大会レポート

2021.08.15

「STAGE:0 2021」フォトナ部門日本一はルネサンス新宿代々木! どんでん返しと下克上が連続した大熱戦

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 日本最大級の高校eスポーツ大会「STAGE:0 2021」のフォートナイト部門決勝大会が8月15日に開催されました。同部門では40チーム計80名が一堂に会し、全6ROUNDを通して総合獲得ポイントを競います。競技シーン経験者が数多く参加している今大会ですが、前大会と違って敵を倒すことで得られるエリミネートポイントが1ポイントから2ポイントに変更されています。ビクトリーロイヤルを取らずとも逆転の可能性があることから、順位変動が激しい試合展開となりました。試合の模様はこちらから確認できます。

ROUND1

 初戦ということでROUND1は手堅く動くチームが多い印象。第4フェーズの時点で32チームが残りました。この時点でうまく高所をとることができたのが五所川原工科。戦場を見下ろし、各チームにプレッシャーを与えていきます。そして、第4フェーズの収縮と同時にストームサージが発生。一気に戦闘が始まりました。

巨大な建築とストームサージ。ストームサージは生き残り人数が多いときに発生するルールで、与ダメージ数が少ないチームは継続ダメージを受けます

 五所川原工科は引き続き高所を取り続けるも、次のポジション取りの際に倒れてしまいます。その後、成蹊などによる高所・中層での争いと旭川高専などによる低所での耐久が続き、最後は旭川高専が回復勝負を制したことでビクトリーロイヤルを獲得しました。

旭川高専

 旭川高専の「WAI.やとぽっぽ」選手は「びっくりしててもう、何も言葉が出ないですね」とコメント。また「WAI.あさしん様」選手は、勝因として「体力勝負に持っていくために回復アイテムをたくさん残していた」と分析しました。

 終了時の総合ランキングとしては、1位は46ポイントで成蹊、2位は40ポイントでルネサンス新宿代々木、3位は38ポイントで旭川高専という結果に。ビクトリーロイヤルは旭川高専がとったものの、エリミネートポイントの差で順位が変わっています。

ROUND2

 成蹊のランキング1位が決まったのちのROUND2。序盤の戦いが増えています。大きな見どころとしては海城とN高「イケボくん、まーくん」チームの一戦。海城の猛攻でN高は1人ダウンさせられるも、海城はわずかな隙を突き2v1を制しました。一方、全体としては第5フェーズ時点で30チームが残るという試合展開に。多くのチームが狭いエリア内にひしめきます。しかし、この段階で総合ランキング首位である成蹊が脱落してしまいます。その後の安全地帯の移動ではルネサンス新宿代々木が最も高いポジションを維持し、そのすぐ下段には水島工業がいるという状況。低層では激しい戦いが繰り広げられる中、前回3連続ビクロイによる総合優勝を果たしたN高「ちょこぼきらぶらぶ RIPびおら」チームが味方が欠けている状態でエリミネートを獲得するなど孤軍奮闘する姿がありました。

前回総合優勝を経験しているN高。1人欠けている状況ながら一瞬の隙を突いてエリミネートポイントを獲得します

 終盤はやはり回復勝負に突入します。中層で堅実にキルを重ねていった成城学園は膨大な回復アイテムを所持しており準備万端。ルネサンス大阪との勝負を制し、見事ビクトリーロイヤルを獲得しました。

成城学園

 「Ruiサナ」選手は「最後回復勝負をするときめっちゃ緊張しました」と振り返ります。一方、「Rei 46」選手は「楽しかったです」と安堵したような笑顔を見せます。最後Ruiサナ選手は「優勝できるように頑張ります」と次のラウンドに向けて意気込みを語りました。

 ROUND2終了時点での総合ランキングは、1位は72ポイントでルネサンス新宿代々木、2位は69ポイントでルネサンス大阪、3位は67ポイントで成城学園という結果に。僅差による激しい戦いとなっていました。

ROUND3

 各チームがお互いの動きを把握し始めたROUND3。序盤ではN高「ちょこぼきらぶらぶ RIPびおら」チームと水島工業という大物同士がぶつかりました。最初にN高が1人落としてしまうものの逃げるそぶりは見せず2v1に臨みます。水島工業は慢心することなく二人で連携することでN高を倒しました。

強豪同士の戦い。水島工業は堅実に挟み込みチームワークを見せつけます

 その後、ストームは大きく南東に寄り、高低差の激しいエリアでのポジション争いが始まりました。第4フェーズで31チームが残る中、多くのチームが移動を開始。そこで高所をとることができているのはルネサンス新宿代々木です。その後のストームサージ発生で戦闘が激化し、第5フェーズ時点で生存チーム数は26チームに減少。続く安全地帯は崖上へと設定されたことで低層のチームは崖のぼりを強いられる展開になりました。そんな中、上層では高所に陣取るチームへのヘイトが集まる珍しい試合展開に。その後、第6?8フェーズでは安全地帯が高低差のあるエリアへ連続して振られたことで激しい戦闘を伴う大移動が続き、11チームまで数を減らします。この時点で高所をとっていたのは成城学園です。低層が続々と脱落していく中、成城学園へ成蹊などが攻め込みますがあえなく脱落。最後は成城学園が五所川原工科をしっかりと仕留め2連続ビクトリーロイヤルを獲得しました。

