大会レポート

2020.11.12

高校生活の新たな目標「STAGE:0」、観戦から見えた期待

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 9月に開催された高校生向けeスポーツ大会「STAGE:0」。8月2日より始まった全国予選(北海道、東北、関東、中部、関西、中国四国、九州沖縄)を勝ち抜いたチームが、オンラインで開催された決勝大会を戦い抜いた。Fortnite部門、リーグ・オブ・レジェンド部門、クラッシュ・ロワイヤル部門のそれぞれの優勝チームと決勝大会の様子は、本サイトのそれぞれの記事を参照していただくとして、大会全体の総括をする。

Fortnite部門で優勝したN高校(記事はこちら

 今大会はご存じの通り、コロナ禍真っ只中で、開催自体が危ぶまれた。そのため昨年よりも開催時期を後にずらしたうえ、オンラインでの開催となった。多くの部活動大会やイベントが中止になる中でも開催できたことは、参加を考えていた高校生にとってこれ以上にない喜びとなっただろう。

 STAGE:0自体は今年が2年目。まだ歴史の長さも知名度の高さもないが、すでに定番イベントとしての気配を帯びてきている。昨年は、多くの高校や生徒が準備する間もなく、大会の開催が決まった。そのため、とりあえず参加してみる、もしくはもともと趣味でプレイしていたゲームが参戦タイトルとなっていた、と言う理由で参加する選手が散見された。

リーグ・オブ・レジェンド部門で優勝したN高校(記事はこちら

 ただ、1年経ったことで、同じような感覚で参加する学校だけでなく、STAGE:0の決勝大会を目指して活動をしてきた学校も現れた。その結果、すでに強豪校と呼べる学校まで出てきている。

 昨年、中学生だった生徒の中には、STAGE:0の配信を観たことで高校に進学してeスポーツ部に入部し、学内で仲間を募って今大会に参加した生徒もいる。高校生活の目的のひとつとしてみられているわけだ。

 今後、この傾向が強くなれば、他の高校スポーツ部のように、全国大会に出場するために、強豪校を狙って受験すると言う高校生も出てくる可能性はある。

クラッシュ・ロワイヤル部門で優勝した三田国際学園(記事はこちら

全員がレギュラーの大会

 今回の大会でも目立っていたのは通信制高校の強さだ。もともとオンラインとの相性が良いという特性がもろに現れた。例えば、N高校は全校生徒数が1万5000人と、規模の大きい高校の10倍以上の生徒数を誇っている。母数が多いほど強い選手がいる可能性もあるので、その点でも優位に働いているといえる。
 また、STAGE:0は規約として、同じ高校に通う生徒同士でチームを組んでいれば、同じ学校から何チームでも出場できると言うルールも影響している。

 eスポーツが部活として成立している高校はまだ少なく、参加チームの多くは有志で集まったメンバーによる参加だ。そのため、各校1チームの参加となると、どうやって代表選手を決めるかが問題になってくる。部活動の場合は、顧問やキャプテンなどレギュラー選手の選抜を行い、代表として参加できるが、そういったスキームはまだ確立していない。

 一見、まとまりが無いようにも思えるが、一般的な部活のように補欠やサブに回って試合に出ることなく引退する、という悔しい事態を避けることができるという利点もある。

 野球やサッカー部であれば、強豪校へ進学した生徒の中には、他の高校に進学していればレギュラーで活躍できるだけの実力があっても、補欠として3年間を過ごすこともあるだろう。

 一方、STAGE:0には強豪N高校でも各部門で数チームが参加していた。また、クラッシュ・ロワイヤル部門で優勝した三田国際学園は、決勝トーナメントの初戦で開成高校と対戦したが、関東予選の決勝戦でも開成高校の別チームと対戦し、計2回開成高校を下している。

通信制高校のクラーク記念国際やN高校、ルネサンス高校などは、すでに高校eスポーツの強豪校の風格がある

 高校生であれば誰でも参加でき、活躍できる場は、他では類を見ず、eスポーツ大会ならではの良さだと言えよう。大会終了後は、来年の開催も発表された。中学生が高校に入る目的のひとつとして、そして高校生であれば誰でも公式大会に参加できるチャンスとして、今後も多くの生徒が参加することを楽しみにできる大会としての存在を示してもらいたい。(ライター・岡安 学)

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