インタビュー

2025.04.02

芸人・プロゲーマー・アナリストを歴任したJapanese小池さんに聞く学生時代とキャリア、「困難を乗り越えた経験が今につながる」

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 【ゲームの進路相談室・第12回】 練習を重ねた選手たちが熱い試合を繰り広げ、たくさんの観客が熱狂するeスポーツシーンは、さまざまな人によって支えられています。連載企画「ゲームの進路相談室」では、そんな"eスポーツに関わる職業"と"その職業に就いた経緯"を紹介。将来の仕事をぼんやり考えるきっかけとなることを目指します。

 今回は、芸人コンビを解消し、eスポーツチームのデータアナリストとして活躍したJapanese小池さんに「自身の学生時代について」「学生の頃やっておいて良かったこと」「学生の頃やっておきたかったこと」を聞きました。

 最後に「eスポーツに打ち込む学生へのメッセージ」もあります!

(取材・文/松永 華佳 編集/小川 翔太)

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Japanese小池さん

中途半端なところでやめるのはカッコ悪い

──どのような経緯で現在の仕事に就かれたのですか?

小池さん(以下敬称略) 21歳でNSC(吉本興業の養成所)に入って、1年で卒業して芸人になりました。その後、5~6年目くらいの時にコンビを解散するよう言われて、プロゲーマーになったんです。最初は「Libalent Vertex(リバレントヴァーテックス)」というチームのプロゲーマーになりました。

 その後チームが移籍したのでZETA DIVISIONからの業務委託という形でデータアナリストの業務を引き継いでやっていました。現在はチームが解散し、芸人としても活動しながらプロゲーマーとしてステージに立つこともあります。

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──プロゲーマーになろうと決めた理由は何だったのですか?

小池 尊敬しているトータルテンボスさんの言葉が決め手でした。トータルテンボスの藤田さんが「めちゃくちゃいいじゃないか。小池が得意なことでお金を稼げて、活躍の場を与えてもらえる。お笑いは40代からでも50代からでもできるけど、プロゲーマーは今しかできない。隙間産業だし、俺は絶対やるべきだと思う。小池ならできる」と言ってくださって、腹を括りました。

 相方も「小池の得意なことでチャンスがもらえるなら絶対そうした方がいい」と言ってくれたんです。この2人の後押しで「じゃあコンビを解散しよう」ということになりました。

──学生時代はどのように過ごしていたのでしょうか。

小池 すごく活発だったと思います。中学生ぐらいの時から常にスポーツをしていました。小学校3年生の時は剣道で県大会準優勝して、4年生の時に「面白くないな」と思って飽きてやめました。その後、スーパードッチボールというスポーツや、中学校に行ってからはバスケットボールをやり、キャプテンや部長を務めました。スポーツは大学までずっと続けていましたね。

 何かをやると決めたら最後までは基本的にやり遂げていました。結果が出るまでとか、区切りがつくまでは必ず全部やっていたのですが、これは父の影響が大きいです。父が「中途半端なところでやめるのはあまりかっこよくない」というタイプで、何かの区切りや結果が出なければ辞めるという選択肢は僕の中にはなかったですね。

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「辞めない」を続けることが大事

──学生の頃やっておいて良かったことは何がありますか。

小池 「諦めない」「辞めない」習慣を身につけたことです。学生時代は何をやるにしても、困難なことがあっても一度チャレンジしてみないことには、その困難の意味も分からないと思っていました。

 中学の頃はバスケ部に所属していて、先生がめちゃくちゃ厳しかったんです。ただ、顧問の先生の真意を理解するには、バスケットというフィルターを通して真剣に向き合う必要があると感じていました。

 辞めるのってすごく簡単なんですよ。「もういいです」「明日からは来ません」の一言で終わり。でも、何かを続けるために自分の中で折り合いをつける方法を見つけることが大切だと思います。これは勉強でも、スポーツ、バイトでも同じです。

