高校eスポーツ探訪

2025.03.29

300年の歴史を誇る伝統校でeスポーツが部活動に 広島県 修道中学校・修道高等学校 物理班 eスポーツ部門 活動内容を聞いてみた!

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【高校eスポーツ探訪・24】修道中学校・修道高等学校は1725年、当時の広島藩主 浅野吉長が「講学所」を創始したことを起源とし、広島県内では非常に長い歴史を持つ学校として知られています。ということは今年で300周年。部活動のことを「班」と呼ぶ独特の文化も残っており、2023年に物理班の中にeスポーツ部門が創設されました。どんな活動をしているのか、話を聞きました。

(取材・文 / 寺澤 克)(取材日:2025年2月21日)

校舎の画像
修道中学校・修道高等学校校舎 (画像は修道高等学校から提供)

VALORANTが主な競技種目 中学生はフォートナイトに取り組む 

取材画像
取材に対応してくれた水野さん(左)と野間さん


 取材に対応してくれたのは、ともに高校1年生の水野さんと野間さん。野間さんは部門でもリーダー的存在で大会の申し込みなど、部活動のあれこれを担当してくれているそう。水野さんはVALORANTではセンチネルを担当しています。

──主な活動内容などを教えてください。

野間さん(以下敬称略) 活動時間は月、木、金曜日の16時30分~18時過ぎぐらいです。僕たちのような高校生はVALORANTを、中学生が中心になって取り組んでいるのがフォートナイトです。基本的に自主性を重んじるので、出たいタイトルの大会などがあったら都度相談しています。

──PCは何台あるんですか。

水野さん(以下敬称略) 今は5台ぐらいです。

 台数が限られているので、各学年で毎日交代して使用しています。修道に入学したばかりの中学1年生は「まずは学校に慣れるのが先」ということでeスポーツはできません。

野間 あとはほとんどの部員は家にゲーミングPCがないので、基本、大会に出場するのは昼間に開催されているものだけになります。

活動の写真
普段の活動風景 (画像は修道高等学校から提供)

定期ミーティングで要望上がりeスポーツ部門設立

──お二人がeスポーツを始めたきっかけは?

野間 中学の頃、最初は部活動に入っていなかったんですが、物理班にeスポーツ部門ができると聞いて「これなら気軽にできる」と思い入部を決めました。

 元々FPSは遊んでいたのですがAPEXが中心でした。高校生の中で一番メジャーなタイトルがVALORANTだと聞いて、全国大会目指してみようかと思って始めました。

水野 僕は小学生の頃からフォートナイトを遊んでいて中学入学時から物理班に所属しています。eスポーツ部門をつくるという話になって、僕も「じゃあやってみようかな」と思って始めました。

──そもそもeスポーツ部門ができる流れというのはどこから?

水野 物理班では定期的にミーティングを開いていて各部門の活動報告など、自由に話し合います。そこでeスポーツをやりたいという声が出ていたんです。それで少しずつ形ができて、正式に部門として立ち上がったんです。

「勝つための動き」を日々意識 Discordサーバーで反省点を話す

──どんな練習をしていますか。あとは心がけていることとか。

野間 プレーするだけではやはり遊びと変わりがないので、「勝つためにどんな動きをすればよいのか」を常に考えて、セットプレーなども試したりします。

水野 そうですね。試合を回して、連携を磨く。ただDiscordサーバーで反省点などを話し合うというのは忘れずに行います。

──最近の大会成績は。

野間 2024年のStage:0では地方予選で2回戦、NASEF JAPAN全日本高校eスポーツ選手権は地方予選3回戦まで行きました。

伝統校らしく学習進度が速いのが特徴 先生の助力でなんとか文武両道

──勉強との両立については。

取材写真
顔を見合わせる二人


水野 正直なところ主に僕ら二人があんまり両立できていない、という感じです。

野間 そうですね。高校からは単位制になっていて、テスト一発勝負みたいなところもあるし、難しくなりました。でも先生方からは「がんばろう」と声をかけてもらって、補習とかもしてくれるから何とか踏ん張れている状況ですね。

──苦手な科目は?

水野 理系に進みたいと思っているので、倫理や公共といった文系科目が苦手です。

野間 僕はちょっと数学が…。

──数学と言うと数1・Aですかね1年生ですから。

野間 それが、修道はちょっと学習進度が早くて今は数2Bをやっています。だから3年生になると大学受験に合わせた授業になっていくんですよ。

──なるほど。普通よりも一足先に行っていると。それは大変ですね。

情報を早くわかりやすく伝える力身に付く 目指すは全国大会出場

──eスポーツを始めて、成長したなと思うところは。

野間 VALORANTは5人制で協力するタイトルです。だから情報共有がとても大事。しかも1秒も無駄にはできないシビアなルールだから、いかにわかりやすく、短くメンバーに情報を伝えるかという点は、この競技の中で磨かれた力ではないかと思います。

水野 僕はチームの中で一番始めるのが遅かったんですが、最近は練度も高くなってきました。メンバーとの連携を意識しながらプレーできるようになって、楽しさを感じています。

──今後の目標などは。

野間 大会ではすごく悔しい結果でした。でも変わらず全国大会を目指しています。日々練習あるのみですね。

水野 実は今、野間くんだけ強すぎてプラチナ帯なので、アンレートで練習しています。僕個人としては「みんなでランクマッチを回したい」という思いがあります。僕たちももっと強くなりたいです。

──今回は取材に対応いただき、ありがとうございました!

【番外編】サラリーマンもいいけど小説家も 目指すは医学部? 将来の夢を聞いてみた!

──将来の夢はありますか。

水野 平凡なサラリーマンでいいかなと思ったんですが、TRPGを趣味にしているので、それを生かして小説家にでもなってやろうかなという野心があります。

──TRPGというどんな作品が好きですか。

水野 クトゥルフ神話TRPGが好きでずっとやっています。「狂気山脈」という小説も読んでみたりしていたんですが、これからいろいろな作品に触れていきたいと思います。

──野間さんはどうでしょうか。

野間 僕は薬をつくる、製薬開発者になりたいと思っています。修道には勉強になる動画などを紹介してくれる授業があって、ある動画に、「薬剤耐性菌」を専門とする大学医学部の先生が登場したんです。

 通常の薬では対応できないウイルスをどう倒すのか、地道な苦労が語られていたんですが、そうやって世の中の人を助けられることに憧れを感じました。今の成績では厳しいかもしれませんが、医学部や薬学部を目指したいと思いました。

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外部リンク

修道中学校・修道高等学校
https://www.shudo-h.ed.jp/

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