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2022.08.11
「NFTゲーム」とは? NFTについても詳しく解説
- 解説
最近、「NFT」、「NFTゲーム」という言葉を目にする機会が増えており、「ゲーム」という言葉がついていることから、eスポーツを楽しむ人も関心を持っていることでしょう。また、報道では「お金が稼げる」、「儲かる」といった金銭面とセットで語られることが多いので、「気軽に接して良いものなのか?」という疑問もあるでしょう。
そこでこのコラムでは、NFTゲームに関心がある人に向けて、NFTやNFTゲームの意味や特徴、現時点での代表的ゲームや注意点をまとめます。
そもそも「NFT」とは
ここではまず、「NFT」という言葉の意味について解説します。ただし、NFTの技術的意味や商業的価値を詳しく解説すると、どうしても専門用語が増えて難解になってしまいます。そのため、ここでは細かい説明は省略し、出来るだけ日常的に使っている言葉を使います。また、高校生がeスポーツをプレーする観点を重視したコラムであるため、どのくらい利益が出るのか、どうすれば儲かるのか、といった利益面には触れません。
まず、「NFT」とは「Non-Fungible Token(ノンファンジャブル トークン)」の略語です。これを日本語に直訳すると、「非代替性トークン」とも言われますが、これでもわかりにくいのでもっと噛み砕きます。
非代替性とは、「替えが無い」、「唯一の」といった意味です。また、トークンとは、暗号資産と言い換えられます。NFTはデータの書き込みと読み込みしかできないブロックチェーンという技術が利用されていることから、簡単に改ざんされませんし、一般的なデジタルデータとは異なり、作成者や使用者の存在を情報として付加することができます。
従来のゲームソフトやデジタルアートなどのデータは無限にコピーができる特徴があり、それが便利なことで広く活用されてきました。しかしその一方で、作った人の権利を保障しにくいという性質もあります。
リアル空間では、市販の道具でも、著名な人が愛用すれば価値が上がる現象が起こりますが、デジタル空間では有名なプロゲーマーが使ったアイテムと、無名の人が使ったアイテムの区別がつきません。例えばビートルズのように世界的に有名なミュージシャンが書いた楽譜や、坂本龍馬のような歴史上有名な人物が愛用した小物なら、高い値段がついていても買いたい人がいるでしょう。つまりリアル空間での物品は、何らかの情報が付与されることで本来の価値より上がることが珍しくありません。
それと同様に「人気ミュージシャンがデジタル上で作った楽曲の元データ」であると保証された場合や、「将来有望と思えるデジタルアーティストがクリエイトした元データ」という情報が付加されれば、そこに新たな価値が生まれます。
NFTの技術を利用すれば、デジタルデータを唯一無二の存在と認定できるようになります。NFT関連の記事で、「著名人が発したSNS上のつぶやきデータが高額で取引された」としばしばいわれるのは、前述したようにそのデータが「オリジナルである」という保証があるからです。
また、データに価値がつくことは、買う側だけでなく、作る側にも意味があります。例えば現状では、無名のクリエイターが作ったデジタルアートなどは、何らかの方法でコピーされれば著作権を主張しにくいうえに、コピーが増えて商品価値を失うこともあります。NFTの技術を利用すればこのような問題を容易に解決できるので、クリエイターの権利保護にも役立つわけです。
要約すると、NFTはデジタルデータを代替の効かないものにする技術であり、これまであまり価値が無かった「データ」そのものに価値が生まれる、という点に着目されて話題に上がっているのです。
NFTを取り入れた「NFTゲーム」とは
前の項目では「NFT」そのものの特徴やメリットを解説しましたが、ここからは「NFTゲーム」について解説します。
NFTの技術は、ゲームの分野での利用価値が高いということで大きな話題になっています。ブロックチェーンの技術を使えば、開発したゲームのデータそのものに唯一無二の価値が生まれるだけでなく、ゲーム内のアイテム、キャラクターなどを唯一の存在にできるので、そこに価値が見出せるのです。
また、今までの一般的なゲームでは、苦労して手に入れたアイテムや頑張って育成したキャラクターも、ゲームのサービスが終了すれば消滅することが普通でした。一方、NFTゲームでは、アイテムやキャラクターのデータ自体を所有できるので、ゲームのサービスが終わったとしても、データは引き続き所有し続けることができます。この特徴から「データが資産になる」と言われているのです。
また、互換性のあるゲーム間での前提ですが、あるNFTゲームで使ったアイテムやキャラクターが別のNFTゲームで利用できるケースもあります。プレイヤーとしては愛着があり、使い慣れたデータが利用できれば嬉しいでしょうし、自分自身のアバター度が増すのも楽しい経験となるでしょう。
