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2025.03.10

千葉に4月開校のNTTe-Sports高等学院、校内を公開 eスポーツとデジタル教育で未来を切り開く新たな学び場

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 NTTe-Sportsは3月8日、千葉県千葉市に開校する通信制サポート校「NTTe-Sports高等学院」の校舎完成記念イベントを、中学生と保護者向けに開催した。当日は午前と午後をあわせて約50組が参加。カリキュラムや校舎を紹介したほか、授業体験と人気シューティングゲームを使ったeスポーツ大会を実施。大会では、有名なストリーマーのPolsさんが解説を担当した。

イベントの写真
NTTe-Sports高等学院の校舎完成記念イベント


 通信制サポート校は、通信制高校に通う生徒を学習、生活、精神などさまざまな面で支援する塾のようなもの。そのなかでもNTTe-Sports高等学院は、eスポーツをきっかけにデジタル技術や将来に役立つ多様な学びを提供することに焦点を当てている。カリキュラムはeスポーツを軸に「スキルアップ」「ビジネス」「デジタルスキル」の3本柱で、各分野のプロフェッショナルが講師を担当する。

時間割の写真
時間割の例


 eスポーツスキルアップは、東京大学eスポーツサークル(UTes)と連携した独自のカリキュラムを使用。プレースキルだけでなく、論理的思考やリーダーシップ、チームビルディングなどを扱う。例えば「Valorant」であれば、ルール説明から、エイムやキャラクターの操作といった「テクニック」、ポジショニングやチームとしての動き方といった「戦略」「メンタリティ」など、67コマのカリキュラムを用意している。

説明スライドの写真
eスポーツ教育の内容


 eスポーツビジネスの講座では、業界研究やゲームとの健康的な向き合い方の説明、イベントの企画・運営、ゲーミング英会話などを実施する。デジタルの講座は、eスポーツと親和性の高いICTに関する内容となっている。NTTグループのノウハウを生かしたネットワーク構築技術やPCスキル基礎、ゲーム開発の基礎、動画編集の基礎などを扱う。また、最新技術の動向についても社会で役立つ実践的な内容で講義を行う。

説明スライドの写真
3年間のカリキュラム

進路の選択肢を幅広く

 卒業後の進路支援にも力を入れている。就職については、NTT東日本グループや関係各社と連携し、生徒に職場体験の機会を提供する計画。同グループだけでも20社以上あるため、ICT関連のさまざまな分野が選択肢に入ることになる。

 NTTe-Sportsでカリキュラムの作成を担当した神津雅也さんは、「もし体験した職業に興味があれば、実際に就職するためにはどのようなスキルが必要なのかを持ち帰ってほしいです。必要なスキルは学校で身に付けることができます。単なる職業体験で終わらせるのではなく、NTTグループの強みを生かして生徒の可能性を広げていきたいです」と話した。

説明している写真
NTTe-Sportsでカリキュラムの作成を担当した神津雅也さん


 具体的には、NASEF JAPAN全日本高校eスポーツ選手権をはじめとしたeスポーツイベントの運営体験やアグリテック体験、ドローンビジネス・操縦体験といったNTT東日本のグループ各社と連携した職業体験を想定する。将来的にはNTT東日本グループへの求人対象校に認定することも予定しているという。

 こうした経験は就職だけでなく、大学進学における総合型選抜(旧AO入試)への対策にもなる。進学を希望する場合は、大学が求める学生像を研究し、それにあわせた経験やスキルを身に付けられるよう、一人一人の生徒にあわせた内容でサポートするとしている。

説明スライドの写真
NTTe-Sports高等学院の思い

充実の環境

 生徒が「通いやすい」「通いたくなる」環境をつくるため、設備にも力を入れている。校舎完成記念イベントが開催されたeスポーツエリアは、入ってすぐ目に入る大型モニターが特徴。広い教室の後方からでも映っている内容が難なく見える。PCを使った細かい作業を伴う講座も、大画面に映し出せばわかりやすくなりそうだ。

教室の写真
万全に整えられたeスポーツエリア


 広い教室はイベントスペースとしても活用する予定で、生徒用の机は移動可能な横長机となっている。一般的な机に見えるが、そこに設置されているゲーミングデバイスは一級品。GeForce RTX 4070を搭載したゲーミングデスクトップPC「GALLERIA ZA7C-R47 Intel Core Ultra搭載(LAN:10Gオプション)」や、アイ・オー・データ機器ゲーミングモニター「LCD-GD242UDB」をはじめ、マウス、マウスパッド、キーボード、ヘッドセットのすべてを揃えている。

