eスポーツチーム
2023.11.12
名古屋から世界へ挑戦! 名古屋OJAとNTPセブンス、VALORANT部門を共同設立
- VALORANT
10月26日、名古屋トヨペットやトヨタホーム名古屋などを傘下に持つNTPホールディングスのグループ企業NTPセブンスが、新たにeスポーツ事業に参入を発表しました。
名古屋に拠点を持つ名古屋OJAとNTPグループ、NTPセブンスの共同運営により『VALORANT』部門を設立し、NTPOJAとして始動します。『ストリートファイター6』や『Shadowverse』部門は引き続き、名古屋OJAとして活動していく予定です。
日本・愛知開催のアジア競技大会2026を見据え
発表会では、NTPセブンスの小栗成男社長、名古屋OJAの片桐正大ゼネラルマネージャー、eスポーツコミュニケーションズの筧誠一郎会長による会見も行われました。
まずNTPOJAの発足の意図として、今年に中国・杭州で開催されたアジア競技大会でeスポーツがメダル競技として採用されたことを紹介。次回のアジア競技大会は2026年に日本・愛知で開催されることから、日本におけるeスポーツの注目度が高くなることを見据えて立ち上げたとしています。
しかも、名古屋を拠点とするNTPセブンスや名古屋OJAとしてみれば、地元開催のグローバルイベントを盛り上げるためにも参加する意義があるわけです。奇しくも会見を行った日はジャパン モビリティ ショウの会期の真っ只中。本来、自動車産業を生業としている小栗社長としてみれば、お台場に居て当然のことながら、名古屋で会見を開いていること自体が、eスポーツへの力の入れようが伺えます。
今回、会見を行った会場は名古屋市伏見にあるeスポーツ施設で、その名は「NTP Esports PLAZA」。NTPOJAのホームグラウンドであり、eスポーツプレイルーム、eスポーツ教室、配信スタジオを完備し、ビル全体がeスポーツ施設として運営されています。この施設からも、eスポーツを推し進めていくという強い意志をうかがうことができます。
会見では「愛知はものづくりの街。実直に取り組んでいくのは利点だが、それだけでは世界に勝てないので、数字や科学的分析によって勝ちを目指していきたい」と、小栗社長はeスポーツへの意気込みを述べていました。名古屋OJAの片桐GMも「プロ野球やJリーグには知見やデータが積み上げられています。それらを丁寧にeスポーツへ移植し、国外の選手の力も借りて、日本人選手を育てていきたい」と語っています。
巨大資本のバックアップでも課題は山積
巨大資本とプロスポーツのノウハウ、eスポーツの知見が融合し、前途洋々に見えるNTPOJAですが、それでも乗り越えなければならない課題は山積しています。今回は『VALORANT』部門への参入となっていますが、現状の『VALORANT』の国際大会のレギュレーションだと、世界へ打って出ることがなかなか難しい環境です。特に新規参入チームがトップチームを目指す道筋が見えにくい状況です。
さらに同タイトルはアジア競技大会の種目となっていない点も、多少のズレが見え隠れしていると言えます。eスポーツが正式メダル競技となったアジア競技大会が日本開催されることにより、eスポーツは話題になるかもしれません。それに伴い、VALORANTの知名度が上がるかどうかはまだわかりません。
先に行われた杭州のアジア競技大会のeスポーツ部門は、そのほとんどが日本で配信、放映されていませんでした。日本で開催した場合はその点をクリアできるのか。日本でクリアできたとしてもその後にほかの国や地域で開催した場合、また配信されなくなるのかの不安も残ります。
日本で観戦しにくかった要因と対策としては、「杭州での放映、配信の権利はTBSが持っていましたが、アジア競技大会におけるeスポーツの扱い方が不明瞭で、結局配信できずに終わりました。今はTBS側とさまざまな話をしており、連携して配信に向けて進めていく予定です」と筧氏は解答しています。
