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高卒認定とゲームスキルが手に入る! 夢のような高校「eスポーツ高等学院」とは

 

 YouTuberやプロゲーマー、フリーランス、多様な生き方が実現している昨今、自分に合った学び方ができる通信制高校が再評価されています。ただ一般的には、通信制高校には2つの課題があるとされています。

 1つは3年間で卒業できない生徒が多いこと、もう1つは通信制のメリットである余暇時間の多さを活かせていないということ。

 2022年4月に開校したばかりの「eスポーツ高等学院」(※1)は、これら2つの課題を解決する夢のような学校でした。今回は、門岡教頭先生と生徒2人にインタビューしました。また偶然にも、イベント運営に関する授業の一環として「実際に生徒がeスポーツイベントを運営する」という取り組みの直後に取材できました。運営を担当した生徒たちに、初めてイベント運営に携わった率直な感想も聞いてみました。

※1:eスポーツ高等学院とは、私立の通信制高校「中央国際高等学校」の学生に対して学習面、生活面、精神面の支援を行うサポート校。通信制高校の利点を活かし、時間を効率的に使うことで専門教育もeスポーツの学習も同時に学べる、日本初のeスポーツ専門の高校。

eスポーツ高等学院のシブヤeスタジアムにて取材を実施

「eスポーツ高等学院」とは?

――初歩的な質問になるのですが、通信制高校と一般的な高校の大きな違いは何でしょうか。

門岡教頭先生(以下、敬称略) いわゆる一般的な高校とは全日制高校を指します。全日制高校は進級や卒業に出席日数が必要なので、基本的には毎日学校に通うことになります。

 一方、通信制高校は実際に通う日数が少なく、年間に10日程度の登校で卒業できます。毎日登校する義務が無いので、自ずと余暇時間が増えることになります。芸能人やプロスポーツ選手の方々が通信制高校に通うのは、自身の活動の時間を確保しながら学習できるからですね。

 本校は通信制高校サポート校として、提携先の「中央国際高等学校」のサポートをしています。

――ということは「中央国際高等学校」と「eスポーツ高等学院」の2つの高校に入学するということなのでしょうか? またサポートとは具体的に何をしているのでしょうか?

門岡 イメージとしては予備校が近いと思います。通信制高校は基本的に生徒の自主性に任せているので、自分でレポートを提出したり、指定された登校日に行ったりするのがままならないのが現状です。それを支援するのがサポート校の役割です。

 サポート校のない通信制高校だと、3年間で卒業できる生徒さんは全体の2割程度、他8割の生徒は留年したり辞めてしまうんです。一方、本校ではほぼ100%の生徒が3年間で卒業していますね。

 

 

――3年間で卒業してもらうためのサポートに加えて「eスポーツを練習できる・学べる」付加価値があると考えればよろしいでしょうか。

門岡 そうですね。例えば、高校で出された課題に一緒に取り組んだり、高校で指定された登校日に引率したりします。そのうえで余暇時間があるので、その時間をeスポーツの活動に充てています。


――昨今、ゲーム好きな学生さんはとても多いので、かなりの入学希望が来ているのではないでしょうか?

門岡 とてもご好評いただいていますね。ただ、世間的には仕組み(通信制高校+サポート校)の認知度が高くないので、現状では全日制の高校に進学するのが当たり前な風潮ではありますね。

 私もこの学校で働くまでは、こんな仕組みがあるのを知りませんでした。通信制高校とサポート校の組み合わせはとても時間を効率的に使えるので、学業とeスポーツを両方頑張りたい方にはオススメの仕組みです。

――生徒さんだけなく、親御さんへの認知が必要そうですね。

門岡 そうですね。親御さんにもっと知ってもらうのがこれからの課題ですね。

 

個人がプロ並みのイベントを開催できる施設「シブヤeスタジアム」が校舎

――「eスポーツ高等学院」が所有している、シブヤeスタジアムについて教えてください。この施設は誰がどうやったら利用できるのでしょうか。

門岡 Webサイトから施設の予約ができます。基本的にはイベント運営会社さまが利用していますが、一般の方も利用可能です。


――個人のオフ会として利用する際にも、丁度良い箱の大きさだと思いました。頻繁にイベントは開催されているのでしょうか?

