

大会数の増加

 eスポーツには、プレイヤーがどこにいてもオンラインで試合ができるという大きな強みがあります。

 すべてがオンラインで完結する大会であれば運営が比較的簡単なので、大規模なものはもちろん、中規模?小規模な大会の数もますます増え、eスポーツはより身近なものとなっていくことが予想されます。

5G通信の導入・普及

 新たな高速通信システムである5Gが徐々に導入されつつあり、5G対応の最新式スマホも続々発売されています。

 5Gは、現在私達がスマートフォンで使用している4Gよりもはるかに優れた技術で「高速・大容量」「低遅延」「多接続」が実現できるとされます。eスポーツは、現時点ではPCや家庭用ゲーム機でプレーすることが多いですが、今後はモバイル端末をプラットフォームとしたeスポーツが普及してくると考えられています。5Gが全体的に普及すれば、スマホでゲームをプレーする人口が飛躍的に増加し、中にはeスポーツへと参入するファンも増える可能性が高いです。現時点で5Gが整備されていくことは今後のeスポーツ業界全体に大きな影響を与えると予想されています。

まとめ

 eスポーツの日本国内・全世界における市場規模データと、そこから読み解けるeスポーツ業界の将来性について解説しました。

 特に日本においてはまだまだ発展途上であるeスポーツ文化は、将来的にはさらに人気を広げて根付いていくことが確実視されています。eスポーツ業界は非常に将来性に優れた業界であり、仕事としてeスポーツに携わることも今や現実的な選択肢のひとつだと言えるでしょう。

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