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設立は“生徒の声”! 自主的な運営で早2年 日本文理大学附属高等学校 eスポーツクラブ

【高校eスポーツ探訪・6】 高校3年生だった生徒から「eスポーツ部を立ち上げたい」と要望が上がって発足したeスポーツクラブ。2年が過ぎ、専属部員10名になるまで成長しています。連載の第6回は、大分県・日本文理大学附属高等学校。顧問の安東先生と、平川部長にこれまでの道のりをインタビューしました。

大分県・日本文理大学附属高等学校のeスポーツクラブ

eスポーツが入学のきっかけにも

――生徒から安東先生にeスポーツ部の顧問になってほしいという要望が上がったそうですね。

安東先生(以下、敬称略) 私が情報技術科の教員で、要望した生徒が私の担任クラスの子だったこともあり、顧問になりました。正式にはeスポーツ部ではなく、eスポーツクラブという、カテゴリーとしては愛好会の位置づけになります。私自身、ゲームを全然知らなかったのですが、それほど顧問になることに抵抗感はありませんでした。

――2年前の設立当初はどんな感じでしたか。

安東 最初はクラブとしてのまとまりがまったくありませんでしたが、今では生徒自らが進んで活動するまでに成長しました。後程紹介する部長の平川君がリーダーシップを発揮しながら、部員同士で協力しあって活動しています。基本的に私がタッチしなくても、自主的に運営できるようになったことに、成長を感じています。私はeスポーツの技術的な指導はできませんが、大会前の運営や学校内での環境づくりやサポートをしながら指導しています。

中学生向けの見学会を生徒たちが実施

――現在はどのぐらいの規模なのでしょうか。

安東 専属の部員が10名います。eスポーツをちょっとやってみようかなというきっかけから始めた生徒が多いですが、中には当校にeスポーツクラブがあるから入学してきた生徒もいます。中学生向けの学校説明会を使いながら、他の部活動の紹介と一緒にeスポーツクラブを紹介しています。ちなみに、中学生向けの見学会などは生徒たち自らが企画して開催しています。中学生が見学に来ると、結構盛り上がりますよね。当校のオープンな校風を感じていただき、入学するきっかけにつながればと考えています。

 競技種目は、LoLとロケットリーグです。私は、ロケットリーグはなんとなくわかる程度ですが、自分でプレイすることはできません。LoLは、生徒に聞きながら挑戦してみましたが、何をやっているのかわかりませんでした。しかし、生徒は柔軟ですよね。すぐに慣れるというか、高校から始めた生徒も、すぐに慣れます。

――高校でのeスポーツ部を通して、生徒にはどんなことを学んでほしいですか。

安東 おそらく今の部員たちは、eスポーツクラブがなければ帰宅部で学校が終わったらそのまま家に帰っていたのではないでしょうか。クラブにかかわることで、実際に部員たちとコミュニケーションをとったり、一緒に活動していく中でさまざまなことを学んでもらいたいです。学校でやっている以上、自分勝手に行動するのとは違いますから、ルールを守るなど、高校生とeスポーツという関係性をしっかり理解しないといけません。そうしたことも含めて、高校生の新たな活躍の場としてeスポーツが加わったことは、すばらしいことだと思います。

――生徒は変わりましたか。

安東 実際に生徒に聞いてみても、やはりプレイを通じてお互いに連携するところが面白いようです。一人でやるのではなくて、チームとしてゲームすることに楽しさがあるようです。平川部長も、リーダーシップを発揮して、みんなとコミュニケーションをとりながら練習しています。

――保護者から、ゲームへの依存など心配の声はありませんか。

安東 学校では大体2~3時間の活動で、家に帰った後もプレイする生徒も中にはいると思いますが、学校でした日は家であまりしないようです。むしろ、保護者の方からeスポーツクラブの活動を応援していただいています。自分たちの子供が活躍しているのを見るのは、保護者としてもうれしいですよね。

――練習では、オンラインのコミュニティを利用することもあるそうですね。

安東 そうですね。先日もロケットリーグの高校eスポーツ部交流コミュニティから、フォーメーションの組み方などのアドバイスを受けました。個別練習をするのに必要なツールをアドバイスしていただけるなど、私が技術的な指導ができない分、フォローしていただけて助かります。生徒には、できるだけ自主的に活動することを促し、私はeスポーツをするための環境整備の方に専念しています。