 チームの司令塔であり、世界レベルの競技シーンに出場したこともあるというRuiサナ選手ですが他チームのプレイヤーに対して「強い」と危機感を持っている様子。後半戦に向けてライバルたちへの対策を用意しつつ「安定した順位をとって頑張ります」と語ります。また、Rei 46選手は「3連続(ビクロイを獲れるよう)頑張ります」とN高を意識したようなコメントを残しました。

 ROUND3終了時点の結果は、1位は113ポイントで成城学園、2位は86ポイントで葛飾商業、3位は84ポイントで成蹊になりました。成城学園が頭一つ抜けた形ですが、4位以下も含めてまだまだ結果が見えない展開です。

ROUND4

 昼休憩をはさんで始まったROUND4。ある程度ポイントが累積し、順位が固まってきたことで積極的にエリミネートを積極的に狙っていくチームも増えてきました。初動で五所川原工科や葛飾商業などがそれぞれ敵チームに攻め込みます。葛飾商業が堅実に勝利していく一方、五所川原工科は4エリミネート目を狙う戦いで敗北してしまいました。第4フェーズ時、32チームが生き残っているという状況。安全地帯が南端に寄る中、多くのチームが北側にいたことで付近は激戦区となります。しかし、第5フェーズのリングは北側へ。早めに南端でポジションを確保していたチームは移動を余儀なくされます。一斉に各チームが移動していく中、前ROUNDでビクロイを獲得した成城学園や前回大会覇者のN高「ちょこぼきらぶらぶ RIPびおら」も脱落するなど注目チームが次々に脱落していきます。

最終フェーズ直前の構図。函大有斗のポジション戦略が功を奏しました

 第8フェーズ時点での生き残りは12チーム。高所をとっていたのは函大有斗です。上からプレッシャーをかけ続けていき、ビクトリーロイヤルにつなげました

函大有斗

 インタビューでは、終盤に高所の有利ポジションを取れたことに対して「koa」選手は「取れるタイミングがあったから自分から行っちゃいました」といいます。また、「tom24onTop」選手は「僕たち二人合わせてジャンプパッドが5枚くらいあったのでそれで一気に行きました」と勝因を語りました。次のROUNDに向けた意気込みとしてkoa選手は「次の試合もいっぱいエリミネートして頑張りたいと思います」、tom24onTop選手は「ここからちょこらぼさん(N高)みたいに3連ビクロイできるよう頑張ります」と自信を見せました。

 ROUND4終了時点の結果は、1位は119ポイントで成城学園、2位は105ポイントでルネサンス新宿代々木、3位は90ポイントで葛飾商業になりました。今回ビクトリーロイヤルを獲得した函大有斗はこの時点で11位順位を上げ、12位につけています。全体的に上位陣とそれ以外のポイントが詰まっています。

ROUND5

 上位陣と海神の争いがより顕著になってきているROUND5。より序盤からぶつかり合うシーンが増えてきました。やはり最初に動いたのは五所川原工科で、初動から戦闘を始めます。またN高「楽しんだもん勝ち」も早速戦闘を開始し、しっかりと制すことでポイントを獲得していきます。一方、同じく序盤に戦闘をしに行く戦略をとっていた葛飾商業はインファイトに競り負け脱落。その後、リングは南側に寄ったことで、人気ポジションでもある雪山で争いが生まれました。この時点で高所を取れたのはルネサンス新宿代々木です。第4フェーズ時点での生き残りは25チーム。非常に減りが速く各チーム積極的になっていることがわかります。その後、安全地帯は山を挟んで高低差のあるエリアを行き来します。低層では激しい戦闘が続き、N高「ちょこぼきらぶらぶ RIPびおら」チームや五所川原工科などの強豪が脱落。低層から高層への移動を賭けた睨み合いが続く中、第6フェーズの開始を引き金に一気に大移動が開始。それを高所に陣取るチームが狙い撃ちます。

高所から移動するチームを狙い撃つN高「金ポンプ」チーム。この後、ルネサンス新宿代々木との高所争いに負けてしまいます

 その時点で最上段にいたのはN高「金ポンプ」チームでしたが、そこでルネサンス新宿代々木が強襲をかけ取り返します。低層と高層でそれぞれ激しい戦闘が続く中、最終フェーズでは最高層に1人欠けた成城学園、低層にはN高「楽しんだもん勝ち」チームが陣取ります。回復勝負に持ち込もうとするN高に対して成城学園が攻め込みますが、これを返してN高「楽しんだもん勝ち」チームがビクトリーロイヤルを獲得しました。