NFTゲームが注目されている理由
ここからはNFTゲームが注目されている理由を解説します。
そもそもNFT自体が新しい技術で注目されているから
言うまでも有りませんが、メディアや世の中は、常に「新しい情報」を求めています。また、そこに巨大な「利益性」があるとなれば、なおさら注目が集まります。NFTやNFTゲームは、今まで価値が見出されていなかったデジタルデータに価値を生むという性質があるため、「新たな市場」として注目されています。
実際に日本の大手ゲーム会社であるスクウェア・エニックスもすでにNFT業界への参入を発表していますし、海外でもUbisoftやテンセントなどがすでに参加する方針を見せています。そのため、現在はまだ数的にも少ないNFTゲームですが、今後さまざまなゲームが増えていくことが考えられます。
ゲーム内での不正(データ改ざん)ができないから
NFTゲームはデータ改ざんがしにくいうえに、仮に改ざんがあっても素早く見つけて排除できるメリットがあります。現状のゲームでは、不正なデータ改ざん(チート)によって、モラルを無視した勝ち方をする残念な人がいますが、NFTゲームであればそのような不愉快な思いをすることがほとんどありません。このため、ゲームの平等性や快適性が上がることが期待されています。
ゲーム内のアイテム・キャラクターを売買してお金を稼ぐことができるから
NFTゲームが話題になっている大きな理由の一つに、「利益が得られる」、「儲かる」という側面があります。ゲームをプレーする人からすると「ゲーム性はどうなのか?」、「面白いのか?」といった点が気になると思いますが、「利益性」の部分に着目した報道があることから、一般的な「ゲーム報道」より目につく場面が増えている傾向が見られます。
NFTゲームの代表的なタイトル
この項目では、2022年6月時点での代表的なNFTゲームを紹介します。なお、ゲームの説明のために、「プラットフォーム」、「ネットワーク」という言葉を使用しています。この二つの単語は、どちらも複数の意味を持っていますが、ここで言う「プラットフォーム」はゲームをプレーするうえでの対応OSを示します。また、「イーサリアム」や「バイナンススマートチェーン」、「Ronin」などは記事によって「プラットフォーム」と表記されることもありますが、ここでは紛らわしさを避けるため便宜的に「ネットワーク」と表記します。
さらに、NFTゲームは比較的新しいジャンルであるため、短期間にタイトルが増える可能性もあり、「代表作」と認識されるタイトルの入れ替わりが早い可能性があることを留意しておきましょう。
Axie Infinity(アクシーインフィニティー)
『Axie Infinity(アクシーインフィニティー)』はベトナムで開発され、2018年3月にリリースされた英語対応のアドベンチャーゲームです。対応プラットフォームはWindows、Mac、iOS、Androidで、ネットワークはRoninです。モンスターを育成することがゲームの目的で、ベトナム発ということもあってか、アジア圏で高い人気があります。
The Sandbox(サンドボックス)
中国で開発されたオープンワールドゲームです。英語だけでなく日本語にも対応しているので、日本人にも親しみやすい特徴があります。リリースは2012年で、プラットフォームはWindowsとMac、ネットワークはイーサリアムを利用しています。
『マインクラフト』を思わせるようなゲーム内での自由度の高さが特徴ですが、ゲーム内のLANDは不動産取引の対象にもなることから、今話題のメタバースとの親和性の高さでも話題になっています。
Crypto Spells(クリプトスペルズ)
『Crypto Spells(クリプトスペルズ)』は2019年6月25日に、日本のCryptoGamesがリリースした日本語対応ゲームです。ジャンルはいわゆるトレーディングカードゲームで、プラットフォームはiOS、Androidです。ネットワークはイーサリアムを利用しています。
デッキを組んで対戦するおなじみのゲームスタイルなので、「NFTゲーム」といってもなじみやすい特徴があります。イベントで好成績を収めることでレアなカードが入手できるなど、構造的にもわかりやすい作りです。
My Crypto heroes(マイクリプトヒーローズ)
2018年11月に日本のgumiとMChを運営元としてリリースされています。ジャンルはMMORPGで、プラットフォームはWebブラウザとiOS、Androidです。ネットワークはイーサリアムを利用しており、日本語に対応しています。
基本無料でプレー可能で、収益を求めないのであれば無課金のまま遊ぶこともできます。ゲームの特徴として、クエストで経験値を稼いだり、さまざまなモードのバトルを楽しんだりできますし、所有するヒーローやエクステンションを売買することも可能です。
