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弱点の克服に力を入れて、プレーの幅を広げる 札幌新陽高等学校eスポーツ研究部

【高校eスポーツ探訪・3】 大会やイベントが次々と開催され、注目を集めている高校生のeスポーツ活動。部活を立ち上げる学校も増え、徐々に活性化しつつある。今後の進路はそれぞれだが、eスポーツファンであることは間違いない。そんなeスポーツの明日を担う若者の今を追いかけ、明日を占う連載が「高校eスポーツ探訪」だ。

第3回は、札幌新陽高等学校 eスポーツ研究部の活動をオンラインで取材した。

札幌新陽高等学校 eスポーツ研究部


 札幌新陽高等学校は、1958年に開校した北海道札幌市にある全日制の私立高校。自ら考え、体験し、実践する、そんな教育を目指しており、「本気で挑戦する人の母校」をスローガンに掲げ、さまざまな教育改革を実施している。世界各国の学校との国際交流も盛んに行っている。また、道内の高校でトップレベルのインターネット環境を有し、授業や自宅学習で利用できるよう1人1台iPadを配布するなどして、自主的な学びを促している。

 同校でeスポーツ研究部が立ち上がったのは2018年11月。現在、3年生の倉本さんが1年生のときで、「とにかく楽しそうだった」ことがきっかけだったという。現在は、1年生が21人、2年生が4人、3年生が8人の合計33人が在籍するなど、かなり大所帯の部活動となっている。

 「1年生が特に多いのは、昨年に入学を考えている中学生に向けて部活動体験会を開催し、その際に30人余りがeスポーツ研究部に参加したことが大きい」と、今年から顧問を務めている三好先生は語る。

 部の発足当初は「フォートナイト」からスタートしたが、今は「全国高校eスポーツ選手権」「STAGE:0」という特に大きな大会に採用されている「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」に力を入れている。

普段の練習風景


 部員の中で個人でゲーミングPCを所有しているのは3人。それ以外の生徒は、「eスポーツ部発足支援プログラム」を通じて学校に提供された5台の機器を使用している。「支援プログラムで機材を提供されてから、わずか2週間ほどでLoLで初の大会に参加した」と倉本さん。

 練習時間は、長くて5~6時間、短くても2~3時間を確保している。「ゼロから部を立ち上げたこともあって特別なコーチもなく、ネットでうまい人を探して教えてもらった。当初は、覚えることが多く大変だったが、慣れてくるに従って部員の連携が取れてくることで、面白さ、快感に変わっていった」(倉本さん)という。

お互いのプレーを見ながら戦略をたてる


 LoLは3年生が中心にプレーしているが、1、2年生も加わり、次回の「STAGE:0」には3年生チームに加えて1、2年生からも1チームが参加の予定だ。また、前の大会で対戦した高校とは、仲良くなって交流試合も頻繁に実施している。

 個人の遊びとしてプレーするゲームと部活動との違いを尋ねると、「失敗したときの重さがまるで違う」という。何度やり直しても済む遊びと、1回の失敗がチーム全体に及ぶ部活動では、緊張感が大きく異なる。プレーを巡ってケンカもするが、あまり引きずることはない。相手を批判するだけでなく、自分の至らない点を反省すことが多いという。「こうしたもめ事を生徒達自身で解決することも、部活動の大切な点と考えている」と三好先生。

ホワイトボードを使った作戦会議


 「家でのプレーはオンライン。部活では、すぐ隣にチームメイトがいて表情の変化もよく分かるし、より密な雰囲気でプレーできる」と、部長の武田さんは話す。

 部員の安部さんは、「部活ではいつも見知っているメンバーと参加する分、息が合う。相手が考えていることが自然と分かるので、それがプレーに反映する」と説明する。

 部活のない日でも、かなりの頻度で部員が集まる。「特に、土曜の夜はほぼ全員が集合する。オンラインだけでなく、実際に学校に集まることも多い」と同じく部員の前川さん。次の大会もチームとして学校に集合し、部室から参加する予定だ。

 対戦にあたっては、戦略の立案にもかなり多くの時間を割いている。戦略の立案や反省会をリードするのは池田さんだ。他校のプレーの傾向をさまざまなサイトで調べて分析し、対策を練る。戦略がうまくはまったときは、とても楽しいという。皆が池田さんについていくことで、全員の力も伸びている。練習での工夫は、自分達の弱点の克服に力を入れていること。それにより、プレーの幅が広がるという。

 最後に、eスポーツ研究部として活動の意義、今後の方向性について、三好先生に聞いた。

 「米国では、eスポーツ学科が設置されて学位も取得できるほど。今後、日本でもそうした動きが出てくると思う。『STAGE:0』も文科省の後援を受けている。そうした動きを先取りする形で、eスポーツの知識や考え方に触れることは大きな刺激になる。例えば、戦略の立案といった活動は、社会に出てからもきっと役立つはずなので、しっかり身に付けてほしいと思う」としている。

 一方で、周囲からは、まだまだゲームをしているだけと思われがちな点が悩みの一つ。それを覆すためにも、結果を残す必要があるので「まず、授業をしっかり受け、成績を落とすことのないよう言い聞かせている」という。

 今後は、YouTubeを通じた活動の配信などで資金を稼いで、PC購入に充てるといった取り組みも行っていく方針だ。(取材/南雲 亮平 文/木村 春生)