大会レポート

2024.12.19

戌神ころねさんが応援!日本初のF1マシンなど貴重な実車展示も ホンダ公式eモータースポーツイベント「Honda Racing eMS 2024」決勝大会レポート

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 12月1日、ホンダウエルカムプラザ青山にて、「グランツーリスモ7」のeスポーツイベント「Honda Racing eMS 2024(eMS 2024)」決勝大会が開催されました。eMSは昨年から開催されたホンダ主催のイベントで、今年で2回目となります。

出場者たちの集合写真
U17クラスとChallengeクラスの2部門各10名の計20名が参加しました

U17とChallengeの二つのクラスで開催 昨年を越える23万人以上が参加 戌神ころねさんもレーシングスーツで身を包む

 8月2日~9月1日まで、オンラインにて予選タイムアタックイベントが行われ、ランキング上位10名にホンダウエルカムプラザ青山への参加権が与えられました。部門は17歳以下のドライバーが参加できるU17クラスと18歳以上のドライバーが参加できるChallengeクラスの2部門を用意。Challengeクラスは今大会から海外在住のドライバーにも参加権が与えられており、決勝大会には昨年の優勝者であるイゴール・大村・フラガ選手と日本国内在住のランキング上位4名、海外在住のランキング上位5名が決勝大会へ進出しました。

 大会にエントリーしたすべての参加者に「グランツーリスモ7」のゲーム内で使用できる2024年スーパー耐久シリーズST-Qクラス参戦車両のHonda CIVIC TYPE R CNF-RリバリーとHonda F1参戦60周年記念アバターが配布されました。昨年は20万人の参戦がありましたが、今年は23万5000人以上の参戦があり、そのすべてのドライバーがCIVICを手にしたわけです。昨年も驚きましたが、eスポーツイベントとしては大盤振る舞いなプレゼントです。

Honda CIVIC TYPE R CNF-Rリバリー
参加賞の「グランツーリスモ7」内で使用できるHonda CIVIC TYPE R CNF-Rリバリー
レース中のようす
今年は海外からの参戦もありChallengeクラスは6選手が海外勢でした


 今年からはVTuberの戌神ころねさんをアンバサダーとして起用しており、大会の様子をミラー配信していました。さらに会場では限定コラボグッズの販売が行われており、戌神ころねファンにとってもも外せないイベントとなりました。

レーシングスーツ姿の戌神ころねさん
大会アンバサダーの戌神ころねさんのレーシングスーツ姿のパネルも展示

解説陣にはリアル・eモータースポーツのプロ選手ら U17クラス優勝は石野弘貴選手に

 U17クラスは2レース行い、それぞれの順位によって与えられるポイントの合計によって最終順位が決定します。第2レースは第1レースのポイントが倍になっているので、第2レースの結果が勝敗に直結します。第1レースはオンライン予選の順位に基づきレースグリッドを決定。第2レースはアタックラップ1周の予選タイムトライアルを行い、そのタイムによってグリッドを決定します。第1レースのレギュレーションは、スパ・フランコルシャン24hレイアウトを5周します。車種はもちろんホンダ車で、F1初優勝を記録したRA272’65です。タイヤはレーシング・ハード固定で、燃費消費、タイヤ摩耗がそれぞれ1倍、スリップストリームもリアルです。

 第2レースのレギュレーションは、NSX Gr.4を使用し、ニュルンブルクリンクグランプリを13周します。タイヤはハード/ミディアム/ソフトから使用できますが、必ずハードは使用しないといけません。燃費消費3倍、タイヤ摩耗が7倍となっており、同じタイヤを履いての周回制限が1~6周となっているので、2回タイヤ交換をする必要があります。運転技術だけでなくタイヤマネジメントも必要になってきます。