門岡 昨日も『エーペックスレジェンズ』(Apex Legends)のパブリックビューイングとして利用していただきました。本校の生徒たちも見学に来ていましたね。

 また本校の生徒がイベントを運営に携わることもスタートしました。本日実施した「全国都道府県対抗 e スポーツ選手権 2022 TOCHIGI『Shadowverse』学生の部」東京C予選がそうですね。

 

全国都道府県対抗 e スポーツ選手権 2022 TOCHIGI『Shadowverse』学生の部

 

――本日のイベント運営の感想についても、あとで聞かせてください! この施設で目を引くのはあの大迫力スクリーンです。あんなに大きなスクリーンで試合を観戦できるんですね。

門岡 おっしゃる通りです!


――他にも観客席や実況席もあってすごい設備ですね。

門岡 イベントで使用してもらうことを想定して作った施設なので、配信設備も充実しています。別室に配信ブースがありまして、防音の環境で実況・解説できます。


――個人がプロ並みのeスポーツイベントを開催できるんですね。特にこだわった点は何でしょうか?

門岡 まずは見た目ですね。あとは機材です。実際にプロゲーマーが使っているゲーミングPCを使用しているので、参加する選手の方々には勿論のこと、生徒にも喜んでもらえています。

 あとやはり全長7mのモニターですね。国内最大級のモニターだと聞いています。音響と照明も自信がありまして、音を鳴らしたり、光で演出したりもできるので、大会の時はとても盛り上がりますね。スイッチャーもあるので、画面の切り替えもバッチリです。

 

ゲームをキッカケに不登校を乗り越える

――素敵です!「eスポーツ高等学院」の生徒さんは、普段からこの施設を自由に利用できると考えて良いのでしょうか。

門岡 この施設自体が校舎なので生徒たちはここに通っています。よって、常に利用してもらっていることになります。


――とても羨ましい環境です。本日もイベントが終わったら、すぐに生徒の皆さんがeスポーツの練習を開始されていました。

門岡 いつもこんな感じですね。生徒たちも「もうやっていいのー?」って練習を始めます。

 ちなみに一般的な通信制高校というのは、様々な事情から中学校に安定して通えていなかった子たちも多いんです。全日制の高校に行くのが難しい中、高卒認定を取得するために(タイミングよく開校した)本校を選んでくれた生徒もいるんです。

 中学生のころは不登校だったのに、今では週7で学校にくるようになった生徒もいるんです。やはりゲームの力ってスゴイですね。


――キッカケは何であれ、学校に行って勉学に励んでくれるのは、親御さんにとっても良いことですね。

門岡 そうなんです。生徒の親御さんからも「(自分の子が)こんなにちゃんと通ってくれるようになると思っていなかった」と喜びの声をいただいています。

 私たちとしても、ゲームだけの3年間を送るだけでは意味がないと思っているので、勉強や進路指導にも力を入れています。

 またプロゲーマーを目指す教育だけなく、eスポーツイベントの運営やゲームキャスター、ゲームライターになるための教育カリキュラムも用意しています。

 本日のイベント(全国都道府県対抗 e スポーツ選手権 2022)もイベント運営の授業の一環として実施しました。私たちの力を借りるのではなくて、自分たちでイベントを企画して、集客して、台本書いて、司会をしてもらう。そんな体験を積んで欲しいと思っています。

イベント運営は生徒にとって貴重な経験

――本日、実際にイベント運営をされてみていかがでしたか。    

門岡 やって良かったと思っています!生徒たちは参加者の受付をしたり、前に立ってマイクで全体にアナウンスをしたり、ラウンド毎にテーブルを除菌することを通して、大会運営の大変さを学ぶことができました。

