解説
2025.12.18
「レイテンシ」とは?意味や使い方、適切な目安などを紹介!
- 解説
ゲームをプレイする中で、「レイテンシ」または「レイテンシー」という言葉を聞くことがあると思いますが、その意味や改善方法を正しく理解している人はあまり多くないと思います。

そこで今回は、まずレイテンシとはなにかをわかりやすく解説したうえで、レイテンシの目安や改善するためのポイントなどに言及していきます。eスポーツを快適にプレイするためにも、ぜひ参考にしてください。
「レイテンシ」とは

「レイテンシ」は英語ではlatencyと表記し、単語の意味としては「潜伏時間」や「待ち時間」を指します。語源はラテン語で、「潜んでいる」という意味を持つlatentから来ているそうです。
「レイテンシ」はゲーム業界だけでなく、IT業界や通信業界などでも、応答速度の遅延を示す言葉として広く使用されます。ちなみにIT業界では、演算開始の指示が出てから演算が行われるまでのタイムラグをレイテンシと言い、多くの場合ns(ナノ秒:10億分の1秒)という単位で示される非常に微小な数値が問われます。
一方ゲームにおいては、例えばゲーミングPCのマウスをクリックしてその情報がPC内に届き、PCからの情報がサーバーに送信され、サーバーが受信して処理した情報が端末まで戻ってくるまでの時間差をレイテンシと呼びます。このため、ゲーム業界でのレイテンシはms(ミリ秒:1000分の1秒)単位で示されることが一般的です。
例えばゲーム内で射撃操作をして、実際に画面上で弾丸が発射されるまでのタイムラグがゲーム業界で言うレイテンシだと説明するとわかりやすいでしょう。
レイテンシが大きいと、ゲームをプレイする上で違和感や不快感を覚えやすくなります。また、FPSや格闘ゲームなど、瞬間的な操作によって勝敗が左右されるゲームの場合、レイテンシが大きいことが敗因となることもあります。
レイテンシの数値に影響を与える要素はさまざまで、ケーブルなどの情報伝送媒体や家庭などに設置されているルーターによっても変わります。また、信号強度やパケットサイズ、パケット損失とジッター、伝搬遅延やストレージ遅延などの要素もレイテンシの高低に影響を及ぼします。
さらに、サーバーと端末の距離が遠いほどレイテンシは高くなり、遅れが大きくなることも知られています。そのため、ゲームをプレイする場合に国外のサーバーにアクセスしていると不利になりがちです。
レイテンシが「低い(または小さい)」場合は上記のタイムラグが少なく、レイテンシが「高い(または大きい)」場合は遅れが大きいことを示します。
レイテンシ、Ping値、回線速度の違い
Ping値はレイテンシの数値を示すものなので、レイテンシとPing値は全く異なるものではありません。
ただし、「レイテンシ」は本来、端末からサーバーまでの上りと、サーバーから端末までの下りのどちらか片道の遅れを指す言葉です。そのため、「片道レイテンシ」や「往復レイテンシ」という言葉もあります。
一方「Ping値」という言葉は、端末とサーバー間で情報が往復する時間を指します。Ping値はms(ミリ秒またはミリセック)という単位で表され、数値が小さいほど遅れが少ない状態を意味します。
また、通信環境を示す言葉には、「回線速度」もあります。回線速度は1秒間に送るデータの量を表す言葉で、bpsという単位で示され、数字が大きいほど通信状態は良好です。
レイテンシが高い(悪い)場合に考えられるトラブル
ゲームにおいて、レイテンシは操作が実行されるまでの遅れ時間を指します。そのタイムラグは環境などで異なりますが、0.01秒から0.1秒程度と言われています。一方、プレイヤーの反応速度は0.15秒程度が一般的です。
上記の数値を、FPSで具体的に考えてみましょう。敵が建物のすき間を0.2秒で駆け抜けると仮定して、その敵に弾丸を当てる状況があるとします。一般的なプレイヤーの反応速度0.15秒、レイテンシが0.1秒であった場合、プレイヤーが敵に反応して銃撃しても、反応速度0.15秒とレイテンシ0.1秒を足すと0.25秒となるので、理論上弾丸が発射されるときには敵はすでに建物の陰に隠れていて倒すことができません。
ところが上記のレイテンシが0.01秒に抑えられていれば、反応速度とレイテンシの合計が0.16秒なので、敵が駆け抜ける0.2秒に対して0.04秒の余裕があり、敵を倒すことは不可能ではなくなります。
つまり、レイテンシはFPSのように一瞬の差が重要なゲームにおいては大きなファクターとなります。そのため、一部のタイトルでは、設定変更によってレイテンシを表示することができるように作られています。
レイテンシの測定方法
レイテンシを測定するソフトウェアやアプリは複数存在します。
例えば、「SPEEDTEST」というサイトにアクセスして、画面に現れる「GO」をクリックするだけで、使用している端末のPing値とダウンロードスピード、アップロードスピードの3つの数値を測定可能です。なお、「SPEEDTEST」にはアプリ版もあるので、インストールして使用することもできます。
また、「fast.com」はアクセスするだけで、回線速度とレイテンシを測定してくれます。表示がシンプルで見やすいですし、ダウンロード不要な点でも便利です。
さらに、USEN GATE 02の「インターネット回線スピードテスト」は、サイトにアクセスして「測定開始」をクリックすると、回線速度とレイテンシのほかジッター値(通信中に起こる、信号の揺らぎやズレを示す数値)も測定してくれます。
行動別レイテンシの目安
この項目では、目的別のレイテンシの目安を記載します。
ウェブブラウジング
一般的なウェブブラウジング(Webサイトを閲覧する行動)では、31~50ms(0.031~0.05秒)程度のレイテンシでも問題を感じません。SNSの操作などもこの範囲に当たります。
比較的通信を必要としないゲームや動画再生
ゲームの中でも比較的通信速度を要求せず、アクション要素などが少ないタイトルであれば、16~30ms(0.016~0.03秒)程度のレイテンシでも違和感なくプレイできます。また、動画を視聴する場合などもこの付近の数値で問題ありません。
格闘ゲームやFPSなど快適な通信を必要とするゲーム
格闘ゲームやFPSなどでは一瞬の遅れが勝敗を大きく左右するので、レイテンシを可能な限り抑えることが重視されます。目安の数値としては、0~15ms(0~0.015秒)程度です。
なお、理論上レイテンシが0ということはあり得ないので、「0」は表現上の数値で、できるだけ最小値に抑えることが重要です。
レイテンシを改善する(低くする)ポイント

