大会レポート
2024.12.27
ガチ師弟対決「かずのこVS立川」!指名制で因縁渦巻く「LEGENDUS」スト6 師弟杯 2024冬 選手・観客の一体感 「格闘技の聖地」の強み生かした イベントをレポート!
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11月18日、後楽園ホールにて「ストリートファイター6(スト6)」のeスポーツイベント、「LEGENDUS STREET FIGHTER 6 師弟杯 ~2024冬 後楽園の陣~(師弟杯)」が開催されました。師弟杯は、ストリーマーのSHAKAさんの主催によるイベントで、今回で2回目となります。会場の模様を取材しました。
(ライター:岡安学)
弟子の育成がカギを握る師弟杯 指名制により因縁渦巻く
師弟杯は、プロゲーマーもしくはそれに準ずる力を持ったストリーマー師匠となり、ストリーマーやVtuberの弟子とともに2on2で対戦する招待制大会です。師匠と弟子は同じキャラクターを使用し、師匠同士、弟子同士がBO3(2勝勝ち抜け)で対戦し、先に2勝したチームが勝ち上がります。1勝1敗となったときは、弟子同士のBO1の延長戦が行われます。最終決着は弟子に委ねられるので、師匠としては勝利以上に、弟子の育成が重要なレギュレーションとなっています。
11月16日にオンライン予選を行い、成績順により、トーナメントの対戦相手が指名できます。もっとも成績の良かったチームザンギエフ(Jr.選手/しんじさん)は、前回大会の優勝チームであるチームガイル(ひぐち選手/ドンピシャさん)を指名するなど、因縁渦巻く、波乱のトーナメントとなりました。
注目は唯一競技経験のない高木さん マゴ選手との対戦では大盛り上がり
トーナメント戦ながら、それぞれの対戦が、マッチメイクされたコンセプトマッチの様相を呈しており、見所が満載です。その中でも注目なのは、チームブランカ。師匠はストリーマーの高木さん。まだ弱冠にも到達していない19歳の若さで、競技シーンでの活躍がない唯一の選手です。現役プロゲーマーやトッププレイヤーとして活躍した経験のある選手にどれだけ対抗できるかに注目が集まっています。
対戦相手は、VARRELのマゴ選手と布団ちゃんさんによるチームジュリ。マゴ選手は9月に調子を上げることからセプテンバーマゴの異名を持つプロゲーマーですが、今季は9月が11月になっても終わらないと言える好調さを維持している難敵です。
試合はマゴ選手の老練な戦いに翻弄され、終始マゴ選手ペースで運びますが、2ラウンド目にお互いに体力が無くなったなか、ブランカのいちかばちかのSA1がジュリの攻撃の隙間に入れ込み、逆転で勝利しました。3ラウンド目は一方的な展開で敗北してしまうものの、マゴ選手から劇的な形で1ラウンド取れたときは、会場が割れんばかりの声援に包まれました。
本当の意味での師弟対決 立川選手 VS かずのこ選手 思わず出た「「席立ち川」」
この高木ブランカ対マゴジュリの1戦以上に盛り上がったと思われるのが、チームキャミィとチームマノンの1戦。チームマノンのSHAKAさんが、師匠に頼らず2回、叶さんに勝ってトーナメントを勝つと言っていましたが、その裏付けは、師匠の立川選手が、対戦相手の師匠のかずのこ選手に公の場で勝ったことがないと言っていることです。
かずのこ選手は、現在Crazy Raccoonに移籍していますが、今年の5月までは立川選手と同じBURNING CORE TOYAMAに所属。LEGENDUSの企画上の師匠弟子ではなく、プロゲーマーとして師匠と弟子にあたる関係性を築いてきたふたりです。
試合はフルセットフルラウンドまでもつれ込みますが、ダウンからの起き上がりSA3、そしてラッシュからのコマンド投げを決め、立川選手が勝利しました。勝利の投げが決まった瞬間は立川選手が席を離れ、コーナーポストに駆け上がるほどに興奮していました。
サウジアラビアのEWCでは、負けたと思って席を立とうとしたところ終わっていなくて、そこからなんとか逆転勝利をし「席立ち川」と呼ばれていましたが、今回はしっかりと勝ち確を確認しての「席立ち川」でした。
優勝したのはチームザンギエフ。無敗を誇ったしんじさんの活躍はもちろんのこと、ハイタニさん、ナウマン選手をしっかり倒しきったJr.選手の活躍も光りました。Jr.選手はプロライセンス保持者とは言え、まだ22歳の若手で、百戦錬磨のプロゲーマーを相手に獅子奮迅の活躍を見せていました。
