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eスポーツ高等学院 開校式・入学式レポート 自らの未来に向けてアソビマクレ

 eスポーツ高等学院は4月9日、開校式と入学式を執り行いました。校舎であるeスポーツ施設「シブヤeスタジアム」には今年入学した22人の生徒とその保護者が集まり、学校関係者やプロ講師たちが新たな門出を祝いました。本稿では今回開催された開校式と入学式、エキシビションマッチの模様をレポートします。(取材・文/BCN eスポーツ部編集部)

 

開校式

 最初のイベントは開校式です。同学院の学院長をはじめ、NTTe-Sportsの影澤潤一副代表や名誉学院長でありサッカー元日本代表の北澤豪さん、東京ヴェルディeスポーツチームの片桐正大ゼネラルマネージャーが登壇しました。

 開校式の冒頭で登場したのが学院長であるVtuber「eスポ学院長」です。道着に身を包んだ歴戦の格闘家といった出で立ちで、「ドーン!!」という掛け声のもと参列者にパンチを放つ衝撃的な登場で、会場は笑いに包まれます。

 

eスポ学院長。同学院の最高位はなんとVtuber

 

 参列者に向けてeスポ学院長は「eスポーツ業界の明るい未来と子どもたちの夢を叶えるサポートを、皆様の期待に応えるべくチャレンジして参ります。皆様の暖かいご理解とご支援を引き続きお願いし、開校の挨拶とします」とコメディチックな登場の割に真面目なコメントを残します。その後、「eスポーツ高等学院でアソビマクレ!!」と、生徒たちを激励しました。

 続いて登壇したのが影澤副代表。NTTe-Sportsは同学院のコンサルティングを務め、学院の創立を指揮した立役者です。

 

NTTe-Sports影澤副代表。強烈な挨拶のあとで若干のやりづらさを感じている模様

 

 開口一番「とんでもない空気の中、前に立たされて、今日お話することが吹っ飛んでしまいそうで怖いんですけど」と軽く前置きしつつ「まずは新入生の皆様ご入学おめでとうございます」と影澤副代表。eスポ学院長の挨拶には面食らった様子です。一方で、生徒に向けては「いろんな思いを持って今日の日を迎えられたと思います。少しの不安と大きな期待、そして、学校生活にとてもわくわくしているのではないかと思います」と呼びかけ「皆さんとともに新しい世界を作っていけると思うと、私たちも非常にわくわくしています」とコメントしました。

 次に登壇したのがサッカー元日本代表 北澤豪名誉学院長です。言わずと知れた日本サッカーの黎明期を支えた選手の一人で、東京ヴェルディとも関係が深い間柄です。

 

北澤豪名誉学院長

 

 北澤名誉学院長がまず言及したのは同学院の先進性です。「(校舎に)入った時からもう驚きしかないですね。発想があったとしても、こういったところで形にしていくというのはなかなかできることじゃない」と指摘します。一方で、自身の過去を振り返り「僕がサッカーを始めたときは、日本にまだサッカーでご飯を食べていける仕組みがありませんでした。タイミングよく生まれきたことによって現役時代にJリーグが始まって、サッカーでご飯が食べれるようになり、そして今の立場まで掴むことができました」とコメント。そして「また時代が変わって、このeスポーツという世界で皆さんがご飯を食べることができるだけでなく、世の中を変えていけるような時代になってきている。この学院から、将来をけん引していくような人材が育っていくのではないかと思います」と期待を寄せました。

 最後に登壇したのは東京ヴェルディの片桐ゼネラルマネージャー。同学院において東京ヴェルディは、講師陣やスタッフなどの人材を提供し、生徒がのびのびと学ぶことができる環境を作りました。

 

片桐ゼネラルマネージャー

 