この項目では、プレイヤーの側でレイテンシを改善して遅延をできるだけ少なくするための方法を紹介します。
ルーターやモデムを再起動してみる
レイテンシが気になるときに、誰もが手早くできる対応策として、ルーターやモデム、PCを再起動してみることをおすすめします。ルーターやモデム、PCなどの機器類は長時間電源を入れっぱなしだと負荷が増えていくので、データ処理が遅くなったり、Ping値が高くなったりするからです。
また、5年以上前のルーターを使っているようなら、買い替えることで状態改善ができる可能性もあります。それでも状態が改善しないようであれば、次の項目以降に示す方法を試してみてください。
無線接続から有線接続に切り替えてみる
Wi-Fiは便利ですが、有線接続よりも回線速度が遅くなりがちですし、Ping値も高くなります。そのためWi-Fi接続でゲームをプレイしているのであれば、有線に変えるだけでも通信環境を改善できることは少なくありません。
混雑が少ない接続方法に切り替えてみる
通信速度の遅さやレイテンシが気になる場合、接続の混雑が問題となっている可能性があります。もしゲームをしている環境のIP(インターネットプロトコル)がIPv4であれば、IPv6に変更することで、状態改善できるかもしれません。
従来のIPv4では世界全体でも使用可能な回線数は約43億個ですが、IPv6なら約340澗(かん)の回線数を持っています。「億」という単位は10の8乗で表されますが、「澗」は10の36乗で表されます。そのためIPv6は、まさに桁違いの回線数を持っており、混雑が起こりにくい接続方法なのです。
なお、ルーターやプロバイダによってはIPv6に対応していない場合があるので、変更する際は事前に確認しましょう。
規格の新しい(優れた)LANケーブルに取り替えてみる
実はLANケーブルの種類によってもレイテンシが左右されることがあります。LANケーブルにはカテゴリ(Cat)と呼ばれる規格があり、Catの数値が高いほど通信環境を良くできます。とはいえ、一般家庭であれば、業務用の規格であるCat7以上を使用してもその性能を発揮できず、費用が掛かるだけの可能性があります。
ゲームをプレイするための環境改善を考えるのであれば、Cat6やCat6Aがおすすめです。
回線(インターネットプロバイダ)自体を乗り換えるのを検討する
ここまでに記載した方法でレイテンシが十分に下げられない場合、回線(インターネットプロバイダ)自体の変更が必要と思われます。
もし現状光回線を使っていないのであれば、光回線への変更がおすすめです。また、回線速度やPing値は、回線を扱う各社が情報を出しています。費用も掛かることなので、しっかり検討してから変更を実施してください。
【まとめ】レイテンシを改善し、快適なゲームプレイを目指そう!
「レイテンシ」とは何かを説明したうえで、目安となる数値やレイテンシが高い場合の対策などを紹介しました。通信の遅れを示すレイテンシが高いと、快適にゲームをプレイすることができません。また、FPSや格闘ゲームなど、スピードが勝敗を左右するジャンルでは、戦績に大きく影響します。
レイテンシを改善するためにさまざまな方法を紹介していますが、中にはある程度の費用が掛かるものもあります。そのためお金がかかる対策をする場合は、どの程度のレイテンシを目指すのか、それに対していくらくらいかかるのかなどをしっかり検討したうえで実施することをおすすめします。
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