大会レポート
2022.12.09
20分でゲームセット! 早すぎる決着「JIKEI COM CUP 2022」決勝レポート【解説付き】
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慈慶学園COMグループのeスポーツ専門学校は11月22日、全国10校による最強のeスポーツ専門学生を決める「JIKEI COM CUP」の決勝大会を幕張メッセで開催しました。種目は『Apex Legends』『レインボーシックス シージ』『リーグ・オブ・レジェンド』『VALORANT』の計4タイトルです。

全国から選抜されたチームがシングルエリミネーション形式で戦い、優勝チームには慈慶学園COMグループから優勝トロフィーが送られます。今回は『リーグ・オブ・レジェンド』『VALORANT』の決勝大会をお届けします。

決勝進出チームを紹介:LoL部門
まずは、リーグ・オブ・レジェンド部門の決勝に進出した2チームを紹介します。
TSA / 東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校

TOP:Ponkotu
JG:Funahwi ※CrestGaming所属(練習生)
MID:なのです
ADC:Nobody tells
SUP:森の気の葉っぱ
TECH.C /合同チーム( 札幌・名古屋・福岡デザイン&テクノロジー専門学校)

TOP:黒猫たいちょー
JG:ぽいぴー
MID:くま牧場
ADC:YSDAK
SUP:ya0705
決勝戦の見どころ3つ(LoL部門)
リーグ・オブ・レジェンド部門の決勝戦の見どころを3つのポイントにまとめました。

1:個人技のぶつかり合い!フィオラvsレネクトン
TSAが選択したフィオラは1vs1では強力なチャンプですが、集団戦は苦手なチャンプです。よって、中盤以降はスプリットプッシュ(味方とは別行動してタワーを割る)するのが役割です。
ファイター同士の対決なので、有利をとった側がそのままレーン戦を制するといえます。TECH.Cが選択したレネクトンでいかにフィオラを封じ込め、中盤以降に活躍させないかが重要です。
2:ADCを守り切れ!両チームともオールイン型のガチンコ対決
偶然にも両チームとも近接攻撃型のチャンプが多く、似通った構成となりました。どちらも全員で突っ込んで戦うことを得意とする構成です。集団戦が開始されると、お互いにスキルを全投入してオールインする戦いになるので、一回の戦闘で大きく戦況が動く可能性が高いです。
最初の集団戦の勝敗が、そのまま結果に結びついてしまうかもしれないので、序盤から目が離せません。
3:インベイドが成功するかどうか?
TSA側のJG、ADC、SUPはレベル1でも戦えるチャンピオンを選択しているので、序盤の戦いはTSA側が有利です。よって、TSAは試合開始直後、TECH.C側のジャングルに侵攻していくことになります。そのインベイドをどうやって回避するのか、さらにジャングルを荒らされたあとのTECH.C側がどのように立ち回るのかが注目です。
決勝レポートをお届け:LoL部門
やはりTSAはレベル1からインベイドを仕掛けます。

このインベイドで戦闘は発生しませんでしたが、TSAは相手のレベルと資金源になるジャングルのモンスターを奪うことに成功。TECH.C側にとってもこのインベイドは想定内であり、序盤は戦うべきではないと判断して撤退します。

その後、TECH.CのJG、ぽいぴー選手も敵陣のジャングルに侵入してモンスターを奪い返そうとしますが、これが上手くいきません。Ponkotu選手が設置していた索敵用のオブジェクト「ワード」で居場所がバレてしまい、TOPとMIDの挟み撃ちに。のちのインタビューで明らかになりましたが、このワード設置はFunahwi選手の指示だったとのこと。
TECH.Cのぽいぴー選手は、積極的にプレイしながらも味方との意思疎通が上手くいかず、ファーストブラッドを渡す形となりました。

注目のTOP対決では、TSAのフィオラがレベル2先行からすかさずスキルを叩き込んでTECH.C側のレネクトンの体力を削っていきます。JG対決では有利に立ったTSAのFunahwi選手は、その有利をTOPレーンに還元すべく、強気にTOPレーンに介入します。
しかし、このアクションに対してTECH.C側も反応。MID(中央レーン)のくま牧場選手がテレポートをTOPタワーに使用して援護に駆けつけます。結果、TECH.Cは2対3の人数差を作り、Funahwi選手を撃破することに成功します。
インベイドとファーストブラッドの流れをそのままにTSA有利で進んでいる序盤戦ですが、試合時間6分を経過したところで、試合結果を決定づけてしまうような集団戦が起きます。BOT(下段)レーンにて、仕掛けたのはTECH.Cですが、TSAのSUP、森の気の葉っぱ選手が操るノーチラスのフックがTECH.Cに見事に命中。ぽいぴー選手のガンクを防ぐことに成功します。

それと同時にMIDレーン付近では、BOTレーンに駆けつけようとした、TECH.Cのくま牧場選手をTSAのFunahwi選手が撃破。そのままBOTレーンの戦闘に介入して味方と一緒に、TECH.C側のJG、ADC、SUPを全滅させました。しかも、この戦闘で最も重要なダメージ源であるADC、Nobody tells選手に3撃破を渡しているTSA。早くも勝利に向けてスノーボールする(有利を活かして差を広げつつ勝利に向かう)体制に入りました。

序盤の有利をBOTレーンの勝利に繋げたTSA、その後も慎重に戦いを進めて詰将棋のようにネクサスを破壊。試合時間20分という早すぎる決着となりました。

優勝インタビュー:LoL部門(Funahwi選手)

