大会レポート
2021.12.25
第4回全国高校eスポーツ選手権 ロケットリーグ部門 決勝大会 初優勝に連覇、栄光のトロフィーを掴むのはどこだ
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12月25日、第4回「全国高校eスポーツ選手権」ロケットリーグ部門の決勝大会が開幕しました。同部門では108校161チームがエントリーしており、今日の大会では予選決勝を突破した4校が激突します。2018年に開催された初回から続く同部門において、第4回の覇者となるのはどのチームなのか注目が集まります。出演者としては、MCをOooDaさんが務めるほか、実況をkokkenさん、解説をWaveさん、アナリストをValtaNさんが担当。また、応援レポーターとして大友美有さんが登場し、選手を応援します。

今大会に出場するのは、N高等学校「Nポテ」、可児工業高等学校「KTRL」、阿南工業高等専門学校「Kamase Dogs」、福井工業大学附属福井高等学校「サルの音楽隊」の4チームです。中でも、N高等学校は前回大会の優勝校で、今大会では連覇がかかっています。一方、阿南工業高等専門学校は第1回大会以来、2回目の決勝大会出場。当時は4位だっだだけに今大会への想いは強いかもしれません。また、可児工業高等学校と福井工業大学附属福井高等学校は初の決勝大会出場。こちらも初優勝がかかった重要な戦いとなります。

競技形式は準決勝と決勝ともにBO5形式で実施。最大で5Game行い、先に3勝したチームの勝利となります。初戦の準決勝第1試合は「Nポテ」 vs.「KTRL」、続く準決勝第2試合は「Kamase Dogs」 vs.「サルの音楽隊」です。その後、各試合を勝ち抜いたチームが対戦し優勝を決定します。
「Nポテ」 vs.「KTRL」
準決勝第1試合はN高等学校「Nポテ」対可児高等学校「KTRL」。


まずはGame1。まず飛び出した「Nポテ」がしっかりと2点獲得。選手紹介も終わらぬ間にリードを取ります。対する「KTRL」も負けじと1点返しますが、その後「Nポテ」は巧みなフォーメーションでさらに2点を稼ぎます。「KTRL」の懸命なディフェンスが続く中、「KTRL」は一瞬のタイミングを生かしさらに1点を返します。しかし、「Nポテ」はBurn選手のスーパープレーも含め3点を獲得。そのまま試合は終了し「Nポテ」7点に対し「KTRL」2点という結果に終わりました。

続くGame2。若干「KTRL」にとって悪い雰囲気が漂いますが、序盤は押し合いが続きます。しかし「Nポテ」はバンプを重ね堅実にブーストを集めまずは1点を獲得。そしてリスタート後にもさらに1点。「Nポテ」2点の滑り出しです。中盤に入り「Nポテ」がボールを持つ時間が増える中、「KTRL」は押され気味。若干の均衡が続きますが、やはり「Nポテ」が2点を連続で獲得、さらに突き放します。その後試合終盤でさらに「Nポテ」が1点を決め、「Nポテ」5点に対し「KTRL」0点という結果でした。
Game3。追い詰められた「KTRL」はここで負けると敗北が決まります。「Nポテ」によるボールの支配率が高い状態が続きますが、「KTRL」側も「Nポテ」の戦術を把握し対応できる場面が増えました。序盤は一進一退が続きますが、少し「Nポテ」が優勢。そんな中、引き気味のディフェンスの「KTRL」の隙を突き、「Nポテ」が1点を獲得です。その後、「KTRL」は何とか1点を狙いますが「Nポテ」のディフェンスにより一歩及ばず。ゲーム終わり間際に「Nポテ」が1点を獲得し「Nポテ」2点に対し「KTRL」0点。試合全体では「Nポテ」が3-0でストレート勝利しました。
「Kamase Dogs」 vs.「サルの音楽隊」
準決勝第2試合は「Kamase Dogs」 対「サルの音楽隊」です。


