解説
2024.08.15
PCファンの役割とは?ゲーミングユーザー向けのケースファンなども紹介
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PCファン(PCケースファン)はゲーミングPCになくてはならないパーツですが、その重要性をあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、PCケースファンの役割や、選択時のポイントについて解説し、おすすめ商品も紹介していきます。
PCファン(PC用ケースファン)とは
PC本体の内部には、電源ユニットやCPUなど動作時に熱を発するパーツやユニットが組み込まれています。これらの温度が上がりすぎると動作不良や故障を起こしやすくなります。そこで登場するのがPCファンです。PCファンはPCケース内に熱がこもらないように、空気を循環させるために取り付けます。
PCのパーツは高性能で高出力なほど発熱する傾向にあります。つまり、ゲームプレーに特化して高性能なパーツを多く組み込んだゲーミングPCは、内部温度が上がりやすいということです。すると外気を取り込む役割を担うPCファンの重要性も自然と高まるというわけです。
PC用ケースファンの性能差
PC用ケースファンは、大きく、そして回転数が高いほど、冷却性能が高くなります。とはいえ、大きなファンを高速で回転させると騒音も大きくなるので、その二つだけを重視するというわけにも行きません。
そのため、ゲーミングPCでは、複数のファンを使って冷却を行うことも少なくありません。
PC用ケースファンを選ぶタイミング
仕事や趣味でPCを使わないという人は今では珍しいでしょうが、日常生活でPC用のケースファンを選ぶことは、そう多くないでしょう。
ただし、eスポーツプレイヤーやゲームをやりこんでいる人なら、「もっと勝率を上げたい」「さらに高い得点やランクを獲得したい」と思う中で、BTO PC(受注生産PC)を発注したり、PCを自作したりしようと考え、その中でPCファンを選ばなければいけない場面に遭遇するはずです。
PC用ケースファンを選ぶ際のチェックポイント4つ
この項目では、PC用ケースファンを選ぶにあたって、頭に入れておきたい四つのチェックポイントを解説します。
(1)ファンのサイズ
ファンはサイズが大きいほど冷却効果が高くなります。ただし、PCケースの物理的限界もあるので、いくらでも大きくできるわけではありません。
PCケースファンの形状は四角形なので、四角の1辺の寸法をmm単位で示します(ただし、cm表示している商品もあるので、注意しましょう)。自作PCで多く使用されるのは、120mmと140mmと呼ばれる2種類ですが、これはファンの外側寸法の1辺が120mmと140mmであることを示しています。
120mmのPCケースファンは、自作PCをつくるうえでもメジャーなサイズと言われています。静音性と冷却性能のバランスがよく、一般的なPCケースに収まりやすいことも人気の理由です。
140mmのPCケースファンは、120mmより送風量が多いので冷却性は高くなります。しかし動作音は120mmより大きく、そのサイズ感から取り付け可能なPCケースが限定されます。140mmは特に冷却性能を重視したいときに選択されます。
上記の2種類より小型な60mm、80mm、92mmのPCケースファンも市販されています。60mmはPCケースが小さい場合に使用します。80mmは年代の古いPCで多く使われてきたタイプで、古いモデルに取り付けられます。92mmは120mmに次いで人気で、構造上ファンのサイズが制限されるときに使用されることが多いです。
(2)ファンの厚さ
PCケースファンには、厚みがあるほど冷却性能が上がるという特徴もあります。とはいえ、厚すぎるとPCケースに取り付けるのが難しくなってきます。このような条件の中で、多く使用されるのは15mmから25mm近辺の厚みを持つPCファンです。
15mmは、風量は多いとは言えませんがコンパクトなため、ほかのパーツに干渉しにくいメリットがあります。25mmは多くのPCケースに取り付けることができ、冷却性能と取り回しのバランスも良好です。30mm以上は、もっと大きな風量が欲しいときに使われます。
(3)ファンの回転数
一辺あたりの長さと本体の厚さ。回転を伴うパーツで外せないもう一つの要素が回転数です。回転数はrpmという1分当たりの回転数を表す単位を使用します。1000rpmなら1分間に1000回転する、ということです。回転数が上がるほど冷却性能も上昇しますが、高速で回転するほどその分駆動音も大きくなります。
しかしPCケースファンの中には回転数をコントロールできるものがあります。制御可能だと、冷却性能を重視するゲームプレー時には高速回転させ、PCに負荷をかけないときは回転数を下げるというように、場面に応じた使い方ができます。
ちなみに制御方法はパルス方式と電圧方式の2種類があります。回転数を明確に制御できないものの、ファンコントローラーやつまみによってアナログ的に回転数を変える方法を採用することもあります。
(4)ファンの静音性・ライティング
ファンはPCを正常に動作させるために欠かせない存在ですが、大きいファンを高速で回すとその分駆動音も大きくなり、場合によっては気になってしまうかもしれません。
そうした失敗を避けるには、そのファンの騒音レベルを確認するのがおすすめです。商品項目にはdBまたはdBAという単位で音の大きさが表示されています。メーカーや商品によってどちらを採用しているかは異なり、dBがすべての周波数を含む一方、dBAは人間の可聴域を考慮して補正されたものです。