行くとわかる 後楽園ホールが「格闘技の聖地」と評されるゆえん 観客と選手の一体感を表現できる会場
今回の会場となった後楽園ホールは、ボクシングやプロレスの開催をメインに行われている会場で、格闘技の聖地と呼ばれている場所でした。筆者は総合格闘技やプロレスを観に行ったことはありますが、代々木 第二体育館であったりSSAであったり、大きな会場ばかりだったので、後楽園ホールは始めてでした。
後楽園ホールはほどよい大きさでリングが間近に見えるので、大きな会場にありがちなリング上の大きなディスプレイもなく、直接リングの選手を観られる距離感でした。さらに大きな会場と比べて天井が低く、歓声が怒号のように響き渡ります。
eスポーツイベントは、国内外の世界大会を観てきた経験があり、今大会の10倍以上の観客が訪れた大会でも、これほどまでに歓声が響き渡る経験はありませんでした。
試合が始まると実況解説の声はかき消され、ゲームの音もほとんど聞こえなくなります。もちろん、これらの音声が絞られているわけではなく、インターバルなどではしっかりと会場の隅まで行き渡る音量で再生されていました。にも関わらず、それらが聞こえなくなるほどの歓声で会場は包まれます。
なるほど、これが格闘技の聖地と言われるゆえんなんだと経験してわかりました。おそらく選手もこれだけの声援の中でプレーしたのは初めてだったのではないでしょうか。最初は対戦格闘ゲームのイベントだから後楽園ホールが合っているのでは?と言ったようなことから会場が決まったようですが、実際にやってみて、これほど観客と選手が一体になれるeスポーツ会場は数少ないと感じています。
記者席は某ボクシング漫画を思い起こさせる 選手の表情も切り取るなど配信にも一工夫
ちなみに、今回の取材はメディア用の記者席での観戦となりましたが、壁にはボクシング協会からの取材の規約が掲示されていました。つまりボクシングでも記者はこの位置から観戦するわけです。きっと「はじめの一歩」の飯村真理記者もここから観ていたんだと思うとちょっと感慨深いものがありました。
その記者席には配信のモニターも設置してあったのですが、配信にも工夫があったのに感心しました。VTuberである叶さんと葛葉さんはオンラインでの参加となりましたが、彼らが対戦するときは、オフラインの対戦モードでしか出ない入場演出がちゃんと再生されていました。映像だけ用意したのか、他のマシンでタイミングが合うように対戦モードを始めたかはわかりませんが、会場の雰囲気を残すために、入場演出を行ったわけです。
さらに、SA3やCAなど相手を倒しきる演出が長いものでフィニッシュした場合、ゲーム画面から勝った選手へ画面が切り替わったのも、勝った瞬間の選手の表情を見ることができた良い演出だと思いました。
課題もありつつ 各選手に見どころがあった大会に ラウンドガール効果もすごかった?
イベントとしては、バッファを用意していなく、試合前のマシン調整に時間がかかったので、終了時間が2時間押しとなり、終電に間に合わなくなる時間帯に。最近は、こういったケースをあまり見なくなったので、スケジュール管理は見直した方が良いと思います。配信も途中で切れてしまったところは残念でしたが、そこら辺は課題として、次回へ期待したいところです。
そういったことがありながらも、今イベントはeスポーツ史上において、かなり盛り上がった大会のひとつになったのではないでしょうか。優勝したJr.選手としんじさん、果敢にプロ選手に立ち向かい一矢報いた高木さん、その高木さんを支えMVPといえる「LEGENDUS OF LEGENDUS」に輝いたわいわいさん、憧れの存在としてずっと背中を追い続けていた先輩に勝利した立川選手。見所が多く、様々な選手が名を上げた大会だと言えます。
まあ、それ以上に名を上げたのは、ラウンドガールの3人だったのではないでしょうか。大会に華を添えるだけでなく、ラウンドガールは実況解説の出演者いじりに使われたり、マシン調整の時間にパフォーマンスをして観戦客や視聴者に暇を持て余さずに過ごさせたり、大活躍でした。ラウンドガールも格闘技を模した演出だったと思いますが、それ以上の効果があったことでしょう。
(編集:BCN eスポーツ部)
外部リンク
LEGENDUS X公式
https://x.com/LEGENDUS_SHAKA
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