高校eスポーツ探訪

2022.11.06

部活で生まれるアツい想い、「大会に出場してみたくなった」 三浦学苑高等学校【前編】

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【高校eスポーツ探訪・14 前編】 それほど興味がないことでも、取り組んでみたら夢中になってしまう──。スポーツを題材にした物語で目にすることがある展開ですが、現実にもある話です。その一例が、高校eスポーツ部にもありました。高校eスポーツ探訪 第14回は三浦学苑高等学校を取材しました。(取材/銭 君毅 文/南雲 亮平)

左奥から右に、前田豊さん、倉田翔太さん、前川友輝さん、伊東亮さん。左手前から右に、田中斗百矢さん、鈴木琉成さん、福末桐士さん

── eスポーツ部はどのくらいの頻度で活動しているのでしょうか。

倉田翔太さん(以下、人名は初出以降敬称略) eスポーツに取り組んでいる情報研究会の活動は週4日、一日3時間ほどです。金土日が休みですね。あとは自分たちで決めて練習しています。

── どのくらいの人数が所属しているのでしょう。

田中斗百矢 さん 26人です。吹奏楽部と比べると少ないですが、ほかの文化部と比べたら多いと思います。

── 人気な部活なんですね。

田中 eスポーツの活動が始まってから増えてきました。

── 情報研究会はもともとeスポーツ以外の活動が主だったということですね。

福末桐士さん P検定をとることを目標に活動していました。

倉田 あとは、学校の広報活動を情報研究会がやっていて、学校のインスタグラムを運営しています。SNSごとに担当がいて、Instagramのほか、Facebook、YouTubeを運営しています。

── 今の若い人はFacebookをあまり使わないような気もしますが……。

田中さん あまり使わないかもしれません。でもだからこそ、少し気が楽ですね。気兼ねなく投稿することができます。

情報研究会の活動の一環としてeスポーツに取り組んでいる

部活だからこそ近くに仲間

── eスポーツはいつごろから始めたのでしょうか。

前川友輝さん 2019年に横須賀市がeスポーツ部の支援プログラムを提供し始めてから、それを利用してeスポーツの活動を開始しました。なので、私たちが入学した時にはeスポーツの活動がありました。周辺のほかの学校よりも少し早かったかもしれません。

── 先駆けになっていたんですね。eスポーツにいち早く着手することは、学校によってはハードルが高いケースがあります。それでも挑んだ三浦学苑高校は、どのような学校でしょうか。

倉田さん スポーツや部活に力を入れている学校という印象です。野球やサッカーなどの運動部が強いですね。

── eスポーツ部はどうでしょうか。趣味でゲームをプレーするのと、部活でプレーするのでは状況が少し異なりそうです。

田中さん eスポーツ部はまだまだこれからです。活動については、近くに仲間がいるっていうことが、大きな違いかと思います。普段は家でボイスチャットなどを介してコミュニケーションを取るので、学校で、隣で一緒にプレーしているとコミュニケーションが取りやすいですね。

福末さん 近いところにいるからこそ、自分の弱点などが見やすいこともあります。すぐに指摘をもらえることもそうですし、隣の相手の動きをみて反省することもあります。

── eスポーツの活動は、あくまで情報研究会の活動の一環なんですよね。

鈴木琉成さん メインは情報研究会の活動です。資格の勉強をしたり、YouTube用の動画を編集したり、企業からの動画制作を依頼され作成したり、などといった活動が基本で、それに加えてeスポーツに取り組んでいます。

── 情報研究会としては資格などの目標がありますが、eスポーツの活動としては現在の目標はあるのでしょうか?

田中 eスポーツで言えば、大会が近いのでそれに向けて活動しています。近く、STAGE:0や第3回YOKOSUKA e-Sports CUP、全国高校eスポーツ選手権などがあるので、そこに力を入れています。

お互いに教えあいながら練習している

── 大会にはさまざまなタイトルがありますが、みなさんの得意とするゲームはありますか?

