大会レポート
2025.03.05
JAF公認eモータースポーツリーグ「UNIZONE」開幕戦が群馬で開催 名古屋OJAが圧倒的強さ見せる 会場ブースも充実 現場をレポート
- 大会/イベント
2月24日、日本eモータースポーツ機構(JeMO)は、日本自動車連盟(JAF)公認の新たなeモータースポーツリーグ「UNIZONE」の開幕戦をビエント高崎(群馬県高崎市)で開催した。


全国から5チームが参戦! チームもブースを出展!
「UNIZONE」とは、競技タイトルにiRacingを採用したeモータースポーツリーグで、全国から「遠州ハママツモータース」「群馬ダイヤモンドペガサス」「SaiShunkan Sol 熊本」「東京ヴェルディレーシング」「名古屋OJA」の5チームが参戦。
開幕戦となった今回は、オフライン開催となった。通常のモータースポーツではヘルメットの中に隠れてしまう選手の表情などが垣間見えるのは、eモータースポーツの面白さ。同機構の代表理事、出井宏明氏はそんな魅力を開会式で語っていた。実況や解説、現役プロドライバーによるゲスト解説も加わり、激戦が繰り広げられた。

現役レーシングドライバーの大嶋和也選手
開幕戦は富士スピードウェイの予選タイムアタックとスプリントレースから始まり、後半にはスパ・フランコルシャンでのスプリント・ミニ耐久レースが行われた。また、オフライン開催を生かし、会場では、出場チームのブース出展や、競技タイトルの体験コーナーのほか、イベントで司会を務めたセント・フォースもブースを出展していた。

現場レポートや現地での雑談配信などを行っていた
開幕戦から名古屋OJA一強を思わせる展開に 地元愛知出身 武藤壮汰選手が活躍
この開幕戦で圧倒的な強さを見せつけたのは「名古屋OJA」だ。ポケモンユナイトやストリートファイターでの活躍が目立つ愛知・名古屋のプロeスポーツチームだが、eモータースポーツでもその力を発揮。特に目覚ましかったのは、名門「Williams Racing」のeスポーツ部門でも活躍する、武藤壮汰選手。いずれのレースでもトップを走り、チームと同じ愛知県出身というのもポイントが高い。
特に圧巻だったのはミニ耐久レース。1周ごとにコンマ0.5秒程度の差を広げていき、2番手に9秒ほどの差をつけた。その後、小出峻選手にスイッチすると差はさらに広がり、最終的に2位のSaishunkan Sol 熊本に22秒もの差をつけた。
あくまでもリーグ戦なので、今後のレース次第ということもありそうだが、名古屋OJA VS 他4チームという構図がすでに出来上がったと言っても良いだろう。

名古屋OJAの各選手は優勝インタビューでは、今後の目標やUNIZONEへの思いなどを語ってくれた。

小出選手 現状、立ち位置はこのような形ですが、それに限らず、これからも見ている人を引き付ける展開、ストーリー、走りを見せていきたいです。個人的には、リアルとバーチャル両方の魅力を皆さんにお知らせできたらと思います。
武藤選手 愛知は、自動車産業も盛んなところです。今後、僕らのプレーを通して、モータースポーツの輪が名古屋から広がるとうれしいです。
齊藤選手 今回出番はありませんでしたが、レースだけでなく、eモータースポーツに関して自分からも何か発信していければと思います。
スーパーGTへのフル参戦も決定 女性ドライバー 小山美姫選手の活躍にも期待

また、男性選手ばかりの中で、女性選手が出場していたことも、特筆すべき点だ。群馬を本拠地とする「群馬ダイヤモンドペガサス」から出場した小山美姫選手は、国内のフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップで年間タイトルを獲得。日本最高峰の自動車レースとされる「SUPER GT」には2025年シーズンのフル出場が決まっており、リアルでも活躍中の女性ドライバーだ。開幕戦では、リアルとバーチャルのギャップに苦しんだようだったが、これからの活躍にも注目したい。
会場には各チームのブースも
さて、各ブースのようすも捉えたのでここで注目ブースを紹介する。
SOL 熊本ブース 格ゲー部門 ひぐち選手やネモ選手も応援に駆け付ける