 イベントを運営する裏方の人たちのことを知る機会になったので、もし生徒たちがeスポーツのプロになったのとき、裏方の人たちへの感謝の気持ちをもってくれるようになったと思います。

 私は数学の先生なので、eスポーツの大会については詳しくなかったのですが、今回はイベント運営に携わったことで、私自身も勉強になりました。今後もこの会場でこうしたイベントを運営していく予定なので、生徒だけなく私にとっても理解を深められる良い機会になりました。

――初の大会運営とは思えないぐらいスムーズな進行だったようにお見受けしました。

門岡 本当ですか!それは良かったです。私は今日のイベントが不安過ぎて、何度か他のeスポーツイベントに視察に行ったんです(笑)

 また本校には現役eスポーツ選手でもある職員がいまして、その職員が大会運営について指南してくれました。彼らはeスポーツ大会に何度も参加しているし、イベント運営にも関わっているので、ビクビクしていた大人は私だけだったのかもしれません(笑)

――十分に経験のある人が運営をサポートしているので、生徒さんたちはその姿をみて学べるんですね。

運営に携わってみて

写真左:ハタケヤマさん 写真右:ムラカミさん

 

――ここからは実際に運営に携わった生徒のお二人にお話を聞きたいと思います。本日、運営をされてみていかがでしたか?

ムラカミさん(以下、敬称略) 今までは(イベントには)プレイヤーとして参加するだけだったので、裏方になるのは初めてでした。

ハタケヤマさん(以下、敬称略) いろんな仕事が経験できて楽しかったです。参加者やいろんな方とお話もできました。

――参加者の人たちとの交流もあったんですね。運営中はどんなことに苦労しましたか?


ムラカミ 僕は次の対戦の開始時刻をスクリーンに表示させる仕事をやっていました。イラストレーターで「次の対戦の開始時刻は○○:○○」って文字を編集するのですが、あまり慣れていなくて苦労しました。

 あとはその画像をパソコンから転送してスクリーンに表示させるのがすごく大変でした。

 

大会の進行をスクリーンに表示するのがムラカミさんの仕事

 

――画像の作成もご自身でされていたんですね。開始時刻が間違っていたらトラブルになるので、とても重要な役割ですね。ハタケヤマさんは運営に携わってみてどうでしたか?

ハタケヤマ 僕は前に立ってアナウンス等をしていました。人前で話すことに慣れていないので、話している時は全身が震えて声も震えていました。

門岡 緊張しているようには見えなかったけど、緊張してたの?

ハタケヤマ 緊張していましたよ!(笑)脚も震えてましたし。


門岡 そうだったの(笑)めちゃくちゃ上手だった!


――あれだけ大勢の前で話す機会は滅多にないと思うので、良い経験になりましたよね。今回の運営を経験してみて、将来、eスポーツの大会運営に携わってみたいと思うようになりましたか?

ムラカミ そうですね。僕らが卒業するころには、今よりもオフラインのイベントが増えていると思うので、こういう形でもeスポーツに携わっていきたいです。

ハタケヤマ 楽しかったので、何回でもやりたいと思いました。

――ありがとうございます!私も見ていて「学生時代にこういう経験をしたかったなあ」と羨ましくなりました。今回のご経験はeスポーツ運営に限らず、様々なイベント運営に活かせると思いました。本日はお疲れさまでした!

 

取材後記

 「生徒はひとりひとり違う個性を持っているので、その個性を伸ばすために様々な教育の形があった方が良い」そんな当たり前のことに気づかされた取材でした。

 「eスポーツ高等学院」は、日本の学校教育がさらに多様になるための大きな一歩だと感じました。通信制高校への進学を選択する理由がなんであれ、当事者である生徒たちにとって「自分に合っている」と思える環境であれば、将来の可能性を育む大切な機会になりそうです。(eスポーツジャーナリスト・小川)

(c)Cygames, Inc.

 

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■外部リンク

eスポーツ高等学院
https://esports-hs.com/