解説
2025.12.25
ゲームのパフォーマンスに直結するメンタルの保ち方とは?セルフケアのコツを紹介
- 解説
ゲームの対戦においては、テクニックや経験値とともにメンタルの強さも重視されます。メンタルが弱いと、焦りや緊張によって操作・判断ミスを誘い、いつものパフォーマンスを発揮できずに負けてしまうことも。

そこで今回は、ゲームのパフォーマンスに影響するメンタルのあり方やセルフケアのコツを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
「メンタル」とは

そもそもメンタル(mental)という英単語には、「心の」、「精神の」、「知能の」といった意味があります。
緊張やプレッシャーが大きいとき、通常のパフォーマンスが発揮できないという経験は誰にでもあることでしょう。実際に、戦績や実力で明らかに優位なプレイヤーが、緊張感などから実力が発揮できず、格下の相手に負ける展開はeスポーツに限らずあらゆる勝負ごとで見られます。一方で、適度な緊張が集中力を高め、練習の時以上のパフォーマンスを発揮できることもあるので、メンタルの状態を的確にコントロールできれば、ゲームをプレイするうえで大きなプラスになります。
次の項目では、そもそもメンタルが強い、弱いとはどんな状態を指すのかを解説します。
「メンタルが強い・弱い」とはどういう意味?
メンタルの強さ・弱さには、さまざまな観点があります。ただし、本記事はeスポーツをプレイする人に向けたものなので、プレイに関連するメンタルのあり方を考えていきましょう。
ゲームプレイにおいて重視されるのは、予測不能な状況や敗色濃厚なときにも動じることなく勝利のためにプレイできる力や、緊張による操作ミスなどを起こさないことです。そのため本記事では、ピンチにおちいっても平常心やモチベーションを維持できること、緊張感をコントロールできることを「メンタルが強い」とし、以降の解説を進めます。
なぜメンタルはゲームのパフォーマンスに直結する?

メンタルの状態がゲームのパフォーマンスに影響することは直感的に理解できますが、心理状態がプレイに関係することの研究も各所で行われています。
人間は危険や不安を感じた時、闘争あるいは逃走の本能が作動し、筋肉の硬直や心拍数の上昇が起こります。もちろんゲームプレイで生命の危険があるわけではありませんが、失敗を恐れる精神状態でも闘争や逃走の本能は働きます。個人差はありますが、この本能自体は生きていくうえで必須のもので、誰にでも必ず備わっています。メンタルとゲームのパフォーマンスは切っても切り離せない関係だと言えるでしょう。
メンタルがパフォーマンスに直結しやすいシチュエーション

