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2024.12.25

石川・羽咋「LAKUNA はくい」でeスポーツ体験会 子ども達の人気集める 市では今後も6つのeスポーツ施策を推進 地方eスポーツ拠点として期待

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 11月4日に石川県羽咋市は、同市が整備したにぎわい交流拠点「LAKUNA はくい」にて、eスポーツイベント体験会「Challenge Day 2024」を開催しました。Challenge Day 2024は同市が2024年度事業として行う「HAKUI esports City Project」の一環。多くの人にeスポーツを体験してもらう無料イベントとなっていた会場の様子などを取材しました。

(ライター:岡安学)

LAKUNAはくい
LAKUNAはくい

さまざまなタイトル遊べる体験会には朝から行列

会場には行列
朝一から開場待ちの列ができていました
スイカゲームが人気
「スイカゲーム」コーナーは一番人気でした
太鼓の達人を遊ぶ子ども達
子供たちにとって「太鼓の達人」は手慣れたものでした


 会場であるLAKUN はくいの4階「LAKUNAホール」には、「鉄拳8」「スイカゲーム」「Minecraft」「太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル」が自由にプレーできるスペースが設けられました。それぞれのゲームをプレーすると入場時に配布されるスタンプカードにスタンプを押してもらい、規定数のスタンプを集めるとお菓子の掴み取りに挑戦できます。

 「鉄拳8」のコーナーには、石川県在住のプロゲーマーであるZETA DIVISIONのダブル選手が待ち構えており、挑戦することができました。ダブル選手は先だってサウジアラビアで行われたeスポーツワールドカップの「鉄拳8」部門で3位の成績を残したトッププロ。いわばオリンピアンのメダリストと一緒にスポーツをプレーできるようなもので、貴重な機会だと言えます。

 Minecraftコーナーでは担当者による解説でMinecraft内に作られたLAKUNA はくいの探検や未開拓地の開発が体験できました。また、3階のeスポーツスタジオにはFPSがプレーできるコーナーを用意。PC10台が並べられ、「VALORANT」や「APEX LEGENDS」がプレーできました。

Minecraftを教えるスタッフ
「Minecraft」コーナーはスタッフが丁寧に遊び方を教えていました
3階のeスポーツスタジオ
3階のeスポーツスタジオにはPC10台が並べられ、
「VALORANT」や「APEX LEGENDS」をプレーしていました

「ゲームは楽しいものと再確認」ダブル選手と打ち解け鉄拳に興じる子ども達

 イベントに訪れたのはファミリー層が中心で、ほとんどが親子連れ。中にはゲームをまったくプレーしたことがない子供もおり、今回のイベントが初体験となっていました。ゲームであまり遊んだことがない、または難しいタイトルをプレーしたことがない子供たちにとっては、鉄拳8はちょっとハードルが高めの様子で、なかなかプレーしようとする子供はいませんでした。

 そこでダブル選手が子供たちに「一緒にあそぼー」と声がけして、何人かプレーをし始めました。ほとんどが対戦格闘ゲームを始めてプレーする子供たちでしたが、「大乱闘スマッシュブラザーズ」はプレーしたことがあり、ゲストキャラのカズヤは知っていた様子です。そして、ひとつひとつ丁寧に教えて絶えず笑顔で接していたダブル選手はゲーム好きの鏡と言える対応でした。

子ども達と触れあうダブル選手
最初は物怖じしていた子供たちもダブル選手の人柄に触れ、
楽しく対戦していました


 「子供たちとプレーするのはめちゃくちゃ楽しかったですね。いつもは結果を出さなきゃってプレッシャーもすごいんですけど、子供たちのおかげで『ゲームってやっているだけで楽しいよね』と再確認できました。羽咋市がeスポーツのイベントを開催してeスポーツを盛り上げていこうというのは、地元民としては協力していきたい気持ちですね。こういう施設でゲーム大会を頻繁に開くことで将来のスターが生まれる可能性もあるでしょう。スターの発掘と育成でもお手伝いができれば良いですね」とダブル選手。

 イベントが進むにつれ、自然とダブル選手に挑戦する子供たちも増え、一緒に写真を撮るようにもなっていました。子供を連れてきた親御さんにとっても貴重な機会となったのではないでしょうか。

互いに対戦する子ども達
ダブル選手との対戦で「鉄拳8」に慣れると、
子供たちはお互いに対戦をするように

コーチングキャンプやeスポーツ大会など羽咋市では六つの施策を予定

eスポーツスタジオではHAKUI esports City Projectについての記者発表会も行われました。発表会では、羽咋市が携わっていくeスポーツ事業や今後の展開などを説明。羽咋市は令和4年度に「eスポーツを楽しむ2日間」「第1回羽咋市eスポーツフェスタ」を開催しています。令和5年度に予定していた「第2回羽咋市eスポーツフェスタ」は震災により中止を余儀なくされましたが、令和6年度にLAKUNA はくいが完成し、再始動するに至りました。

発表会出演者
HAKUI esports City Project記者会見に登壇した
羽咋市産業建設部商工建設課・渡部祐二氏(左)、
羽咋市長・岸博一氏(中央)、
GLOEライフスタイル事業部プロデューサー・吉永亜耶さん


 HAKUI esports City Projectが目指すのは、ゲーム好きの若年層から未経験の高齢者までeスポーツを身近なものにすることです。そのために六つの施策を用意したとのこと。