 結果は第1レースで2位10ポイント、第2レース1位24ポイント、総合34ポイントを稼いだ石野弘貴選手が優勝しました。第1レース1位12ポイント、第2レース2位20ポイントを稼いだ林龍之介選手は惜しくも準優勝となりました。ふたりとも1位と2位を1回ずつ獲得していますが、ポイントの高い第2レースを取った石野選手に軍配が上がりました。

U17クラスの表彰台に上がった三人
U17クラスの表彰台に上がった三人。3位の金子壮太選手(写真右)、2位の林龍之介選手(写真左)、優勝した石野弘貴選手(写真中央)
実況と解説陣
実況は中島秀之氏(写真左)、解説は山中智瑛選手(写真中央)が担当。ゲストには野尻智紀選手(写真右)も訪れていました

Challengeクラス優勝は佐々木拓眞選手 タイヤ選択でピンチ招くも後続抑え首位をキープ

 Challengeクラスは3レース行い、こちらも総合ポイントによって最終順位が決定します。第1レースと第2レースは同じポイントですが、第3レースのみポイントが倍になるのもU17クラスと同じです。ただ、レースの数が一つ多いので、どのレースもコンスタントにポイントを稼いでいないと優勝するのは難しいと言えます。

 第1レースはRA272’65を使用し、モンツァ・サーキット(シケイン無しレイアウト)を7周します。タイヤはハードで燃料消費とタイヤ摩耗は1倍です。予選結果は鈴木聖弥選手がポールポジションを獲得し、そのあと4人の海外勢が続きます。ここでは五番手だったイゴール・大村・フラガ選手が勝利し、2連覇に向けて好発進をします。鈴木聖弥選手に続き、佐々木拓眞選手が3位に続き、小高侑己選手が4位につけ、日本人選手が順調にポイントを稼ぎました。

レースフォーマットのスライド
レースフォーマット。全部で3レース行い、総合ポイント獲得数で争われます。第3レースのみポイントが2倍になります
第1レースのレギュレーション
第1レースのレギュレーション


 第2レースはシビック Type R(FL5)’22を使用し、レッドブル・リンクフルコースを7周します。タイヤはハードで、燃費消費やタイヤ摩耗は1倍です。予選でトップに立ったのは佐々木拓眞選手で、小高有己選手、國分諒汰選手、鈴木聖弥選手と続きます。イゴール・大村・フラガ選手は7位と出遅れました。ポールポジションを得た佐々木拓眞選手がそのままゴール。國分諒汰選手、鈴木聖弥選手と続き、4位には追い上げを見せたイゴール・大村・フラガ選手が入りました。おそらく、この4人の優勝争いになりそうです。もちろん、4人が第3レースで振るわず、1位24ポイントを獲得すれば逆転できる選手もいますが、かなり難しい状況です。

第2レースのレギュレーション
第2レースのレギュレーション


 第3レースはNSX Gr.3を使用し、スパ・フランコルシャン24hレイアウトを12周します。タイヤはハード/ミディアム/ソフトから使用できますが、こちらもU17クラスと同様にハード使用の義務があります。最大5周までしか同じタイヤを履けないので、最低2回はピットインする必要があります。燃料消費2倍、タイヤ摩耗6倍となっており、タイヤマネジメントが重要となるレースです。

 予選でトップに立ったのは佐々木拓眞選手。2位のキリアン・ドルモン選手は10ポイント、3位のヴァレリオ・ガロ選手は4ポイントしか稼げていないので、20ポイント稼いでいる佐々木拓眞選手は3位以内に入り、イゴール・大村・フラガ選手と鈴木聖弥選手の順位を上回れば、自力で優勝できる位置にいます。

 1周目でいきなりキリアン・ドルモン選手とヴァレリオ・ガロ選手に抜かされ、3位に後退する佐々木拓眞選手。同じミディアムタイヤスタートだったこともあり、ピットインまでそのままの順位をキープします。佐々木拓眞選手はここで賭けに出て、ソフトタイヤを選びます。これにより一時はヴァレリオ・ガロ選手を捉えて2位まで浮上しますが、そこから伸びず。次のピットインでハードタイヤに履き替えます。ソフトタイヤを使用したことで他のドライバーより1周多くハードタイヤでレースをしなくてはならず、ピンチに陥ります。