N高「楽しんだもん勝ち」チーム

 最後に決め切ったN高「くあくあ.」選手は、「調子が悪かった」と言いますが、今ROUNDは「気合を入れていた」と振り返ります。試合展開について「Siopon_z」選手は「初動で(敵を)倒せて、いい物資を手に入れられて安置(安全地帯)も中の方を取れた」と語ります。

 ROUND5終了時点の順位は、1位は155ポイントで成城学園、2位は133ポイントでルネサンス新宿代々木、3位は124ポイントでルネサンス大阪という結果に。ビクトリーロイヤルを獲得したN高「楽しんだもん勝ち」は12位順位を上げて22位につけています。成城学園は堅実にポイントを積み上げ、総合優勝に向けて王手をかけることとなりました。

ROUND6

 総合順位が懸かった最終ROUND6。下克上を狙い、エリミネーションポイントを獲りに動くチームが続出しました。そんな中、大きな動きがあったのは順調にポイントを稼いできた成城学園と序盤のキルムーブが特徴の五所川原工科。激戦を制したのは五所川原工科で、首位の成城学園は0ポイントでROUND6を終えてしまいました。

成城学園を攻める五所川原工科。成城学園の移動中にたまたま五所川原工科が鉢合わせたことで発生した戦いで、この一戦が総合順位に大きく影響しました

 その後堰を切ったように各所で戦闘が頻発。複数チームが絡む戦闘が序盤に発生するなどROUND1では考えられないような減りの早い試合展開が続きます。第4フェーズ時点で26チームという展開で、リングはマップ中央のコートニー・コンプレックス付近に設定されます。各チームが移動する中、あとからリングに入っていくチームがヘイトを集めることで脱落していきます。この移動の流れで総合4位につけていたN高「イケボくん、まーくん」チームが陥落しまたも上位陣が脱落してしまいます。第7フェーズ開始時点で有利ポジションをとっていたのはルネサンス新宿代々木と五所川原工科。ここで多くのチームがジャンプパッドで移動を開始。激しい撃ち合いが始まります。そして最終フェーズ時点で生き残りチーム数は11チーム。引き続き五所川原工科が有利ポジションを維持する中、ルネサンス新宿代々木が旭川高専の銃弾に倒れます。最後は回復勝負に突入し、函大有斗と旭川高専が残る中で、旭川高専が粘りのビクトリーロイヤルを獲得しました。

 旭川高専のWAI.やとぽっぽ選手は「1回目でも言ったんですけど、もう、びっくりしすぎて言葉が出ないですね」と激戦を制した心情を吐露。また、最後の勝因はWAI.やとぽっぽ選手が倒れた際に残した回復アイテムをWAI.あさしん様選手が手に入れられたことだと振り返ります。一方、WAI.あさしん様選手は「最後もう負けたかと思って半分諦めていたんですけど、WAI.やとぽっぽが『魚(回復アイテム)ある!』って言ってくれたので(勝つことができた)」と激戦の詳細を語りました。

総合結果

 最終結果としては3位は134ポイントでルネサンス大阪、2位は155ポイントで成城学園、1位は156ポイントでルネサンス新宿代々木という僅差でのどんでん返しが実現しました。

成城学園

 残念ながら2位となった成城学園。Ruiサナ選手は「最後負けちゃってめっちゃ悔しいです」と語り、Rei 46選手は「最後0ポイントだったので悔しいです」と振り返ります。序盤の戦闘に負けた反省点としてRei 46選手は「資材が足りていなかったことと、敵の方が見つけるのが速かったこと」だと分析。またRuiサナ選手は「来年リベンジしたい」と次の大会へ意欲を見せました。

ルネサンス新宿代々木

 一方、1位を見事獲得したルネサンス新宿代々木の「Ryurai 7」選手は「めっちゃうれしいです!」とコメント。「早めに成城学園が脱落したことを知ったのであとはポイントを伸ばすだけだと(考えた)」と語ります。また、「えらーえらーえらーえらーえらー」選手は、「(成城学園の陥落を知った後)最後の最後まで残ろうって2人で話しました」とお互いに励まし合っていたと言います。また、全ROUND共通して高所をとることができていた同チームですが、そのコツとして「前に売っている敵に向かって後ろから攻めること」だと分析。視野の広さと実力を見せつけました。

 今回両親の勧めで今大会に出場したというRyurai 7選手ですが、「やってやりましたよ(と伝えたい)」とコメント。また、以前から父親から応援されていたというえらーえらーえらーえらーえらー選手は「一位とってやりましたよっていうのは言いたいです」と語り会場を沸かせました。

2022年 第4回 STAGE:0の開催が決定!

 今回で三回目となるSTAGE:0 2021フォートナイト部門。N高による2連覇が懸かった戦いでしたが、数多くの実力者が揃ったことで変動の激しい内容となりました。なお、今大会の最後には、2022年に「第4回 STAGE:0」の開催が決まったと発表されました。eスポーツシーンが盛り上がる昨今でも高校生をメインとした大会は多くありません。未来の高校生日本一を目指し今からでも特訓を始めていきましょう!

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