コラム

2024.09.06

空中に毛並みの感触!触れるVRオブジェクト!?「CEDEC 2024」注目ブースを紹介

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 8月10日から12日にかけて「CEDEC 2024(Computer Entertainment Developers Conference)」が、パシフィコ横浜 ノースにて開催されました。エンジニア、デザイナー、プロデューサーなど、業界の第一線で活躍する専門家たちが一堂に会し、最新技術や知見を共有しました。

 今回の記事では、講演者とカジュアルに交流することのできる「インタラクティブセッション」で特に人気のあった三つの注目ブースについて、取材をもとに詳しくご紹介します。

(取材・文/小川 翔太・松永 華佳)

注目のブース(ベスト3)

 会場1階の交流ラウンジにあるブースでは講演者と気軽に交流でき、展示やデモで最新の技術も体験できました。


 ここでは、現地の参加者投票で上位となっており、特に多くの方から注目を集めたインタラクティブセッションのブースをメインに紹介します。

人気1位:何もないところに「もふもふ」出現!?


 育てたピカチュウやイーブイを「もふもふ」できる時代がやってくるかも!?

 「FurAir:毛並みを用いない毛並みディスプレイ」は、VRで毛並みの触感を再現する技術です。

 これまでVRにおける毛並みの触感提示は難しいとされてきたそうです。しかし、この技術は、「クロスモーダル錯覚」と「パラメトリックスピーカー(※1)」を用いることで、空中に毛並みの触感を再現することに成功しました。

※1:ピンポイントに音を届けることのできるスピーカー

 クロスモーダル錯覚(効果) とは、たとえば、PCモニター内のマウスカーソルの速度が急に遅くなったとき「自分が操作しているマウスパッドとマウスの摩擦が強くなった」と思い込んでしまうような、人間の五感が互いに影響を及ぼしあっている現象のことを指す言葉です。

 錯覚と技術の組み合わせで、こんなに可愛らしいアイデアが生まれるなんてすごいですね!


 VRヘッドセットをつけて、機器の上に手をかざすと、まるで本物の猫を触っているかのような感覚が!

 動かし方で感触が変わるだけでなく、手を止めて「ぽん」っと乗せたら、猫の心臓の音が伝わってくるのが驚きでした。

 ちなみにこの技術は、アニマルセラピーの分野に活用できるようです。

 また将来的に、洋服の質感を再現できるようになると「オンラインショップで服を買うとき、質感がわかる」ので、アパレル業界にも革命を起こせそうですね。

人気2位:東京大学が「触れるクラゲ」作りました!?


 ゲームの世界からスライムが飛びだしてきた!?

 「Touch & Feel 3D」は、超音波を使って空中に触感を生み出す画期的な技術です。

 2008年に東京大学で研究が始まり、長年にわたり多くの大学や企業が実用化を目指してきましたが、従来の技術では限られた触感しか再現できませんでした。

 しかし、同大学などで組織した「HaptoCloudプロジェクト」によって、この技術が飛躍的に進化し、3DのVRオブジェクトに素手で触れて、まるで実物がそこにあるかのような感触を味わえるようになりました。


 実際に「Touch & Feel 3D」を体験してみると、手を空中にかざすだけで、物体の柔らかさや硬さがしっかりと感じられ、そのリアルさに圧倒されました。

 物体のザラザラ・サラサラといった質感などをコンピュータで調整することができ、同じ空間内で手を動かしているだけなのに、確かに質感の違いを感じられます。


 こちらのクラゲを触ってみると、まるで微弱な電流が流れ込むような、手が痺れるような感覚を味わうことができました。

 筆者が「普段、クラゲには触れないから、水族館に展示があったら面白そうですね」と感想を担当者に伝えたところ、すでに沖縄美ら海水族館の「海の危険生物展」 で展示されていたそうです!

人気3位:部屋の中がゲームの世界に!?


 「朝起きたら部屋がVALORANTのMAPに!」なんてことも可能に!?

 「【展示】先端AI技術で実現する高速&高精度な3Dコンテンツクリエーション」では、AIを活用した最先端の3D映像技術や、バーチャルプロダクションで使われる背景の生成方法について紹介されていました。

 2020年に発表されたNeRF技術(※2)をベースに、これまでの手法と比べて、圧倒的に速く、しかも高精度で3Dコンテンツを作り出せるようになったそうです。

※2:複数の写真から3Dシーンを生成する技術


 講演では、実際にCG合成のデモンストレーションが行われました。背景セットが驚くほど緻密に再現されており、まるで本物の風景をそのまま映し出したかのようなリアルな映像でした。

 従来のCGによくあるいかにも「合成しました」といった違和感はなく、ゲームや映画での活用がますます広がりそうです。


 さらに、この技術を使えば、演者自身が現地に行かなくても、あたかもその場にいるかのような映像を作ることができます。そう、VALORANTのMAP内など、ゲームの世界に簡単に入り込めるということです。

 映画やドラマの撮影を例にすると、撮影班以外が遠方に行く必要がなくなるので、手間をかけずに作品を制作できるようになり、作業の効率化にもつながりそうですね!

おまけ:自宅がテーマパークに!?


 おまけに、筆者イチオシの展示をご紹介します。

 「テーマパークにあるような、乗り物型のアトラクションが家でも体験できたら良いのに」と思ったことはありませんか?

 会場で出展されていた「足首に振動を与えて地面が揺れているように感じさせるトロッコVR体験」はまさにそれを叶えるすばらしい技術でした。

 展示名の通り、足首に振動を与えることで、実際には動いていないのに地面が揺れていると錯覚させることで臨場感を高める展示となっているのです。

 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と組み合わせることで、トロッコに乗っているかのようなリアルなVR体験を可能にしています。


 実際に体験してみると、そのリアルさにびっくり!装置が細かい振動を発生させることで、まるで本当にトロッコに乗っているみたいな感覚が味わえました。

 急カーブを曲がったり、急停止したりすると、バランスを崩して倒れそうになるくらいでした。本格的な装置なしで、ここまでリアルな体験ができるなんて、VR技術はここまで進化したのかと驚きを隠せませんでした。

今後の展開に期待!な技術がいっぱい!【総括】


 今回のCEDEC 2024では、テクノロジーがエンタメ業界をどう進化させているのかを実感できました。そしてこうした新しい技術がどんな風に世の中で活用されていくのか、今後の展開にもワクワクさせられました。

 来年はさらに進化した技術が出てくるのか、まったく新しいアイデアを取り入れた技術が登場するのか、今から楽しみですね。

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外部リンク

CEDEC 2024
https://cedec.cesa.or.jp/2024/

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