解説
2025.04.16
今流行の「読み上げソフト」とは?人気キャラの対応ソフトについても紹介!
- 解説
近年AIの発達もあって「読み上げソフト」が進歩し、さまざまなシーンで使われるようになっています。最近は読み上げソフトを使ったナレーションの動画をよく見る、という人も多いのではないでしょうか。「読み上げソフトを使ってみたい」という人も急増しています。
とはいえ、読み上げソフトも非常に多岐にわたるので、「どのソフトに手を付けるべきかわからない」、という人も少なくないでしょう。そこで今回は、「読み上げソフト」の概要や利用されているシーンを解説します。また読み上げソフトを使用する上での注意点や、さまざまな読み上げソフトも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「読み上げソフト」とは?
「音声読み上げソフト」は、名称の通りテキストの情報を音声で読み上げてくれるソフトウェアです。あらかじめ録音された音声を組み合わせて使用することから、「音声合成ソフト」と呼ばれることもあります。
音声読み上げソフトは、視覚に障害がある方や文字を読むことが難しい方にとって、生活をサポートするソフトとして役立ちます。また、福祉や生活の分野だけでなく、企業の自動電話対応などにもすでに広く使用されています。さらに、動画に音声をつける際など、趣味や娯楽の分野でも世の中に浸透しており、特定のキャラクターボイスを利用する流れもできています。
そもそも、機械を使った音声合成技術は1790年代からすでに存在するとされており、コンピュータが登場した1940年代以降に大きく発展します。日本で最初にコンピュータを使った音声合成が行われたのは1950年代です。
その後もコンピュータや音を扱う技術の進歩とともに、さまざまな発展が続きます。キャラクター関連では、2000年代にボーカロイドの「初音ミク」をはじめとする歌声音声を商品化したものが発売され、一般の人も音声合成や読み上げを利用する流れが進んでいきました。
そして近年は、コンピュータだけでなくAIの技術が発展したこともあって読み上げソフトや音声合成ソフトのさらなる発展が続いており、有料のソフトだけでなく、無料のものも多数出回っています。
日本語のソフトだけでなくさまざまな言語に対応したソフトが開発されていますし、読み上げ速度を変更したり、読み上げる声の性別を選んだりもできるので、さまざまなシーンで耳にすることが増えています。
読み上げソフトは技術の向上によってかなり人間的になっていますが、まだ不自然な点もあるためので、生身の人間が読み上げた方がよい場面は多数あります。その一方で、カーナビの音声案内など非常に多くの言葉を組み合わせることが要求される場面では、生身の人間の声を使うよりも、労力や費用を大幅に削減することが可能です。
読み上げソフトが活躍するシーン
この項目では、読み上げソフトが多く活躍しているシーンを紹介します。
動画のナレーション
音声読み上げソフトは、YouTubeなどで配信されている動画のナレーションにすでに多数使用されています。また、Vtuberの音声やブログ記事の読み上げなどに利用されている場面も見かけます。
配信時のコメント読み上げ
動画の配信中に視聴者が書き込んだコメントを読み上げる際にも、読み上げソフトが使用されています。視聴者としてはコメントに反応してもらえると、配信の視聴を続けるモチベーションがわくので、視聴者数の維持やアップに有効です。
生活シーンやビジネスで利用されることも
読み上げソフトは、地震や津波などの災害時や弾道ミサイルの危険があるときなどに警報として利用される「Jアラート」にも使用されています。また、地域の観光案内や社内放送、企業の電話自動応答システムや各種教材など、身近な場面でも利用されています。
読み上げソフトを利用する際の注意点
ここからは、読み上げソフトを利用する際に注意すべき点を解説します。
無料と有料のソフトがある
読み上げソフトには、有料のものと無料のものがあります。
無料のソフトでも、近年は読み上げ機能自体はかなり向上しており、ピッチや読み上げ速度を可変できるものもあります。有料ソフトの無料版もありますが、無料の場合、月間に利用できる文字数制限が低く、有料版にすることで文字数が増える、といった違いが設けられています。
有料読み上げソフトの多くは、商用利用が可能であったり(無料でも商用利用できるものもあります)、発音が流暢であったりします。また利用できる音声が多かったり、調整機能が豊富であったりと、各商品によってセールスポイントはかなり異なります。
また、課金の仕方もサブスクリプションタイプや、買い切りのタイプもあるので、購入前にはじっくり比較することをおすすめします。
これから読み上げソフトを導入するのであれば、まず無料のソフトで試してみるとよいでしょう。
