高校eスポーツニュース
2024.06.29
益田東高校“eスポーツ特待生”、「全日本高校eスポーツ選手権」振り返り! キツい体力トレーニングの成果も
- インタビュー
日本一の高校eスポーツチームを決める「NASEF JAPAN全日本高校eスポーツ選手権」では、さまざまなドラマが生まれました。多くのチームが参加した「フォートナイト部門」にも数々の名場面がありましたが、今回注目したのは島根県の七尾学園 益田東高等学校「え?」チームです。全国でも珍しい“eスポーツ特待生”が優勝を狙い決勝大会まで進みましたが、全国の壁は厚いものでした。学校からの期待を背負う選手たちに、大会の感想と今後について話しを聞きました。
取材・文/南雲 亮平
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益田東高校の“eスポーツ特待生”とは? 授業料免除にかかる期待と効果
https://esports.bcnretail.com/column-interview/interview/231001_004440.html
決勝を経験したからこそ得た学び
── 決勝大会は強豪ぞろいで厳しい戦いでしたね。
石原佑一さん(以下、敬称略) 世界大会に出場している選手もいたので、本当に強かったです。
大羽カイトさん(以下、敬称略) ルネサンス高校などは特に強くて、もう追いつけませんでした。
── 予選も含めて、大会の感想を聞かせてください。
石原 予選、決勝のどちらにも言えますが、もっと自信を持ってプレーすることが大事だと思いました。
── どちらも緊張していたということでしょうか。
石原 緊張はもちろんしましたが、「倒されないように立ち回ろう」というのを意識し過ぎてしまって、攻めに行けずに倒されてしまいました。
大羽 生存を重視することで、順位ポイントを狙ったんです。ペナルティギリギリまで戦闘を避けていましたね。ただ、最後まで結構な人数が残っていて、安全地帯が小さくなってくると切り抜けるのが難しかったです。
石原 その結果、予選も決勝もあまり積極的にプレーできなくて、思ったように順位を伸ばすことができませんでした。でも、決勝の最後の試合に「もうどうにでもなれ」と思って好きにプレーしたら、すごく順位が伸びました。やっぱり強気が大切ですね。次があれば、最初から飛ばしていきます。
── そうした戦いのなかでも意識して実行していたことなどありますか。
石原 コミュニケーションを意識しました。
大羽 自分が考えたことをすぐに口に出して共有していました。
── コミュニケーションは大切ですね。事前に決めた役割分担などもあったのでしょうか。
石原 特に役割はなく、できる方がやるというスタイルでしたが、強いて言えば射撃の方が得意なので、射撃を担当しました。
大羽 自分はどちらかと言えば建築が得意なので、建築していました。
── それぞれ得意があると、作戦も立てやすそうです。練習した作戦などはありますか。
石原 相手を2方向から狙ったり、挟み込んだり、二人で連携を取る練習をしていました。
大羽 相手の建築を妨害して動きを封じながら戦うスタイルですね。
── 上手くいった場面はありましたか。
石原 強気でやっていなかったので、対面することがあまりなく、活かせませんでした。移動しているときに倒したり、相手の後ろから攻めたりすることが多かったです。
── となると、最終戦は積極的に攻めたからこそ、それまで見えなかった作戦を活かすチャンスをつかむことができたわけですね。
石原 もう少し試合数が多かったら、活躍できるチャンスがもっとあったかもしれません。あと、撃破ポイントの比重が大きかったので、もう少し順位ポイントを細かく設定してもらえたら助かります。
── たしかに、スコアボードでは総合得点が0ポイントのチームをよく見かけました。自分のチームが無得点だと、仕方ないにしても絶望感があります。少し順位ポイントを増やすだけでも見栄えは変わるかもしれませんね。
石原 あと、これは希望なのですが、できれば決勝大会を東京で開催してほしいです!