Sorare(ソラレ)
2018年12月にリリースされたサッカーを題材としたトレーディングカードゲームです。Webブラウザ対応で、ネットワークにはイーサリアムが使われています。開発元はフランスのSorareで、英語対応のゲームです。
現実に存在するサッカー選手を使ってチームを作り、サッカーを行うという設定で、リアル世界での選手たちの試合におけるパフォーマンスが反映される仕組みになっています。そのため、実際のサッカーに着目するほどゲーム内でも好成績を収めやすくなりますから、サッカーが好きな人におすすめのゲームといえるでしょう。
STEPN(ステップン)
『STEPN(ステップン)』は2021年12月にリリースされています。オーストラリアのFind Satoshi Labが運営しており、言語は英語に対応しています。プラットフォームとしてはWindowsも利用できますが、iOS、Androidなどのモバイル端末が必要です。
ゲーム内のNFTスニーカーを購入して、ウォーキングやジョギングをするとGSTという仮想通貨が得られることを特徴としています。イメージとしては『ポケモン GO』などのリアル空間での活動が紐づけられるゲームと言えるでしょう。
NFTゲームが現状抱えている問題点
ここからは、NFTゲームが現状抱えている問題点をわかりやすく解説します。
ゲームとしてのクオリティが低い
NFTゲームは目新しさやお金が稼げるという観点で大きな話題になっています。しかし、ゲームファンやeスポーツプレイヤーの目線で、「一般的なゲームと比較してクオリティが高いか?」と問われると、全体的に高いとは言えない状態です。これは、今現在ゲーム作りの高いノウハウを持つ会社がまだ参入していないことや、十分な開発費がかけられていないことが原因です。
そのため、今後ゲーム作りを専門とする会社が参入していくことで改善される見込みがあります。個人としての収益性もありますが、市場規模が大きいと判断されていることで話題になっているNFTゲームですから、国内外のゲーム会社が注力する展開はそう遠くない未来に考えられます。
実際にスクウェア・エニックスやソフトバンクなどの日本の大手企業も参入を表明していますから、従来のゲームファンでもしっかり楽しめるNFTゲームが生み出されることは十分に期待できるでしょう。
遊ぶまで・お金を稼げるようになるまでのハードルがとても高い
「儲かる」、「稼げる」といった言葉と共に語られることが多いNFTゲームですが、仮想通貨の取引情報や銀行口座などを準備して、入力しなければなりません。そのため、高校生にとってはプレーするだけでもいくつかのハードルがあります。
また、プレーするだけなら初期投資がかからないNFTゲームもありますが、「稼ぐ」ことを目的とするのであれば、初期投資が必要なことが一般的です。初期投資の大小はゲームによって異なるので一概には言えませんが、始める前には自身の状況をよく理解したうえで、かかる費用や必要な手間をしっかり確認しておくことをおすすめします。
法整備が追いついていない
NFTゲームはゲーム内で換金性があるアイテムを扱うことなどから、金融商品取引法や景品表示法、資金決済法などが関連してくると考えられています。とはいえ、新しい形態で金銭や資産が取引されることから現在法整備の必要が求められているものの、まだ十分とは言えないのが現状です。さらに、ブロックチェーンの技術自体は安全性が高いと言われていますが、ハッキングで資産を失う可能性も指摘されています。
法整備の課題やウォレット送金などの面を考慮すると、経済的に自立してから遊ぶのがおすすめ
NFTゲームは世界各地で注目されているジャンルですから、前の項目で書いた問題点は、今後さまざまな議論を経て整備されていくことでしょう。とはいえ、現時点では、まだ多くの人にとってハードルが高いこと、不確定要素が多いことなどから、早急に手を付ける段階ではないと考える方が無難です。
「どうしてもやってみたい」という希望がある場合は、まず保護者や専門家に相談することが重要です。かかる費用や手間、リスクや注意点などを、プレーを希望する本人と大人の目でしっかり調査・確認して合意ができればやってみる、というスタイルをおすすめします。
詳しくなければ様子見がベター
NFTゲームが多く報道されているのは、「稼げる」、「儲かる」といった商業的な部分にニュースバリューを求めている面が多く、ゲーム性や面白さ、法的安全性の点ではまだ発達途上と言わざるを得ないのが現状です。
そのため、「ゲームとして楽しみたい」、「eスポーツの一環として検討したい」と考える人にとっては、まだ様子を見る段階にあると考えたほうが無難でしょう。今後、ゲーム性が向上し、法的安全性が確保されれば多くの人が接しやすいジャンルとなるでしょうから、現段階では冷静に見ることをおすすめします。
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