大会レポート

2021.12.19

第4回全国高校eスポーツ選手権 フォートナイト部門 決勝大会 初代チャンピオンの王冠を手にするのは……?

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 12月19日、第4回「全国高校eスポーツ選手権」フォートナイト部門決勝大会が開催されました。同部門は今大会から新設された競技で、全国から260校447チームが出場。今日の結果により初代王者が決定します。実況を岸大河さん、解説をShirasさんが担当するほか、MCとしてOooDaさん、アナリストとしてKilluAさんが登場し大会を盛り上げます。予選決勝の激闘を制した上位40チームが出場しており、よりハイレベルな戦いになることが期待される一方、大型アップデートによってマップや武器環境ががらりと変わっているため、選手たちがこの短い期間でどれだけ新環境に適応できているかも見どころになります。

決勝大会出場チーム1
決勝大会出場チーム2

 競技形式としては、バトルロイヤルのデュオモードで全5GAME実施し、それぞれの生存ポイントと撃破ポイントを合算した総合ポイントで順位を決定します。比較的生存ポイントの重要性が高いですが、より高い順位を狙うには撃破ポイントにも気を配る必要がありそうです。

各GAMEで順位ごとに得られる生存ポイントと撃破ポイント

GAME1

 一部マッチングエラーが発生したことでやり直しとなった第1試合。初戦ということもあり、各チーム落ち着いた滑り出しです。初動では新チャプターから追加された新アイテム「スパイダーマンのウェブシューター」や新武器「MKセブンアサルトライフル」を確保しているプレイヤーが多い印象があります。初動降下地からの移動で多くの地点で戦闘が開始。ルネサンス大阪高校 梅田eスポーツキャンパス「サボテン」対ルネサンス大阪高校「ミニデカポ中毒者」の同じ高校対決が発生。サボテンが一瞬の隙を突き1ダウンを獲得。その後しっかり取りきり2撃破ポイントを獲得しましたました。

ミニデカぽ中毒者を追い込むサボテン

 中盤戦に突入し、ストームサージが発生。ダメージ量が低いプレイヤーが継続ダメージを受ける中、落ちていくチームが続出します。その後のリングは水面のみの厳しい地点に。ここでハイグラウンドを取っていたのがS高校の「スバッシュ」。他チームもハイグラウンドの奪還を目指しますが、取り返すことができません。ローグラウンドで激戦が続き、徐々にチーム数が減っていく中、ハイグラウンドをキープし続けたS高校「スバッシュ」が見事ビクトリーロイヤルをつかみました。

S高校「スバッシュ」によるビクロイの瞬間
GAME1のポイント結果

GAME2

 初戦を終え、各チームの動きや方針がわかったGAME2。初動被せにより最初から撃破ポイントを稼ぐ動きがみられるようになりました。GAME1では多くのチームが持っていた「スパイダーマンのウェブシューター」ですが、ここではあまり拾われなくなるなど各チーム方針転換が見られました。各地で戦闘が発生した序盤を抜けた中盤戦。リングはシフティ・シャフト周辺に設定されます。移動を見据えて資材を温存するためか一旦戦いが落ち着きますが、一部チームはストームサージ対策か撃ち合いが続きます。ここで強気に攻めるのがN高校「イケボくん・まーくん」。浜松城北工業高校「すいっちぜいのたかあき」を攻め、倒し切ることはできますが「イケボくん・まーくん」はma-kun.62選手を落としてしまう痛い展開に。

ma-kun.62選手を失うも、意地で1v1を勝ち取るDELTA イケボくん選手

 その後、シフティ・シャフト南東にリングが移動し、ここでハイグラウンドを取ったのは吹田高校「あいうえお」。各チームから圧力をかけられますが、これを押し返ししっかりと高所をキープします。ローグラウンドでは激しい戦闘が起き、1人になっていた「イケボくん・まーくん」はここで脱落してしまいます。その後、終盤戦のリングはGAME1同様水上に。ハイグラウンドの吹田高校「あいうえお」対ローグラウンドの佐藤学園 ヒューマンキャンパス高校「よるC戦隊」という構図。「あいうえお」は二人同時にローグラウンドに攻め込み、見事ビクトリーロイヤルを獲得しました。

吹田高校「あいうえお」によるビクロイの瞬間
GAME2のポイント結果

GAME3

 2試合終了し各チームの総合ランキングが決まったGAME3。リングはマップ東に設定されるなか、前2試合と比較して積極的に撃破数を伸ばそうとするチームが続出します。ここで藤沢清流高校「明日から本気出す」が強豪のルネサンス大阪高校 梅田eスポーツキャンパス「鬼天竺鼠vs沙奈田丸」に攻め込み見事勝利。2撃破ポイントを獲得します。その後、リングは非常に水面が多く移動にたくさんの資材を必要とする難しい地点に設定されます。

