コラム
2025.05.22
「eスポーツは一つの『メディア』の形」 TIE_PRiZEさんが登壇 生まれの地 立川のピッチイベントでeスポーツイベントの魅力と効果をPR
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立川商工会議所(東京都)が4月18日にme:rise立川(立川市曙町2-8-28 TAMA MIRAI SQUARE)で開催するピッチイベント「TACHIKAWA innovation match」に、ゲーミングチーム「TIE」を運営するTIECLANが登壇。その模様を取材した。
(取材・文・写真 / 寺澤 克)
「TACHIKAWA innovation match」は、地域課題や社会課題の解決に挑むスタートアップを応援するピッチイベント。立川・多摩地域に根ざすスタートアップが登壇し、「健康・介護」「教育現場」「eスポーツによる地域活性」「アパレルを通じた多摩のブランディング」などの課題解決をテーマにピッチを行った。
イベントには、一橋大学などの学校機関や、八王子市、立川市といった自治体も視察に訪れた。
TIECLANの発表では、代表取締役社長を務めるTIE_PRiZEこと、森林大河さんが登壇。「Z世代にリーチするeスポーツの興行イベント等を通じた地域活性化」と題して発表を行った。
ゲームエンタメ市場の拡大受け 今後5年で5億6000万円の売り上げを計画 「都市型eスポーツイベント」のモデル構築で全国展開も
TIEと言えば、国内でも高い知名度があり、特にAPEX Legendsでの活動に注目が集まっている。まず森林さんは、TIEの影響力について説明。10年間でメンバーらの合計フォロワー数は368万人に達しており、これは国内のZ世代の推定数1800万人のうち、5人に1人に相当するという。また、過去1年ではYouTubeチャンネル、Twitchの登録者数が102万人増加した。
企業、TIECLANとしては2024年8月終了時で3000万円の資金調達が完了。ゲームエンタメ市場はここ6年間で4倍の規模に拡大している点を踏まえて、今後5年間で5億6000万円まで売り上げを伸ばす計画だという。
TIECLANが立川市での活動展開を提案する背景には、市内における出生数の減少などが挙げられる。そのほかの人口に関連した指標も数値が落ち込むという見込みも立てられており、産業の衰退が危惧されているとのこと。また、森林さん自身も市内の病院で生まれ、立川市とは深い縁があるという。
同社はeスポーツイベントの開催や、地元産業をPRするインフルエンサーマーケティングに取り組むことを提案した。
イベント開催にあたる前例として、北海道札幌市が誘致した「Apex Legends Global Series Year 4 Championship」がある。配信の視聴者数は全世界で約500万人以上、来場者数は3万4000人を記録。さらに、札幌市は、経済効果が市内で13億円に上るという試算も明らかにしている。
こうした前例から、同社は立川でもeスポーツイベントを開催することで、年間収益1300万円を見込むことができる試算だという。また、立川でノウハウを蓄積し、都市型eスポーツイベントのロールモデルを構築すれば、今後はそれを全国展開することも可能だという。
また、地元産業の活性化・地元の魅力再発見という観点では、多くのフォロワーを獲得しているTIEのインフルエンサーたちが活躍できる。地元企業のサービスや製品、産業をPRすれば、雇用の創出も期待できるという。
TIECLANは最優秀賞を獲得 新規性など評価 ストリーマーマーケティングで協業前向きな企業担当者も
このピッチイベントで最優秀賞を獲得した森林さん。事業の実現性や新規性が評価された形だが、「実況や解説者のようで聞きやすい」と評する審査員も。その点はストリーマーの強みと言えるだろう。
イベント後の交流会では、市内事業者などさまざまな業種の担当者が森林さんと交流する場面が見られた。ドローンスクールの市内開業を検討するある企業担当者は「これほど影響力があるのだから、それを生かさない手はないでしょう」とフォロワーの数に驚きながらも、TIECLANとの協業に前向きな印象だった。
eスポーツは一つの「メディア」の形 今後は各タイトルの部門を立ち上げたい
最後に今後の展開などについて森林さんに話を聞いた。
──立川を選んだ理由は。
森林さん(以下敬称略) 私は立川市内の病院で生まれ、実家は武蔵村山にありました。だから、立川にはよく遊びに来ていたし、立川というこの雰囲気がたまらなく好きなんです。だから、立川市に還元できる何か良いプランはないかと、今回提案させてもらいました。
──オフラインイベントの開催について。
森林 これまでも秋葉原や渋谷でオフラインイベントを開催してきました。オンラインが多い中で、やはりオフラインのイベントは貴重な機会だと認識されているリスナーさんが本当に多いです。オフライン特有の体験を届けられる、ビジネス面でもそうですが、さまざまな観点を加味して、オフラインイベントの強化が最善と考えました。
──地域でのeスポーツの取り組みが注目されている。
森林 地方創生とeスポーツ、かなりメジャーになってきていると思います。eスポーツを広告の媒体として地方に人を呼び込むことができるので、私はeスポーツは一つの「メディア」の形だと定義しているんです。
例えば、今回の発表のように、私たちTIECLANが立川の魅力を発信し、立川でファンミーティングを実施すれば、368万人のフォロワーさんたちがそれを見てくれる。地方創生とeスポーツのシナジーは大きいですね。
──TIECLANの今後の展望は。
森林 せっかくなので、部門はたくさん作りたいと考えています。現状はApex部門のみですが、VALORANT、MOBAジャンルのゲームなど、いろいろなジャンルに展開を続けて、ストリーマーや選手を増やしていく。その中で、収益をしっかり上げ、会社とチームの両軸で成長を続けていければと思います。
立川のeスポーツイベントに新展開生まれるか インフルエンサーによるPR事業にも注目
立川市と言えば、立川立飛eスポーツフェスなど、eスポーツイベントが開催された実績がある。TIECLANもイベント事業に本格的に乗り出すことになれば、さらなる盛り上がりを見せるだろう。他方、地元PRにインフルエンサーを活用するという取り組みが効果的な施策となり得るなら、こうした事業が他の地域でも展開される可能性がある。今後のTIECLANの動きにも注目が集まる。
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外部リンク
TIECLAN
https://tieclan.co.jp/
立川商工会議所
https://tachikawa.or.jp/

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