大会レポート
2023.06.30
日本だからこそ味わえた感動、VCT Masters TOKYOレポート
- 大会/イベント
- VALORANT
6月11?25日の約2週間、タクティカルシューティング「VALORANT」の世界大会「VCT Masters TOKYO(Masters)」が開催されました。各国の代表が入り乱れる激戦のなか、VCT EMEAのFnaticがLOCK//INに続き、国際大会で2連覇を達成しました。

Mastersとは
Mastersは、アジア圏のVCT Pacific、ヨーロッパ、中東圏のVCT EMEA、南北アメリカ大陸圏のVCT Americasの3箇所のインターナショナルリーグの代表チーム3チーム(EMEAのみ4チーム)に、中国の2チームを加えた12チームで世界一を決める大会です。
日本チームはVCT Pacificに所属しているZETA DIVISIONとDetonatioN FocusMeの2チームが参加しましたが、残念ながらVCT Pacificで3位以内に入ることができず、Mastersへの参加がなりませんでした。ちなみにEMEAのみ1チーム多い参加となっているのは、先に行われた世界大会のLOCK//INでEMEA所属のFnaticが優勝したため、EMEAの参加枠がひとつ増えています。
Mastersは各インターナショナルリーグの1位とEMEAの2位をシードチームとし、シードチーム以外の8チームがグループステージとして対戦します。ここで勝ち上がった4チームとシードの4チームを併せた8チームでブラケットラウンドという、ダブルエリミネーショントーナメントで優勝を争います。
ダブルエリミネーション方式ですが、グランドファイナルでのリセット(アッパー側が一度負けても再試合になること)がなく、その代わりにマップをバン(使用禁止)にする権利を2つ持つこととなります。
グループステージとブラケットラウンドのローワーファイナルとグランドファイナル以外は千葉のTipstar DOME Chibaで行われ、ローワーファイナルとグランドファイナルは同じく千葉の幕張メッセで行われました。


各地から集まった代表戦
グループステージはPacificからDRX、T1、EMEAからNAVI、FUT Esports、AmericasからNRG、Evil Geniuses、中国からATTACKING SOUL Esports、Edward Gamingが参加します。ここから勝ち上がったのは、DRX、NRG、Evil Geniuses、Edward Gamingの4チーム。中国チームは下馬評では評価が低かっただけにEdward Gamingの勝ち上がりはジャイアントキリングと称されました。
ブラケットラウンドからはシードチームが参戦します。しかし、いきなりの波乱を見せます。LOCK//INの準優勝し、Americasで優勝したLOUDがいきなり敗北します。相手は同じAmericasのEvil Geniuses。Evil GeniusesはAmericasのリーグ戦では6位でギリギリPlayoffsに進出し、3位抜けでAmericasの代表となったチームです。しかも、リーグ戦でもPlayoffsでもLOUDに負けていただけに、大番狂わせと言えるでしょう。
さらにローワーブラケットではEdward Gamingにまさかのストレート負けを喫し、優勝候補の一角が1勝も、いや1マップも取れずに敗北となりました。かなり波乱含みの展開です。Fnaticがアッパーブラケットで早々にグランドファイナル進出を決めると、ローワーファイナルではPacificのPaper RexとAmericasのEvil Geniusesが相対します。トーナメントの妙もあり、残り3チームとなった時点ですべての地域のインターナショナルリーグのチームが残った形となりました。




世界一を巡る戦い
ローワーファイナルはこれまでのBO3とは異なり、長丁場のBO5での対戦となります。ここでは、フルラウンドの末、Evil GeniusesがPaper Rexを下しました。Evil Geniusesは大会中に成長するような気配で、まさに乗りに乗っている状態です。かたやグランドファイナルで戦うFnaticは、LOCK//INの優勝チームにふさわしい王者の戦いを繰り広げます。危なげない展開で勝ちを重ね続け、急成長著しいEvil Geniusesにも2-1で勝利しています。この対戦の1敗のみが唯一落としたマップと言う、完璧な展開です。
グランドファイナルはアッパー側のFnaticがマップバンの権利を2つ所有しており、ピック順もFnaticから始まります。マップ選択に関しては明らかにFnaticが有利となります。Evil Geniusesにとってみれば、得意なマップをふたつバンされたうえで、3勝しなくてはならないわけです。7つの選択肢のうち5つで優位に立たなければならないという苦境です。
結果は3-0のストレートでFnaticが勝利しました。Fnaticピックの1、3マップ目だけでなく、Evil Geniusesピックの2マップ目もFnaticがとるパーフェクトゲームとなりました。Evil Geniusesは2マップ目でなんとかオーバータイム(延長戦)にもつれ込むことが精一杯でした。


これでFnaticはLOCK//INに続き、2大会連続で世界大会に優勝したことになります。今シーズンの「VALORANT」の世界大会はChampionsを残すのみ。Championsも優勝し、グランドスラムを目指します。また、今回Fnaticが優勝したことにより、Championsの最終予選となるLCQのEMEAの枠が1から2に増加しました。日本チームとしてはPacificの枠が増えず、ひとつの枠を狙って争うことになり、厳しい戦いは変わらない状態です。
日本だからこそ味わえた感動
Mastersのチケットは、出場チームが決定する前に発売し、瞬時に完売となりました。その多くが日本チームの出場を願ってのことやそもそも日本チームは出場するものと思っていた人たちの購入によって成り立っていたといえます。なので、日本チームが出場できなくなった今大会が盛り上がるかは未知数でした。結果的には、筆者が取材したTipstar DOME Chibaも幕張メッセも、どの試合も満員で会場は沸き立っていたので、予想以上に盛り上がっていたと言えます。
海外の有名チームや有名プレイヤーが一堂に会し、それを間近で観られる機会は滅多にないので、コアファンは貴重なチャンスを噛み締めながら楽しんだはずです。そして、世界のトッププレイヤーがハイパフォーマンスを発揮したことでファンを魅了し、大会は大いに盛り上がりました。


幕張メッセの会場では選手が入場する花道の近くまで観客が近づけるようになっており、出場選手がハイタッチをしながら登場していました。大会終了後にFnaticの選手によるファンミーティングが急遽行われ、ファンのサイン攻めや写真撮影に対応。それを日本のファンが享受できたのは、日本で開催してくれたからこそでしょう。
LOCK//INでは多くの観客が優勝セレモニー中に退出してしまったという話もあり、いつまでも選手とのふれあいを楽しんでいた日本人ファンに対しても、Fnaticは喜びを感じたのではないでしょうか。
今後、日本で世界大会がいつ開催されるかわかりませんが、今回の盛り上がりは必ずRiot Gamesのeスポーツ部門には届いているはずです。近い将来、また開催される機会は訪れるのではないでしょうか。その時は、日本チームが実力で出場枠を獲得できるようになっていて欲しいところです。(ライター・岡安 学)
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■外部リンク
VALORANT
https://valorantesports.com/

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