まずはGame1。キックオフでボールを確保したのは「Kamase Dogs」です。しっかりとボールをキープしローテーションによる波状攻撃を敢行、まずは1点を確保しました。続く流れでは「サルの音楽隊」がボールを支配し、確実に1点を返します。その後の中盤、「サルの音楽隊」のストライカーwhiterabbit25252選手がボールを持つと、チームメイトがこれに合わせて「Kamase Dogs」のクリアをバンプ。チームワークの1点を決めます。その後、一進一退が続き、若干「Kamase Dogs」が押される展開となります。「サルの音楽隊」はこれを堅実に押し切りさらに1点を獲得。「Kamase Dogs」1点に対して「サルの音楽隊」3点という結果に終わりました。
続くGame2。1試合の勢いに乗る「サルの音楽隊」は序盤から強力なプレッシャーをかけ1点をもぎ取ります。雰囲気を変えていきたい「Kamase Dogs」はここでボールを保持。一瞬の隙をものにし気迫の1点を返します。その後の中盤戦、一進一退の点の取り合いが発生。「サルの音楽隊」が2点、「Kamase Dogs」は1点獲得し終盤戦に突入。取り返したい「Kamase Dogs」ですが、「サルの音楽隊」がそのまま押し切り、「Kamase Dogs」2点に対して「サルの音楽隊」3点という結果に終わりました。
「サルの音楽隊」がとればこのままストレート勝ちとなるGame3。「Kamase Dogs」は後がなくなりました。序盤は「Kamase Dogs」がボールをキープ。堅実にゴールを狙いに行きますがカウンターを決められ、「サルの音楽隊」に1点を取られます。しかし、「Kamase Dogs」もこのままでは終わりません。すぐさま1点を返しトントンの状況。その後競り合いが続き両チーム積極的に攻めますが決定打には届きません。状況を打破したのは「Kamase Dogs」。しっかりとしたフォーメーションを生かした1点を決めリードを取ります。この時点で「Kamase Dogs」2点に対して「サルの音楽隊」1点という状況。両チーム攻撃が加速します。互いに1点を取り合った後、「サルの音楽隊」がGame終了間際に1点をもぎ取り、オーバータイムへ。お互いの展開が見えない中、「サルの音楽隊」が執念の1点をゴールし試合終了。Game3は「Kamase Dogs」3点に対して「サルの音楽隊」4点、試合全体では「サルの音楽隊」が3-0でストレート勝利しました。

「Nポテ」 vs.「KTRL」
いよいよ優勝が決まる決勝戦。「Nポテ」対「KTRL」の戦いになります。「Nポテ」の勝利でN高等学校が連覇を遂げるのか、それとも福井工業大学附属福井高等学校が初優勝を飾るか、手に汗握る試合です。


初戦のGame1。まずボールを支配するのは「Nポテ」。いい流れをそのままに堅実に1点を決めます。「サルの音楽隊」は自分達のテンポを掴みたいですが、個々の実力が高い「Nポテ」の攻めに苦しみます。さらに2点を決められ、「Nポテ」3点に対して「サルの音楽隊」0点という状況。その後の終盤戦、「サルの音楽隊」は果敢に攻めますが、取りきれません。「Nポテ」は猛攻を続け、さらに2点を獲得。「Nポテ」5点に対し「サルの音楽隊」0点という結果でした。
続くGame2。圧倒的な実力を見せつけた「Nポテ」に対して厳しい立ち上がりとなった「サルの音楽隊」です。若干「Nポテ」が優勢という状況で「サルの音楽隊」は素晴らしいディフェンスを見せますが、「Nポテ」がしっかりとこれを取りきりまずは1点。「サルの音楽隊」は攻めの姿勢を見せますが、「Nポテ」側は強力なプレッシャーをかけます。4連続でシュートを決め、「Nポテ」5点に対して「サルの音楽隊」0点という展開です。終盤に突入し、残り1分弱という残り時間で、さらに「Nポテ」が2点を獲得。そしてGame終了間際にもダメ押しの1点を取ります。「Nポテ」8点に対し「サルの音楽隊」0点でした。
敗色が濃厚な「サルの音楽隊」ですが、ここで流れを変えていきたいGame3。「Nポテ」は連覇に王手かけました。まずは1点を取りたい「サルの音楽隊」、シュートのチャンスをつくりますが、あと一歩届きません。それに対して「Nポテ」は冷静に2点を獲得。「サルの音楽隊」にとって厳しい状況が続きます。しかし、ここで終わりません。「サルの音楽隊」が理想的なシュートコースをしっかりとつかみまずは1点を返します。その後の中盤戦、流れが変わるかと思いきや「Nポテ」側はやはり強力。「サルの音楽隊」の懸命なディフェンスも通用せず4連続で決められ、突き放されます。その後の終盤戦。残り1分弱というところ。「Nポテ」がさらに1点を取り試合終了。「Nポテ」7点に対し「サルの音楽隊」1点という結果、試合全体では「Nポテ」が3-0でストレート勝利でした。

結果発表
全ての熱戦が終了し、ついに結果が発表されました。まず3位タイに輝いたのは可児工業高等学校「KTLR」です!

準決勝第1試合で「Nポテ」に敗れた「KTRL」ですが、予選を勝ち抜いてきた猛者の1チーム。立ち上がりは不調が続きましたが、徐々に切れのある動きを取り戻し「Nポテ」から2点を獲得。「N高は強かったですが、試合中に成長し、いい勝負ができてよかったです」と振り返ります。特にGame3では明確に動き変わった「KTRL」ですが、「Game2とGame3の間に、前日とかにみんなで話し合ったことを再確認して、みんなで戦おうと声を掛け合いました」と言います。敗色濃厚の戦況では雰囲気に飲み込まれてしまうことも多いロケットリーグですが、しっかりと立て直し「KTRL」らしいプレーで「Nポテ」と戦うことがができたと言えるでしょう。1年生や2年生も多い同チームですが、「来年もまたここに戻ってきたいです」と次回への意気込みを残しました。
続いて、同じく3位タイとなったのは、阿南工業高等専門学校「Kamase Dogs」です!

