高校eスポーツ探訪
2023.06.30
アツい実績の裏で紡がれる絆があたたかい 水戸啓明高校「CREATE Lab.」eスポーツチーム 後編
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- インタビュー
【高校eスポーツ探訪・17後編】水戸啓明高等学校「CREATE Lab.」のホームページには、ずらりと実績が並んでいます。そのほとんどがeスポーツチームの大会遍歴。同部が掲載されている記事紹介でもeスポーツチームに関する記事が並びます。これだけ見たら“勝利至上主義”の厳めしい競争社会なのかと思いきや、取材をしてみると部員同士のコミュニケーションに和む場面があるような、和気あいあいとした雰囲気でした。(取材・文/南雲 亮平)
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eスポーツ大会だけじゃない! 世界3位に輝いた水戸啓明高校「CREATE Lab.」eスポーツチーム 前編
https://esports.bcnretail.com/highschool/230617_001159.html
小学校時代からコツコツ
──ホームページにはeスポーツチームの実績がたくさん載っていました。

──これだけ活躍しているということは皆さん、大変な情熱をもって活動されているかと思うのですが、そもそもゲームと出会ったのはどのようなきっかけだったのでしょうか。また、eスポーツチームに入った経緯も教えてください。
内田大翔さん(以下、敬称略) もともと親がゲーム好きで、一緒に遊んでいたのでゲームに興味を持ちました。入部のきっかけも、ゲームが好きだったので入学時にeスポーツが目に入り、体験してみたら面白かったので入りました。そのときに初めてリーグ・オブ・レジェンド(LoL)を体験したのですが、面白くてそのままずっとLoLをプレーしています。
萩原健さん(以下、敬称略) 私の場合、両親はゲームが好きではなく、厳しかったです。ただ、ほかの友だちはやっていたので、それを一緒にやったことがあるくらいでした。でもある時、買っていいと言われたことがあり、買ったら楽しくて一気に好きになりました。内田さんに「CREATE Lab.」という部活にeスポーツチームがあるらしいと誘われて、入りました。
山?惣介さん(以下、敬称略) 親が誕生日にゲームを買ってくれたので、好きになりました。今はApex LegendsやLoL、VALORANT、ポケモンユナイトなど、さまざまなゲームをプレーしています。入学後、担任の先生に部活に入らないか聞かれたのですが、いまいち決められませんでした。そんなときに「ゲームはやってないの?」と聞かれて「やってます」となったらeスポーツチームを紹介されて、入りました。
鈴木巧真さん(以下、敬称略) 覚えている範囲で最初に買ってもらったのはPlayStation Portable(PSP)でした。これが楽しくていろいろなゲームをプレーしていたら面白くてハマりました。最近はみんなと同じく、LoLやVALORANTなどPCゲームをプレーし始めました。学校の行事で部活紹介の時に体験入部して楽しかったので入りました。最初は部活にあまり入る気がなく、面白そうなものに入ろうかなという程度でした。
──皆さんPCでゲームをプレーされているとのことですが、学校にある以外に、ご自身でもゲーミングPCを持っているのでしょうか。
鈴木 自分は高校に入ってから買いました。ゲームにはまり始めた小学生ころからずっと買いたくてお金をためていました。
──それは長期計画ですね! ゲーム機を買うという選択ではなかったんですね。
鈴木 親もそこそこゲームが好きでゲーム機は家にありました。それを貸してもらう形で遊んでいたので、自分用の、しかもPCゲームがプレーできる環境が欲しかったんです。最初はマインクラフトなどですが、いろいろPCゲームがあるのでこれからも楽しみです。
友情の力で入部許可
──ほかの皆さんも家にもゲーム機やPCがあるのでしょうか。
内田・山崎 ありますね。
萩原 ありました。
──萩原さん、込み入ったことをうかがうようですが、「ありました」ということは……。
萩原 親がこう、バキっと……。(何かを振り下ろす手振り)
