インタビュー
2025.03.26
eスポーツをもっと身近に まずは環境づくりから 神奈川県 相模原eスポーツ協会の「地域×eスポーツ」とは
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【「地域×eスポーツ」の最前線(1) 相模原eスポーツ協会】地域活性化やにぎわい創出といった観点から、全国各地でeスポーツの活用が広がっている。「『地域×eスポーツ』の最前線」はそんな「eスポーツの活用」を進める各地のeスポーツ団体などにスポットを当てた企画だ。記念すべき第1回は、神奈川県相模原市を拠点とする「相模原eスポーツ協会」を取材。同協会の理事長を務める山口秀雄さんに、協会を立ち上げるに至った経緯や最近の活動について話を聞いた。

──協会を立ち上げた経緯は。
山口さん(以下敬称略) 私たちは普段、障がい福祉施設を運営しています。協会の立ち上げは2020年でした。そのきっかけは2018年頃にみた「ゲーム障害」を報じるニュースです。
ゲーム障害はアルコール依存や薬物依存と同じ分類に入るというのが世界的な認識。確かに現場の肌感覚からしてみても、障がいを抱える人の方がゲームにのめり込んでしまうことが多いなと感じていたところでした。それで最初は、上手なゲームとの付き合い方を医師の方と相談しながら施設利用者に理解いただくことから取り組みを始めました。
その中でゲームを社会進出のためのツールにできないかと考え、その手助けのため、協会を立ち上げるに至りました。

──協会はどのようなメンバーで運営を?
山口 賛同いただいた従業員の皆様、学生さんや社会人のボランティアが参加いただいています。施設に通う利用者さんたちも、イベント時はスタッフとして活躍してくれています。イベントで培った力をこれから社会に出た時に生かしてくれたら良いなと考えています。
学生さんで言うと、福祉を勉強する方が「福祉×eスポーツ」という部分で共感いただき、参加していただける、といったケースもありますね。
──どんなイベントに携わっているのですか?
山口 多いのは地域交流や多世代交流といったテーマを掲げた市内のイベントです。こうしたイベントは、若い世代はなかなか来にくいというのが現状でした。
しかし、eスポーツは世代、障がいの有無、性別などに関わらず楽しめるインクルーシブな点が大きな特徴。我々が取り組んでからは、幅広い世代がイベントに参加してくれるようになり、活動の効果が見え始めています。
最近では地元の大型商業施設の集客でもお声がけいただきました。eスポーツタイトルを使用した体験会や大会を行いました。
相模原市が主催した「市制施行70周年を記念したイベント「さがみはらキーボードフェス2024」にも協力したりと、公的セクションからのお話をいただくこともあります。


山口 また、ボランティア活動として、重度障がいを持つ方でもゲームを体験できる体験会を市内各地で開いています。印象的だったのは、顎しか使えないある利用者さんが試合に勝利してすごく喜んでいたこと。なかなか思うように身体を動かせない方にとって、競い合うという経験自体が貴重なもの。そうした方にも楽しんでもらえるeスポーツの魅力を再認識できました。
──今後の展望などは。
山口 実は今、市内の小学校から「eスポーツに関する授業をしてほしい」というオファーを頂いています。
eスポーツやゲームで培ったものを社会でも役立てるようにする。その土壌づくりに貢献したいと考えています。
例えば、文部科学省では部活動の地域移行を掲げています。その中で、eスポーツによる子ども達の活動も地域単位で取り組んでいくのが理想です。習い事のような感覚ですね。
特にここ相模原市で言えば、2024年パリオリンピックのスケートボード女子ストリートで金メダルを獲得した吉沢恋選手がいます。メダリストになれたのは、幼いころから身近にスケートボードパークがあったことが要因の一つかと考えます。
eスポーツも幼いころから触れられる環境があれば、将来世界で活躍する選手や人材が生まれるのではないでしょうか。私たち相模原eスポーツ協会が、そのような環境を形づくる一助となれればと考えています。
──ありがとうございました!
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外部リンク
相模原eスポーツ協会
https://t.co/SNy32ICtwA

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