無料のものでもライセンス関連の規約はしっかりと確認する
読み上げソフト、音声合成ソフトはさまざまな形で販売、提供されているので、商用利用時のライセンス規約も統一されていません。そのため、規約やライセンスは個々のソフト、提供企業で異なっています。
カジュアルな雰囲気のソフトが多く、気軽にダウンロードして使用できるものも多いですが、実はその使い方は規約違反だった、というケースもあり得ます。そのため、商用、非商用にかかわらず、必ずライセンス関連の規約を確認したうえで使用してください。
ソフトによって編集・加工の自由度が異なる
読み上げソフトは、商品によって編集・加工や音声合成の自由度が異なります。そもそもあまり編集・加工をしない用途で使用するのであれば関係ないでしょうが、細かく音声を調節して読み上げてほしい場合は、どの程度の編集・加工ができるのかを事前に確認しましょう。
また、有料のソフトであれば多くの場合、課金しなくとも無料のお試し版が使用できます。そのため、無償の範囲でまず試して、希望する機能やスペックがあるかを確認してから課金することをおすすめします。
配信に利用したい場合、ソフトによっては対応されない(対応させるまでの工程が複雑)ケースがある
動画配信者がコメントの読み上げに広く利用している「棒読みちゃん」というソフトは、YouTubeやTwitchなどのコメント読み上げをさせるまでに複雑な工程を経る必要があります。
棒読みちゃんの設定については、提供企業である「CastCraft」が「棒読みちゃんの使い方」を発信しているので、ぜひ事前に確認してください。
このようにソフトによって目的を達成するまでの工程が異なるので、読み上げソフトを使って何をしたいのか、そのためにどんな工程があるのかは確認しておいた方が良いでしょう。
好きなキャラクターの声を使いたい場合、対応しているソフトを調べる必要がある
読み上げソフトの中には、単にテキストを読み上げるだけでなく、キャラクターの声を使って読み上げることに重点を置くものがあります。
次の項目ではキャラクターに特化した読み上げソフトや音声合成ソフトと、利用できるキャラクターボイスなどについて解説します。
今話題のキャラクターの声を使いたい!キャラクター別対応ソフト
この項目では、2024年4月時点で話題となっているキャラクターの声を使った読み上げソフトを紹介していきます。
ゆっくり(ゆっくり霊夢・ゆっくり魔理沙など)
「ゆっくり」とは、キャラクターを特徴的なデザインでデフォルメする表現のことで、ゆるい雰囲気とキャラクターの顔だけが描かれているのが特徴です。さまざまなキャラクターの二次創作として使われることが多く、代表的なのは「東方project」の霊夢と魔理沙。ゆっくりで表現された二人はそれぞれ「ゆっくり霊夢」、「ゆっくり魔理沙」と呼ばれます。
ニコニコ動画をはじめとした動画配信サービスではこれらのゆっくりで表現されたキャラクターが登場する動画がたくさん投稿されており、それらは「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」といったジャンルとして確立されています。これらのジャンルでは音声合成ソフトでの読み上げを使うことが多く、特に「AquesTalk」で声をあてられます。
「AquesTalkPlayer」はAquest社がリリースしているWindowsアプリで、AquesTalk音声合成エンジンを使用しています。漢字とかなが混在した状態でも音声合成ができますし、約36万語の辞書を内蔵することで、読みやアクセントの精度を上げています。
個人が非営利で使用する範囲では無償で使用可能ですが、商用利用にあたっては使用ライセンスの購入が必要です。
■対応ソフト
AquesTalkPlayer
東北ずん子・東北イタコ・東北きりたん
「東北ずん子」は、ずんだ餅が好きな女子高生という設定のキャラクター。SSS合同会社が制作している東北地方応援キャラクターでありつつ、関連コンテンツの総称としても知られています。
「東北イタコ」はずん子ときりたんの姉であり19歳で職業イタコという設定です。「東北きりたん」はずん子の妹で、きりたんぽをモチーフとしたキャラクターとして作られています。
「VOICEROIDシリーズ」は、株式会社エーアイが開発した音声合成ソフトの名称で、上記の東北3姉妹のほか、「京町セイカ」や「月読アイ」、「吉田くん」を含む多数のキャラクターの読み上げソフトを「VOICEROID」として扱っています。「VOICEROID」は事前に膨大な音声を収録しており、与えられたデータに対して自然に声をつなぐことを特徴としています。
■対応ソフト
VOICEROIDシリーズ
VOICEPEAKシリーズ
ずんだもん
「ずんだもん」は、東北地方を応援するキャラクターである「東北ずん子」に関連するキャラクターで、ずんだ餅をモチーフとする妖精という設定をもっています。
