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2023.12.30

迷惑行為の「RMT」(リアルマネートレード)って何?意味や注意点を紹介

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 ゲーム関連の情報を調べていると、「RMT」という言葉を見かけることがあると思います。RMTとはゲーム内のアイテムや通貨、アカウントなどを売買する行為で、ゲーム業界に大きな悪影響を与えてしまうものです。

 このコラムでは、「RMT」がどんなものかをわかりやすく解説し、何がどのように問題なのかを明記します。

RMT(リアルマネートレード)とは?

 「RMT」とは、リアルマネートレードという言葉の略称です。意味としては、ゲーム内で得られるアイテムなどを、日本円などのリアル通貨で売買することを指しています。

 「もっと強力なアイテムが欲しい」「ゲーム内通貨をもっと手に入れたい」という願望を抱くのはゲームプレイヤーの性。もちろん時間をかけてプレーし、スキルを磨いていけば、強力なアイテムが手に入り、ゲーム内通貨もたくさん稼ぐことができます。

 一方、RMTを活用すれば、リアルの通貨と引き換えに強力なアイテムやゲーム内通貨をすぐに手に入れることができます。ここまで聞けば、ソーシャルゲームなどに見られる課金システムと何ら変わらないと思うでしょう。しかし、RMTはゲーム会社ではなく、RMT業者にお金を払って、ほしいものを獲得する行為です。「お金を払って買っているからいいだろう」と思うかもしれませんが、この点がRMTの大きな問題となっています。

公式でRMTが禁止(規約違反)とされている理由


 この項目では、ゲーム会社がRMTを規約違反としている理由をわかりやすく解説します。

プレイヤー間の不平等につながる 開発会社にも影響が?

 RMTは業者にお金を支払い、本来ゲームをプレーすることで得られるアイテムやゲーム内通貨を簡単に手に入れる行為です。こうなると、プレーをしなくても必要なものが手に入るので、ゲーム性が大きく損なわれ、プレイヤー間で格差が生まれます。

 RMTにより引き起こされるのは、プレイヤー間の不公平だけではありません。RMTを利用すると、ゲーム会社とRMT業者の間でも不都合な関係が生じます。

 ゲーム会社は、自社の責任で開発したゲームに関して、利益を回収するために課金システムを導入しています。その課金のおかげでゲーム会社に利益が生まれ、クリエイターをはじめとする社員や外注業者など関係者へ給料を払うことができます。さらに次のコンテンツや別のゲームをつくるための資金にもつながるわけです。

 一方、RMT業者にお金を払うと、ゲーム会社には一切お金は入りません。すると社員やパートナー企業にお金が行き渡ることもなく、新たなゲームを開発する資金も賄えません。そんなことがあらゆるゲームで起こり続ければ、ゲーム会社の存続が危ぶまれる事態となります。ゲームクリエイターを目指す人も減り、面白いゲームをつくることもできなくなるでしょう。RMTは、ゲーム文化の活気を奪い、最悪の結果を引き起こすのです。

RMT自体が著作権法違反とされる可能性があるから

 2001年に、「ときめきメモリアル」という恋愛シミュレーションゲームに関連する事件がありました。これは、「ときめきメモリアル」でハッピーエンドを迎えることができるデータを販売した人が訴えられ、著作権法によって取り締まられた事例です。

 判決は、ゲームのストーリーが本来とは違うものに改変されたという趣旨で下されています。そのため、細かいRMTが著作権法違反に当たるかは難しいですが、ストーリー展開に影響を与えるような規模で売買が行われれば、法に触れる可能性があります。

 また、RMTで売買するためのアイテムを不正なbotやチートを使って入手した場合は、不正アクセス禁止法で処罰される可能性もあります。

RMT業者によるプレーが他のプレイヤーの迷惑になるから

 RMT業者は、botやチートを使ってアイテムやゲーム内通貨などを集めています。RMT業者の利用者が増えれば増えるほど、botやチートがゲーム内に蔓延していくことになるでしょう。

RMT業者が操作する「bot」とは?

 「bot」とは何でしょうか。RMT業者はプレーを楽しむのではなく、できるだけ効率よくアイテムやゲーム内通貨を集められるのか、その一点にこだわります。そこで使用するのが「bot」です。「bot」とは、決められた動作を自動的に行うツールやプログラムを指します。

 botのすべてが問題なわけではありません。ゲーム用途に限らなければ、企業が顧客の質問に自動的に返答するチャットボットを使うケースは増えており、人的リソースを減らしながらも顧客に素早い対応ができる方法として広く普及しています。

 ゲーム内でのbotが問題なのは、無駄な動きを一切せず24時間稼働して、異常な数のアイテムを収集したり、モンスターの狩場を独占したりすることです。これを許せばゲームバランスが崩れ、一般のユーザーがゲームを楽しめなくなるので、プレーの大きな弊害となります。

RMTでやり取りされるもの

 RMTに話を戻しましょう。RMTでは、ゲーム内で獲得した武装や強化アイテムのほか、ゲーム内で使う通貨などが売買されます。また、アカウント自体が売買の対象になることもあります。

 基本的には「プレイヤーが欲しいもので何らかの譲渡の手段がある」ものが対象になります。

RMTは合法?違法?

