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2023.08.10

「XR」(クロスリアリティ)とは?VR・AR・MRとの違いなども分かりやすく解説

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 近年大きな注目を集めている「XR」(クロスリアリティ)。その一部の「VR(バーチャルリアリティ)」や「AR(オーグメンテッドリアリティ)」などは、ゲームコンテンツにも多く用いられています。XR技術の活用により、これまで想像もしなかったような新たな体験・価値が生まれ始めているのです。

 XRには今後のゲーム体験を大きく変える可能性も秘めている最新のテクノロジーです。どんな技術なのか、どんな場面で活用されているのかなどの基礎的な知識をまとめてご紹介します。

XR(クロスリアリティ)とは

 「XR(クロスリアリティ)」とは、現実世界と仮想世界をミックスし、現実世界には存在しない事象を疑似体験できる技術のこと。さまざまな場面で目にする以下の技術は、すべてXRの一部です。

〈XRに含まれる主な技術〉
・VR(バーチャルリアリティ、仮想現実)
・AR(オーグメンテッドリアリティ、拡張現実)
・MR(ミックスドリアリティ、複合現実)
・SR(サブスティテューショナルリアリティ、代替現実)

 VRやARという言葉には聞き馴染みのある方も多いのではないでしょうか。XRの技術は、ゲームなどのエンタメコンテンツにも積極的に取り入れられています。

 これらの技術の総称であるXRという言葉が生まれた理由は、ひとつひとつの技術が非常に密接なものだからです。VRとARの技術をどちらも取り入れたゲーム作品はたくさんあります、そのような複合コンテンツをVR・ARとして明確に区別することは難しくなっています。

 VRとARを掛け合わせた技術であるMRの存在が確立してきたこともあり、関連する技術をわかりやすくまとめて伝えられる言葉として「XR」が生まれました。

 XRという名称の「X」に、XRに含まれるさまざまな技術のことを示す変数という意味を持たせて「xR」と表記される場合もあります。

最近XRが注目されている理由

 近年XRの技術への注目度が高まっている背景には、コンピューターや通信の技術の進歩があります。

 少し前までのXRの技術はあまりクオリティの高いものではなく、“現実世界と仮想世界をミックスした”と言うにはリアリティに欠けている面がありました。映像は荒く動きも大ざっぱで、ゴーグルをつけていても現実味に欠け、まだまだ技術的に粗が目立っていました。

 しかし、次世代のXR技術では品質が飛躍的に向上しました。グラフィックや3Dモデリング、モーションキャプチャーなどの技術が進歩して、仮想世界はどんどんとリアリティを増し現実そのものに近づいています。

 4Kや8Kの解像度に対応した映像と、没入感を与える立体音響の音や声、これらを人間の視野角を忠実に再現したゴーグルから取り入れることで、これまでにない抜群の臨場感を得られるようになりました。

 ゴーグルなどのデバイスが小型化し使いやすくなり、多くの人の手に届きやすいものとなったことも、さまざまな場面でXR技術が積極的に取り入れられるようになった理由と言えるでしょう。

 ハイクオリティな映像や音声は当然ながらデータ量も大きいです。そのためこれらをスムーズに利用者に届けるためには高品質なインターネット通信技術も必要となります。現在は、次世代の通信方式「5G」の登場・普及によって、誰でも手軽に高品質な通信を利用できる環境が整いつつあります。

 各方面の技術の進歩によって、多くの人々がハイクオリティなXRを体験しやすくなったことで、XRの技術が今までにない規模で注目を集めているのです。

XRに含まれるそれぞれの要素

 XRに含まれる主な要素は、VR、AR、MR、SRの4つです。それぞれどんな技術なのか、どのような場面で活用されているのかをチェックしましょう。

VR(バーチャルリアリティ)

 「VR(バーチャルリアリティ)」は、日本語では「仮想現実」と呼ばれる技術です。その場に実在しない映像と音声によって作り出した仮想世界をVRゴーグルで通して見ることで、自分が仮想世界の中にいるかのようなリアル感を得られます。

 現実世界では起こりえない事象や、気軽には再現できない環境、実際に行くことが難しい場所などを仮想世界として再現することで、非現実的な空間をいつでもどこでも気軽に疑似体験できるのが魅力です。

 VRを体験するためには、専用ゴーグルを装着する必要があります。ゴーグルには単に映像と音声を視聴するコンテンツや、ユーザーが仮想世界の展開に自由に介入できる要素を取り入れたものも存在します。

 操作はコントローラーを手に持って行う場合と、ゴーグルに表示される映像の中に含まれる選択肢を視線の移動で選ぶ場合などがあります。

 例えば「PlayStation VR」は、VR技術を活用したゲームハードウェアの一つです。ゴーグルに搭載されたディスプレイで見るゲーム画面は360度全方位に広がっており、自分自身が実際にゲームの世界の中に入り込んだような感覚を味わえます。

 既存のゲームタイトルをVR仕様にし、これまでプレーしてきたゲームを新たな形で追体験できるようにするという取り組みは、多くのゲームファンの注目を集めています。今後のさらなる技術発展も期待されており、VRゲームが当たり前の環境になれば従来までのゲームの概念が大きく変わるかもしれません。

VRとメタバースの違い

 VRと混同しやすい言葉に「メタバース」があります。メタバースは「コンピューター(ネットワーク)上に作られた仮想世界」のことを指します。ゲームで例えるなら、私たちがディスプレイを通して見ているゲームの中の世界そのものがメタバースにあたるものです。