注目はSS熊本ブース。どちらかと言うと格ゲー部門のイメージが強いチームなので、ブースにいたのもネモ選手とひぐち選手。レースの開始前にファンたちとの撮影会や交流を行ったとのこと。チームグッズを販売する物販コーナーも用意されていた。もちろんひぐち選手モチーフの「ひぐま」グッズも。
東京ヴェルディブース 選手になりきりPVも作れる

東京ヴェルディブースでは、選手になり切れる企画を用意。選手の紹介動画を自分で編集して作成でき、親子連れで盛り上がっていた。ブースにはブルーバックを作って、来場者を撮影。スタッフと一緒に編集することで、プロ選手さながらの動画を制作できた。


遠州ハママツモータースは地元浜松をPR!

JeMO代表理事の出井氏も触れていたが、地元の活性化という点もUNIZONEで目指していきたいところだという。そんな目的にうまくマッチしていたのは遠州ハママツモータースのブース。
浜松の観光PRを行っており、地元企業とコラボレーションして製作したというユニフォームも展示されていた。なお、この日は、開幕戦のパブリックビューイングを地元で行っていたという。ゲストにはレーシングドライバーの脇阪寿一さんを起用したというから、かなり豪華だ。

体験ブースで選手たちの凄さを改めて実感 フォーミュラカーの実車展示も

会場にはiRacingの体験ブースやフォーミュラカーの実車も展示され、乗車することができた。

筆者は初めてiRacingをプレーしたが、個人的にはグランツーリスモよりも挙動がシビアな印象があった。ストレートの後のコーナー手前でフルブレーキングをかけるとステアリングが乱れ、コーナー出口ではアクセルを徐々に開けないとすぐにスピンしてしまうなど、コースを周回するのに3回ほどマシンを大破させてしまうくらいだ。簡単そうに走る選手たちの凄さが改めて実感できる良い機会となった。
「リアルとバーチャルを行き来する」リーグに 地域での観戦イベントなども行いたい
iRacingは、グランツーリスモやアセットコルサに並ぶ、レーシングシミュレーターとして著名だが、レースゲームに触れたことがない人にとっては初耳な人も多いだろうと予想される。そんなゲームタイトルを競技に採用した狙いはどこにあったのだろうか。代表理事の出井氏は、大会開催の経緯とともにその狙いを「リアルとバーチャルを行き来すること」と語っている。

出井氏 iRacingが、リアルドライバーにも親しみのあるタイトルであるというのは大きいです。また開幕戦の地は、群馬県がeスポーツに親しみがある、地元の糸井ホールディングスも強い思いがあった、ということで選びました。あとは、一度エキシビションマッチを行った思い出深い会場でもありましたからね。
そして、JAFさんともよく話しているのは、シミュレーターからリアルに入る、その逆もしかりというところ。バーチャルでいうと、リアルでかかる機材費用と比べると、初期費用が安く参入しやすい。またシミュレーター自体の精度も年々高まってきています。こうした背景から、互いの業界がより発展していければ良いと考えているところです。
さらに、今後は各地域でこうした観戦イベントを開きたいとも考えていますし、バーチャルの良さは「距離を超えること」。海外のチームの参戦なども期待できるかなと思います。
参戦チーム数の目標は10チーム!? 次回はオンラインでの開催

チームの参戦という点では、イベント中のトークセッションで理事の一人、名古屋王者の片桐正大氏が「チーム数は10チームまで伸ばしたい」と語り、チーム数を増やしたい意向もあるようだ。
リアルレーサーも多く参戦するなど「リアルとバーチャルを行き来する」UNIZONEはまだ始まったばかり。地域を代表したチームが出場する点も興味深いが、片桐氏は「「Vtuberのような方が参戦したり、さまざまな方の参戦が可能なレギュレーションになっている」とも発言していた。今後の動きにも期待が集まるリーグといえるだろう。
eモータースポーツリーグ「UNIZONE」の第2戦は4月29日にオンラインで開催される。
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外部リンク
UNIZONE
https://unizone-emotorsport.com/

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