緊張の起こり方には個人差がありますが、自分自身が緊張しがちなシチュエーションがわかれば対策もしやすくなります。
そこでこの項目では、ゲームプレイにおいてメンタルの状況がパフォーマンスに直結しそうなシチュエーションを解説しますので、自分にあてはめながら考えてみてください。
ランクアップ(ダウン)がかかった試合のとき
PvPコンテンツが実装されているタイトルでは、プレイヤーランク(レート)が設定されていることが多く、またランクを上げていくことはプレイヤーの強さの証明になります。また、ランクが上がれば上位のリーグに参加できるタイトルもあるため、ランクのアップやダウンがかかっているマッチでは緊張するプレイヤーも少なくありません。
特に格闘ゲームなどでは、自分や相手が「このマッチにランクアップ(ダウン)がかかっている」ということを通知するシステムがあるので、普段のマッチよりも緊張することもあるでしょう。
レイドで最終フェーズに入ったとき
PvEゲームにはレイドシステムが採用されているタイトルが多く、ときには攻略難易度が非常に高いレイドバトルが実装されるゲームもあります。
簡単に攻略できるレイドであれば緊張やプレッシャーもないでしょうが、「現在実装されている最高難易度のレイドバトルで、苦労の末にようやく最終フェーズに入った」といった状況であれば、「ギミックをミスしたくない」「何とか勝ちたい」という気持ちも強く、緊張を伴う人も多いでしょう。
タイムアタックなどで記録更新ペースのとき
ゲームの楽しみ方は人によってさまざまですが、タイムアタックもゲームの醍醐味の一つ。そしてタイムアタックに挑む中では、「このペースなら記録更新ができそう」という展開になることもあると思います。
人間は記録や成果を意識してしまうと急に緊張状態になり、普段はしないような平凡なミスを犯してしまうこともあるでしょう。
有名なプレイヤーとマッチングしたとき
オンラインでプレイしていると、時には有名なプロeスポーツプレイヤーや配信で人気があるプレイヤーとマッチングすることもあり得ます。
「聞いたことがある」という程度でも相手が有名人だと考えるだけで緊張しそうですが、自分にとってあこがれやリスペクトをもつプレイヤーとマッチングした場合、舞い上がって通常のプレイができないこともあるでしょう。
ゲーム配信中
ゲーム配信のスタイルはさまざまですが、プレイしながらトークや解説をしたり、コメントを読んだりと多くの工程を同時に処理する場面も少なくありません。そんな中で、自分の声や話し方に自信がなかったり、視聴者の反応を気にしすぎたりすると、委縮や緊張が原因となってよりいっそう話せなくなったり、プレイでミスをしたりすることもあるでしょう。
大会の舞台
イベントの規模や経験数にもよりますが、大会に実際に出場する際には緊張感が増して通常の実力が出せなくなりがちです。
特に目標にしてきた大会である場合や、その大会で結果を出すことが何らかのステップになる場合などは「勝たなければならない」という使命感が先行して、過度な緊張状態になりやすいので注意しましょう。
実際のスポーツシーンに学ぶメンタルトレーニングの方法

