インタビュー
2025.05.02
「好きが嫌いになる、それを乗り越えられるか」LoLの元プロデューサー LJL元運営責任者 新川耕平さんに聞くキャリアのはなし
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【ゲームの進路相談室・第14回】eスポーツ・ゲーム業界で活躍する人の足跡をたどり、将来の夢を叶えるためのヒントを提供する「ゲームの進路相談室」。今回は、茨城県つくば市のeスポーツカフェ「Tsukuba Solid State」店長を務める新川耕平さんを取材。リーグ・オブ・レジェンド(LoL)の元プロデューサー、LoL 国内eスポーツリーグ「League of Legends Japan League」(LJL)の元運営責任者などの経歴を持つ新川さんがなぜeスポーツカフェを開いたのか、業界を目指す人へのメッセージなども聞いてみました。
(取材・文 / 寺澤 克)
オーストラリアで見た「PCカフェ」に憧れ eスポーツカフェ開業に至るまで
今はeスポーツカフェを開業し店長を務める新川さん
──これまでのご経歴について。
新川さん(以下敬称略) 新卒で入社したのは楽天で、いわゆるE-Books、楽天koboの立ち上げなどに関わりました。その後はスマホゲームを展開するアカツキでゲーム開発などに携わりました。それぞれ2年ほど在籍していました。
その次がライアットゲームズです。こちらは4年ぐらいですね。初めは日本向けのローカライズのやり取り、例えば翻訳ですとか、ボイスオーバーの編集、細かなバグの修正などを担当しました。特徴的なのは、Twitter(現X)でユーザーとコミュニケーションを取るという風土があったので、そのやり取りなどもしていたことですね。
それで気が付いたらマーケティングチームでリーグ・オブ・レジェンドのプロデューサー、さらにeスポーツのほうに移っていった感じです。LJLの運営責任者をやっていました。ただ、私自身もeスポーツと言われる前からPCゲームには親しんでいましたから、相応しくはあったのかもしれません。
──ご自身もeスポーツをプレーされていたのですね。
新川 はい、LoLのランクはシルバーだったのでそんなに強くなかったですけど(笑)。2001年にオーストラリアにサマースクールに行ったとき、PCカフェというものを初めて体験しました。バーッとPCがたくさん並んでいて、みんなカウンターストライクを遊んでいたんですよね。それからPCゲームは遊んできました。eスポーツって言われ始めたのが、だいたい2010年くらい。YouTubeなども発達していない時代から競技シーンなども見ていたので、今のような状況は感慨深くもあります。
──eスポーツカフェ開業に至るまでは。
新川 ライアットを退職してからは、フリーランスでITコンサルティングを始めました。もう5年目になりますかね。ただ、初めてPCカフェに行った時から、こういう施設をやってみたいという思いがありました。ライアット時代にも、プロチームが海外試合をしたときなど、現地の施設で練習することがあり、あちこちの施設を見てきた経験もあったので。それで今回茨城に開業できそうな物件があるということで、施設を開店したんです。
学生時代は単身で留学 今は「人と違うことがしたい」実践できている
──ご出身は?
新川 そういう時はだいたい「神戸」とは言ってます(笑)。生まれも実家も東京なんですが、親が転勤族だったので静岡に4年いたり、神戸に8年いたり、アメリカが一番長くて10年くらいいましたね。
──アメリカが長いんですね。
新川 親とは離れて、単身で寮生活を送っていました。もう、留学したほうが、生活が安定するんですよ。両親は転勤せざるを得ませんから。
就職活動も現地で始めました。しかし、リーマンショックが直撃して、1年ねばって全然変わらなくて、そして2011年ですね。日本で就活していたんですが、東日本大震災が起こって、面接の予定がいくつかなくなって。かなり就活は大変でしたね。
──振り返ってみて、自分の夢は叶えられていますか。
新川 「人と違うことがしたい」と思い続けてきました。今は割とやりたいことに近いんじゃないでしょうか。留学していたころも、もちろんライアットのゲームを遊んでいて、友だちと「ライアット入れたらいいねー」「でも日本支社ないし無理じゃん(笑)」なんて冗談ぽく話していたことがありましたが、それも実現できている。eスポーツカフェ開業の夢も叶いましたからね。
「好きなことが嫌いになるかも」 業界を目指す人にメッセージ
──eスポーツ・ゲーム業界を目指す人にメッセージは。
新川 もしかしたら、覚悟が決まっている人はこの質問の答えなんて気にしていないかもしれないですが(笑)。迷っている人、不安に思っている人がいれば参考にしてください。
正直、この業界は大変です。ゲームができるからそれ以外もできると思わないこと。むしろ、それ以外のことができてプラスアルファでゲームがある、そんな力をつけるのが理想的だと思います。
そして、好きなことを仕事にするのも思った以上に苦しいです。好きなことが嫌いになるかもしれない。そこを越えられるのが、好きなことを仕事にできる人なんじゃないでしょうか。
今では、キャスターやストリーマーだけでなく、イベントのコーディネーターなど、仕事の幅も広がってきています。花形に目が行きがちですが、自分の強みを生かせる役割を探す、これも一つのポイントなんじゃないかなと思います。
──ありがとうございました!
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外部リンク
Tsukuba Solid State
https://tsukuba-esports.net/

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