水面ばかりで移動が厳しいリング。波乱の展開に

 安全地帯の影響かチームの減りが加速する中、ルネサンス高校 新宿代々木キャンパス「ちゅんちゅん丸」と上位のルネサンス高校 新宿代々木キャンパス「ハイグラマスター」が戦闘になります。「ちゅんちゅん丸」が「ハイグラマスター」に上手く対応し2撃破ポイントを獲得しました。その後、リングは上下左右に振られいずれも海の上に移動。プレイヤーにとって厳しい展開が続きます。ここでハイグラウンドを取ったのはS高校「スバッシュ」。水上の移動によって各チームの資材が枯渇していく中、全体的な戦闘地帯がローグラウンドへと移っていき状況は混戦を極めます。終盤戦は1欠けのチーム5人の激戦に。これを制したのは上手く高所を取っていたルネサンス高校 横浜キャンパス「200ダメージポンプ」respect Reetlol選手でした。

ルネサンス高校 横浜キャンパス「200ダメージポンプ」によるビクロイの瞬間
GAME3のポイント結果

GAME4

 吹田高校「あいうえお」による快進撃が続いたGAME3を終え、開幕したGAME4。下位陣が上位に食い込むには大量ポイントを獲得する必要が出てきました。今試合でも序盤から戦闘が続きます。ここでS高校「スバッシュ」対吹田高校「あいうえお」による上位陣同士の戦闘が発生しました。建築合戦が起きる中、「あいうえお」VLC ちょうなん選手が脱落。チームメンバーを欠いたALBA OTOME選手は堅実に逃げますが、厳しい展開になりました。

「スバッシュ」対「あいうえお」の上位同士がつぶし合う戦闘。「スバッシュ」が1撃破を獲得する結果になりました

 また、別の戦闘では総合得点でトップの吹田高校「あいうえお」を2位で追うルネサンス高校 横浜キャンパス「200ダメージポンプ」対強豪のルネサンス大阪高校「ミニデカポ中毒者」の戦いが発生。ここで「200ダメージポンプ」akatsuki 7.7選手がダウン。リングが迫るため「ミニデカポ中毒者」は深追いしなかったことで「200ダメージポンプ」が1欠けという状況になります。トップ2チームがパートナーを欠く波乱の展開です。その後、リングが上下左右に振られる中、今回は細かい河川がたくさん流れる地点になります。ここでハイグラウンドを取ったのはルネサンス大阪高校 梅田eスポーツキャンパス「サボテン」。激しい戦闘と資材の枯渇に各チームが追い詰めらる中、佐賀学園高校「デュフフニチャア」がハイグラウンドを取り返します。今試合では地面があることからローグラウンドの利点もありますが、ここで「デュフフニチャア」がローグラウンドの敵をしっかりと倒し切りビクトリーロイヤルを獲得しました。

佐賀学園高校「デュフフニチャア」によるビクロイの瞬間
GAME4のポイント結果

GAME5

 今大会の結果が決まるGAME5。これが最後になるだけに各チーム積極的に動きます。序盤の戦闘はもちろん漁夫の利を狙うムーブも続きます。そんな中、S高校「スバッシュ」と水戸平成学園高校「bnbr&renkun」と豊田大谷高校「とよたおおたに」の3チームが絡む戦闘に。「bnbr&renkun」が「スバッシュ」を取りきり、上位陣の一角が脱落します。その後、リングは南側の荒れ地のマップに。移動が続く中で「bnbr&renkun」がさらなるキルムーブを加速させます。優勝争いをしているN高校「パイナップル」に攻め込み意地の1ダウンを奪いますが、「パイナップル」salvage.クルル選手の素早いカバーによりあえなく倒されてしまいます。

既に優勝は狙えない「bnbr&renkun」ですが、果敢に攻めました

 中盤戦の時点では1?5位が残っているという展開。一方、上位争いに絡むN高校「パイナップル」は6撃破を稼いでいる状況です。ハイレベルな打ち合いが続きリング移動が始まるとたくさんのチームが一斉に引っ越しを始めます。ここでハイグラウンドを獲得したのが総合得点トップの吹田高校「あいうえお」。有利な地点を確保しましたが資材の枯渇に悩まされます。つらい状況でリフレッシュを狙って攻め込みますが資材不足で安全地帯に入れず脱落。各チーム前後不覚の混戦が続き、最終戦は1人を欠いた佐藤学園 ヒューマンキャンパス高校「よるC戦隊」よるC戦隊どんかちゃ選手対フルチームのルネサンス高校 横浜キャンパス「200ダメージポンプ」という布陣。1v2でC戦隊どんかちゃ選手は気迫の対応を見せますが、「200ダメージポンプ」が冷静に取りきり、2回目のビクトリーロイヤルを獲得しました。

