高校eスポーツ探訪

2022.07.30

30年以上の歴史を持つパソコン部にeスポーツが新たな風を吹き込む 湘南学院高等学校 前編

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【高校eスポーツ探訪・12 前編】 1932年に女学院として設立し、2000年に共学化した湘南学院高等学校は、多数のプロサッカー選手やプロゴルファーを輩出していることで知られています。共学化するまでは多くの女子生徒が卒業後に就職の道を選んでいたことから、学校は部活動を通した人材育成にも注力しており、表計算検定などの資格取得を目的としたパソコン部を1988年に設立しています。このパソコン部は30年以上の歴史を持ち、計算スピードを競うような競技性の高い活動にも取り組んでいます。そして、2021年からパソコン部にeスポーツが導入されました。eスポーツ部を新設する高等学校が多い中、既存の部活動がeスポーツに取り組んでいる珍しい例です。第12回では、湘南学院高等学校のパソコン部顧問の工藤先生と部員2人に聞いた話を前後編に分けてお届けします。(取材・文/キズグチアロエ 写真・構成/銭 君毅)

eスポーツの効果は絶大

??さっそくですが、簡単な自己紹介とパソコン部について教えていただけますか。

工藤佑大先生(以下、人名は初出以降敬称略) パソコン部顧問の工藤です。普段は情報系の授業を担当しています。パソコン部は、現在20人前後が在籍しており、平日の火曜日から金曜日に活動をしています。活動内容としては表計算関連の資格取得を目指して勉強をしたり、eスポーツに取り組んだりしています。

 パソコン部としての歴史を大事にしているので、資格取得・eスポーツのいずれかを目的に入部した生徒が、もう一方にも取り組んでくれて、どちらも楽しいと感じてくれるような部活を目指しています。

 顧問は2名体制でして、主顧問を鰐川先生、副顧問を私が担当しています。鰐川先生は、当校が輩出している数々のプロスポーツ選手を顧問として見てきているベテランの先生で、パソコン部を設立した先生でもあります。

パソコン部副顧問の工藤佑大先生

??2名体制なんですね。eスポーツに取り組まれたのはいつからなんでしょうか?

工藤 2021年の3月から導入していて、eスポーツに関しては主に副顧問の私が担当しています。eスポーツの導入が決まったのは、神奈川県横須賀市が行っている「Yokosuka e-Sports Project」という制度がきっかけです。この制度では横須賀市内の高等学校に対して、ゲーミングパソコンなどの機材を貸与しているので、当部活もこちらの制度を利用しています。

??eスポーツの導入に対して、周りの先生の反応はどうでしたか?

工藤 「eスポーツ楽しそうだね」と肯定的な反応でしたよ。ただ、eスポーツを導入した年度では想定していたよりも部員の数は増えませんでした。私も普段から家庭用ゲーム機でよくゲームをプレーしているので、私よりも若い生徒はもっとeスポーツに飛びつくと思っていました。

??それは意外ですね。今年度はどうでしたか?

工藤 インパクトのある導入年度が少し残念な結果だったので、今年度はどうなるか不安に思っていたんですが、なんと入学したての1年生が12人も入部してくれたんです。話を聞くかぎりでは、資格取得とeスポーツの両方に取り組める点が人気のようです。鰐川先生は「1年生は期待の星だね」と喜んでいました。

活動内容が周囲に伝わりづらい側面もあったというパソコン部。eスポーツの導入で部活に活気が生まれたとか

??12人も! 部活動の雰囲気も変わりそうですね。

工藤 そうなんです。本年度から部活動の雰囲気がガラッと変化したんですよ。以前は良くも悪くも真面目な部員が多くて、集中して資格勉強に取組む静かな部活動でした。

 現在はeスポーツにほとんどの部員が積極的に取り組んでいて、普段は見られないような表情や感情を表現してくれています。eスポーツがなかったら入部していなかったんだろうなと思えるぐらい、eスポーツに楽しく取り組んでくれていますね。eスポーツの効果は絶大で、部活動の教室の雰囲気が明るくなりました。

eスポーツでPDCAサイクルを学んでほしい

??eスポーツに取り組む部員の様子を教えてください。

工藤 高校生を対象としたeスポーツ大会への出場を目指して、League of Legendsやフォートナイトなどの大会対象タイトルに取り組んでいます。私は比較的遊びやすいゲームしかプレーしてこなかったので、戦略や練習が必要な競技性の高いタイトルに取り組む生徒に感心しています。

 本当に驚かされたのが、知識や技術の習得の早さです。入部してから初めて触れたタイトルにも関わらず、ゲーム内キャラクターの知識を覚えていたり、テクニックを身につけていたりします。

??工藤先生は部員にどう向き合っていますか?

工藤 私はeスポーツの知識や技術を持っているわけではないので、インターネットで情報収集をして、部員とコミュニケーションをとって一緒に成長していくことを心掛けています。

??顧問として気をつけていることはありますか?

工藤 eスポーツに初めて取り組む部員が多いので、できるだけたくさんeスポーツに触れさせてあげられるようにしています。ただ、本年度から一気に部員が増えたこともあり、統率が取りにくくなってきていると感じているので、部活動として集団で活動することを意識させていきたいなと考えています。それと、生徒にはただゲームをプレーするのではなく、PDCAサイクルを意識しながら取り組んでほしいですね。

工藤先生「困ったことがあれば一緒に考え、乗り越えたときは一緒に喜ぶ。完全には難しいですが、気持ちは生徒と対等でいたいです」

??PDCAサイクルですか。

工藤 Planとして持ち込む作戦を検討して、Doで実際に試合を行う。そして、Checkで作戦の改善点を洗い出して、Actとしてもう一度試合に取り組む。このPDCAサイクルを通して、問題を解決する能力を身につけたり、チームで取り組む際のコミュニケーション能力を向上したりしてほしいと考えています。

??今後、パソコン部ではどのようなeスポーツの活動をしていきたいと考えていますか?

工藤 eスポーツ大会に積極的に出場していきたいと考えています。大会によっては出場チームインタビューとして、部員がインタビューを受けることがあるんです。そのときの部員の表情がすごくいきいきとしているので、大会に出場することでしか得られない経験があると確信しています。
今後も部員と一緒になって、eスポーツに取り組んでいきたいと思います。

eスポーツによって活気あふれたパソコン部へ 湘南学院高等学校 後編

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