 片桐ゼネラルマネージャーが語ったのは東京ヴェルディが掲げるミッション、ビジョン、バリューの3つ。それぞれ「パイオニアであれ」「世界で輝く人材を育成する」「総合型クラブ」が当てはまると言います。それらの考え方は、国内でも珍しいeスポーツ専門の高校であり、社会で活躍できる人材を育成することを目的とし、eスポーツ業界におけるあらゆるキャリアパスを用意している同学院の在り方と重なる内容と言えます。その後、片桐ゼネラルマネージャーは「86年前にプロ野球ができたときも、53年前に東京ヴェルディができたときも、30年前にJリーグができたときも、そのスポーツは大人が心配するほどの遊びでした」と述べ、「しかし、そのスポーツを大きくしたい、そして何より遊んでいたい、そんな若い人たちの遊び心と勇気がたくさんの雇用を生み、産業として開花し、文化としても花が開きました」と指摘。「皆さんもそんな遊び心と勇気をもって、自分の人生を切り開いていただきたい」と生徒たちにエールを送りました。

入学式

 休憩をはさんだのち、入学式が始まりました。eスポーツ高等学院の石原綾マネージャーによる開式の辞を受けて幕を開けた入学式は、一般的な高校と同じく厳かな雰囲気で進行します。国歌演奏(感染防止のため斉唱は割愛)やeスポ学院長による式辞ののち、生徒一人一人の名前が呼ばれる入学許可宣言が行われます。ゆっくりと立ち上がっていく生徒たちの横顔には心なしか緊張が感じられます。

 

名前を呼ばれ1人ずつ立ち上がる生徒たち

 

 その後は、グループ校の中央国際高等学校の大屋雅由校長からのビデオメッセージや来賓、北澤名誉学院長、学院のアンバサダーを務める川島ofレジェンドさんによる祝辞や挨拶が続きます。中でも川島ofレジェンドさんは挨拶の中で今回の入学式を「めちゃくちゃふざけているけど、逆に言えば、ものすごくクリエイティブ」と評価し、「クリエイティブな学院長にプロの講師、そして私がいます。この学院にいれば必ずクリエイティブになれます」と生徒たちの背中を押しました。なお、挨拶の終わりに「みんなが偉くなったら仕事をください」とお願いしていたのはご愛敬です。

 

懐かしの国民的ゲーム「ずくだんずんぶんぐんゲーム」の出だしをセッツする川島ofレジェンドさん

 

 川島ofレジェンドさんの挨拶の後には、学院のテレビCMソングでもある「Over Zenith -Zero-」の楽曲を提供したHIPHOPラッパーOZworld a.k.a Rkuma(OZworld)さんがビデオメッセージで登場しました。

 

OZworld a.k.a Rkumaさんのビデオメッセージに耳を傾ける会場

 

 昔からゲーム好きで、今でもゲームをよくプレーするというOZworldさんですが、ビデオで「自分の時代にこんな学校があったらすごく幸せだったろうなって、今の時代の皆さんがめちゃくちゃうらやましく思いました」と語ります。ゲームを「いろんなジャンルのアートの集合体」と表現するOZworldさん、生徒に向けて「ゲームと言ってもいろんな関わり方があって、多種多様で自分の個性を生かしやすいジャンルだと思っています」とコメント。「この学院に入学した皆さんは、これからいろんな夢だったりいい戦いだったり、いい友達に巡り合って、自分の『ゲーム人生』と『人生ゲーム』も最高にうまく進んでいくことを心から願っています」とラッパーらしい言葉選びで生徒たちを応援しました。

eスポーツ高等学院TVCM

 その後、各関係者からの祝電が読み上げられ、生徒代表による誓いの言葉が述べられました。生徒代表として選出された生徒がステージ前まで進み、緊張した面持ちで語ります。

 

誓いの言葉を述べる生徒代表

 

 「私たちはeスポーツの可能性を信じ、それぞれの夢を実現するために本学院に入学しました。自分の意志でeスポーツの道を歩み始め、今ここに立っています」と自らの意志を表明しつつ、「だからこそ自分自身の選択に自信と責任を持たなければなりません。新しい環境の中で過ごすことによる不安や戸惑いを感じていますが、eスポーツを通じて社会で活躍できる人間になるという教育目標を胸に、本日、本学院の生徒となった私たち22名で助けあいながら生きる力を育みたいと思います」と、学院生徒として精進することを誓いました。