eスポーツで東京に行く、となれば達成感もあると思います。チーム数は多いので難しいとは思うのですが……。
── eスポーツで東京に行けるというのは夢がありますね! それに、全チームが集まってフォートナイトをプレーしたら、選手や応援する人も多くなるので、一層盛り上がりそうです。
ロードレースでも平均以上の結果を出せる体力トレーニング
── 大会に向けて、2人はどのくらい練習したのでしょうか。
石原 部活動でPCに向かっているのは、平日平均で大体1時間くらいだと思います。それ以外の時間はトレーニングなどをしていました。
── トレーニングというと、以前の取材で教えていただいた坂道ダッシュでしょうか。
石原 あと、動体視力や指のトレーニングもします。動体視力トレーニングでは、紙にバラバラの順番で書いてある数字を目で追いかけながら読み上げる訓練をしていますね。
── 訓練の効果を感じますか。
石原 コントローラーが軽く感じたり、キーボードやマウスが操作しやすかったり、トレーニングを始める前との違いは感じます。
大羽 家でも、点を目で追いかける動画でトレーニングしています。
石原 体力トレーニングもあって、体力はつきました。学校のロードレース大会でも、eスポーツ部は真ん中くらいの順位ですね。
── 体を動かす時間が多いですね。結果が出ていると、やる気にもつながりそうです。家でもトレーニングしているとのことですが、土曜日や日曜日も部活はありますか。
石原 土曜日は部活がありますね。10時から13時までが競技練習で、14時まで昼休み、14時から体力トレーニングです。春休みも同じようなスケジュールで活動しています。日曜日は自主練です。
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特待生も入部!ハードな体力トレーニングにも取り組む七尾学園益田東高等学校
https://esports.bcnretail.com/highschool/highschool-tanbou/230729_001300.html
長期休みもガッツリ部活
── 春休みもガッツリ活動とは、けっこうハードですね。そういった部活であるということは、部活の説明会などでも事前に知っていたかと思いますが、それでも入部した理由を教えてください。
石原 最初は「勉強頑張ろうかな」と思って益田東高校の体験入学に参加しましたが、同時にeスポーツ部の体験会がありフォートナイトをプレーしました。どうやらその時に顧問の先生や先輩が僕の技術力を買ってくれていたらしく、特待生の話までいただので、入部する決断をしました。
大羽 僕は入学後の体験入部がきっかけです。友だちと「入ろうかな」って話していて、その流れで入りました。部活で取り組んでいるフォートナイトを入学前からプレーしていた、というのも理由としてあります。
で、入ってみたら、体力トレーニングがあることは知っていましたが、想像以上に本格的で驚きました。
── 入部のきっかけが別々ということは、2人がチームを組んだのは入学後でしょうか。
石原 そうですね。でも、2023年1月に開催された「益田東eスポーツDAY」という大会で、僕が1位で相方(大羽さん)が2位だったので、お互い認識はしていました。それで、入部後に実力が近いということでチームを組みました。
── 今後の目標などはありますか。
石原 決勝最後に結果を残したときのように、強気にプレーしていきます。全部の高校生大会の決勝に残って、実績を作りたいです。
大羽 相手と対面した時の動きや、キャラクターコントロールなどのテクニックが苦手なので、それを克服するために、練習に取り組んでいきたいです。フォートナイトの公式大会も頑張りたいですね。
顧問の先生にあこがれて
── さらに先の話になってしまいますが、将来やりたいことや夢はありますか。
石原 eスポーツの関連と言えば関連なのですが、教員を続けながらeスポーツコーチという形がベストですね。
── そう思ったきっかけは。
石原 地歴公民科の担当で、部活の顧問でもある進藤先生にあこがれているからです。授業で何かを教えるのは多分楽しいだろうし、そのうえ自分の好きなeスポーツを教えることができたらいいな、と考えています。部員をちゃんと強くできる方法を確立できたらなお理想です。
── 教師冥利に尽きるようなお話ですね。大羽さんはいかがでしょうか。
大羽 具体的には決まっていませんが、コンピューター系に進みたいと思っています。eスポーツが好きになって、機械のほうにも興味を持ちました。
── eスポーツやゲームが将来を切り開いているんですね。ちなみに、二人は家で、どのような環境でフォートナイトをプレーしていますか。
石原 ゲーミングPCです。親に買ってもらいましたが、今はバイトをしてお金を返しているところです。パーツなども自分で選んで買いました。次回に向けて、これで練習頑張ります。
大羽 僕はXbox Series Sです。
── え! なかなか聞かないゲーム機が出てきました。
大羽 本当に周りにはいませんね。大体みんな、PlayStation 5やゲーミングPCです。PS5は発売当時、どこに行っても全く買えませんでしたが、Xbox Series Sはすぐ買えましたし、もっと安くリフレッシュレート120Hzが出るということだったので買いました。
── 二人とも自分で選んだ機材で練習しているんですね。体力トレーニングはキツいかもしれませんが、次回大会に向けて、頑張ってください!
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外部リンク
七尾学園 益田東高等学校
https://masuda-higashi.com/
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