 ミディアムタイヤで猛追する國分諒汰選手、鈴木聖弥選手、イゴール・大村・フラガ選手をなんとか抑え、3位でフィニッシュした佐々木拓眞選手が総合優勝を果たしました。おそらく、ミディアムタイヤ選択であれば、3位キープは実際よりも楽だったと思います。それでも、第3レースも優勝して総合優勝を狙うという佐々木拓眞選手の負けん気は今後のレースにおいて活かされてくる気がします。

第3レースのレギュレーション
第3レースのレギュレーション
Challengeクラスの表彰台
Challengeクラスの表彰台に上がった三人。3位のヴァレリオ・ガロ選手(写真右)、2位の鈴木聖弥選手(写真左)、優勝した佐々木拓眞選手(写真中央)

会場では初のFIマシンなど展示 戌神ころねさんコラボグッズやスイーツの販売も!? 

 さて、eMS2024は大会だけでなく、他にも楽しめる催しが用意されていました。会場には、RA271とCIVIC Type R CNF-Rの実車が展示されています。RA271は1964年にホンダがF1参戦したマシンで、CIVICはそのRA271からオマージュしたカーナンバーとボンネットの日の丸が特徴的なスーパー耐久ST-Qクラスの参戦車です。

 さらにホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿で実際に使用されていた本物の教習用フォーミュラマシンを改造したeMS筐体「Honda eMS SIM-01」を展示。本物のF1マシンに乗ってプレーできる「グランツーリスモ7」は貴重な体験だと言えます。

CIVIC Type R CNF-R
CIVIC Type R CNF-R
RA271
RA271
Honda eMS SIM-01
Honda eMS SIM-01


 その他にはeMSのアンバサダーを務める戌神ころねさんのレーシングスーツ姿の等身大パネルやeMSとのコラボグッズの販売が行われていました。eMS関連のグッズでは、限定生産のBE@R BRICKも一般販売に先駆けて会場で販売されていました。

 さらにホンダのイベントで料理を担当したことを機に日本で店を出しているドミニク氏によるお菓子の販売も。選手を集めた懇親会では料理も振る舞ってくれていたそうです。ドミニクドゥーセの店は三重県鈴鹿市にあるので、東京で食べられる機会はそうそうありませんから、うれしいですね。

戌神ころねさんのスライド
アンバサダーを務めた戌神ころねさん(イベント司会は平岩康佑氏)
eMS×戌神ころねさんのグッズ
eMSとコラボした戌神ころねさんのグッズも販売していました
「ドミニク ドゥーセの店」のドミニク氏
ホンダのイベントに呼ばれたことをきっかけに鈴鹿で「ドミニク ドゥーセの店」を展開しているドミニク氏も来場。店のスイーツを販売してくれていました

「ファッションや音楽 『eモータースポーツ』のカルチャーを築いていきたい」 eMSの仕掛け人は語る

 最後にeMSの仕掛け人であるeMSプロジェクトリーダーの岡義友氏に話を聞いてきました。

――今大会で2回目となりましたが、昨年と比べて手応えはいかがでしょうか。

岡義友氏(以下岡) 昨年は1回目の大会ながら20万人の参加者がありました。今年はさらに増え、23万5000人を超えるドライバーに参加していただきました。今大会から海外の選手の参加も可能にしたグローバルイベントにしたのですが、70の国や地域からの参加があり、本当にたくさんの方に遊んでいただけました。