 粛々と式典が進む中、式は終盤に。今後生徒たちがお世話になる職員が紹介されたほか、グループ校の中央国際高等学校の校歌演奏が実施されます。最後には石原マネージャーによる閉式の辞によって、式典は終わりました。

エキシビションマッチ

 

 入学式を終えた後は、eスポーツの専門学校らしくエキシビションマッチが開催されました。採用タイトルはフォートナイトとリーグ・オブ・レジェンド(LoL)。開校式や入学式と打って変わって明るい雰囲気の中、生徒たちは自分が持つゲームセンスを披露しました。

 

待ちに待ったゲームの時間

 

 フォートナイトではeスポーツ高等学院の新入生に加えてインドネシアの高校生6人が参戦し、ソロによるバトルロイヤルモードで実施しました。実況は川島ofレジェンドさん、解説は元フォートナイト選手で同学院の講師を務めるスターほしさんが担当します。

 

フォートナイトに集中する学院生徒

 

 試合中、保護者に向けたルール解説がなされつつ、画面内では生徒同士の熾烈な争いが映し出されます。PCに触れて日が浅い生徒もいると言われながらも、プロ選手顔負けのプレースキルで攻防を繰り返す様子には目を奪われます。最後は学院の生徒2人とインドネシアの高校生1人による三つ巴の戦いに。学院生徒1人とインドネシア高校生1人でローグラウンドのインファイトが発生し、インドネシア高校生がこれを制しますが、もう一人の学院生徒がハイグラウンドから攻めることで見事ビクトリーロイヤルを獲得しました。

 

国立病院機構北海道医療センターの作業療法主任 田中栄一さん

 

 続いてLoLのエキシビションマッチ。ルールはハウリングアビス(1本道のマップ)を採用したカスタムマッチです。eスポーツ高等学院からは選抜された5人の生徒が出場する一方、対戦相手には国立病院機構北海道医療センターの患者で構成されたチームが登場しました。実況は引き続き川島ofレジェンドさん、解説は元LoLプロで学院の講師を務めるガリアルさんが務めます。

 

選抜生徒たち。試合前の作戦会議中

 

 強いことで有名な北海道医療センターチーム、序盤は学院チームからファーストブラッドを奪い優勢に立ちます。学院チームはつい最近、LoLを始めた生徒も多いこともあって終始押され気味。しかし、試合が進むにつれて生徒同士の声掛けが増え、巧みなアルティメットの連携によって北海道医療センターチームのプッシュを押し返すなど健闘します。その後も北海道医療センターチームの猛攻をしのぎ続けますが、最後には華麗なクアドラキルを決められ、負けてしまいました。しかし、初心者とは思えない連携にガリアルさんは「正直びっくりしています」と絶賛。生徒たちの将来性が垣間見える一戦となりました。

式典を終えて

 エキシビションマッチを終えたのち、教務による連絡事項の伝達を最後に全ての日程が終了。式全体としては学校の式典としての厳かさがありつつもeスポーツの専門学校らしい遊び心いっぱいの開校式・入学式だった印象です。

 

子どもの晴れ舞台を見守る保護者たち

 

 式に参加した保護者からは「経験したことない入学式です」「今までないパターンですよね」といった驚きの声が上がりました。また、今後の教育については「eスポーツを通して、世の中で生きていく力や、社会に出たときに自分で判断できる力を身に着けていって欲しい」「ゲームだけじゃなくて体力づくりや、メンタル面でのサポートもしてもらえたら」と今後の教育に期待を寄せる言葉も。一方、生徒からは「前々からこんな感じでやると伝えられていましたが、想定以上でした」と素直な感想があがったほか、エキシビションマッチでは「あまりやったことがなかったゲームなので、すごい難しかったですけど、楽しかったです」と初めて体験するゲームタイトルに新鮮さを感じていた様子です。

 今後彼らは、3年をかけてみっちりとeスポーツを学び、eスポーツ業界やIT業界、もしくは大学進学のための知識とスキルを身に着けていきます。日本のeスポーツの新たな未来を感じさせる式典となりました。

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