アジア競技大会では既存のゲームタイトルを競技として扱っていますが、五輪ではバーチャルスポーツ(フィジカルスポーツの代替としてデジタルで行うスポーツ)を中心と捉えており、eスポーツへのアプローチの違いも気になります。日々研鑽して目指す先がアジア止まりなのか、“バーチャルスポーツ”なのか、という今のままの状況では、活躍の可能性を広げるためには、これまで通りのeスポーツ大会を目指すほかなくなるという懸念もあります。
何はともあれ、NTPOJAの発足により、愛知県や名古屋市でeスポーツ事業の活性化が期待できるのは事実です。愛知県は中部国際空港(セントレア)のほど近くに常設保税展示場のAichi Sky Expoを建設し、Aichi Impact!やRed Bull KUMITE、ワールドゲームサミットなど、多くのeスポーツイベントが開催されています。
さらに名古屋OJA以外にもDetonatioN FocusMeなど愛知県を拠点にしているeスポーツチームもあり、eスポーツの中心地としてのポテンシャルは持っています。これにアジア競技大会が開催されれば、eスポーツの聖地として名を上げる可能性はあり、期待は高まるばかりです。(ライター・岡安 学)
関連記事
愛知国際展示場でゲーム・コスプレの祭典 名古屋会場ではeスポーツ体験スペースも
運動・栄養・休養を意識すればゲームが上手くなる!?筑波大学・松井先生に聞くeスポーツ科学 後編
外部リンク
名古屋OJA
https://www.nagoyaoja.com/
NTPセブンス
https://www.nt7.co.jp/
おすすめ関連記事
-
eスポーツチーム
なるおさんらが指導 プロeスポーツチームDetonatioN FocusMeが格ゲーアカデミー「DFM FARM」を開始 メンバー募集中
2024.10.25
-
eスポーツチーム
プロeスポーツチームREIGNITEと筑波大OWLSが提携 学生eスポーツイベントをサポート
2024.10.16
-
eスポーツチーム
若手格ゲーマー支援の「ハイタニ登竜門」始動 国内の若手プレイヤー集めたコンテンツも計画中
2024.10.09
-
eスポーツチーム
運転とeスポーツに共通点?プロチームCREST GAMINGのヒューマンアカデミーと自動車シート開発等のメーカーが実証実験
2024.10.03
新着記事
-
コラム
“学生×eスポーツで何か絡みたい社会人” 配信技研 取締役 アユハさん主催の交流イベント「ULPA(ウルパ)」 潜入レポート
2024.11.01
-
新製品
スナドラ8 Gen3 LV搭載 REDMAGIC 独自冷却システムと大容量バッテリーで長時間プレーも安心な12インチゲーミングタブレットをグローバル展開
2024.10.31
-
新製品
35ms低遅延モード・ハイブリッドANC搭載 finalがゲームからエンタメまでこれ一台なワイヤレスイヤホンをREBブランドから発売
2024.10.31
-
大会情報
岡山ではブランド牛を無料提供、徳島にかげっちさんのスト6対戦会が初進出などなど 直近開催のeスポーツ・ゲームイベント特集(10月5週版)
2024.10.31
高校eスポーツ探訪
-
2024.08.02
eスポーツが学校生活の活力に 立正大淞南eスポーツ部「GEEK JAM」 ランクイモータルのプロ志望も入部!? 部員インタビュー
-
仙台城南高等学校
2023.08.12
部活動を通じて磨かれた指導力、知識量、分析力 仙台城南高等学校eスポーツ部 後編
記事ランキング
-
1
サービス
2024.10.25
使うのはドライビングシミュレーター 大阪電通大 eスポーツ競技者の疲労緩和や環境改善サポートへ研究開始
-
2
大会情報
2024.10.29
Riot Games ONE 2024 オフラインイベント内容公開!DFM、ZETA、Fnatic、LEVIATANによるエキシビションなど3プログラム 先行チケット販売中
-
3
解説
2023.04.15
VALORANTの戦績トラッカー「Tracker.gg」、使い方を日本語で解説
-
4
解説
2021.09.28
FPSでよく使われる用語(スラング)一覧|意味や使い方を紹介!
-
5
eスポーツ団体
2024.10.28
鳥取・北栄町がeスポーツで地域活性化 企業版ふるさと納税活用で図書館にeスポーツ設備導入へ まずは高校生を中心とした活動展開を目指す