解説
2023.06.07
「ゲーミングスマホ(スマートフォン)」とは?普通のスマホとの違いや選び方など
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近年、eスポーツが盛んになり、ゲームプレーに特化した「ゲーミングスマートフォン(スマホ)」が多数登場しています。とはいえ、普通のスマホと比べて、何がどう異なるのでしょうか。
そこで今回は、ゲーミングスマホと普通のスマホの違いや、購入検討する場合のポイントを紹介します。また、当コラムは高校生eスポーツプレイヤーに向けて、価格と性能のバランスに配慮した機種も紹介します。
ゲーミングスマホとは
ここではまずゲーミングスマホとはどんなものかを、普通のスマホと比べながら紹介します。
普通のスマホ(スマートフォン)との違い
ゲーミングスマホは、名称の通りゲームプレーに特化したスマホです。しかしどの程度のスペックがあれば「ゲーミングスマホ」なのか、という明確な定義はありません。
特徴的な違いとしては、CPUの処理性能が高いことやメモリ容量が大きいことで、ゲームをサクサクとプレーできる性能が重視されています。また、大容量バッテリーや急速充電機能などを備えており、プレー時間を確保する工夫も見られます。
快適さと長時間プレー時の性能低下を防止するために冷却機能を搭載した機種もあります。ほかには、サウンド面の性能が高いことや内部ストレージ容量が大きいことなどの違いがあります。
これらの工夫によって、普通のスマホより処理速度が速く、画面表示もスムーズなので快適にプレーができます。eスポーツに取り組む場合には、性能が勝敗を左右するケースもあります。そのため、「ゲーミングスマホ」と名付けられていることよりも、プレーするゲームに向いているか、プレースタイルに合っているかなどを踏まえた機種を選択することが重要です。
ゲーミングスマホで重視すべきポイント(スペック)
この項目では、ゲーミングスマホを選ぶ際に重視するべきポイントを解説します。
なお、2023年6月現在で、ゲームを快適にプレーするための推奨スペックも記載しますが、高校生にとっては費用的に厳しい面もあるでしょう。予算とのバランスを考えて、無理のない選択をするためにも、ここに記載するスペックによってプレーにどのような影響が出るか知っておくことが重要です。
CPU(処理性能)
CPUは情報処理を担当する部位で、「頭脳」と表現されることもあります。CPUのスペックが高いほど処理性能が高く、快適にゲームをプレーできます。逆にCPUのスペックが低い場合、プレー中にタイムラグが生じたり、画面上の動作がカクカクしたりするので、勝敗に大きく影響します。
2023年6月現在、iPhoneなら「A15 Bionic」以上、アンドロイドなら「Snapdragon800」以上がおすすめです。なお、iPhoneでもアンドロイドでも、基本的にはCPUの型式内の数字が大きいほどハイスペックであることを示しています。
RAM(作業領域)
RAMはいわゆるメモリ容量のことで、机の広さに例えられます。何らかの作業をするとき、机が小さいと書類や道具を置く場所が無いので効率が低下して、作業をするための時間が多くかかります。それと同様に、メモリ容量が小さいと、画面上の動作が遅くなります。
比較的メモリを必要としない平面のパズルゲームなどであれば4GB程度で対応できます。しかし3Dグラフィックや、オープンワールドのように情報量が大きい場合、6GB以上は欲しいところです。ゲーム配信を行うような場合は12GB以上あると快適です。
ディスプレイの性能
ディスプレイの性能を左右する要素は複数あるので、それぞれを個別に解説します。
ディスプレイの解像度
解像度が高いほど画面の「キメ」が細かく、画面表示が見やすくなります。ただし、4KやWQHDなどの高解像度を選択するとCPUやRAMの負担が増えます。画面上の動作がカクカクするなど、むしろゲームをプレーするうえでマイナスになる可能性もあります。
そのため、画面性能を求めつつ、予算を抑えて勝利を目指すなら、フルHDくらいがおすすめです。