ずんだもんの声を使って読み上げができるのは、「VOICEVOX」というソフトです。VOICEVOXは「無料で使える」ことや「中品質」であることをアピールしており、読み上げや歌声合成ソフトとして活用されています。
商用と非商用のどちらも無料ですが、キャラクターの音声ライブラリを利用する際に、クレジット表記を義務付けていますので著作権違反にを問われないように注意してください。また、キャラクターのイラストを使う際のガイドラインもあるので、まず規約に目を通してから利用することをおすすめします。
キャラクターボイスは多数用意されており、子どもっぽい高めの声を持つずんだもんのほかに、ハッキリした芯のある声を持つ「四国めたん」や、優しくて可愛い声の「雨晴はう」、気品ある大人な声の「九州そら」や、明瞭で穏やかな声の「もち子さん」など、多数の用途をもつキャラクターが用意されています。
■対応ソフト
VOICEVOX
結月ゆかり・紲星あかり・琴葉姉妹
「結月ゆかり」、「紲星あかり」、「琴葉姉妹」の音声を利用するのであれば、「A.I.VOICE(エーアイボイスまたはアイボス)」というソフトを導入する必要があります。このソフトはAITalkという技術を利用した個人利用者向けのソフトです。
A.I.VOICEには、特定のボイスに別のボイスの声マネをさせるボイスフュージョンという機能があります。例えば、紲星あかりに結月ゆかりのような話し方をさせることができるので、表現方法が広がります。また、単語編集・登録、フレーズ編集・登録感情を込めたい際に使える発話スタイル調整など、さまざまな機能があります。
さらに、A.I.VOICEで入手できるキャラクターの音声データは商用利用ができます。イラストはキャラクターによってガイドラインが異なるので、事前にご確認ください。
■対応ソフト
A.I.VOICE
読み上げソフトを使って動画作成・配信をするなら併せて導入したいソフト
この項目では、読み上げソフトを利用して配信などを行う場合に、あわせて導入したいソフトを紹介します。
【配信・録画におすすめ】OBS Studio
「OBS Studio」は、PCを使ってゲームの実況や配信を行うために、音声や映像を統合するソフトウェアです。特定の企業が営利目的で開発したのではなく、何人かのフリーな開発者が最新ニーズに答えるために作っています。そのため、無料で入手、使用できることを特徴としており、配信を行う多くの人に利用されています。
「OBS Studio」はソースを配置する自由度が高いうえに、リアルタイムで音声や画質を変更可能です。また、YouTube Liveやツイキャスなどの複数のメディアに向けて、同時に配信することができる点も便利です。
■公式サイト
OBS Studio
【配信のコメント読み上げにおすすめ】CastCraft
「CastCraft」はYouTubeを使ってライブ配信をしている人に向けたサービスで、キャスコード社が提供しています。配信中に書き込まれるコメントを管理し、初めてコメントした人の判別や多数のコメントをしている人の把握を可能とします。
これによって視聴者と双方向のコミュニケーションを維持できるので、収益化もしやすくなります。YouTubeで配信を行う人に、ぜひおすすめしたいソフトです。
■公式サイト
CastCraft
【動画編集におすすめ】AviUtl・DaVinci Resolve
「AviUtl」と「DaVinci Resolve」はどちらも動画編集に広く利用されているソフトウェアです。どちらも無料ですし、日本語にも対応しています。
AviUtlは動作が軽いうえにカスタマイズもできることを特徴としています。またPCのスペックをさほど要求しないため、ライトユーザーにもおすすめです。
一方DaVinci Resolveは、それなりのPCスペックを必要とする分、本格的に動画編集をしたい人に向いています。操作的にも専門性がある人向けなので、すでにある程度動画編集をしている人に適したソフトウェアです。
■公式サイト
AviUtl
DaVinci Resolve
【まとめ】読み上げソフトを使って好きなキャラクターに読み上げしてもらおう!
近年、勢いよく発展を続けている「読み上げソフト」の概要や利用されるシーンのほか、利用時の注意点をまとめました。また、キャラクターに特化した読み上げソフトも紹介しています。
条件によって無償利用できるものもありますが、購入してダウンロードするもの、パッケージ販売しているものなどさまざまなので、使用する前にそれぞれのサイトで利用規約を熟読するようおすすめします。
ぜひこの機会に、気になるキャラクターを使った読み上げや音声合成にチャレンジしてみてください。
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