 では、RMTは違法なのでしょうか。2023年12月現在では、日本にRMTを取り締まる法律はありません。RMTが著作権法違反になる可能性はありますが、著作権法だけですべてのRMTを取り締まることは難しいようです。

 ゲーム業界にとってマイナスの行為であるにも関わらず、残念ながら法的には裁けないのが実情です。

 RMTが増えるほどゲーム業界へのダメージは深刻となるので、各ゲームではRMTの利用禁止を規約に明記しています。その理由は、後述する「公式でRMTが禁止(規約違反)とされている理由」で紹介します。

RMTの利用は絶対NG!利用するリスク


 この項目では、RMTを利用したことで起こり得るリスクを記載していきます。

規約違反によるアカウントの停止・BAN

 RMTを直接的に取り締まる法律はありませんが、各ゲームは規約でRMTを禁じています。RMTの利用が発覚した場合、ゲームの運営側がアカウントの凍結や停止などの処置を行うことは珍しくありません。ゲームを遊ぶ時点で運営側が提示している規約に同意したことになるので、「RMTを使っちゃいけないなんて知らなかった」と後から訴えても、何の弁明にもなりません。

 RMTを使ってゲームを優位に進めても、そのアカウントが使えなくなってしまえば本末転倒です。それならば、RMT業者にお金を払った分だけ損をしているという考え方もできるはずです。

RMT業者経由で詐欺やハッキングの対象になる

 RMT業者は単にアイテムやゲーム内通貨を売るだけでなく、違法な手段で詐欺やハッキングを行う可能性があります。つまりRMT業者と接触することで、アカウントを乗っ取られるリスクもあるということです。

 ハッキングや乗っ取りをされてしまえば、アカウントに紐づけられたクレジットカード情報なども奪われるかもしれません。業者を使うことでこのようなリスクにさらされるならば、いっそのことはじめからRMT業者には接触しない方が良いでしょう。

 そもそもRMT業者は、ゲーム会社が禁止している行為を秘密裏に、そして計画的に行っています。また、一般のプレイヤーに迷惑をかけることを顧みず、自分たちの利益を得るために違法なチートやbotにも平気で手を出します。

 中には詐欺などには一切関わらないことを信条とする業者もいますが、何をもって詐欺や違法行為に加担していないのか、証明する方法はあるのでしょうか。そのポリシーの真偽は誰にもわかりません。

健全なゲーム体験の損失

 RMTを利用すれば、苦労無くアイテムやゲーム内通貨を獲得できる。しかし、それは本当に「面白いゲーム体験」となのでしょうか。

プレイヤーたちは、ゲーム内での正当な行動によってアイテムを獲得することではじめて、達成感を得て、楽しさを感じることができます。ゲーム開発者の狙いもまさにそこにあると言って良いでしょう。そして、お金を払うのであれば、RMT業者ではなくゲームを実際に作っている会社に支払ったほうが、そのゲームをさらに盛り立てることができます。それは、次回作の開発にもつながるかもしれませんし、未来への投資にもなります。

 現状の日本ではRMTを禁じる法律はないので、残念ながらRMTは違法ではありません。しかし、ゲーム会社はRMTを全面的に禁じています。RMT業者が増えるほどゲーム会社の利益は減り、運営が難しくなってしまうからです。

 上記の点を考えれば、RMTには近づかない、もし過去にRMTを利用したことがあっても次からは使わない、という強い気持ちを持ちましょう。

eスポーツタイトルだった場合、選手生命や評判に関わる

 botやチートが横行するようになったゲームは、自然と一般ユーザーが離れていきます。それがもしeスポーツタイトルであったら、そのタイトルを中心に活動していたプロゲーマーは活躍の場を失い、路頭に迷うなんてこともあるはずです。

 また、選手自体がRMTや規約違反行為に手を染めれば業界を追放される、というのはもはや言うまでもありません。

RMTは百害あって一利なし 絶対に利用しないようにしよう!

 RMTはゲーム内のアイテムやゲーム内通貨、アカウントをお金で売買する行為です。RMTは法律で取り締まることはできませんが、ゲーム会社は全面的に禁止しています。利用していることが発覚すればアカウント停止などの処分を受けます。

 RMT業者の中には接触したユーザーのアカウントなどの個人情報を不法に取得するものもいて、利用者は犯罪に巻き込まれることも多いです。そしてRMTが横行すると、プレー人口を減らす要因にもなるので、ゲーム自体やゲーム会社の寿命を縮めることにもなります。

 これらを踏まえると、RMTは百害あって一利なしの行為です。そのため、絶対に近づかないようにして、健全なゲーム環境を守りましょう。

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