──とすると、今は学校でしかゲームをプレーできないわけですね。そういった環境では、eスポーツチームに入るために親御さんを説得するのも大変だったのではないでしょうか。
萩原 最初はeスポーツ部入りたいと言うのも怖かったのですが、言ってみたら意外とすんなり許可してもらえました。というのも、内田さんが親を説得してくれたんです。
内田 萩原さんとは家同士で仲が良いんです。萩原さんと仲良くしていて、eスポーツチームに入りたそうにしているのが伝わってきたので、そのことを自分の親に話しました。そうしたら親が萩原さんの家にeスポーツやCREATE Lab.のポジティブな面を話してくれて、いい印象をもったようです。
──素晴らしい友情です……! 内田さんはどのようなことを親御さんにお話されたのでしょう。
内田 eスポーツという競技があることや、NASEF JAPANのアクティビティ、ボランティアもやっていること、CREATE Lab.ではゲーム以外にもプログラミングや3Dデザインが学べることを話しました。
eスポーツでコミュニケーション力向上
──友だち思いの内田さんの、巧みな交渉術が萩原さんを救ったわけですか。実際、eスポーツチームに入ってからはどのようなことを学んでいますか。
内田 自分は、コミュニケーションはもちろんですが、あまりPCに触れてこなかったので、PCゲームを通じてキーボードやマウスに慣れたのが大きかったです。
萩原 チームで一緒に話しながらプレーするなど、積極的にコミュニケーションを取れるようになりました。あとは、部活があるから今日も頑張ろうとか、ゲームは楽しいので、モチベーションになります。
山崎 基本的にいつも一人でプレーしていましたが、チームに入ってからは誰かとプレーする楽しさを知ることができたと思います。PCゲームもLoL以外あまりプレーしてこなかったので、ほかにもPCゲームがいろいろあることを知って、より興味がわきました。
鈴木 一人の時とみんなと一緒の時では、プレーの仕方が違うことが分かりました。チームメイトとプレーするときは、自分の考えたことを、行動する前に相手に伝わる言い方で言葉にすることが大切であること。自分の意見も入れつつ、相手の意見を聞いて動くこと。人と交流するときの、自分の改善点がわかりました。
──コミュニケーションはチームプレーには欠かせない要素ですね。コミュニケーション力を活かす場でいうと、eスポーツチームではボランティアを行っているとTwitterで見ました。
内田 PCゲームに興味がある中学生を顧問の先生が募集して、体験してもらうなど、eスポーツスクールという学べる機会をつくっています。この前も、中学生が一人参加してくれました。こうした取り組みをみんなでやっています。
──中学生のうちからPCゲームを経験できるのは、素晴らしい機会です。みなさんもゲームに興味があってeスポーツに打ち込んでいることと思いますが、どのような仕事につきたいとか、ゲームの道を究めていきたいとか、将来の夢がある人はいますか。
山崎 プレーする側というよりも、eスポーツのイベント関係の運営側をやってみたいと考えています。前までは自分が選手として大会などに出場してみたいと思っていたのですが、周りがかなり強くて難しいと感じました。でも、eスポーツには関わっていきたいので、それなら運営側として携わっていきたいと思っています。
鈴木 私もプロゲーマーを目指したいと思っていたのですが、親がすごく反対して大変なことになりました。でも、ゲームには関わっていきたいと考えて、ゲーム会社でゲームをつくる側として関わっていきたいと思いました。
萩原 できれば、趣味でゲームを続けていきたいです。
──切実ですね。
内田 機械をつくることなどには興味があるのですが、ゲームは趣味で続けていきたいと思います。
──いまは社会人eスポーツリーグなどもあるので、チームで連携しながらゲームをプレーするのが得意、という点が評価ポイントになる可能性もあります。ぜひ、部活を楽しんで、いろいろなことを体験してください。
■関連記事
■外部リンク
水戸啓明高等学校
https://www.mito-keimei.ed.jp/

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