田中 今はApexに絞って練習しています。

鈴木さん VALORANTと、ロケットリーグをプレーしています。ジャンルが大きく違うので両立は難しいですが、区切りをつけて頑張っています。

前川さん VALORANTと、Apexは一応できるというくらいです。

倉田さん フォールガイズと、ロケットリーグと、グランツーリスモをプレーしています。

福末さん 主にVALORANTをプレーしていますが、部活で取り組んでいるほぼ全タイトルに対応できています。

── 全タイトル! 練習はけっこう大変じゃないですか。

福末さん 家でもずっとプレーしているので何とかなります。

── そうすると、みんなにアドバイスをすることが多いのでしょうか。

福末さん 言うこともありますが、言われることの方が多いかもしれません(笑)。

── お互いで支え合っているということですね。部活全体として特に得意なタイトルはありますか。

鈴木さん どれも平均的なのですが、一番実績があるのはロケットリーグですね。2020年の大会で、ブロック4位、全国32位まで行きました。

変わるeスポーツへの想い

── 32位はすごいですね。実績が残るのは嬉しいことだと思います。大会で結果が出たときは活発かもしれませんが、日常の会話でeスポーツが出てくることはあるのでしょうか。

鈴木さん あまり話にあがることはないのですが、中学の頃の友だちから「部活でゲームできていいな」とは言われます(笑)。

倉田さん 中学のころは体育会系の部活に所属していたので、親や友だちからは「意外だね」って言われます。

── 倉田さんはバレーとサッカーを兼部するとのことでしたから、体を激しく動かさないeスポーツ部は意外だったのかもしれませんね。もともとeスポーツに惹かれて入部したわけではないそうですが、入部してからeスポーツの印象は変わりましたか。

倉田さん なんとも言えないのですが、“アツい”です。今までは自分のなかにゲームを仕事にするということに対して肯定的な意見は無かったのですが、部活に入って活動していると「仕事になるわけだ」と思うようになりました。

── 大きな変化があったのですね。ほかのみなさんは実際にeスポーツ部に入って変わったことや、よかったことはありますか。

田中さん 学校でもゲームができることがよかったです。突き詰めたいものに充てる時間が増えました。

鈴木さん eスポーツが部活でできてよかったです。学校でゲームができることで、練習時間が増えるので、自分が旨くなりたいゲームを上達させることができます。

── 上達したいということは、大会に出たいと考えていたのでしょうか。

鈴木さん もともと大会に出たいという気持ちはなかったのですが、高校生になって大会があるということを知って、出てみたいなという気持ちが少しずつ生まれました。

福末さん さっきも言ったことになってしまうのですが、周りを見て自分の悪いところを見つけるということですかね。ひとりではできなかったことなので。ひとりで上達するには限界がありますし、仲間を見つけるところからだと難しいので、部活の存在は助かります。

── ひとりのときは練習相手を見つけるにも苦労があったということでしょうか。

福末さん と言うより、ひとりでプレーしているときはゲームは趣味なのでそこまで深く考えたことはありませんでした。負けて悔しいときに「もうちょっと強くなれないかな」とは思っていましたが、その程度でした。でも、部活になったら本気で強くなろうと思いました。

── 部活と趣味の違いかもしれませんね。

倉田さん 最近は家でもゲームをプレーするようになりました。家では知らない人たちと対戦することになるので、相手の実力もよくわからないまま戦うことになります。でも、部活では気が知れて、実力もわかる人たちとプレーすることができます。そうすると、落ち着いて取り組むことができます。

鈴木さん 自分のプレーがダメだった時に声が出ることはありますが、相手に攻撃的になることはありません。真剣勝負なので、思わず感情が出ることがあるという感じです。

── 本気だからこそ、声が出ることもありますよね。最後に、情報研究会として、あるいはeスポーツ部として、これからの目標などはありますか。

田中さん これからもApexを頑張りたいです。大会にも出てみたいです。ひとりでは難しいですが、せっかく学校でeスポーツに取り組んでいるので、学校内でこれから探していきます。

鈴木さん 大会に出て優勝したいです。それで、三浦学苑の名前を広めて、その影響力で全国にeスポーツ部を増やしていきたいです。将来的には、幅広い人にeスポーツをもっと理解してもらえるような方法を考えていきたいなとお思います。

前川さん 大会で優勝したいです。大会に出るのであれば、優勝を目指すしかないと考えています。

倉田さん 実力の底上げをしていきたいなと思います。情報研究会としては、基本的には自由です。自分たちで目標を立てて活動することが主になります。

福末さん 大会で結果を残したいという想いがあります。これからの部活のあってほしい姿としては、もう少し大会に出場して、実力を上げて結果を残したいです。ただ、eスポーツにのめり込むのではなく、広報活動や資格の取得など、“情報研究会”として活動を続けてほしいなと思います。

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■外部リンク

三浦学苑高等学校
https://miura.ed.jp/

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