ディスプレイサイズ
ディスプレイサイズは大きいほど視認できるエリアが広がるので、ゲームをプレーするうえでは有利です。しかし、手の大きさには個人差があるので、大きいと操作しづらいと感じる人もいます。
現状であれば、6.5インチ前後を基準にし、手の大きさに馴染むサイズを探しましょう。
ディスプレイのリフレッシュレート
リフレッシュレートとは、画面を書き換える速度を示す性能値です。Hz(ヘルツ)という単位で示され、数字が大きいほど画面上の動作がなめらかに見えます。
数値的には普通のスマホは60Hz程度、ゲーミングスマホなら90Hz以上が基本で、反応を重視するFPSをプレーする人なら120Hz以上の方が有利です。
サウンドの品質・性能
サウンドの品質や性能はゲームの臨場感を高める以外にも、プレーの快適さに関わります。現状は音源の位置を把握しやすいDolby Atmos、音の再現性が高いaptX、高音域に強く正確性が高いハイレゾの3種類が主要です。
また、スピーカーが2つ搭載された機種なら音の方向を認識しやすいので、索敵を重視するFPSをプレーする際に役立ちます。
バッテリー容量
ゲームをプレーする場合、バッテリー消費が激しいのでバッテリー容量が大きい方が長時間プレーに向いています。そのため、十分な容量と安心感を求めるなら、5000mAh以上のタイプがおすすめです。
一方、バッテリー容量が大きいとスマホが重くなる傾向があります。そのため、プレーの快適さを優先する人はバッテリー容量を4000mAh程度に抑えて、急速充電性能を求めることもあります。
充電しながらでも快適にプレーできるよう配慮した機種もあるので、自身がプレーする環境にあわせて選択しましょう。
内部ストレージ容量
内部ストレージ容量とは、スマホ自体が持つ容量で、本棚に例えられます。GB(ギガバイト)という数値で表示され、大きいほど高性能です。
通常のスマホであれば64GB程度ですが、大容量のゲームをプレーすることを考えると256GB以上がおすすめです。予算的に可能であれば、512GBまたは1TB以上を検討しても良いでしょう。
冷却機能の性能
ゲームをプレーしているとスマホに負荷がかかって温度が上昇します。機種によっては持っていられないほど熱くなることもあります。また、バッテリー消費が早くなるほか、CPUに負荷を与えることも考えられます。そのため、冷却機能が付いたものがおすすめです。
おすすめのゲーミングスマホ(2023年2月時点)
ここからは、eスポーツプレーヤーにおすすめのゲーミングスマホを紹介します。
ただし、高性能な機種は価格が上昇する傾向があるので、経済的負担を抑えたいというのが高校生プレイヤーの本音です。そのため、各機種紹介文の最初に「ハイスペック・高価格帯」、「バランス配慮機種」、「高校生ゲーマー向けのリーズナブルな価格」という区別を表記しています。購入を考える際も、予算と求める性能を踏まえた検討をしてください。(価格表示は2023年6月時点の数値ですので、時期によって変動することをご理解ください)
?Black Shark 5 Pro
https://glimpse.jp/ec/products/detail.php?product_id=10172
■バランス配慮機種
Black Shark 5 Pro(Xiaomi社製)は、十分なCPU性能を持っています。(Snapdragon 8 Gen1搭載)。バッテリー容量は4650mAhで5時間の連続動作が報告されています。プレー環境によって連続使用可能時間は多少短くなる可能性がありますが、120Wの急速充電機能があるので、電源面で困る局面は少ないでしょう。
画面サイズ6.67インチで解像度2400×1080、リフレッシュレート144Hzとディスプレイも十分な性能を持っています。また、冷却機能も搭載しており、90分稼働しても温度は40℃以下に抑えられています。価格的には2022年6月現在で11万8800円での入手が可能です。
また、この機種はメインカメラの性能が1億800万画素とかなりハイスペックです。OSはアンドロイド、本体重量220gです。
?POCO F4 GT
