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2021.07.27

eスポーツのタイトル別Tierは?「Tier(ティア)」の意味も解説

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 国内ライブ配信に特化した調査会社の配信技術研究所(配信技研)が、2020年の日本国内で開催されたゲームの競技的大会のライブ配信から、合計視聴時間に基づいたTier表を作成して発表しました。本稿では、これを基に視聴者数が多かったeスポーツタイトルを紹介。あわせて「Tier」という言葉の使い方や意味にも言及していきます。

eスポーツにおける人気タイトルのTier

 配信技研では、各配信プラットフォームのデータを集計することでさまざまな統計データを発表しています。今回は2020年に日本国内のeスポーツにおけるTier 1?3に上がったゲームタイトルをまとめています。

 選定基準は以下の通り。

  • 集計期間:2020年1月1日から同年12月31日
  • 集計対象:日本国内開催のeスポーツ大会のライブ配信視聴時間合計
  • Tierの基準:Tier 1は総視聴時間1億分以上、Tier 2は3000万分以上、Tier 3は1000万分以上

 なお、同じTier内で優劣はありません。

Tier 1

  • リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)
  • シャドウバース(Shadowverse)
  • ヴァロラント(VALORANT)
  • 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
  • IdentityV 第五人格
  • プレイヤーアンノウンズバトルグラウンズ(PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS )
  • レインボーシックスシージ(Tom Clancy's Rainbow Six Siege)

Tier 2

  • エーペックスレジェンズ(Apex Legends)
  • ストリートファイターV シリーズ
  • PUBG MOBILE
  • 荒野行動

Tier 3

  • スプラトゥーン2
  • グランブルーファンタジー ヴァーサス
  • プロ野球スピリッツA
  • モンスターストライク スタジアム
  • 鉄拳7

【注意】Tierはタイトル毎のユーザー数の優劣や人気を表すものではない

 Tier表では数値があげられているので、どうしても人気ランキングのような意味合いに感じてしまう人がいるでしょうし、タイトル自体の価値を問う順位だと考える人も少なくないでしょう。

 しかし、このTierはあくまでも日本国内の大会のライブ視聴者数を表すもの。国内におけるそのタイトルの盛り上がりを示す要素の一部分でしかありません。大会の種目として採用されやすいのは「面白いゲーム」ですが、同時に「競技性の高さ」も求められます。“大会として”盛り上がることが重要なので、個人がプレーして感じる面白さとは別のものです。この指標が、ゲームの完成度や全体的な人気ぶりを示すわけではないとご理解ください。

 また、今回の表でTier 1に入らなかったからと言って、そのタイトルが盛り上がっていないというわけではないことも注意しましょう。配信技研によると「Tier 3に含めたタイトルも国内で視聴時間が大きく発生しているもの」だと言います。表の中では相対的に盛り上がっていないように見えますが、この表にランクインしているだけでかなりの視聴者数を持つのです。

そもそも「Tier」とは?

 この項目では、そもそも「Tier(ティア)」という言葉がどんな意味で、どのように使うのかを解説します。

使い方の例

 「Tier」という言葉をeスポーツで使う場合は、ユニットや武器、カードゲームのデッキなどの強さを示すときによく使用されます。

 この場合、トップTier(Tier 1)は現環境における最強の立ち位置を意味します。最強の定義についてはタイトルによって変化しますが、おおむね「誰が使っても強い」「どのような相手にも互角以上で戦うことができる」などの意味合いを持ちます。

 しかし、Tier 1は同時に多くの人にとって攻略対象になりますから、Tier 2、3の使用者に負けることも珍しくありません。また、純粋なゲーム歴に左右される面も大きいので、「Tier 1を使えば絶対に勝てる」というわけではない点も注意が必要です。Tier 1に位置するものがゲームバランスに著しく影響している場合、ナーフ(nerf:弱体化のこと)されることもありますので、そういった点でも留意しておきましょう。

eスポーツ以外での使い方の例

 スポーツの世界においても、「Tier」はやはり階層的に使用されます。例えば特定のスポーツについて、各国における普及率を示すTier表があるとすれば、Tier 1にはトップアスリートが多く存在する国や、強豪ひしめくリーグがある国などが入るかもしれません。一方、Tier 3、4と数字が大きくなるほどそのスポーツがまだ浸透していない国が入りますが、Tier 3に分けられている国の代表がTier 1、2の層のチームに勝つことは珍しくありません。

 また、「Tier」という言葉はビジネスでも以前から使われています。例えば製造業では、メーカーから直接業務を依頼される元請けや一次請けをTier 1と呼び、Tier 1に部品などを供給する企業をTier 2と呼びます。

 この場合はお金の流れを可視化するピラミッド構造を指すことになりますね。こちらも一見、上下関係があるように見えますが、Tier 1の企業よりTier 2の企業の方が大きいことがありますし、小さくても高利益を上げている企業も少なくありません。会社の格付けとはまったく意味が違い、あくまでもサプライチェーンの流れを管理するために「Tier」が使われています。これらの使用例においても、「Tier」という言葉にランキング的な意味はないことが理解できるでしょう。

言葉が持つ本来の意味

 そもそも「Tier」という英単語を直訳すると、「(上下に並んだ)段」、「ひな段式座席などの段」、「層」、「列」といった言葉で表されます。

 ここまで解説してきたように、「Tier」はランキングというより「層」と理解した方が適切です。例えば進学校を決めるときや就職活動をするときに、最も行きたい企業や大学をTier 1、次の階層をTier 2と分けて対策していくなど、「Tier」の概念は日常でも役立ちます。

まとめ

 2020年のeスポーツの大会で多く視聴されたゲームタイトルを、「Tier」という概念で紹介した記事を引用し、eスポーツの世界でどのタイトルが盛り上がっているのかをまとめました。

 また、「Tier」という言葉について本来の意味や、ゲーム業界とそれ以外の界隈での使い方も記載しています。今後「Tier」という概念を、ゲームをプレイする時や生活の中で役立てていただけると幸いです。

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