 いわば、メタバースの空間にこちらから飛び込んでいくのがVRです。VRは「ゲームの世界に入って冒険をしてみたい」というゲームファンの夢を疑似的に叶えるものとして、また次世代のゲームシステム開発の要となる存在として大きな期待が寄せられています。

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AR(オーグメンテッドリアリティ)

 「AR(オーグメンテッドリアリティ)」は、日本語では「拡張現実」と呼ばれる技術です。スマートフォンやARグラスなどのデバイス越しに見る現実世界に新たな情報を付加して、実際は存在しないコンテンツを私たちの視界に再現させることができます。現実世界に足りない要素を補う、あるいはプラスの価値をつけることができるものです。

 何もない空間に情報を追加できるため、AR対応のデバイスを持つ人に向けて必要な案内や説明を確実に届けられます。スマートフォンでもARは使用できるので、誰でもすぐに技術を活用できるのも魅力です。

 「Google Map」のAR案内機能を使うと、デバイス越しに見る現実世界に目的地までのルート案内情報が表示されます。エンタメ系コンテンツでは、スマートフォンの画面上にキャラクターの3Dモデルを表示させるものがメジャーです。カメラを使用するとキャラクターを表示させたまま撮影できる機能もあります。

MR(ミックスドリアリティ)

 「MR(ミックスドリアリティ)」は、日本語では「複合現実」と呼ばれる技術です。MRはVRとARを掛け合わせたもので、ゴーグルを装着した上で見た現実世界の中に3Dモデルやホログラムを表示させ、仮想世界に臨場感を与えます。

VRは仮想世界の中に完全に入り込むのに対し、MRは現実世界をベースに仮想世界の存在を呼び出し、かつそれらがリアルに感じられるようになる仕組みです。

 MR技術の利用には、VRと同じくゴーグルが必要です。「Microsoft HoloLens」は、マイクロソフト社が開発した自己完結型のMRデバイスです。ゴーグル自身にWindows10を搭載し、視線移動や動作、声によってプログラムの操作ができます。他の機材との通信・連携は不要です。

 エンジニアや医療関係者、教育関係者などの中には、デスクワークではなく自分自身が現場を動き回って作業をすることも多いです。MRデバイスはそうした仕事でも効率的にPCを使用できるものとして活用されています。

SR(サブスティテューショナルリアリティ)

 「SR(サブスティテューショナルリアリティ)」は、日本語では「代替現実」と呼ばれる技術です。ゴーグルを通して見る現実世界の映像と、それによく似た過去の映像を掛け合わせ、実際には存在しないものが目の前にあるかのように錯覚させることができます。

 VRやAR、MRのように明らかに仮想的なものを現実世界に落とし込むのではなく、リアルな現実世界を別の現実世界に差し替えるのがSRです。SRの体験者は、自分が見ている世界の中にあるどれがリアルタイムに存在するものなのか、過去のものなのかの区別ができなくなると言われています。

 SRはXRの中でも特に新しい技術で活用例が少なく、私たちにとってはまだあまり身近な存在ではありません。非現実を現実のものであると誤認させることができるSRによって、これまでにない新たな価値を持った映像体験が生まれることが期待されています。

XRの活用例

 XRの技術が具体的にどんな場面で活用されているのか、3つの実例をあげてご紹介します。

・VRコンサート
 VR空間を舞台としたコンサートでは、単に映像・音声を視聴するだけでなく、会場内を自由に動き回ることができるのが特徴です。自分の身を置く位置によって音の聞こえ方まで変わるものもあります。好きなアーティストがもっともよく見える場所で楽しむという、現実世界でのコンサートではなかなか叶わない体験ができます。

・バーチャルヒューマンによるアテンド(案内・解説)
 展示会や博覧会などで、ARグラスを装着した人にだけ見えるバーチャルヒューマンがアテンド(案内・解説)業務を行うシステムも登場しています。人間らしい見た目や体の動き、表情、仕草をリアルに再現した3Dモデルが会場を案内してくれます。必要とする人にのみ補足情報を届けるというAR技術の特徴が上手く活かされている好例と言えるでしょう。

 人と人との接触を避けることが必要とされたコロナ禍を境に、このバーチャルヒューマンによる接客システムが非常に大きな注目を浴び、今後もさらに広まっていくのではと予想されます。

・自宅に家具を疑似設置するシミュレーション体験
 MRの技術を使って、家具製品を自宅に設置したときのイメージを再現するシステムも広がりを見せています。家具を設置したいスペースに対し高さや幅は合っているか、住人の動線がふさがれていないかなどを正確に測ったり、他のインテリアとのデザイン・色の相性をチェックしたりすることも可能です。

 実物をチェックするために実際に店舗へ足を運ぶ必要がなく、設置した状態を自宅に再現できる分、むしろ店舗よりも正確なイメージを膨らませながらショッピングができるようになりました。

【まとめ】ゲームの可能性を広げるXR技術に要注目!

 VRやARの技術はゲーム開発にも積極的に取り入れられており、日頃身近に感じている方も多いでしょう。MRを搭載したシステムは徐々に普及し始めており、SRも近い将来には新たな映像表現を提供できると期待されています。

 XRの技術がさらに広まっていけば、私たちの生活は大きく変わり、さらに便利なものになっていくでしょう。今までには考えられなかったようなゲームの楽しみ方の可能性を広げてくれるXRの技術に、ぜひ注目してみてください。

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