解説
2021.09.21
ゲーム実況(動画)は著作権侵害?タイトル別の規約を確認しよう!
- 解説
これからゲーム実況を始めようと考えている人に必ず知ってほしいのが、「著作権」という法的権利です。
著作権とは、ゲームなどの作品を製作した企業および個人が持つ権利のことで、他者の作品を使用したコンテンツであるゲーム実況とは深い関わりがあります。
今回は、ゲーム実況をするうえで必ず確認すべき著作権について解説します。知らず知らずのうちに違法行為をして告訴されるといった事態を防ぐため、著作権に関する知識をしっかりと身につけましょう!
そもそも著作権とは?
そもそも、「著作権」とはどういった権利なのでしょうか。まず、人は生活の営みの中でさまざまなものを創作しますが、その際に生まれた創造物を「知的財産」と呼びます。これらの知的財産を他人に勝手に利用されないよう、創り出した人に対して与えられる権利が「知的財産権」であり、その中でも学術や芸術などにおける分野の創作者に与えられる権利を著作権と呼びます。ビジネスで活用される「発明」などでは特許申請といった手続きによって権利が得られるのに対して、著作権については手続きを必要とせず、著作物を生み出した瞬間に自動的に権利が発生することが特徴です。
では、著作物とは何か。著作権法によると、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定められており、ゲームもこの中に含まれます。
著作権法とは、著作物自体とそれを作った著作者の意思を保護するためのものであり、著作物が著作者の許可なく使用されたり、著作者の意思に反するような使い方をされたりすることを防ぐ法律なのです。この中には、複製権(著作者が著作物を複製する権利)や上映権(著作者が著作物を公に上映する権利)、公衆送信権(著作者が著作物を公衆に対して放送・配信する権利)など多数の権利が定められており、これらの権利を侵害することは許されません。
例えば、映画館でよく見る「NO MORE 映画泥棒」は映画における著作権に関する注意喚起のためのCMです。映画館で上映される映画の内容を撮影・録音したり、それをインターネット上に無断で公開したりする行為は著作権侵害にあたり、著作権法違反として告訴される可能性があるわけです。もちろん、『NO MORE 映画泥棒』という映像作品も著作物にあたるため、著作権が存在しており、これを許可なく使用することはできません。
ゲーム実況は著作権侵害になる
では、ゲーム実況の配信・動画は著作権侵害になるのでしょうか?
結論としては、残念ながら「ゲーム実況は著作権侵害になる」と言えます。ゲームは販売元企業などが著作権を有している著作物であり、先述した映画と同様、その映像・画像・音楽などを無断でアップロードする行為は著作権法違反です。
著作権侵害した場合、訴えられる可能性がある
自身の作品を無断で使用するなどの行為を確認した場合、作者は相手のことを著作権法違反として告訴することができます。
実際に著作権を侵害していると判断されれば、著作権法第119条に基づいて10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が課せられます。
著作権についての知識が薄く、軽い気持ちでやってしまったとしても、作者の意思によっては取り返しのつかない事態になります。他者が著作権を持つ作品の取り扱いには細心の注意を払いましょう。
ゲーム実況を認めている会社もある
一方で、ゲーム実況の動画はさまざまな配信サイトで見ることができますよね。このようにゲーム実況が著作権法違反となるにも関わらず文化として根付いている背景には、「ゲーム実況を認めている会社がある」ことがあげられます。
ゲームの著作権を有する会社がゲーム実況の配信・動画投稿などを許可している場合は、作者の意思に従ったうえでの使用となるため、基本的に違法行為にはあたりません。
ただし大前提として、「乱暴な言葉遣いやゲーム作品の品位を貶めるような内容は、現状黙認されていたとしても今後厳しく対処される場合がある」という点に注意しましょう。あくまで著作者の意思に基づき、作品を尊重したうえで使用することが大切です。
現在では多くのゲーム会社が自社作品の使用に関するガイドラインを公開しており、広告・宣伝効果の高いものやネタバレにあたらないゲーム実況は認められていることが多いです。
しかし、タイトルによってはゲーム実況が全面的に禁止されていることもあります。自分が実況したいタイトルの使用が許可されているかどうか、また、ゲーム実況をするにあたってのルールは事前にしっかり確認しましょう。
以降は、有名ゲーム会社が公開しているガイドラインの内容をひとつずつ解説していきます。
任天堂のガイドライン
