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2024.09.25
自作PCの予行練習! 滋賀県の八幡工業高校でカスタムPC組み立て教室、ASRock原口さんが講師
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ASRockとBCNは9月15日、滋賀県立八幡工業高等学校で「カスタムPC組み立て教室」を実施しました。同講座はインテルPCマイスタープログラム「中級」の認定対象。当日参加した26人の生徒は座学と小テスト、実技を通じてPCについて楽しく学びました。
八幡工業高校は、滋賀県近江八幡市にある工業科単独の専門高校。昭和36年開校以来、1万4000人以上の人材を輩出し、ものづくりを支えています。スローガンは「やればできる八工魂」。新しい取り組みにチャレンジし続ける精神は、県内で初めて立ち上がったというeスポーツ部にも現れていました。
カスタムPC組み立て教室の当日は、八幡工業高校eスポーツ部「Ray Dragons」のメンバー約70人のうち26人が講座に参加しました。PC組み立て教室は座学、小テスト、PC組み立て体験の3ステップで構成されており、小テストで半分以上の正答率 を獲得したうえで全過程を修了すれば、インテルPCマイスター中級の認定を受けることができます。
インテルPCマイスターは、PCに関するさまざまな知識を身に付けたことを認定する資格です。PCを構成するパーツの種類や特性などを理解し、使用用途にあったパーツの選定から、PCの組み立て、PCに関するトラブル解決の知識を持った人が認定の対象になります。
なかでも中級は、PCで使用するパーツの違いを理解し、パーツの選定から組み立てを独力で完了できるレベルです。講座では、座学と組み立て体験を通じてPCに関する知識の向上を狙います。認定自体は中学生や高校生、大学生、専門学校生、社会人が取得することを想定しています。なお、本来は受講に際し2024年9月現在、7500円の費用がかかりますが、今回は無償での実施となります。
マザーボード選びも慎重に
座学では、PCパーツそれぞれの役割や、性能差の見分け方、規格などを学ぶことができます。講師はASRock Japanの原口有司さん。序盤のうちは、CPUの商品名は基本的に、数字が大きいほど性能が高いことを表している、Fモデルはグラフィック機能を搭載していないことを表しているなど、まさに序の口といった内容でスタートします。
しかし、少し進んでくるとCPUソケットの形状やPCIEスロットの世代の違いなど、高校生には耳慣れない専門用語が出てくるように。難しい顔をしながら一生懸命にメモを取る生徒たちを見て、原口さんは難しい話題を身近な体験に置き換えながら講義を続けます。ときには生徒の話を聞いたり、挙手を促したりと、参加型の授業にすることで飽きさせない工夫も見えました。
座学の終盤はテスト前の復習として、事前に用意した穴埋め問題を早押しで回答していくクイズを実施。
座学のなかでも評判だったのは、マザーボードの性能について。8月にBTOでPCを購入した上田さんは、「マザーボードはそんなに気にしていませんでしたが、今度からはしっかり選ぼうと思います」と、マザーボードの性能について理解を深めていました。また、原口さんの話し方も好評で、eスポーツ部部長の橋本さんは「原口さんの声がはっきりとしていて聞きやすく、話が頭にすっと入ってきました」と、絶賛していました。
小テストは10分間で実施。スマホ持ち込みOK ですが、一筋縄ではでは検索できない内容ばかり。授業の内容を踏まえて検索し、答えを見極める必要があります。時間ギリギリまで粘っていた生徒もいましたが、10分きっかりでタイムアップ。答え合わせでは、あちこちから嘆息がもれていました。
カスタムPC組み立てを体験!