── 今回の試合はいかがでしたか?
Funahwi選手 大きな舞台で緊張せずに、練習通りできたので良かったです。
── レベル1でのインベイドや反対側のジャングルへのワードなどについては誰の指示だったのでしょうか?
Funahwi選手 インベイドについては僕の指示ですね。チームメイトにワードを置いてもらったのも、僕の指示でした。

── ピックについては事前から決めていた作戦だったのでしょうか?
Funahwi選手 前から練っていた作戦でもありましたが。今回は、相手のチャンピオンのカウンターになるようなピックをしていたら、結果的にシナジーのある構成になっていました。
── 会場で応援してくれている皆さんにメッセージをください。
Funahwi選手 自分の家族も見てくれているので、応援して支えてくれている皆さんには感謝しています。ありがとうございました。

決勝進出チームを紹介:VALORANT部門
VALORANT部門の決勝に進出した2チームを紹介します。
TSA / 福岡デザイン&テクノロジー専門学校

TECH.C /合同チーム( 札幌・仙台・名古屋デザイン&テクノロジー専門学校)

決勝戦の見どころ3つ(VALORANT部門)
VALORANT部門の決勝戦の見どころを3つのポイントにまとめました。

1:「アセント」は守り側が有利なMAP
決勝のステージとなる「アセント」というMAPは、比較的スタンダードな構造のMAPといわれています。守り側が有利なMAPとされていて、守り側はAサイド、Bサイド、どちらにもアクセスしやすく、攻め側はチーム内での連携が求められます。ミッドとよばれるMAPの中央部分を占拠することで、Aサイド、Bサイド両方へ攻められるので、攻め側はどうやってミッドを取るのかが重要とされており、その点に注目です。
2:スキルの組み合わせ
チームに求められる連携は、立ち回りだけでなく、味方同士のアビリティを組み合わせることも重要です。例えば、入口部分にスモークを焚いて、視界を奪った状態でダメージ系のアビリティを使用して相手の進行を止めるなど。キャラクター固有のアビリティの組み合わせによる連携に注目です。
3:合同チームのチームワークに期待
チーム内の連携力が問われるVALORANTですが、ここで気になるのは複数の学校から選抜された「TECH.C 札幌・仙台・名古屋 A Team」の連携力です。個人の力は申し分ありませんが、別々の学校から選出されている選手同士のチームなので、この大会に向けて、チーム内での仲の良さや連携力がどこまで高められているか注目です。
決勝レポートをお届け:VALORANT部門
序盤、有利をとったのは攻め側のTECH.C /合同チームでした。TSAの守りの陣形が固定化されており、ここまでの展開でTECH.C /合同チームにバレてきた印象があります。

TSA側は流れを変えるべく、遠距離用武器であるオペレーターを使用して、遠距離からワンピック(ファーストブラッド=最初の撃破)して人数差を作る作戦に切り替えます。

しかしこのラウンドもTECH.C /合同チームが勝利。Learica選手の見事な裏どりが光りました。

TECH.C /合同チームの勢いは止まらず、攻守交代のタイミングではスコア「3-9」でTECH.C /合同チームが優勢。

そのままスコアは「3-11」となり、このままTECH.C /合同チームが優勝するかに思えましたが、TSAがここから猛反撃。5連取でスコアを「8-11」まで戻しました。

点差が縮まり不穏な雰囲気が漂うTECH.C /合同チームですが、それでもマッチポイントへ、最後はパーフェクトで勝利をおさめました。
優勝インタビュー:VALORANT部門(Learica選手)

── 今回の試合はいかがでしたか?
Learica選手 最初は有利に進んでいたのですが、攻守が変わってからは相手チームに連取されて、チームの雰囲気が悪くなっているのかなと不安になりました。でも、僕が2撃破して流れを変えたと思っています。そこからこっちの流れになって勝てたと思っています。
── まるで相手の動きが見えているかのような動きでしたが、どのようなことを考えてプレイしていましたか?
Learica選手 僕のロールが守りに強いロールなので、相手の動きを予測しながら、自分や味方のポジショニングをコントロールすることを意識しました。

── チーム内でのコミュニ―ケーションで意識していたことはありましたか?
Learica選手 (会話が)ゴチャゴチャにならないようにしようと思っていました。あとはせっかくのオフラインの大会なので、ノリでいこう!と思っていました。
── Learica選手の来年の目標を教えてください。
Learica選手 VCTで配信されるような大会に勝ち進んで、僕という選手がいるというのを世間に知らしめたいです!
── 会場で応援してくれている皆さんにメッセージをください。
Learica選手 見ていただきありがとうございました。僕たち5人も相手チームの5人もこれから競技シーンでよく観る選手になるかと思いますので、応援をよろしくお願いいたします。

若きeスポーツプレイヤーたちの学びの集大成!
「JIKEI COM CUP」は、慈慶学園COMグループのeスポーツ専門学生たちの学びの集大成となるイベントです。試合中の戦いぶりだけでなく、インタビューでの明朗快活な受け答えをする彼らには、未来のeスポーツプレイヤーの姿を垣間見ました。
興奮が冷めない中での優勝インタビュー中のコメントにも、保護者や学校、関係者への感謝の言葉があり、彼らの中で「eスポーツシーンの未来を背負うもの」としての自覚が芽生えているのを感じました。今後の活躍も楽しみです。(eスポーツジャーナリスト・小川)

■関連記事
■外部リンク
JIKEI COM Game & e-Sports SHOW
https://www.jikeicom.jp/gameshow/

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