「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」
任天堂は、自社作品全体に適用されるガイドラインを公開しており、「お客様ご自身の創作性やコメントが含まれた動画や静止画が投稿されることを期待しております」と、比較的ゲーム実況に寛大な姿勢を示しています。
任天堂のガイドラインにおける重要なポイントは以下の通りです。
- 個人で営利を目的としない場合は認められている。
→ただし、YouTubeをはじめとした任天堂が指定したシステムに限り収益化が可能。 - 法人は任天堂と契約を交わした企業以外認められていない。
→例外として、「あつまれ どうぶつの森」は企業・団体の使用を一部許可する内容のガイドラインが個別に公開されている。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントのガイドライン
ソニー・インタラクティブエンタテインメントから発売されているプレイステーションには「シェア機能」があり、ゲーム内の映像を録画してSNSなどに直接投稿したり、ブロードキャスト(ライブ配信)したりすることが認められています。
プレイステーションで発売されているタイトルの多くはこのシェア機能の利用を許可しており、ネタバレ防止などの目的で自動的にシェアできない(画面が真っ暗になる、音声が再生されなくなるなど)設定がされているシーン・タイトルの配信を避ければ基本的には問題ありません。
ただし、これはあくまでプレイステーションに搭載されている「シェア機能」に限って利用を許可されているため、キャプチャーボードの使用は認められていない場合があります。
タイトルによってはゲームの開発元企業がガイドラインを公開していることがあるので、キャプチャーボードを使用したい場合は個別に確認をしましょう。
スクウェア・エニックスのガイドライン
スクウェア・エニックスでは、タイトルごとに個別のガイドラインを公開しています。
代表的なタイトルのガイドラインは以下の通りです。
「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S」
→個人使用の目的に限り、動画投稿・ライブ配信・画像投稿が可能(著作権者の表示が必須)、YouTubeなど一部サイトでは収益化が可能。
「FINAL FANTASY VIII Remastered」
→同上
基本的な内容はおおむね共通していますが、実際にゲーム実況を行う際は必ずタイトルごとにガイドラインを確認してください。
KONAMIのガイドライン
KONAMIでは、基本的に個人による著作物利用を許諾していません。ただし、以下のように特定のタイトルについては個別のガイドラインが公開されており、ゲーム実況などの投稿や一部収益化が可能です。
SEGAのガイドライン
SEGAは、自社作品全体に適用されるガイドラインにおいて個人によるコンテンツ使用、YouTubeなどでの収益化を許可しています。
一部タイトルでは個別のガイドラインが用意されている場合もあるので、ゲーム実況をする際はタイトルごとにガイドラインがないかをチェックしましょう。
「ぷよぷよeスポーツ」
CAPCOMのガイドライン
『カプコン動画ガイドライン(個人向け)』
CAPCOMでは、全体ガイドラインによって個人によるゲーム実況の投稿・収益化を認めています。ただし、動画自体を有料公開すること(有料会員のみ視聴可能な設定など)は許可されていません。
「ストリートファイターシリーズ」や「モンスターハンターシリーズ」などの人気タイトルの使用も、上記の全体ガイドラインの規定に沿う形となります。
その他、人気ゲームタイトルのガイドライン
その他の会社による人気ゲームタイトルのガイドラインをご紹介します。
以下のタイトルでは、ガイドラインによってゲーム実況の配信・動画投稿および収益化が許可されています。
- Shadowverse/Cygames
- Minecraft/Mojang Studios
- フォートナイト/Epic Games
- Apex legends/エレクトロニック・アーツ
まとめ
ゲーム実況をするうえで非常に大切な「著作権」についての基礎知識から、有名ゲーム会社の著作権に関するガイドラインの内容までを解説しました。
ゲーム実況やライブ配信はコンテンツとなるゲームがあって初めて成立します。実況者にも視聴者にもモラルやマナーが重要視されるようになった近年では、あらかじめ示されたガイドラインに沿った活動を心がけ、ゲームに対するリスペクトを持つことがとても大切です。安心してゲーム実況を楽しむためにも、著作権に関する知識を深め、著作者の権利を守ることを意識しましょう!
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