――既に大会でも成績を残しているとか。

安東 それがですね、大会で成績を残しているのは、専属の部員ではなく、大会のときにサッカー部の生徒に一時的にeスポーツクラブに入ってもらって国体に出たというのが実態なんです。残念ながら、クラブ専属の選手で結果はまだ残せていません。やるからには、専属の生徒にも成績を残してもらいたいですね。eスポーツ専門の教師が教えるわけではないので、どうしても技術面の弱さはあるのでしょうが、ただ、昨年は大分県立大分鶴崎高等学校という普通科の高校が優勝していますから、そこは努力次第なのかなと思います。

eスポーツ連合の支援の輪

――活動を通して、見えてきた課題はありますか。

安東 部員も増えてきて、運営自体で苦労することは減りましたが、あとは結果ですよね(笑)。まずは結果を残したいです。そのためにプロの先生の支援を受けられるようにするなど、環境の整備に少しでも力になれればと思います。また、日ごろから交流している学校がないので、オンラインでのコミュニティなどを活用しながら、他流試合もしてけるようになりたいですね。

――今後、学校としてeスポーツに詳しい先生を招くとか、そういった活動は考えているのでしょうか。

安東 できればいいとは考えていますが、予算的な部分もありますからね。そんな中でも、大分県のeスポーツ連合の先生から、さまざまな支援を受けているのはありがたいです。技術面の指導だけでなく、運営的な部分や、生徒のモチベーションの高め方など、細かいところも教えていただいてます。回数がそれほど多くないので、もう少し回数を増やしていきたいですね。

 eスポーツ連合の先生とも話をしていますが、他の部活と同じように、例えば県大会を目指すような活動を取り入れるなど、モチベーションを上げる方法はあると思います。まだeスポーツに取り組んでいる近隣の学校が少ないので難しい部分もありますが、そこは工夫して何とかしていきたいです

――生徒の要望から誕生したクラブですから、さらに発展させていきたいですね。

安東 創設時のメンバーは現在、うちの大学に通っています。今は新型コロナでなかなか交流することが難しいですが、大学の方でもeスポーツ活をつくってもらって、お互いに交流戦をするという計画も上がっているところです。

――OBによる練習や指導にも期待したいですね。

安東 はい。そうなると大学生ならではの視野の広さなども学べて生徒の刺激になるでしょうから、いろいろな新しい流れが生まれてくるのではないかと期待しています。

――コロナの話が出ましたが、eスポーツは割とコロナでも活動できるというメリットがありますね。

安東 オンラインでもできるので、それは生徒も実感していました。ただ、学校の活動としては、オンラインだけではなく、一緒になって取り組むことが大事だと思います。それがあってのオンラインなので、やはり高校生としては一緒に仲間意識をもって活動することに意義や価値があると考えています。

――今後の高校におけるeスポーツの可能性について、先生はどう見ていますか。

安東 文化部の一つの領域として、生徒の新しい活躍の場や可能性が広がっているという認識です。周囲の大人からもeスポーツに注目が集まっている感じます。実際に、県議会議員の方が視察に来られて、eスポーツで町おこしをしてみたいなどいう話もありました。

 また、福祉関係の方が来られて、eスポーツは障害者の方でも取り組めるから、障害者の方と健常者の方が一緒にeスポーツする場をつくりたいといった話もありました。佐伯市の人が町おこしにeスポーツをやりたいということで視察に来られたこともありました。

 何よりも、こうした視察などのすべてを、クラブの生徒が自ら携わって開催している様子を見ていると、eスポーツを通じて高校生たちの活躍の場が広がっていることを実感しています。あとは、成長した証としての結果が伴ってくると、きっとさらなるモチベーションにつながると思います。

平川巧部長に聞く

――どうしてeスポーツクラブに入ろうと考えたのですか。

平川部長(以下、敬称略) 今、私は2年生ですが、入学した同じぐらいのタイミングでeスポーツクラブが立ち上がりました。当時、3年生だった先輩が、2年生の時に立ち上げたので、私たちはeスポーツクラブの最初の新入生になりました。学校案内のパンフレットでも、eスポーツクラブが紹介されていたので、活動に興味をもって、入りたいと思いました。eスポーツについては、それほど知りませんでしたが、もともとスマホゲームが好きで、2月ごろからeスポーツをやり始めたばかりでした。

