BCN eスポーツ部 高校eスポーツを応援するニュースサイト

MENU

eスポーツが作る新たなコミュニケーション 三浦学苑高等学校 【後編】

【高校eスポーツ探訪・14後編】1929年に設立し、創立90年以上の歴史と伝統のある三浦学苑高等学校は、普通科と工業技術科を併設している高校です。この特性上、進路の幅が広く4年制大学はもちろん専門学校への進学者も多く輩出しています。部活動では情報・工業系部活動も充実しており、情報研究会はP検をはじめとする情報関係の資格取得や動画制作、学校の広報活動などを担っています。

 19年度からは情報研究会にeスポーツを導入。既存の部活動の一環としてeスポーツを取り入れている事例になりました。高校eスポーツ探訪 第14回では、三浦学苑高等学校の情報研究会顧問を務める前田先生と伊東先生の2人に話をうかがいました。

 

左奥から右に、前田豊さん、倉田翔太さん、前川友輝さん、伊東亮さん。左手前から右に、田中斗百矢さん、鈴木琉成さん、福末桐士さん

【より自然な部内のコミュニケーションに】

── 顧問の先生が二人と言うことは、それぞれ担当が分かれているのでしょうか。

伊東先生(以下、人名は初出以降敬称略) 研究会では、PCの整備や技術指導、eスポーツの取り組みを担当しています。授業は主に情報を担当しています。最近は、工業技術科のコースの再編があった関係でデザインの授業や実習を担当することもあります。

前田先生 研究会の活動計画やeスポーツ以外のイベント指導を進めています。工業技術科の科長をさせていただいており、普段は工業・情報の授業を担当しています。

 情報研究会の顧問をする前はバスケ部の顧問をしていたのですが、部活動でも工業や情報の活動に注力しようということで、伊東先生と2人で7年前に情報研究会を立ち上げました。

 現在26人が在籍しており、月曜日から木曜日に活動しています。情報系の大会・コンテストへの参加や学校の広報活動、資格取得、eスポーツの四つが主な活動です。

 

eスポーツに関する取り組みについて話す伊東先生(左)と前田先生

 

── 部活動の立ち上げは7年前からということですが、eスポーツに取り組み始めたのはいつ頃からでしょうか。

伊東 2019年12月から取り組みを始めています。神奈川県横須賀市が行っている「Yokosuka e-Sports Project」の話を市の文化スポーツ観光部観光課の方からいただき、わたしたち顧問もeスポーツに興味があったので良いきっかけになりました。

── eスポーツの取り組みを始めるにあたって苦労などはありましたか?

前田 実は顧問のわたしたちよりも校長の方がeスポーツに対して興味を持つのが早かったんです。ですから、校長にeスポーツの話をした際には「是非やってみて」と言ってもらって。管理職のみなさんもとても積極的で、実際に活動を始める際にはすごくスムーズでした。

── タイミングもよかったのですね。eスポーツに対して否定的な意見などはなかったのでしょうか。

伊東 うちの高校は比較的自由度が高いと言いますか、「やってごらん」と理事会や管理職のみなさんに背中を押してもらったり、“やる”となった時の判断が早かったりと、とてもありがたいです。

── 本当にスムーズですね。生徒の反応はいかがでしたか。

伊東 eスポーツの活動があるからと入部してきた生徒もいるぐらいなので、とてもいい反応でした。創部当初、部員は10人でしたが、今では26人になりました。

── 一気に部員が増えると大変そうです。

 eスポーツの特性上どうしても設備を整えなければなりません。中学校でこのような設備を整えるのが難しいですし、高校でも必ずしも設備が整っているというものでもありません。しかし、ゲームを快適にプレーできるほどスペックの高いPCを準備すれば、情報系の部活動がしたいという生徒の受け皿にもなります。本校では、2021年に50台のPCをゲーミングPCにリプレースしました。これも情報研究会またe-Sportsでの活動を強化することができました。これも学校の支援のおかげです。

前田 それと部活動内にはいい影響が出ているかと思います。部活動の中で部員同士のコミュニケーションがより円滑に、自然に行われているなと感じます。

 eスポーツに取り組み始める前から部内では先輩が後輩一人ひとりに指導を行うメンター制を行っていますが、eスポーツを通してのコミュニケーションは技術を教え合う際に自然と質問が生まれてきます。話し合ったりアイデアを出し合ったりと、学年を超えて円滑で自然なコミュニケーションが増えたと思います。

 

eスポーツを通して自主性を育んでほしい

── eスポーツに取り組む部員の様子を教えてください。

前田 19年度からeスポーツに取り組み始めましたが、ちょうどコロナの影響を受けて部活動を行っていくことがなかなか難しい時期がありました。そのようななか、自宅でもゲームに関するコミュニケーションが行われているのは、インターネット上で行われるeスポーツならではだと思います。

伊東 どの学校にも教育目標や育てたい生徒像があると思います。当校の場合はとくに主体性や自主性を重要視しています。教員が手助けをしなくても生徒自身で考え、行動に移すということを大切にしています。なので、こういった生徒同士の密なコミュニケーションが自主性を育む上でとても役に立っていると思います。

── 自主性を育むというテーマから考えると、数多くの大会やコンテスト、イベントに出場しているのも生徒からの提案なのでしょうか。

伊東 私たちが見つけることができる大会やコンテストなどは案内していますが、参加を決めるのはほぼ生徒になります。こういったところにも自主性が出てくると思うのですが生徒はとても積極的に取り組んでくれていますね。

前田 先日、横須賀市のイベントでeスポーツを体験できる子育てイベントに出展してきました。そこでは生徒たちが自主性をもってほんとにうまくやってくれて助かりました。

 少人数での参加だったのですが、生徒たちが訪れた人に丁寧にeスポーツのことを説明している姿にとても感心しましたね。

 

 

── 自主性のある生徒が育ってきているんですね。

伊東 在学中の部活動でももちろん効果が出ていると思いますが、進路にも影響をもたらしているんです。

── 進路ですか?

伊東 はい。eスポーツに関わっていきたいという生徒はもちろんのこと、eスポーツを支える側としての仕事をしてみたいという生徒などもいました。

 プレイヤー側ではなく裏方を志すというのは、生徒が自ら何をしたいかしっかりと考えて出した結論だと思うんです。そういったことを考えることができるというのは、本当に大きな影響を与えたんだなと思います。eスポーツの活動を始めた当初、在学中の3年間だけではなくその後の進路にも影響があるとは考えもしませんでした。

── 今後、情報研究会ではeスポーツの活動をどのように展開していきたいと考えていますか。

前田 もちろん大会やコンテストで結果を残すということは大切なのですが、それ以上にその結果に対してどのように取り組んでいくのか、練習していくのかという“プロセス”を大切にしていきたいです。生徒自身の成長を一番大切にしながら、活動を続けていければと思います。

■関連記事

■外部リンク

三浦学苑高等学校
https://miura.ed.jp/