大会レポート
2022.11.21
eスポーツの職場体験! 参加した高校生の声 NASEF JAPAN主催「Preparation and Viewing Program」
- 高校eスポーツ
- 大会/イベント
11月13日に全国大会を実施したNASEF JAPAN主催のeスポーツ大会「NASEF MAJOR VALORANT Tournament Autumn 2022」。大会はもちろん要注目ですが、並行して開催されていたeスポーツ大会運営見学イベント「Preparation and Viewing Program」も見逃せない内容でした。普段は見ることのできない大会運営の裏側を体験しながら見学できるイベントの様子を、大会主催のNASEF JAPANの岡田さんのインタビューとともにレポートします。

学生が自ら作り上げる大会を目指す
まず大会主催のトーナメントプロデューサー岡田さんに今回の「Preparation and Viewing Program」について話をうかがいました。
── 今回のイベントの開催経緯を教えてください。
岡田さん(以下、人名は初出以降敬称略) 今回の「Preparation and Viewing Program」では普段、参加するだけでは見えにくい部分である運営する側の視点で大会に関わってもらう機会として開催しました。運営の仕事を体験することによってeスポーツへの関わり方がゲームをすることだけではなく、多岐にわたっていることを感じてもらいたいと思っています。
── 今までにも大会に参加するだけではないイベントを実施していましたね。
岡田 高校生に大会を通じてゲームで遊ぶだけではなく、ゲーム以外のことにも何かチャレンジしてもらおうということで、春に開催した「NASEF JAPAN ?MAJOR」の「League of Legends」の大会で「Beyond the Game Program」というイベントを実施しました。
内容はスポーツマンシップのレッスンが一つ。もう一つはゲームをプレーする上で、チームでどのように工夫すればスキルアップができるのか、ということを学ぶレッスンを行いました。
ただ、“レッスン”ではどうしても生徒が授業を受けるような形になってしまうため、今回のPreparation and Viewing Programは生徒の主体性をより尊a重した形として、実際に運営の仕事を体験してもらうという形になりました。
── 今回参加する高校生は何人ですか?
岡田 3名です。参加する理由が『高校で自ら主催するeスポーツ大会の参考にしたい』や『将来、eスポーツ大会の運営の仕事をしたい』など、皆さんとても高い意欲を持って申し込みをもらっています。
私たちとしても高校生にイベントの中で「こんな準備が必要なんだ」「こんな仕事があるんだ」「将来こういう仕事をやってみたい」という発見をしてもらえるいい機会になると思っています。
── みなさんしっかりとした目的をもって参加しているのですね。
岡田 イベントを企画した際も、興味を持って高校生に自ら参加してもらうことを意識しています。繰り返しにはなってしまうのですが、「Preparation and Viewing Program」ではeスポーツに関わりを持つ上で、ゲームをプレイする以外にいろいろな選択肢があることを明示していきたいと考えています。
例えば大会の配信をする上で、実況・解説の方がいたり、その方々が進行するための台本を作る方もいれば、画面を切り替えるスイッチャーの方もいたりなど。表面上では見えにくい部分でも多くの方が携わっているということを直接感じ取ってもらえたら嬉しいですね。
── イベントを通してのキャリア教育になっているわけですね。
岡田 イベントでは実際に体験してもらうのですが、それ以上に実際に働いている方々に直接お話を聞く機会を多く組み込んでいます。高校生もなかなか直接質問できる機会はないと思うので存分にこの機会をいかしてもらいたいです。
── 今後もこのようなイベントは開催されるのでしょうか。
岡田 NASEF JAPANでは将来的にはアメリカで実施されているような大会を目指したいと考えています。アメリカでは学生が自ら主催者側に立って大会を運営して行われるケースが多くあります。イメージとしては文化祭ですね。学生自ら進んで大会を開催できるような文化を作っていくためにも、今回のようなイベント広めていき、学生が自ら作り上げていくような大会が開催できるように今後もイベントを続けていきたいと思っています。


多くの質問が飛び交う現場
イベント当日、会場のLFS池袋 esports Arenaに10時集合です。高校生が到着後、朝礼が行われました。3人の高校生はスタッフに向かって元気よく自己紹介をしていきます。
まず初めに解説・実況の方々の控え室作りです。普段は配信画面上の席しか目に触れることはありませんが、休憩の際などに使う控え室作りも運営をする上では欠かせない仕事になります。パーテーションを作成し、椅子の移動を行うなど、黙々とそしてテキパキと設営を行っていきます。

次に実況・解説席の設営です。テクニカルな部分は大人のスタッフが行いますが、スタッフが設営する配線や配信用のモニター、照明の設営の作業に高校生は興味津々の様子で『何に使う機材なのか』や実況・解説席のグリーンバックをみて『配信上ではどう写るのか』などスタッフに質問をしていました。

会場設営が一通り完了し、リハーサルまでの間の時間にも高校生は設営スタッフに多くの質問を投げかけます。
今回のイベントの設備面の質問はもちろん、『仕事のスケジュールはどうなっているのか』『楽しかった仕事、辛かった仕事』などの仕事をするということを具体的に思い浮かべられるような質問をしていました。スタッフとも距離が近いイベントで気軽に質問できる様子を見ることができました。

そして昼食後にはリハーサルです。まずは配信をする上で設備の不備はないか確認する機材面のテクニカルリハーサルです。カメラの位置や配信中に写す画像、音声などの確認を行っていきます。
高校生はこのテクニカルリハーサル中にも『あの画像はどうやって作っているのか』『照明はどう当てているのか』などを質問しています。テクニカルリハーサルが終了後、台本の進行に沿って本番のリハーサルが行われます。高校生は実況・解説の代役として実況・解説席に座りリハーサルの手伝いを行います。

イベントに参加した高校生の感想
今回のイベントに参加した、東京電機大学高等学校の狩野航希さん、クラーク記念国際高等学校クラークネクスト東京の吉田岳士さんと十河義憲さんに話をうかがいました。
── 今回のイベントの感想を教えてください。
狩野さん 将来はスイッチャーの仕事をしてみたいと考えていて、その仕事を実際に見ることができて良かったです。どのようにやっているのか、なかなか見る機会がないので間近で見ることができるとても貴重な機会でした。実際にプレーもした上での経験がいきてくる仕事だと思うのでこれからゲームをプレーするときはどんなプレーが配信で使えるのか自分なりに考えながらやっていきたいと思いました。
吉田さん 今度、自分たちでeスポーツの大会をやるのですが事前準備のスケジュールが今日の体験を通して作り込めていないと感じました。体験をする中で実際にテクニカルな部分のトラブルとかも発生していたので、私たちももっと細かくスケジュールを組んで対策をしないといけないなと感じました。
十河さん 試合後のハイライトの作成のところがとてもすごいと思いました。短時間での作成なのにもかかわらずしっかりと時間内に作り上げて、皆さんに伝えるのがすごいなと思いました。また現場の方々がとにかく明るく楽しそうに仕事をしているのが印象的で、こんな仕事がしてみたいと強く思いました。
この日は16時に全ての確認作業が終了し、高校生の体験イベントが終了しました。NASEF JAPANでは、今後もこうした体験の機会を設けていく方針。気になる人も、気軽に参加できそうです。
■関連記事
高校生大会NASEF JAPAN MAJOR VALORANT開催レポート! VCTとそん色ない高レベルな決勝戦の模様は
■外部リンク
NASEF JAPAN MAJOR VALORANT Tournament Autumn 2022
https://nasef.jp/japan-major-2022-autumn/

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