――初めてeスポーツを体験したときはどうでしたか。

平川 ロケットリーグもLoLもアカウントからつくることからのスタートでした。最初は配置が全く違うキーボードの操作に慣れるのが大変でした。でも、結果的に負けることも多いですが、試合の中で敵を倒せたときには「やったー!」という達成感が得られて楽しいです。

――部活動としてeスポーツをしていてよかったと思えることは何ですか。

平川 高校に入学するまでは1人でゲームをすることが多かったので、メンバーとコミュニケーションがとれることは新鮮でした。eスポーツクラブに一緒に入った同級生たちとも、みんな初対面でしたが、すぐに打ち解けられて、最初のころから友達が増えました。

――どうして部長になろうと思ったのですか。

平川 ぶっちゃけて言ってしまうと、成り行きです。

――しかし、今では、県議会の方への説明会とか、福祉施設の方への説明会を全部生徒たちだけで企画したりしてますよね。

平川 そうですね(笑)。設営などをみんなに手伝ってもらって、私が活動内容について説明しました。また、過去に新聞やニュースで取り上げられた時の切り抜きなどを使って紹介したりもしました。

――新型コロナの状況だと、オンラインが多くなっていると思いますが、そのあたりのコミュニケーションの変化はどうですか。最初は大変だったと思いますが。

平川 eスポーツクラブに入った人たちは、みんなもともとゲームをオンラインでやったりしていたので、知らない人とボイスチャットをしていた人もいました。最初は私も、慣れている人から報告が来きて、それに私が返事をするという感じでしたが、そのうち、こちらから報告を飛ばすようになってコミュニケーションがとれるようになっていきました。

 ボイスチャットだと声の抑揚とかで相手の様子が分かりやすいですが、普通のチャットだと間違って受け取られることもあるので、割と気を付けているところはありますね。学校の部室でリアルでするときは、やっぱりすぐ隣に選手がいるので、横から画面をのぞきこめばどこにいるかわかるのでやりやすいですね。個人的には、やはり顔を突き合わせて、近くでゲームする方が楽しいです。

――eスポーツは今後、高校生の新しい活躍の場になりそうですか。

平川 まだまだ大会にチームとして出場する学校は少なく、できる個人を集めて学校の名前を借りてチームをつくって出場している高校生は多いと思います。もう少し浸透していけば、学校の代表チームとして出場するケースも増えると思います。

 やっぱりやるからには勝ちたいという気持ちはありますが、基本的にはみんな部活として楽しみたいと考えている人が多い気がします。しかし、まだまだ勝てないところがあるので、まずは練習で基礎を積まないと。まずは練習です。

――ちなみに、今日はどんな活動をする予定ですか。

平川 大会に出場するために、LoLやロケットとリーグを、基本的に2人以上で組みながら対人戦に潜ったり、CPU戦をしたりします。また、大会の対戦動画を見て参考にしながら、動き方などを勉強します。

 LoLはちょっとわからないですけど、ロケットリーグは練習していけば、過去に1勝はしているので、大会でもいい結果が残せるんじゃないかと思います。

――最後に、eスポーツクラブで活動する中で悩み事や困りごとはありますか。もうちょっといい機材が欲しいとか。

平川 今のところ、学校のPCなどの機材には満足しています。しかし、1年生が新入部員で入ってくるとPCが足りなくなる事態が起きるので、それを先生たちに相談すると、よく実績を残せって言われます(笑)。もう少し勝ち星を増やして、実績を積んでかないとと思います。

 また、ロケットリーグは過去に一回、練習試合をさせてもらったことがあり、先日も技術指導を受けました。顧問の安東先生から事前にアドバイスを受けたことがきっかけでした。プロの方に技術を教えていただけるので、こうした取り組みはスキルアップにつながると実感しました。今後も実践していきたいです。

■外部リンク

日本文理大学附属高等学校=https://nbuhs2013.wixsite.com/mysite-7

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