高校eスポーツ探訪
2025.03.12
映画「PLAY!」のモデルにも ロケリ強豪校 阿南高専eスポーツ研究会に話を聞いてみた!
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【高校eスポーツ探訪・23】eスポーツを題材にした日本初の劇映画として注目を集めた「PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~」。ロケットリーグに打ち込む高校生を描いた同作品ですが、モデルとなった学校、阿南工業高等専門学校(徳島県)のeスポーツ研究会は、これまでに全国大会決勝に3回進出するなどロケリ強豪校の一つ。今回は、部活動を代表して部長の桑原沢実さん、中西陽都さん(いずれも3年生)の2人に日ごろの活動のことや、NASEF JAPAN全日本高校eスポーツ選手権(全高e)の感想などを聞きました。
(取材・文/寺澤 克)(取材日:2024年11月7日)

中西さんはロケットリーグを主な出場種目とする
(写真は中西さんのみ)
2018年創部 ロケリとLoLを中心に練習! 地域イベントにも参加中!
──皆さんの部活動について教えてください。
桑原さん(以下敬称略) 阿南高専eスポーツ研究会は2018年に創部し、現在は部員11人で活動しています。高専は5年制なので高校生大会に出場できるのは3年生までとなります。
活動時間は月~木曜の放課後16時くらいから18時くらいまでです。
タイトルはロケットリーグとリーグ・オブ・レジェンドの二つがメインですが、全高eの競技種目になるVALORANTやフォートナイトも大会に向けて練習することがあります。
──高専は特に勉強も難しいと聞きますが、ゲームとの両立については。
桑原 やっぱり留年とかもあるので、テストの一週間前ぐらい前からはもう活動を休みにして、勉強に専念するようにしています。
──練習以外にも県内のイベントにも参加されているようですね。
桑原 はい。10月には「とくしまeスポーツフェスティバル 闘電街6」に参加させていただきました。ロケットリーグなどのゲーム体験ブースを出展して、来場者との交流を楽しみました。
結構、イベントに招待していただいたり、関わらせていただいたりすることが多くて、地域の方にeスポーツの魅力を伝える活動として取り組んでいます。
桑原 あとは、イオンモールで高専を紹介するブースを毎年開くんですけど、そちらにも参加します。

