解説
2025.10.30
PC電源ユニットの働きと選ぶポイントとは?BTO・自作別に解説
- 解説
初めてPCを自作するときやBTOを発注するとき、悩みのタネとなるのが電源ユニットの選定です。電源ユニットはPCが安定動作するために重要な役割を果たすパーツですが、選択時に考えるべき要素が複数あるので、慣れていないと簡単には決められません。

そこで今回は、PCのBTOや自作に挑む人に向けて、電源ユニットを選ぶ際のポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
PCの電源ユニットとは?
PCの電源ユニットは、一般的にPCのスペックを紹介する上で語られることが少ないので、多くの人にとっては選択の仕方がわかりにくいパーツです。その一方で、PCが安定動作するために重要な役割を持つ存在なので、PCを自作する際やBTOでPCを発注する際には大きなポイントになります。
電源ユニットは、安定した電力を正確に供給することを目的としたパーツです。PCのパーツは基本的に直流電流で動作するので、コンセントから供給される交流電流を直流に変換する必要があります。電源ユニットは交流電流を直流に変換し、PC内のパーツに安定供給する役割を担っています。
電源容量に見合わない電源ユニットを選ぶリスク
電源ユニットの容量は、必要な容量より大きいことが重要です。仮に電源容量が不足していると、起動中に頻繁にエラーが起きたり、システムがシャットダウンしたりするなど、さまざまな問題が発生します。また、画面がブルースクリーン化して再起動を繰りかえすことも考えられます。
さらに、電源ユニットへの負荷率が高いとPC内部の熱が上がりやすく、各機器の寿命低下にもつながります。そのため、余裕を持った容量の電源ユニットを選ぶことは、PCにとって非常に重要なのです。
ただし、電源ユニットの容量は、大きいほどよいというわけでもありません。電源ユニットは容量の50%程度で動作しているときがもっとも効率が良いように設計されているからです。そのため、電源ユニットは最大消費電力の2倍を目安に選定することをおすすめします。
仮に過剰な容量を持つ電源ユニットを使う場合、効率が悪い状態だと電気代が上がるほか、そもそも過剰な電源ユニットを選定することで無駄な費用をかけることになります。
電源ユニットを選ぶタイミング
市販の完成したPCを購入する場合、電源ユニットを選定したり、カスタマイズしたりすることはまずありません。そのため、電源ユニットを選ぶのは、BTOでPCを発注する時かPCを自作するときに限定されると考えて良いでしょう。
BTOとは?
「BTO」とは、Build to Orderの略語で、受注生産を意味します。BTOでは市販のPCに比べてパーツの組み合わせ自由度が大きく上がるのが特徴です。
例えば電源ユニットやハードディスク、グラフィックボードなどあらゆる要素に好みを反映させて、自分なりのハイスペックなPCに仕上げることができます。また、自分にとって必要ないと考えるパーツを載せないことなどで、ハイスペックでありながらも安く入手できる場合もあります。
そのほか、BTOであれば製造と販売を同じ会社で行うので、途中のマージンが発生しませんし、大量に仕入れたパーツを使うことで、価格を安く抑えることもできます。
次の項目では、BTOのPCで電源ユニットをカスタマイズする際のポイントを記載します。
【BTO向け】PC電源ユニットをカスタマイズするポイント

この項目では、BTOのPCで、電源ユニットをカスタマイズする際のポイントを解説します。
【結論】基本的には標準搭載の電源ユニットで問題なし!
結論から言えば、BTOのPCを扱っている会社や店舗が標準販売しているPCなら、搭載されている電源ユニットのままで問題ありません。これは、BTOのPCが、最初から最大電源容量や負荷率を踏まえて電源ユニットを選定しているからです。
ただし、特殊な使い方をする場合は電源ユニットをカスタマイズした方が良いケースもあります。次の項目では、BTOを発注する際に電源ユニットのカスタマイズを検討すべきシチュエーションを紹介します。
電源ユニットをカスタマイズするのがおすすめなシチュエーション
この項目では、BTOのPCを発注する際に、電源ユニットのカスタマイズを考えるべきシチュエーションを紹介します。
容量が大きい(再生時間が長い)動画のエンコードやゲーム配信を頻繁に行う
動画の編集ソフトなどを使って、大容量のエンコード(動画を圧縮や変換すること)をする場合や、ゲーム配信などを行う場合、CPUに高負荷がかかり消費電力が上がります。
また、ゲームの動画配信をすると、CPUとグラフィックボードの両方に大きな負荷をかけるので、電源ユニットのカスタマイズを検討すべきでしょう。
GPUなどを負荷が高いものにカスタマイズしている
ゲームに特化してPCを使っている人なら、グラフィックボードにこだわることが多いでしょう。そして、グラフィックボードはPCのパーツの中で電力消費量が大きいことで知られています。
「電源ユニットの選定で迷ったらグラフィックボードの消費電力を踏まえて考える」という人もいるほど。グラフィックボードの消費電力が大きい場合、電源ユニットのカスタマイズを検討してみることをおすすめします。
電源ユニットに静音性を求める
電源ユニットは負荷がかかると発熱するので、電源ユニットの不具合を防ぐために付属の冷却ファンが動作します。発熱が少なければ低速で回転するので音は気になりにくいですが、高負荷になるとファンの回転数が上がり、騒音につながります。
どの程度音がするかはファンのタイプにもよりますが、静音性を求めるなら電源容量に余裕があるタイプや、変換効率が良いタイプを使うのがおすすめです。また、耐熱温度が高く冷却ファンを搭載していないファンレスタイプの電源ユニットを選ぶ選択肢もあります。
ただし、PCの静音性は電源ユニットの冷却ファンだけでなく、ケースファンやCPUクーラーも関連します。そのため、PC駆動時の音を小さくしたいのであれば、全体の冷却に配慮することをおすすめします。
【自作向け】PC電源ユニットを選ぶポイント