 一つ目は今回行われたChallenge Dayです。子供から大人までゲームやeスポーツに触れるきっかけを作り、より理解度を高めてもらいます。

 二つ目は羽咋市からプロゲーマーを誕生すべく高校生や大学生をサポートするeスポーツコーチングキャンプの開催。これはオンラインでの開催を予定しています。

 三つ目はまだまだ認知度の低いeスポーツの解像度を高めるために、自治体や教員向けのセミナーを開催します。高校のeスポーツ部の設立やクラブチームの設立のバックアップも行っていく予定です。これには、日本Esports教育協会の馬場章氏と今回のイベントを羽咋市と一緒に運営するGLOEの吉永亜耶さんがバックアップをします。

 四つ目はプログラミングセミナーです。小中学校でプログラミング教育が実施され、それをより高めるべく後押しをしていきます。

 五つ目は高齢者向けeスポーツ事業。昨今、eスポーツやゲームが高齢者のフレイル予防や認知症予防に役立つという結果も確認しており、多くの高齢者がより簡単にeスポーツやゲームを活用できるように支援します。また、高齢者を支援する人材の育成も行っていきます。

 六つ目は羽咋市が主催となる市内外を巻き込んだeスポーツイベントの開催。2025年3月に「LAKUNAカップ(仮)」として、対戦格闘ゲームを使った大会を開催予定です。

スライド資料
羽咋市は能登半島の付け根に位置します。
UFOのまちとコスモアイル羽咋、
車で砂浜を走行できる千里浜なぎさドライブウェイなど、観光名所があり、年間300万人が訪れています
スライド資料
さらにeスポーツ事業を羽咋市の中核産業のひとつとすべく、
eスポーツ関連の六つの施策を展開していきます

室内公園もあるLAKUNA はくい 活気があふれ地域施設としても有効性高い

 今回のプロジェクトの最大の立役者となったのが、会場となったLAKUNA はくいです。羽咋駅から徒歩2分の好立地の場所に2024年7月にオープンしたばかりの施設で、元々は撤退した商業施設が廃墟として残っていた場所。その遊休地の有効活用を目的として建設されました。羽咋市内の住民のみならず、すべての人が無料で活用できる場所として、さまざまな用途で利用できる施設となっています。オープンして4ヶ月足らずで、すでに利用者数は14万人を突破していることから、その有効性が証明されていると言えるでしょう。

 今回のイベントと発表会の開催とは別に、会場の外のスペースでは大道芸人が来訪し、キッチンカーまで出て、盛り上がっています。

 1階にはドトールの飲食エリアとなった図書カフェにファミリー層が食事をしたり、高校生が勉強をしたりと賑わっています。

 2階は室内公園となっており、子供のみならず大人も楽しんでいました。公園の一部はベビー・幼児エリアもあり、小さい子供が安心して遊べます。

 3階はeスポーツスタジオ、アートスタジオ、キッチンスタジオを用意。eスポーツスタジオでは発表会やFPSコーナーを設置してChallenge Dayを開催していましたが、同時にキッチンスタジオでは料理教室をやっていると思いきや、婚活パーティを行っていました。チラ見ですが、かなりの人数が参加していたので、もはや定番のイベントとなっているのでしょうか。

 4階のLAKUNAホールは多目的の大きめなホールとなっており、その横からテラスも用意。テラスからは羽咋市を一望することができます。LAKUNA はくいは4階建てと決して高い建物とは言えませんが、周りには高い建物がないので、テラスからの眺望はもはやタワマンの最上階レベルです。

1階の図書カフェ
1階の図書カフェ。
テーブルにはテーブルライトと電源が確保されています
2階のLAKUNAこうえん
2階のLAKUNAこうえん。
3階をぶち抜いた吹き抜けになっており、
ハンモックのような網には大人も入ることができます
LAKUNAこうえんのベビー・幼児エリア
LAKUNAこうえんのベビー・幼児エリア。
0~3歳、3~6歳のエリアに分かれています
テラスからの眺望
テラスからの眺望。
中央右に見えるのは宇宙科学博物館のコスモアイル羽咋

【終わりに】eスポーツスタジオも個人から利用可能 地域に根ざしたeスポーツ拠点として期待

 LAKUNAはくいに来場するまでは、いわゆるハコモノ的なイメージを持っていましたが、ここまで有効活用が進んでいる建物は都市部でもなかなか無いような気がします。

 特に2階の室内公園は秀逸です。猛暑日が続く日本の夏では外で子供を遊ばせるのもはばかられますが、室内にもかかわらず、外で遊んでいるのと同じ感覚で遊べる空間は最適解のひとつといえるでしょう。冬場は雪も積もる地域なので、なおさら利用価値の高い場所といえます。

 eスポーツスタジオはゲーミングPCを12台用意し、1台からの個人利用からスタジオの貸し切りもできます。レンタル料もお手頃になっているので、個人利用から企業、コミュニティの利用まで多岐にわたって使える印象です。

 普段利用から大きなイベント、教育と介護など、日々eスポーツに携わることを目的として羽咋市は、一過性ではなく地域に根付いたeスポーツ拠点として活躍してくれることでしょう。

(編集:BCN eスポーツ部)

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外部リンク

LAKUNAはくい
https://okamotopbc.jp/lakuna-hakui/

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