ここからは、緊張に打ち勝って最高のパフォーマンスを発揮するためのメンタルトレーニング方法を解説します。
自分に合ったリラックスの方法を知る(リラクゼーション)
優れたアスリートやプロプレイヤーであっても緊張はしますが、結果を残せる選手の多くは自分なりのリラックス方法をもっています。
例えば、深呼吸をする人もいれば、試合前に特定の音楽を聴いてリラックスする人もいます。呼吸法はリラックスの基本と言われており、まず腹部が膨らむことを意識しながら鼻から息を吸い、腹部がへこむよう意識しながらゆっくりと口から息を吐く動作を繰り返すことでリラックス状態への移行が可能です。また、アップテンポな曲はアドレナリンを分泌してパフォーマンスアップに貢献することも多くの研究で実証されています。
心拍数や体温をあげることもパフォーマンスアップに役立つので、ストレッチや体操をしたり、「行くぞ!」「頑張ろう!」など声を出したりする方法もおすすめです。
ほかにも、力を入れた後に力を抜く行為でリラックスにいたる筋弛緩法もあります。例えば両肩を首につけるよう意識して数秒間力を入れ、息を吐きながら力を抜く、という簡単な動作で筋弛緩の効果は得られますので、ぜひ試してみてください。
目標を設定する
具体的な目標設定ができると、パフォーマンスの向上につながることは心理学の分野で知られています。ただし、目標が漠然としていたり遠すぎたりすると機能しません。
例えばeスポーツを始めたばかりの人が「世界最高の賞金を獲得する」と言っても具体的なパフォーマンスアップにはあまり寄与しません。もちろん夢をもつのは良いことですが、直近のパフォーマンスアップを得たいのであれば、具体的でなければなりません。
目標というと「まず予選突破」といった勝敗に帰結する設定も行われがちですが、勝ち負けは緊張に繋がりやすいのであまり良いとは言えません。むしろ自分が得意なプレイを意識して、例えば格闘ゲームなら技のコンボを決めることに目標を据えることをおすすめします。
イメージトレーニングをする
イメージトレーニングを行うと、想像であるにもかかわらず脳は現実に体験したように誤解します。この特性を上手に利用すれば、短時間で効率的な練習ができますし、現実には初めての体験であっても過去に体験したことのように感じて緊張しにくい状況が作れます。
イメージトレーニングはゲームの場面やプレイの進め方に有効なだけでなく、心理的逆境を克服することにも役立ちます。例えば前述したゲームプレイで緊張しそうなシチュエーションを想像し、そこで緊張しても克服できるイメージトレーニングをしておけば、現実の場面でも冷静な対応がしやすくなります。
同様の方法で、イメージトレーニングはミスからの立ち直りや集中力アップにも利用可能です。また、トッププレイヤーの対戦を見て具体的に自分がそのプレイに近づいていくイメージをもつことも、戦績向上につながります。
実際にこれらの方法は多くのアスリートが利用していますし、良い結果も出していますから、ぜひeスポーツのパフォーマンスアップにも役立ててください。
集中力を高めるトレーニングをする
ゲームの対戦中に、前半は良い感じでゲームを進めていたのに途中で集中力が切れて負けてしまった、といった体験がある人は多いでしょう。eスポーツで結果を残すには集中力を高めることと、プレイが終わるまで維持することが重要です。
集中力を高める方法は複数ありますが、生活の中では、バランスの良い食事で血糖値を一定に保つこと、適度な運動で脳への血流を良くすること、質の良い睡眠を確保することなどが有効です。
また、大事な対戦前などに短時間で集中力をアップする方法も複数あります。まずおすすめなのは瞑想です。体の力を抜いて姿勢を正し、目を閉じてゆっくりと呼吸しながら、呼吸だけに専念することで瞑想の効果が得られ、集中力が高まります。瞑想ではなくても、ヘッドホンなどで外界の音を遮断することで脳に不規則な信号を与えないようにして集中力を高める人もいます。
糖分補給も脳のパフォーマンスアップに有効です。噛む動作による脳への刺激や、「美味しい」と感じることによるアルファ波の出現も集中力向上に役立ちます。これを踏まえて、大事な対戦の直前には、美味しくて糖分を含む食べ物を摂取するのも良いでしょう。
ポジティブシンキングを心がける
感情や考え方がネガティブな方向に傾いていると、メンタルは弱くなりがちなため、大事な対戦で勝ちを逃したり、つまらないミスをして実力を発揮できなかったりします。そのため、ポジティブシンキングを取り入れることが勝利やランクアップにつながります。
ポジティブシンキングを身につけるには、まず日ごろから意図して楽観的な言葉や自己を肯定する言葉を心がけましょう。しかし、非現実なプランに浸るのはポジティブではなくただの妄想になってしまうため、実現可能なことを見極めて、そこに向かうようプラス思考をもつことが重要です。
例えば「初めての大会参加ですべての対戦相手を無双する」といった考えは妄想でしかありませんが、まずは自分の得意な技を決めることや、望む展開に持ち込むことなどであればそこに向かって努力できます。その目標をクリアしてそこに向かって努力した自分を肯定し、次の実現可能な目標に立ち向かうようにすれば、脳内にドーパミンという物質が分泌され、ポジティブに目標に向かいやすくなります。
緊張を肯定する
自分が緊張していると感じた時、それをまずいことと考えて緊張を解くことばかりに考えが向くとマイナス思考におちいりやすくなります。そのため、まず緊張している自分を肯定することも重要です。
緊張しているのは、その対戦を大切に考えているからであって、恥ずかしいことではありません。そもそも適度な緊張は集中力アップに役に立ちますから、緊張している自分をほめ、大事な対戦だからこそ味わえる緊張感を少しでも楽しもうとすることが、今後の対戦にも生きていきます。
【まとめ】ゲーム中のメンタル維持テクニックを知って常にベストパフォーマンスを出せるようにしよう!

メンタルの状況はeスポーツの大事な場面に大きな影響を与えるため、日ごろからメンタルをコントロールできるように取り組むことが重要です。
本記事に記載した内容を踏まえて、日常からメンタルの強化に取り組めば、「大事な対戦で緊張感に押しつぶされてしまった」といったつらい体験を回避しやすくなります。そのためにも、ぜひ適切な知識をもっていつでもベストパフォーマンスが出せるよう、メンタルトレーニングを続けてください。
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