インタビュー
2023.06.06
「つよたのしくいこう」に込められた“深い意味”、日本HPの沼田本部長に聞いてみた
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日本HPでは、ゲーミングPC「OMEN」で「つよたのしくいこう」というテーマを掲げています。ただ戦って強くなるだけではなく、楽しむことを融合した造語ですが、実は日本の市場だけに考えられたテーマだそうです。注目を集めたプロeスポーツチーム「DetonatioN FocusMe」とのスポンサー契約と合わせて、日本HP パーソナルシステムズ事業本部 コンシューマービジネス本部の沼田綾子本部長に聞きました。(取材/文:細田 立圭志)
ゲーミングPCのトレンドワード「クロスオーバー」
??ゲーミングPCの戦略モデル「OMEN TRANSCEND 16」の発表会でお話しされていたトレンドワードの「クロスオーバー」が印象的でした。
日本HP パーソナルシステムズ事業本部 コンシューマービジネス本部の沼田綾子本部長(以下、敬称略) 私たちはこれまでクリエイター向けPCとゲーミングPCを分けて考えていました。2019年にクリエイター向けPCを「ENVY(エンヴィ)」というブランドで出していました。YouTuberなど動画をクリエイトする人たちが増え、その流れが一気に加速している市場環境でした。Photoshopなどを駆使したRGBや色彩の再現性などへのこだわりが求められました。
一方のゲーミングPCでは、解像度は4KでなくフルHDでいいから、とにかくレイテンシやリフレッシュレートなど応答速度の速さが求められていました。
しかし、最近のトレンドのひとつである「クロスオーバー」は、1台のPCでいろんなことができた方がいいという流れです。特に若い人たちにとってゲームはもはや特別な趣味ではなく、生活の中の一部になっています。そうした中、1台のPCで動画も作りたいし、ゲームもしたいというニーズは高いです。コロナ禍を経て、グローバルで見てもそのトレンドは大きくなっています。
今回の「OMEN TRANSCEND 16」は、クリエイターの人にも使ってもらうために開発したゲーミングPCです。実際、私もインドネシアなど若い人たちが元気で人口層の厚いアジアに行き、20代の人たちと話したところ、皆さん、1台のPCで動画もするし、クリエーションもするし、ゲームもしていました。ゲーミングPCならGPUを搭載しているので、これでゲームをしながら動画もつくれるじゃないかという使い方をしていたのです。
??GPUを搭載している時点で、単純にグラフィックスができちゃうんじゃないかと思う人もいるのでしょうね。
沼田 そうです。ゲーミングPCはGPUを搭載しているPCが多いので、以前からあった流れだとは思いますが、それがよりクロスオーバーとして顕著になっているのだと思います。
プロeスポーツチーム「DetonatioN FocusMe」とスポンサー契約
??今回、もう一つのビッグニュースがプロeスポーツチーム「DetonatioN FocusMe」とのスポンサー契約です。
沼田 老舗の強豪チームと契約できたことは本当によかったです。また、彼らはグローバルで戦うことを目標に据えているので、グローバル企業であるHPと組むのは、ブランドの観点からも相性がよかったのはないでしょうか。ゲーミングといえば中国や米国と思われがちですが、アジア・パシフィックエリアのインドネシアやベトナム、韓国でもとても盛り上がっています。
??一方で国内市場でも、若い人が必ずしもコンソールからゲームに入ってない動きもありますね。
沼田 もちろん、コンソールからPCゲームに入ってくる人も多いですが、若い人のパターンとしてYouTubeのゲーム実況をみて、ストリーマーのファンになり、一緒のゲームをやりたいという動機からPCゲームを始めるという動きもあります。また、GIGAスクールで一人1台のノートPCを持つようになり、マインクラフトからPCゲームに入ってくるルートも、昔はまったくなかったものです。マインクラフトでプレイするために、小学生の高学年や中学生にゲーミングPCを買い与える親御さんも増えています。
若い人の遊び方も変わってきてますよね。放課後にゲームの中でボイスチャットで話しながら遊んだりしている様子をみると、大人にとっては少し味気ない気がしますが、子どもはデジタルとアナログの違いを特に意識していないようです。たまたまあったコミュニケーションツールがゲーミングPCだったという感覚ですよね。
日本市場向けにローカライズされた「つよたのしくいこう」
??日本HPのゲーミングPC「OMEN」が掲げるテーマ、「つよたのしくいこう」に込められた思いを聞かせてください。
沼田 韓国ではeスポーツでトッププレイヤーになることが立身出世のためのルートのひとつになっています。プロの野球選手やサッカー選手になるのとまったく同じ感覚で受け入れられています。強く有名になって稼いだり、競争社会の中で自分の力で勝ち上がっていくというストーリー性がとても強いです。ですので、韓国でのHPのプロモーションは、強くなって自分を表現しようという内容です。
政府や社会もこれを支援しています。ネットカフェに行けば気軽に高性能ゲーミングPCを使って練習できますし、光回線の普及も日本より速かったです。K-POPなどのカルチャーやエンタテインメントを世界に輸出して競争するという戦略ともマッチしています。
しかし、日本は少し違っていて、「ゲームってやっぱり楽しいよね」というライトな側面と、eスポーツのように強くなりたいという側面が融合していて、どっちもあるよねという社会なのです。
だから日本では「つよたのしくいこう」というテーマを打ち出しているのです。競技として強くなって勝つために自分のスキルを磨く側面もありますが、みんながそうではありません。リラックスやエンタテインメント、趣味としてゲームをとらえている人も多くいます。
楽しむためのゲーム、コミュニケーションのためのゲームも、ゲームが持つもう一つの大きな側面です。ゲームそのものの世界の中で過ごす没入感も楽しみ方のひとつです。だから、「つよ」だけでも、「たのしく」だけでもない、「つよたのしく」が日本のゲームユーザーの本質だと思っているのです。
??深いですね。腑に落ちました。
沼田 いずれにしても、HPのグローバルでは、コンソールとゲーミングを分けるのではなく、ゲームを楽しむ人はどれだけいるのかという視点で市場をとらえています。だって、デバイスやタイトルが異なっていてもゲームという体験自体は同じじゃないですか。
そういう意味で、日本はゲームを楽しむ人が多く、オポチュニティがある市場と見ていて、日本HPでもゲームを大きな事業の柱としてとらえています。ゲームがますます人々のライフスタイルやカルチャーに浸透していくことが重要だと考えています。
■関連記事
日本HP、プロeスポーツチーム「DetonatioN FocusMe」とスポンサー契約 夢の実現を応援
■外部リンク
OMEN TRANSCEND 16 | 日本HP
https://www.omen.com/jp/ja/laptops/2023-omen-transcend-intel.html
日本HP
https://www.hp.com/jp-ja/home.html
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