 さらに回線はNTTグループのフレッツ光 10GBを採用。PC側も10GBの高速通信に対応しているため、学校からゲームにアクセスしている限り、回線速度は言い訳にならなそうだ。

 教室中央の壁側には、職員室のような教員用スペースを用意した。区切りの壁を乗り越えられるほど低くすることで、生徒が気軽に声をかけられる環境を整えている。

教室の写真
職員室のように教員が常駐するスペース


 教室後方の床が木目調になっているエリアは、リラックスやストレッチをするためのスペースとして活用する予定。開校時には植物をちりばめ、よりリラックス効果の高い空間にしていく。

教室の写真
教室後方のリラックスできるスペース


 国語や数学といった一般学習は45年の歴史を持つ中央高等学院と提携し、大学受験に必要な学力向上をサポートする。同校はNTTe-Sports高等学院と同じビル、同じフロアにあるので、生徒たちは教室移動の感覚で一般学習用の学校に通うことができる。ロビー部分が植物で装飾されているため、一見するとオシャレなカフェのような雰囲気で入りやすい点もポイント。落ち着いて勉強に励むことができる環境が整っている。

校舎内の写真
同じフロアにある中央高等学院
校舎内の写真
一般学習用の教室
校舎の場所
校舎の場所(画像は公式サイトより)

授業体験とeスポーツ大会

 授業体験は、デジタル分野の最新技術に触れるというテーマで、生成AIでオリジナルキャラクターを作成した。神津さんが生成AIへの指示(プロンプト)の書き方やコツを説明すると、参加者は思い思いにキーワードを入力し、さまざまなキャラクターを生み出した。最後に生成したキャラクターを学校のパンフレットの表紙に張り付け、体験は終了。参加者はそれぞれの作品を印刷したシートを帰りに受け取った。

授業を体験する参加者
授業体験の様子。生成AIでオリジナルキャラクターを生み出す参加者


 後半は、Polsさんの解説付きでシューティングゲームの大会が開催された。1試合目は参加者のみでサバイバルを行い、続くエキシビジョンマッチには、ZETA DIVISION所属のプロゲーマー Minipiyo選手がゲストとして参戦。途中で倒れたものの、圧倒的な数の撃破を重ねて実力を示した。

解説の人物写真
解説を担当したPolsさん(写真左)


 イベント終了後、千葉県八千代市から来た参加者(中学2年生)は「これまであまりPCに触れる機会がなく、初めてPCでプレーしました。貴重な体験でした。大会で自分の実力を知ることができてよかったです」と大会を振り返り、「校舎はキレイでリラックスできるスペースもあり、魅力的です。どんなところなのかと思っていましたが、入学することになったら安心して通うことができそうです」と話した。

 参加者の保護者は「カリキュラムと校舎を見て、子どもの目線に立って考えている学校だと感じました。体験授業も一緒に楽しむことができました。最初はイベントに行くか迷っていましたが、来てよかったです」と感想を述べた。

 NTTe-Sportsの代表取締役社長も務める原田学院長は、「eスポーツへの興味・熱量を学びにつなげ、高校3年間を生き生きと過ごしてもらうために学校を立ち上げました」と説明。「学校としての役割だけでなく、eスポーツが大好きな若者の居場所にしていきたい」と展望を語った。今年度は1フロアのみで運営するが、今後は状況に合わせてフロアを増やす可能性もあるという。

原田学院長の写真
原田学院長


 4月からは中学3年生を対象に、入学体験コースをスタートする。参加者は入学前に学生生活を体験することができる。毎月第1土曜日と日曜日はeスポーツプレーの時間、第3土曜日と日曜日はデジタル学習の時間と設定している。ゲームのスキルアップ講座やデジタルリテラシー講座を通じて、カリキュラムへの理解を深め、新たな環境への不安も取り除くことを目的としている。

 内容は個別相談で伝えるとしているが、入学体験に通い続けると特典もある。各講座ごとにテーマを決めているため、途中参加でも問題ない。申し込み数は100人としている。体験すれば、進路の選択肢を増やすことができるはずだ。

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外部リンク

NTTe-Sports
https://www.ntte-sports.co.jp/

NTTe-Sports高等学院
https://www.ntte-sports.co.jp/school/

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