高校eスポーツ探訪
2020.08.24
稀に見る整った部活環境!? 千葉学芸高等学校コンピュータ部eスポーツ班
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【高校eスポーツ探訪・1】大会やイベントが次々と開催され注目を集めている高校生のeスポーツ活動。部活を立ち上げる学校も増え、徐々に活性化しつつある。今後の進路はそれぞれだが、大切なeスポーツファンであることは間違いない。そんなeスポーツ業界の明日を担う若者の今を追いかけ、明日を占うのが本連載「高校eスポーツ探訪」だ。
第1回となる今回は、千葉学芸高等学校のコンピュータ部のeスポーツ活動を取材した。
千葉学芸高等学校は、1887年に創立した千葉県で最初の女子高等教育機関。00年に共学となって今に至る。普通教室の全てに65インチの大型液晶ディスプレイを設置したり、iPadやノートPCによるマルチメディアを活用した授業を行ったりと、情報教育にも力を注いでいる学校だ。
コンピュータ部では、タイピング練習や文書作成、表計算、プレゼンテーションなど、基本的な使い方のほか、コンピュータグラフィック、プログラミング、ゲーム制作などを通して、現代社会で必要不可欠なコンピュータに慣れるための活動を行っている。18年秋にeスポーツチームを立ち上げ、「第1回 全国高校eスポーツ選手権」に出場した。
取材当時(7月)、eスポーツ班に所属しているのは13人。「STAGE:0 2020」に向けた練習を行っていた。力を入れている種目は「フォートナイト」だ。eスポーツ部の活躍を見て入学してきた1年生がいるので、今回は大会に向けてこれまでよりも本格的に取り組んでいるという。
千葉学芸は、サードウェーブが提供している「eスポーツ部発足支援プログラム(現:高校eスポーツ部支援プログラム)」を利用してeスポーツ活動を始めたため、全国高校eスポーツ選手権には参加する必要がある。ただ、同大会の種目になっている「リーグ・オブ・レジェンド」はルールや操作が難しい。「ロケットリーグ」は有料なため、生徒の間であまり人気がないようだ。
一方、フォートナイトは家庭用ゲーム機でも無料でプレー可能なので、気軽に練習できる。シンプルなシューティングゲームで初心者も参加しやすい。また、奥が深く、思わずやりこみたくなる魅力も秘めている。PS4などで経験を積んで、後は部活中にPCの操作に慣れれば実力を発揮できるようになるため、人気が高いそうだ。
稀に見る整った設備
ビデオ会議サービスを使った取材だったので、残念ながら部室を直接見ることは叶わなかったが、チラチラ背景に映る様子を見ていたら、あることに気が付いた。部員が座っているのは、ゲーミングチェアだったのだ。
千葉学芸高等学校コンピュータ部の高橋時生顧問に話を聞くと、「イスだけでなく、キーボードやマウスも少しグレードの高いゲーミングギアを購入した」という。さらに、ネットワーク回線も新たに「NURO光」を敷設。学校で最も通信速度が速い回線をeスポーツ部で使っているという。支援プログラムを活用してレンタルしているハイスペックPCと組み合わせれば、かなり整った環境と言える。(羨ましい)
遊びで楽しむゲームと、部活動の違いについて部員に尋ねると「遊んでいるときはミスしても笑って済ませるなど、細かく反省しません。でも、部活ではミスをしたら、分析して改善点を出すなどの対策を考えます。自分のプレーに責任感も出てきます」と感想を話してくれた。
ほかにも部活ならではの要素として、顔を直接あわせながらプレーできる強みがあるという。家でプレーする際はボイスチャットで会話をするが、会話が被ったり、音声が途切れたりなど、不便な点もまだ多い。その点、リアルなら会話が被ってもある程度聞き取れる上、表情や身振り手振りを交えながら会話できるので、意思も伝わりやすいそうだ。
また、以前、運動部に所属していたという部員は「喘息で激しい運動ができなくなりましたが、eスポーツ部なら喘息でも関係なく活動できそうだと思いました」と入部理由を語った。高校生の新しい活躍の場として、eスポーツが着々と根付いてきていることがうかがえる話だった。高橋顧問も「ハンディキャップのあるなしや男女を問わず挑める競技」としてeスポーツに期待を寄せる。
高橋顧問は、多くの人がフェアに競い合えるというだけでなく、eスポーツを通じて、戦略の大切さ、先を読む力、理論的な思考力、チームワークの育み方などを学んでほしいと考えている。「社会に出ても間違いなく必要になる力。また、今の時代はPCを操作できることが強みになることもあるので、積極的に取り組んでいきたい」(高橋顧問)。部員は先生の気持ちを汲み取ってか、声を掛け合いながら懸命に練習に励んでいた。練習の成果を発揮できるか、楽しみにしたい。(BCN・南雲 亮平)
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