細かい記述は避けますが、ここではdBとdBAの関係は比例関係ではないこと、dBよりdBAの方がやや小さい場合が多い、ということは覚えておきましょう。(例:76dBの道路騒音は72dBA、74dBのダクト排気音は66dBA)
なお、PCケースファンの中には、鮮やかな光を発するライティング機能を搭載したモデルも存在します。ライティング機能は冷却性能には関係しませんが、PCのインテリア性アップにもつながります。
BTOや自作PCでおすすめのPC用ケースファン
この項目ではこれまでのポイントを踏まえ、BTOや自作PCにおすすめのPCケースファンを、サイズごとに紹介します。(商品の価格は、2024年8月現在のものです)
120mmのおすすめPC用ケースファン
・商品名:WS1225FD12-P
・メーカー:サイズ
・価格(2024年8月時点):980円前後
・公式商品URL:https://www.scythe.co.jp/product/fan/wondersnail120-pwm/
・概要:サイズは120mm、回転数1200rpmです。高速回転時のノイズを抑制する設計となっており、高風量で音が出にくい商品です。密閉型の軸受けでオイルの漏れや揮発を抑えるので、潤滑が長持ちする仕様になっています。
140mmのおすすめPC用ケースファン
・商品名:MFL-B4DN-15NPA-R1
・メーカー:クーラーマスター
・価格(2024年8月時点):3000円前後
・公式商品URL:https://www.coolermaster.com/jp/ja-jp/catalog/coolers/case-fan/masterfan-mf140-halo/
・概要:サイズは140mm、回転数650~1500rpmです。強い風圧を生み出し冷却効果を高める独自のブレードで、ノイズの低減にも寄与し、静音性を高めています。また、吸音素材を使うことで高負荷の際にも回転音は静かです。さらに、ケーブルの巻き込みなどの異常を検知して自動停止する機能も搭載しており安心です。
92mmのおすすめPC用ケースファン
・商品名:NF-A9x14 HS-PWM
・メーカー:ノクチュア
・価格(2024年8月時点):2900円前後
・公式商品URL:https://noctua.at/en/nf-a9x14-pwm-chromax-black-swap
・概要:サイズ92mm、最大回転数2500rpmの高速回転対応が可能な機種です。PCケース内の温度に応じて、500~2500rpmの幅広い範囲内で自動変速できるファンです。
ゲーミングPCはファンがうるさい?ファンがうるさくなる主な理由
ファンの騒音という話題がありましたが「ゲーミングPCのファンの音がいつもよりうるさい」という悩みを持つ人はかなり多いのではないでしょうか。この項目では、なぜゲーミングPCのファンの音が大きくなってしまうのかを詳しく解説します。
高い負荷がかかっている(ハイクオリティな設定でゲームを起動するなど)
PCにかかる負荷が高いほどPC内の温度が上昇するので、パフォーマンス維持やトラブル防止のためにファンが稼働することになります。
特にゲームは事務処理などに比べると、グラフィック処理などでCPUやGPUに負荷をかけるので、PC内の温度が高くなります。また、画質設定を高くしている場合などはさらにPCが熱を持つことになります。
パーツやケーブルがファンと干渉している
PCケース内でファンとほかのパーツやケーブルなどが物理的に干渉している場合、大きな音を発する場合があります。
例えばファンの羽にケーブルが干渉しているのであれば、「ブーン」といった連続音ではなく、「カラカラ」などの断続音が出るので、原因究明が比較的簡単です。
搭載しているパーツに対してファンの性能が低い
ゲーミングPCにはハイスペックなパーツが搭載されているので、PCケース内の温度がすぐに上がります。そのため、パーツ構成に対してファンの性能が低いと、高速で回転を続けることになります。
また、搭載されているファンが静音タイプでない場合も音が気になることがあります。
ファンそのものにホコリが溜まっている
ファンにホコリや汚れが溜まると、送風量が減って冷却効率が下がります。また、ホコリや汚れが固着すると、空気抵抗が増えて効率が落ち、異音につながります。
汚れの固着が激しい場合、ガタガタと激しい音を立てることもあります。このような場合は故障が起きる可能性もあるので早めに掃除しましょう。
CPUクーラーの放熱板にホコリが溜まって熱がこもってしまっている
CPUクーラーには放熱板と呼ばれる薄い板が多数配置されており、空気への接触面積を増やしてCPUを冷やす役割を担っています。この放熱板にホコリが溜まると、CPUの温度が下がりにくくなるので、ファンの稼働も増えて騒音につながります。
ファンの回転数が必要以上に設定されている
PCケースファンの回転数は設定できるので、冷却を考えて常に高速で回転するように設定する人もいます。この場合、負荷が少ないときにもファンが高速回転するので、騒音として感じられることがあります。
【まとめ】PC用ケースファンの役割と騒音の原因を把握し、問題解決につなげよう!
PCケースファンは、PCのパフォーマンス維持やトラブル防止に貢献する重要なパーツです。特にゲーミングPCはハイスペックな部品構成で温度が上がりやすいので、状況に適したPCケースファンを選ぶことが大切になります。ぜひこの記事を参考にして、適切なPCケースファンを選んでみましょう。
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