準決勝第2試合において福井工業大学附属福井高等学校「サルの音楽隊」とぶつかった同チーム。結果は0-3でしたが、その内容は決して悪いものではありませんでした。大会全体を振り返ってみて「Kamase Dogs」は「大会はとても楽しかったですけど、勝てなくて悔しかったですね」とコメント、「人生の中で大きな経験になったと思います」と晴れやかな様子。一方で試合内容については「やっぱり緊張があったせいで、『勝ちに行く』という気持ちが強くなり、楽しむことができませんでした」と反省点を語ります。動きが変わったように見えたGame3について、「ただのぬのきれ選手が先行している節があったので、一度下がってあとの二人が前に出てもらってローテーションを回して連携を取り戻そうとしました」とVCで話し合ったとか。結果にはつながりませんでしたが戦況をもりかえすことに成功しています。今後について同チームは「後進の育成に注力します」とのこと。有望な後輩にバトンを託します。
次に、準優勝の栄冠に輝いたのは福井工業大学附属福井高等学校「サルの音楽隊」です!

大会を終え、「満足しています」と一言。準決勝第2試合では奇跡的なゴールを決めて見せ、オーバータイムでもしっかりと点を取りきる勝負強さを披露。決勝戦では0-3で敗北を喫しましたが、攻めの姿勢を崩さず終始Nポテに食らいついていきました。同チームについては全試合を通してチームの雰囲気が非常に良かったという印象。どういった試合展開でも明るい声をかけあい、楽しみながらプレーする姿が見られました。これについて同チームは「実は今日のような雰囲気になったのは23日の練習をしていた時まで」と言います。「一個のことにこだわりすぎてて、そんなことをするぐらいなら各々が本領を発揮できるような雰囲気でやれる方がいいと思って変えようという話になった」とか。直前まではピリピリしていたようですが、ちょっとしたきっかけでこのようなチームワークを作れたのは驚きです。今回初めてオフラインの大会に出場したという「サルの音楽隊」、「来年は打倒N高を目標に掲げて戻ってきます」と闘志を燃やします。
そして、今大会で見事優勝のトロフィーを獲得することができたのはN高等学校(N高)「Nポテ」です!N高は第3回においても優勝を獲得しており、今回で連覇を制しました。

プロの競技シーンでも活躍しているBurn選手をはじめ、今大会において「Nポテ」の各メンバーは高校生とは思えない圧倒的な実力を発揮しました。試合内容については「みんないいプレーができてよかったと思います」とコメント。連覇がかかっているだけに相当なプレッシャーがかかっているであろうシチュエーションで、しっかりとそれぞれの強みを出し切りました。試合中はエースのBurn選手を抑えるため複数でディフェンスシーンも見られましたが、こぼれ球をsk選手などが落ち着いて決め切るプレーが見られました。これについても「練習でできたことがそのままできました」と振り返ります。一方、今回の優勝により、N高には連覇記録の更新という新たな目標ができたと言えます。今後については、「後輩にも強いプレイヤーがいて負けないように頑張りたい」とのこと。選手層の厚さが垣間見えました。
そして最後には今大会のMVPも発表されました。栄えある最優秀選手の称号を手にしたのは「Nポテ」Burn選手選手です!

準決勝第1試合で飛び出したスーパープレーをはじめとして、ゴールを量産したほか、ディフェンスでも味方をしっかりカバーしチームに貢献しました。競技シーンでも活躍されているだけあって、いずれの試合でもマークされていましたが、そういった障害をものともせずにこれらのプレーを連発しています。MVPを獲得したことについてBurn選手は「チームメイトのサポートと、Nチキ(予選決勝で対戦した同じくN高のチーム)も前日からオフラインで付き合ってくれていたので感謝しています」とコメント。仲間への感謝の気持ちを述べました。実は今年からN高に編入したというBurn選手。以前の高校では人が集まらず全国高校eスポーツ選手権には参加できなかったのだと言います。この結果はBurn選手にとっても悲願だったのかもしれません。また、Burn選手はこれまで多くの大会に出場してきましたが、プロシーンのオフライン大会は一度しか経験していないのだとか。全国高校eスポーツ選手権で2度目を経験し、優勝まで繋げたことは大きな成功体験になったかもしれません。
明日はLoL
さまざまなドラマが生まれた全国高校eスポーツ選手権ロケットリーグ部門決勝大会。多くの選手による熱いプレーが見られました。三部門で構成される同大会ですがロケットリーグ部門が終了したことでいよいよ終盤戦です。明日はリーグ・オブ・レジェンド部門が開催されます。こちらでもN校が登場予定で、驚異の2冠を達成する可能性が出てきました。対するはルネサンス大阪、アートカレッジ神戸、クラーク記念国際 CLARK NEXT Akihabaraいずれも強者ばかりで結果は分かりません。第4回全国高校eスポーツ選手権の行方をしっかりと見届けましょう。
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