大人たちにロケットリーグの体験をしてもらった。
壇上に立って説明するのは桑原さん
創部時から変わらないチーム名 映画のモデル校にも その反響は?
──阿南高専と言えばロケリのイメージなんですけど、チーム名もずっと変わってないですよね。
桑原 そうですね「Kamase dogs」というチーム名も、創部当初から変わりませんし、ドラクエ風のプレイヤーネームをつけるのも恒例となっています。
中西さん(以下敬称略) この部活動の伝統みたいなものですね。
──映画のモデルになっていることについて、何か反響などは?
桑原 校内にもやっぱり観に行ってくれた人がいるから「観たよ」って声をかけてくれる人が多かったですね。
中西 映画になったということで、学校内にもポスターが貼ってあります。
桑原 あと、登場人物のモチーフになった先輩がロケリを教えに来てくれてるんですけど、その先輩から裏話を聞けたりとか、そんなこともありました(笑)。
LoLの高校生プレイヤーが増えてきた ロケリも新たに舞台が用意されうれしい
──今年の大会の結果はどうでしたか?
中西 今回ロケットリーグは「U18 全日本中高ロケットリーグ選手権」として全高eから分かれたので、その結果で言うと私が入っていたチームはオフライン決勝まであと一歩のところで敗れてしまいました…。
桑原 全高eのLoLでは、全日制 西日本ブロックの準々決勝で敗れてしまいました。かなり、西の方は強豪校が多くて……。
──大会に向けてどんなことに取り組んできましたか。
中西 ロケリだと先ほどのOBの先輩方が毎週木曜に教えに来てくれて、そこで集中的に練習したりという感じですね。
桑原 LoLだと大会近くには、知り合いの上手い人とカスタムマッチをしてフィードバックをもらっていました。上手い人は知識もあるし、もちろんそれも吸収していこうという気持ちで取り組んでいましたね。
──全高eの感想や要望などあればお願いします。
桑原 僕はずっとLoLを3年間プレーしてきました。始めたての頃はあまりメジャーとは言えませんでしたし、各校の強弱がはっきりしていた気がします。参加人数もそれほど多くなかった。
でも最近は、プレイヤー数が増えてきて、今回の大会なんて「こんなに出場校がいるのか」と驚くぐらいでした。さまざまな配信者さんがプレーされているというのも、大きな人気を呼んでいる理由かもしれませんね。
中西 全高eからロケットリーグがなくなってしまいましたが、「U-18 全日本中高 ロケットリーグ選手権」という舞台を用意していただいて感謝しています。3年間の努力が無駄にならずにすごくホッとしました。
地域での交流 大舞台での試合 得られた貴重な経験 今後は“ロケリだけじゃない”阿南高専をめざしたい
──eスポーツ研究会に入って良かったことは。
桑原 最初は「eスポーツって流行しているのかな?」ぐらいの認識でした。いざやってみるとLoLは5人なので、戦略だけでなくコミュニケーションの大切さとか、ゲームでしか得られないことだらけでした。
それと地域イベントへの参加もためになります。歳の離れた子ども達にゲームを教える機会ってそうそう多くはないし。
中西 確かに、イベントで子ども達にゲームを教えるってこの部に入らないと絶対できなかったことだよね。あとは昨年2月の第一回全高eでオフライン決勝に進出して、大勢の前でプレーを披露するというのも貴重な経験になりましたね。
桑原 要望と言うと、結構予選は黙々とみんなやっている感じなので、もうちょっとハイライトぐらいあってもいいんじゃないのかなと思います。
──今後の部活動の目標は。
桑原 僕らはもう3年生なので、来年からは後輩たちにバトンを渡すことになります。高校生の大会には出場できなくなりますが、LoLでは今までよりも良い位置まで行けたので、部活に顔を出して教えてあげられるところは教えてあげたいと思っています。
中西 やっぱり立ち回りだとか、テクニック面については後輩に教えていきたい。もっと部員も増やして、もっと部活動を大きくして、全国的にも「阿南高専強いぞ」と思わせられるように、サポートは続けていきたいです。
桑原 確かに、ロケットリーグはある程度知名度はあるけど、他のタイトルでも爪痕を残せるようになれれば良いですね。
──本日はありがとうございました。
【番外編】情報処理について学ぶ「情報コース」所属の二人 将来の夢は?
──将来の夢は。
桑原 僕たちは「情報コース」という学科に所属していて、普段は、プログラミングや情報処理について勉強しています。僕はゲームとはあまり関係ないんですが、IT関係のサーバー関係、サーバーセキュリティとかそっちの仕事に就きたいと思っています。eスポーツで培ったコミュニケーション能力などが生かしたいです。
中西 僕は、ソフトウェア開発のエンジニア、欲を言えばゲーム開発をしてみたいです。授業でもそうですが、趣味でゲームを制作したりしています。
──趣味でゲーム制作を?すごいですね。
中西 ありがとうございます。Unityを使用して一からキャラクターやマップを作成して、周りの人に遊んでもらったりしています。今はBlenderでアバターの自作にチャレンジしています。
──何か目標にしているゲームは。
中西 僕はRPGが好きで、ちょっと前になるんですけど、真・女神転生シリーズがめちゃくちゃ好きです。よく参考にさせてもらっています。
「ロケリだけじゃない阿南高専をめざしたい」。この言葉がとても印象的だった、阿南高専eスポーツ研究会。今後の活躍にも期待したいですね。
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外部リンク
阿南工業高等専門学校
https://www.anan-nct.ac.jp/

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