https://www.mi.com/jp/product/poco-f4-gt/
■高校生ゲーマー向けのリーズナブルな価格
POCO F4 GT(Xiaomi社製)はグローバル版(128GBタイプ)なら6万円を切るなど、比較的購入しやすい価格でありながら、ゲームプレーの快適性にも配慮されています。バッテリー容量が4700mAhで連続使用時間は6時間程度と優秀ですし、急速充電機能も搭載しています。グラフィック面ではリフレッシュレート最大120Hz、画面サイズ6.67インチとこの価格帯としては十分な性能です。
OSはアンドロイド、重量210g、メモリ容量は8GB、ストレージ容量は128GBです。
?Xperia 1 IV
https://xperia.sony.jp/xperia/xperia1m4/
■ハイスペック・高価格帯
Xperia 1 IV(ソニー社製)は高速CPU(Snapdragon 8 Gen 1 Mobile Platform)搭載のハイスペック機種です。画質が良好な機種で、有機ELシネマワイドディスプレイ/4KHDR対応、画面サイズ6.5インチ、リフレッシュレートは最大120Hzです。当コラム執筆時点(2023年6月)で15万円前後での購入が可能です。
バッテリー容量5000mAhで、連続稼働が5.5時間程度という検証結果があります。それでいて重量は、185gと軽量です。また、急速充電も可能なので電源の心配をすることも少ないです。ただし、冷却機能が無いので、外付けの冷却機能を追加する場合軽量性は相殺されてしまいます。
メモリ容量は16GB、ストレージ容量は512GBです。
?Black Shark 4 Pro
https://glimpse.jp/ec/products/detail.php?product_id=10165
■高校生ゲーマー向けのリーズナブルな価格
Black Shark 4 Pro(Xiaomi社製)は2022年4月リリースの新しい機種です。2023年6月現在で8万円を切った価格で表示されています。CPUにSnapdragon 888を搭載していますし、リフレッシュレート144Hz、メモリ容量12GB、ストレージ容量256GBとそれぞれ優秀です。バッテリー容量は4500mAhと高水準ではありませんが、急速充電性能が最大120Wと高性能なので、電源問題を気にする場面は少なそうです。
OSはアンドロイド、本体重量は220gです。
ゲーミングスマホを買う際はチェック!スマホ用周辺アクセサリー
ゲーミングスマホを購入する際は、本体だけでなく、周辺機器やアクセサリーについても事前に検討しておきましょう。
周辺機器の中で予算的な負担となるのは冷却装置です。ゲーミングスマホに冷却装置がある場合や、短時間しかプレーしない場合は不要ですが、デフォルトの冷却装置が無い場合や不十分な場合はオプション購入も検討事項になります。冷却装置にも性能、価格の幅があり、3000円前後から1万円を超えるようなものもあります。
また、操作性を高めるためにスマホ用コントローラーも必要になります。コントローラーはスマホのOSやモデルによって対応する製品が異なりますし、ゲームによってタイプも変わります。価格的には数千円するものが多いです。
ヘッドセットは周囲への音漏れを防ぐのが役割ですが、ゲームの臨場感や没入感を高めるという大きなメリットもあります。そしてeスポーツをプレーするうえでは重量や装着感、蒸れ具合などもチェックしておきたい要素です。
まとめ
ゲーミングスマホの性能はプレーの快適性だけでなく、勝敗も左右する重要な要素です。
とはいえ、ハイスペックなものを求めるほど価格が上がるので、高校生にとっては経済的に悩ましい面もあります。
予算とスペックをできるだけ両立させるためには、各スペックがどのようにプレーに影響するかを知るのが重要です。プレーするゲームのジャンルや自分自身のプレー環境をまず整理して、何を重視するのかしっかり検討してから機種を選ぶことをおすすめします。
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