――昨年は参加者全員に「グランツーリスモ7」のダウンロードコンテンツとして、CIVICを配布していましたが、今年も同様に配布したんですよね。

 そうですね。今年は最新のリバリーを提供させていただきました。ホンダは今年がF1参戦60周年の記念イヤーだったんです。F1参戦時のマシンのボンネットに大きな日の丸が描かれていたんですけど、今回提供させていただいたCIVICもそれをオマージュしてボンネットに日の丸が描かれています。

岡義友氏
岡義友氏


――今年はJAF公認のレーシングeスポーツ大会である「UNIZONE」が開催されたり、「グランツーリスモ ワールドシリーズ」が久々に東京で開催されたりするなど、eモータースポーツが注目されていますが、このことについてはどう感じていますでしょうか。

 追い風が吹いていると感じています。イベントが増えればそれだけ知ってくれる人が増え、遊んでくれる人も増えます。ホンダとしては、他のイベントと被って埋もれてしまわないようにオリジナリティのあるコンテンツを出していきたいと考えています。

――最近はeスポーツチームの参戦や選手のプロチーム入りなど、よりeスポーツとして確立しつつあるように思えます。

 プロ選手が出てきたのは良い傾向ですね。もっと広がって欲しいです。プロチームや選手、そしてファンに存在感を示していかないといけませんからね。車を操る楽しさ、競い合う楽しさ、観る楽しさ。そういったいろんな楽しさを伝えていければ。今回は大会用に選手とスタッフにユニフォームも用意しているんですけど、デザインも賑やかなイメージで作っており、こうしたところも含めて、みんなが楽しいと感じてもらえるような空気感を作っていければと思います。

――今回はレーシングカーの展示や前回無かったコラボもありました。

 Vtuberの戌神ころねさんとのコラボをさせていただきました。こうしたコラボレーションを通して、もっといろんな人にeモータースポーツの楽しさを知ってもらいたいと思います。あとはドミニクさんのお菓子が販売されています。お茶とお菓子を食べながら、楽しく観戦していただければと思います。あとは、フォーミュラマシンの車体を活用したシミュレーターも体験してほしいですね。

――対外的には認知度も上がってきた印象ですが、ホンダやHRCとしての評判はいかがでしょうか。

 社内的にも認知度や評価は少しずつ上がってきています。以前はeMSは独自のSNSアカウントを持っておらず、HRCのアカウントの中で、eMSの告知を行っていました。今年からはeMS独自のアカウントを作成したことで、ダイレクトに反応してもらえるようになったので、その効果がわかりやすくなりました。SNSでの認知拡大の部分ではころねさんも手伝ってくれており、その影響力もかなり大きいですね。

――今後の活動はいかがでしょうか。12月にHonda Racing eMSが開催されるのは恒例になるとして、他にも何か新たな活動をする予定はありますでしょうか。

 やりたいことはいっぱいあるんですよ。モータースポーツの裾野を広げていきたいというのは大前提にありますね。そのためには興味を持ってもらうのが大事。現在行っている大会はどちらかというとガチ勢向けイベントです。今後は、もう少し軽めのエンジョイ勢向けのイベントをやってみたいですね。

 長期的にはeMSの文化を創っていきたい。例えば、スケボーをやっている人たちって、いろいろなものがスケボーと融合して一つのスケーター文化を築いていますよね。ファッションであったり、音楽であったり。eモータースポーツもトータルコーディネートができれば面白いと思います。そうした総合的なプロモーションも行っていきたいです。

イベントのようす
eMSはeモータースポーツの毎年の恒例イベントとして定着

――最後にひと言お願いします。

 新しいものをどんどん取り入れて行きたいですね。モータースポーツはトラディショナルな傾向が強いので、eモータースポーツを通じてデジタルな部分をもっと取り入れていきたいと思っています。この大会は来年ももちろんやるつもりです。あとは、イベントが定番化し、誰が担当しても続けられるような大会、イベントにしていきたいですね。

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外部リンク

Honda Racing
https://honda.racing/ja

Honda Racing eMS
https://www.honda.co.jp/motorsports/eMS/

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