 今の仕事でもその経験が活きています。eスポーツでは365日毎日練習があって休みがほとんどないんですよ。正直、休みたいと思うこともあります。でも中学の部活の時にきつい経験を乗り越えられたから「俺って努力してきたし、諦めなかったし、やめなかった」という自信が活力になっています。どんなに辛いことがあっても「あの時の方がきつかった」と思えば乗り越えられるんです。

 習慣になってしまえば簡単だと言う人もいますが、その習慣になるまでが辛く、そこで多くの人が投げ出してしまう。継続するためには、その活動に面白みを見つけたり、過去の経験から「自分はできる」という自信を持ったりすることが重要です。学生の皆さんも、何でもいいので「辞めない」と決めたことを続けることが大事だと思います。

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人の痛みがわかる人になること

──学生の頃やっておきたかったことはありますか?

小池 今すごく後悔しているのが英語をちゃんと勉強しなかったことです。例えば野球選手やサッカー選手が海外に行く時は通訳の方が一緒についていくことが多いですが、eスポーツではそういった環境はあまりありません。

 僕のチームでは「英語ができないから海外移籍は難しい」とよく言われていました。実力は十分あるのに、言葉の壁でチャンスを逃してしまうんです。ゲームの最中は1秒間に三つ、四つの言葉が飛び交います。「敵はここにいて、次はどこから来るよ」といった情報を英語で素早く正確に伝えなければならないんです。

 当時は自分ができないから、チームメイトに「英語勉強しろよ」とも言えませんでした。世界大会に出場する時はもちろん、海外に移籍したり、もっと大きな舞台で活躍したりするためにも英語は必須です。時間があるうちに、脳が柔らかいうちに勉強しておけばよかったと本当に後悔しています。

──仕事で大切にしている価値観や考え方はありますか?

小池 人の痛みがわかる人になりたいと思っています。これは自分でも実践しようと思って難しいと感じるんですが、例えば新入社員に対して「見て覚えろ」と言うのも一つの優しさかもしれません。でも、人の痛みがわかる人は「俺も昔そうだったんだよな」と共感して丁寧に教えてあげられる。

 自分自身、部活や父親から厳しく指導された経験があって「なんでこんな言い方をするんだろう」と思うことがありました。だから自分は絶対にそうしないようにして「すごいよ、めちゃくちゃいいじゃん、次はこれやってみよう」というアプローチで接するようにしています。

 自分がされて嫌だったことをしないというシンプルなことを心がけたら、選手たちは勝手に練習してくれるし、勝手に上手くなってくれる、そういういい循環が生まれました。もちろん、人に恵まれたという運もあったと思いますが、自分自身が痛みを知れていたことは大きかったと思います。

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第一線を引っ張っている人たちに負けたらダメ

──eスポーツに打ち込む学生にメッセージをお願いします。

小池 eスポーツを仕事にするのであれば、何よりも情熱が大切だと思います。確かに世界を見れば数億円の賞金が出る大会もありますが、日本でここまでeスポーツを盛り上げてきた人たちは、そういうことにはこだわってはいなかったはずです。

 今から比べたら少ない金額でも、自分のプライドをかけて戦ってきた。むしろそれくらいしかなかったけど、それでも真剣だったのは、彼らの情熱があったからなんです。「俺が一番強いぞ」「このゲームは俺が一番好きなんだ」という証明をしたいがために出場してきた人たちが、今、第一線で引っ張っています。

 eスポーツに関わる仕事をするなら、そういったプレイヤーたちに負けない情熱を持つことが必要です。そうでなければ、選手たちが輝くステージをより美しく見せることはできないでしょう。「俺はゲームが好きだ」「この人たちをかっこよく見せてあげたい」という情熱がなければ、この業界では先人たちに追いつくことはできないはずです。

──Japanese小池さん、ありがとうございました!

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外部リンク

Japanese小池/じゃぱこ(@japanese_koike )
https://x.com/japanese_koike

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