ルネサンス高校 横浜キャンパス「200ダメージポンプ」によるビクロイの瞬間
GAME5のポイント結果

結果発表

 全てのGAMEを終え、いよいよ結果が発表されました。まず、総合ポイント3位に輝いたのはルネサンス高校 横浜キャンパス「200ダメージポンプ」です。2度のビクロイを獲得し爆発力を見せつけ結果47ポイントいう得点を記録しました。

3位入賞のルネサンス高校 横浜キャンパス「200ダメージポンプ」

 チームの一人であるKuga(画面上のプレイヤーネームは『respect Reetlol』)選手は大会を終えて「まずは安心しています」と安どのコメント。チャプター3に入って環境が変わり、練習時間も取れない状況だったこともあり、プレーに不安を感じていたとか。一方で、相方のakatsuki 7.7選手による指示にしっかりとついていったことで好成績を残せたと言います。また、「新環境に入って武器の火力が高いので、すぐに味方のカバーに入れるように意識しました」と語りました。


 続いて、総合ポイント2位に輝いたのはルネサンス大阪高校「ミニデカポ中毒者」です。ビクロイこそ獲得できませんでしたが、安定して1桁台の順位と高い撃破ポイントを獲得しており、48ポイントで1位と1ポイント差というところまで迫りました。

2位入賞のルネサンス大阪高校「ミニデカポ中毒者」

 この結果についてnosh_jp選手は「悔しいです」と一言。接戦を覆せなかった悔しさをにじませます。とはいえ、総合的な試合成績は非常に高い水準を保っていました。その理由としてnosh_jp選手「GAME1で初動死してしまって、そこから焦ってWキーを押して(積極的に撃破を狙う動き)ポイントを稼ぎました」と語ります。過去大会ではこの撃破ムーブを得意としていたそうで、自らに合った戦法が結果につながった形です。「ミニデカポ中毒者」の二人は、あまりチームでそろって練習する機会が少なかったそうですが、その分密度の濃いコミュニケーションを徹底することで連携をを維持していたとか。このチームワークも一役買ったのかもしれません。

 最後の総合ポイント1位、初代王者に輝いたのは吹田高校「あいうえお」です!高い生存ポイントもそうですが、数えきれないほどの撃破ポイントを量産したことで49ポイントを獲得。僅差の戦いを見事制しました。

総合優勝・初代王者となった吹田高校「あいうえお」

 インタビューに登場したALBA OTOME選手。「嬉しすぎて頭の中フラクチャーです!!」と今大会MC OooDaさんの持ちネタもじって気持ちを爆発させました。同チームはGAME1からトップを走っていたことから他チームに狙われる場面が多く、GAME5ではALBA OTOME選手が脱落してしまうシーンもありました。しかし、そんな危機的状況でもALBA OTOME選手「普段通り冷静に行動しました」と振り返ります。相方のVLC ちょうなん選手が残った場面も適切に指示を出しポイントに貢献しています。また、吹田高校は公立の全日制高校です。勉強をしっかりとこなしながらも、しっかりと練習時間を確保することが非常にに難しかったとのこと。それでも日ごろの実力を結果につなげることができました。

 最後には大会を通してのMVPも発表されました。ここで選ばれたのはやはりALBA OTOME選手です。各試合で超絶プレーを見せ、実況解説や観客を驚愕させました。インタビューにおいて、MVPになる自信はあるかと尋ねられ「ありました」と自信満々に回答します。

MVPを獲得した吹田高校「あいうえお」のALBA OTOME選手
背後の不意打ちに一瞬で対応し撃破した早わざ。解説Shirasさんに「ちょっとそれダメですね」と言わしめます
1マス先の相手の壁を張り替え、編集もし、撃破につなげる超絶プレー。実況解説陣は大絶賛しました。

まだまだ続く高e

 全国高校eスポーツ選手権初のフォートナイト部門は白熱する大熱戦が繰り広げられ、大盛況に終わりました。一方、大会自体はまだまだ佳境。来週25日にはロケットリーグ部門、26日にはリーグ・オブ・レジェンド部門の決勝大会が実施される予定です。こちらの両部門は過去大会での開催実績があることから連覇や2冠といったことも考えられます。両部門ともに当日の模様はリアルタイムに配信予定。高校生が熱い思いをかける同大会を最後まで見届けましょう。

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