高校eスポーツ探訪
2022.10.23
“校訓”が活動指針、社会貢献でeスポーツ部の価値示す 品川翔英高等学校【後編】
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【高校eスポーツ探訪・13 後編】 自身が通う(もしくは通った)学校の校訓をおぼえているでしょうか。学校に通ううえで大切な校訓ですが、忠実に守るのは難しいことです。しかし、目標を定める際の指針としては頼りになります。高校eスポーツ探訪 第13回 後編は、品川翔英中学校・高等学校が校訓に掲げる「自主・創造・貢献」を体現したeスポーツ部についてです。(取材/銭 君毅 文/南雲 亮平 ※22年5月末に取材)
── みなさん、お互いに話をする際は敬語を使っていないんですね。
森下菜々子さん 部の規則で敬語を禁止しています。試合中の報告で敬語を気にしていると、遅くなってしまうからです。
── 合理的ですね。規則などはすべて部長が作ったのでしょうか。
杉本翔さん ほとんどひとりで作りました。ひとりで始めたことだったので……。でも、今は部員がたくさんいます。他の人がいてくれるだけで、本当にありがたいです。
── ひとりから始まって、いまでは部員30人。大きくなりましたね。
杉本 自分でもびっくりです。
── 最初は同好会とのことでしたが、そのころから規則はいくつかあったのでしょうか。
杉本 同好会の頃はゆるかったのですが、部活になると部費もありますし、学校の名前を背負って大会に出ることもあるので、いろいろ厳しくなりました。顧問の先生がついて、ほぼ毎日話し合いです。
── どのような部分が厳しいのでしょうか。
杉本 とくに厳しいのは、ゲームタイトルの対象年齢です。それまでは対象年齢は考慮せずプレーしていたのですが、部活動として取り組むにあたって「教育への影響を考慮して設けられたものを破るのはまずいよね」という話がありました。
── 部活動も学校教育の一環ですもんね。
杉本 学校の名前を使う分には守るべきという指導でした。ただ、ほかの部分では融通を効かせてもらっているので助かっています。
部活から社会貢献へ
── 今後はどのように活動していくのでしょうか。大会の予定などはありますか。
杉本 現在予定しているのは、ePARAが主催している「ePARACARNIVAL」というイベントに参加することです。障がい者eスポーツのイベントで、見学もかねて運営として参加します。
── ePARAへの参加は杉本さんから声をかけたのでしょうか。
杉本 今回はePARAの代表を務められている加藤大貴さんから声をかけていただきました。学校内だけの活動では限界があるので、外と繋がるためにもTwitterを使っていたことがよかったです。そのおかげで、こうして取材をしていただくこともできました。
── 大会以外のイベントにも参加されるんですね。
杉本 今回のイベント参加は、eスポーツには大会だけでなく、そういったイベントもあるのだと部員に知ってもらうための参加でもあります。
── 日々の活動はもちろん、イベントに大会と、大忙しですね。部活の今後の目標などはありますか。
杉本 校訓が「自主・創造・貢献」なので、1年目は同好会という自主的な活動をはじめて、2年目に部活を作って、3年目は学校外で社会貢献に参加することになりました。今後も、部活動だけで終わらず、学校外へも活動を広げていきたいです。そのためにTwitterで活動しています。
eスポーツの印象はまだ悪いです。親には何かあるたびに「ゲームしてるから」と言われ続けてきました。そういう印象を少しでもなくすためにも、社会貢献活動など、学校外の活動を広げていければと思います。
── 素敵な目標ですね……! ほかのみなさんも、今後、目指しているものなどありますか。
渋谷海斗さん まだ高校では「eスポーツやっている」と大声で言えていないので、そういうことができるようにしていきたいです。eスポーツの印象を向上させて、学校が自慢できるような部活にしていきたいです。お金の面は大変かもしれませんが(笑)
── 渋谷さんは次期部長とのことでした。お金の課題を解決するためにも、先生との交渉でeスポーツ部を立ち上げた部長に、交渉術を学ばないといけませんね。
渋谷 そうですね。将来は、ゲームを作ってみたいという夢があるので、eスポーツ部での活動を活かしていきたいです。
佐藤一輝さん ゲームを作ることが目標なので、進路としては専門学校に行きたいです。
── 大会で成績を残したことがあるそうですが、eスポーツの選手は目指さないのでしょうか。
佐藤 選手は収入が安定しているかと言われると不安なので……。それに選手もずっとeスポーツの大会に出場できるというわけではなく、ほかの仕事をしなければならない時がくると思います。だったら、最初から働こうと思いました。まずはプログラミングを学んで、ゲーム作りのどの部分に携わっていくのか、考えたいです。
古井戸翔太郎さん 自分もゲームを作りたいと思っています。「タルコフ」というゲームを実況動画で見たときに、「こんなリアルなゲームを作りたい」と思ったんです。プレイヤーとしてもゲームは続けていきたいです。
森下 絵を描くのがすごく好きで、オリジナルキャラを自分で作って描いています。今のゲームはイラストがすごいキレイなので、そこにつなげていきたいと考えています。
万江琴莉さん ゲームが好きになってから、ゲームのプログラミングについて学びました。知識を広げていきたいと考えていたらアプリ開発を見つけて、将来はゲーム開発やアプリ開発をしたいと思うようになりました。
── みなさん、ゲームに関わる仕事を考えているんですね。だとすると、eスポーツ部に所属することは、すでに夢に向かって進んでいると言えるかもしれません。これからも夢に向かって楽しく活動してください。
■関連記事
■外部リンク
品川翔英中学校・高等学校
https://www.shinagawa-shouei.ac.jp/jhhs/
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