ここからは、自作PCを考える人向けに、電源ユニットを選ぶ際のポイントを解説します。
サイズの規格
電源ユニットにはサイズの規格があり、ATX、SFX、TFX、Flex ATXの4種類が存在します。この中で自作のPCに利用されるのは、ATXとSFXのどちらかです。
ATXは幅150mm、奥行き140mm、高さ86mmが規格の数値ですが、奥行きは商品によって異なるので、実際に選ぶときは取り付け可能かどうかを確認しましょう。SFXも幅125mm、奥行き100mm、高さ63mmとされていますが、ATXと同様に要確認です。
端子数及びケーブルの長さと形状
電源ユニットの端子には、マザーボードに接続するメイン端子やグラフィックボードに接続する端子のほか、CPU用の補助電源端子などがあります。端子の種類はほかにも複数あるので、必要に応じて検討しましょう。
一方ケーブルの形状としては、複数のケーブルが平らにまとまっているフラットケーブルや、ケーブルの外側にカバーがあるスリーブケーブル、プラグイン式(着脱式)のモジュラーケーブルなどがあります。
フラットケーブルはかさばらないので組み立て作業がしやすいですが、曲がる方向の自由度が低いので取り回しに難点があります。
プラグイン式のケーブルは、使わないのであれば外すことで、空気の流れを良くできるので便利です。ただし、プラグイン式はコネクタの分実質的なスペースを取るほか、価格的に高くなるというデメリットもあります。
冷却ファンの仕様
電源ユニットの多くには、冷却ファンが付属しており、電源ユニットの負荷に応じて回転数が上がるように作られています。これによる騒音の上昇を防ぐには、電源ユニットの容量に余裕を持つことや、変換効率の高さに注意することが基本です。
とはいえ冷却ファンの仕様にもこだわるのであれば、口径が大きい冷却ファンを使う手もあります。多くの電源ユニットには120mmの冷却ファンがついていますが、140mmの冷却ファンを搭載した電源ユニットを使用することでより静音性を確保できます。
容量
電源ユニットの電源容量(定格出力)を考える場合、グラフィックボードのタイプは必ず考慮すべき要素です。CPUに内蔵されたグラフィック環境でPCを使うのであれば、電源容量は400Wを目安としてそれ以上なら十分と考えて良いでしょう。
しかし、ゲームをプレイすることを重視してPCの自作に挑む人なら、グラフィックボードにこだわる人が多いと思います。その場合、搭載するグラフィックボードによって必要な電源容量は大きく異なるので決定が難しくなります。
そんな時は、BTO専門の会社や電源ユニットメーカーが無料公開している電源容量計算のシミュレーターを使うと良いでしょう。
参考:ドスパラ 電源容量計算機
そのほか、電源ユニットを選ぶ場合、「80 PLUS」という表示にもぜひ着目してください。80 PLUSの表示がある電源ユニットは、負荷率が変化しても変換効率80%以上を維持することの認定です。
STANDARD、BRONZE、SILVER、GOLD、PLATINUM、TITANIUMという6つのグレードがあり、後に書いたグレードほど変換効率が高いことが確認されています。
【まとめ】PC電源ユニット選びは高負荷時に差が出る!後悔のない選択をしよう
適切な電源ユニットを選ぶには考えるべき要素が複数ありますが、特に高負荷時に着目して選定することが重要です。電源ユニットが高い負荷を受け続けると、PCのパフォーマンス低下や発熱による部品寿命の低下、冷却ファンが高速回転し続けることによる騒音などさまざまな問題が出るからです。
そのため、最大消費電力やグラフィックボードのタイプなどを踏まえて、余裕がある電源ユニットを選んでください。
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