テストで傷心していた生徒たちも、PC組み立て体験になると表情が晴れやかに。原口さんから注意事項の説明ののちに、三人一組になって基礎にあたるマザーボードを開封し始めました。
ワクワクしているとはいえ、PCパーツは高校生にとって高価なうえに精密機器。事前の説明でも「取扱注意」と厳重に言われているため、開封も恐る恐るといった様子です。その状況を見た原口さんは「確かに精密機器ですが、あんまりにも無理をしなければASRockのマザーボードは壊れません! むしろ、先端が尖っている部分があるので、手をケガしないように注意してください」と自社商品が頑丈であることをアピール。会場は笑いに包まれ、生徒たちも肩の力が抜けた様子です。
CPUを取り付ける際には「決してピンを折らないように!」と強く呼びかけられていたこともあり、生徒たちは緊張していましたが、マザーボードにメモリやファンを取り付ける際などかなり力を入れなければならない場面では、端子が折れないか心配しながらも全身の体重をかけて力強く押し込む姿が見られました。
今回の実技では全体で進めるのはマザーボードにSSD、メモリ、CPU、ファン、GPUを取り付けるところまで。ケースに組み込むまでの作業は3台に絞り、生徒たちは前方に集まって交代で順番にねじを回すなどして参加。PC組み立てのなかでも特に難しい配線については難航し、原口さんをはじめとしたスタッフのサポートを受けながら進めていました。
ついに組み立てが完了し、起動テストでは正しく配線されているPCはコンセントを挿しただけでLEDが点灯し感嘆があがりました。そして電源を入れてファンが回り始め、液晶ディスプレイにBIOSが無事に表示されると拍手があがりました。
3台のうち、2台は無事に起動。残る1台だけ起動しませんでしたが、こちらも教材にはピッタリ。なぜ起動しなかったのかを調べ、誤りがあれば正すという、学ぶには絶好のチャンスとなりました。判明した原因は二つ。一つはCPU電源がinとoutで逆に接続されていたこと。もう一つは主電源の接続が甘かったことでした。これらを解消し、無事に3台とも起動テストが完了しました。
最後は小テストの結果発表。半分以上の問題を正答できていれば合格となります。答え合わせで絶望していた生徒もいましたが、八幡工業高校の生徒たちは見事に全員合格。インテルPCマイスター中級の認定証を獲得しました。
「自分でも組み立ててみたい」
講座ののち、生徒たちに話を聞いてみると「楽しかった」と声をそろえます。小テストで満点をたたき出した橋本さんは「50分くらいの座学の時間が一瞬に思えました」と夢中だった様子。テストの半分は自力で回答し、もう半分はスマホで調べつつ記入、残った時間はスマホを使いながら繰り返し見直すことで結果を残しました。
PC組み立てについても、「最初は壊してしまいそうで怖かったんですが、実際にPCパーツを触るのは初めてで勉強になりました。できるなら、自分でも組み立てたいです」と、喜んでいました。
上田さんは、「もともと工作が好きだったのでPCの組み立ても楽しかったです。PCの中身を見ることができて、パーツがどのように接続されているのかよくわかったので、自分のPCも自分でパーツを交換してみようと思います」とコメント。二人と同じチームでPC組み立てに参加した大橋さんは「一人だと難しそうですが、二人が頼もしかったです。配線は難しかったのですが、自分でもPCを買って組み立てたいと思うようになりました」と話していました。
自らが使う道具についてよく知っておくことは、競技において基本です。F1レーサーが自分のマシンのことを詳細に把握することで繊細な運転を実現するように、eスポーツでも自らが使うPCや周辺機器のことをよく知ることで有利になる場面はあります。さらに、自らの力でトラブルシューティングができれば、修理費用を抑えることができる場面も出てくるでしょう。
インテルPCマイスター制度は現在、PC販売店やPC、周辺機器メーカーなどで働く際に取得しておくと有利になることがあります。原口さんは「今後さらにこの制度の認知を広げながら価値も高め、将来的にはさまざまな企業で履歴書に書けば一目置かれる認定書にしたいです」と展望します。
また、原口さんは「PCについてよく知ることで勝率を0.1%でもあげて、確実に勝利をつかんでほしい。それを繰り返し、いずれ組み立てにハマったら上級マイスターを目指してみてください。将来の可能性が広がるはずです」と、遊びの中にも未来につながる学びがあることを強調。講座を受けた生徒たちの将来に期待しました。
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外部リンク
インテルPCマイスター認定講座
https://intelpcmaster.redee.co.jp/
ASRock
https://asrock.com/index.jp.asp