コラム
2025.01.07
Discordが学生ユーザーを引き付ける理由は?コミュニティを盛り上げるコツは? OW2とVALORANT 国内2大コミュニティの運営らが対談
- 大会/イベント
「学生ゲーマーにとって、Discordは便利なツールなのか?」
12月20日にオンラインセッション「ゲームを通じたオンラインコミュニケーションの変革:Discordと日本の人気ゲームコミュニティマネージャーの視点から」が開催され、Discordのアレックス・リーさんが聞き手となり、日本の「VALORANT」「オーバーウォッチ2」の大手Discordコミュニティを運営するオーナー2人が対談を行いました。「Discordが学生のコミュニティ活動をサポートした事例はあるか?」「コミュニティを盛り上げるコツとは?」「トラブルが起きたときの対処法は?」などなど…気になる話題が繰り広げられた中で、いろいろ質問してみました。
(取材・文/小川翔太)
登壇者紹介
みずイロさん(Overwatch 2-JP 管理人、GAMEZINE編集長)
──Discordを使い始めたキッカケとは。
みずイロさん(以下敬称略) 私はeスポーツの競技シーンが大好きで、コミュニティ大会の運営を始めました。その中でテキストチャットとボイスチャットが一緒になった便利なツールがあるということで、2017年から大会の運営ツールとして使い始めました。
──以前はどのようなツールを使っていたのか。なぜDiscordに移行したのか。
みずイロ 2006年から活動をしていて、最初は掲示板でクランを募集していました。IRC(Internet Relay Chat)というテキストチャットツール、TeamSpeakというボイスチャットツールを使っていました。
当時のSkypeはPCゲームと同時にプレーすると動作が重たかったんです。Discordはテキストチャットとボイスチャットが一つに集約されていて便利なうえに、軽いので移行することにしました。また無料であることがゲームユーザーとしては魅力的でした。
ベックスドラさん(Valorant-JP オーナー)
──Discordを使い始めたキッカケとは。
ベックスドラさん(以下敬称略) 2016年にマインクラフトのDiscordサーバーに入ったのがきっかけです。
──以前はどのようなツールを使っていたのか。なぜDiscordに移行したのか。
LINEを使っていました。LINEは本名ですが、Discordはハンドルネームだったので、そこで新しいつながりができました。それが楽しくなってきて、継続して使うようになりました。
アレックス・リーさん(Discord ユーザー・エクスペリエンス リサーチャー)
※本セッションは、Discord社のユーザー・エクスペリエンス リサーチャー、アレックス・リーさんの司会で進行しました
コミュニティを運営したキッカケ
──お二人がDiscordのコミュニティを運営しはじめたキッカケとは。
みずイロ 「ゲームコミュニティを支えたい」「自分が長くゲームを続けたい」と考えたからです。
最初は自分で主催していたコミュニティ大会で運用しました。当時は掲示板が主流でしたが、やがては500人、1000人と利用者が増えていきました。
ただ、2020年ごろから『オーバーウォッチ』(無印)のコミュニティがあまり盛り上がらなくなり、自分の無力さを感じました。
その後、「オーバーウォッチ2」がリリースされて、基本プレーが無料になるタイミングで、ユーザー数が増えることが予想できたので、コミュニティの方向性を一般ユーザー向けに変更して、ランクマッチ募集の側面を強めました。
ベックスドラ 2020年ごろに「VALORANT」という新しいゲームが出るという噂が出ました。自分もゲームコミュニティを作ってみたいと考えて、VALORANTがリリースされるタイミングで、多くの配信者さんに協力いただいて、コミュニティを作りました。
──コミュニティ運営において、何がモチベーションになっているか。
みずイロ ゲームコミュニティを盛り上げることは勿論ですが、ある種の実験的な部分が私のモチベーションになっています。
「ゲーム会社にとってDiscordはどれだけ有用なのか?」
「マーケティングツールとして有用なのか?」
そういったことを検証していきたいと思っています。SNSやYouTube上でマーケティングとは違うアプローチになるはずなので、私の中での一つのチャレンジ、という位置づけです。
ベックスドラ 自分が作った世界で知らない人たち同士がつながって、盛り上がってくれていることがモチベーションになっています。
コミュニティでのメインの活動は?
──お二人のDiscordコミュニティでは具体的にどのような活動をしているのか。
みずイロ 一緒にゲームをプレーする人を募集したり、ランクマッチをする友達を探せます。特徴としては、スクリムの募集や競技シーンの要素が入っているサーバーになっていることです。
運営のボランティアが11人いて、週2回の大会、週1回のインフルエンサーを含めた講習会を実施しています。
私は一つの目的に絞ったほうが人は集まりやすいと考えているので、基本的には「オーバーウォッチ」以外のゲームは禁止しています。
ベックスドラ 同じくメンバー募集や、テキストチャットでの交流をしてもらっています。他の人とつながることでゲームが楽しくなるように運営しています。
私のサーバーでは他ゲームを特に禁止しておらず、中には「マインクラフト」をプレーしているメンバーもいます。
──お二人のDiscordコミュニティの特徴とは。
みずイロ 暴言やネットスラングについては、かなり厳しく取り締まっています。ゲームには負の面もあるので、それを若い人たちに波及させたくないからです。
ゲームサーバーをアングラなものにしたくないと考えているので、ボランティアの運営スタッフの皆さんに協力いただいて、サーバーの治安を保っています。
ベックスドラ 基本的には自由にやっている中で、比較的、治安が維持されていることです。あとチャット欄でゲームのスコアを自慢し合えるところですね。
コミュニティを盛りあげるコツ
──コミュニティを盛りあげるコツとは?
ベックスドラ (メンバーの皆さんに)自主的にコミュニケーションをしてもらうのが重要なんです。最初の一声が出てくればそこからコミュニケーションが発生するので、そのキッカケをつくることを心掛けています。
またコミュニティなので村文化が発生しやすく、新規のユーザーさんが入りにくい雰囲気になることがあります。そうならないように、ルールを設定しておくと、新規のユーザーさんが会話に参加しやすくなります。
みずイロ 確かに会話の最初のキッカケは難しいですよね。私たち管理人ばかりが発信してしまうと(ユーザーさんたちが置き去りになり)「コミュニティ」とはなりづらいですから。
自主的に発信してくれるユーザーさんを運営側がピックアップしてあげると良いでしょう。そういったルールや環境をつくることが重要なポイントだと考えています。
──トラブルが起きたときの対処法は?
ベックスドラ まず私が運営するサーバーにはポリシーがあります。私には小学生の妹がいるのですが、その妹が入ってきても良いような環境にしています。暴言、差別用語などの不適切な発言があってはなりません。
NGワードを登録して自動削除しています。これだけで90%以上は削除できている認識ですが、加えてボランティアの人たちが手動で対処してくれています。
またユーザーさんがルール違反者を報告できるように、運営スタッフしか見られないような場所をつくれる設定にしています。
みずイロ 私も同じく、botや問い合わせ用のチャンネルで対処しています。最近はボイスチャット上でのトラブルにも対処しています。暴言というよりも喧嘩のようなトラブルです。
私のサーバーでは、トラブルがあったとしても1発アウトではなく、1回目は一週間のタイムアウトを与えて、様子を見つつ、またトラブルを起こすようであれば、累積でbanにするようにしています。
ただ、banされたとしてもSNSなどで反省文を書いてくれれば復帰できるようにしていますよ。
Discordは学生ゲーマーにどのような貢献をしてきたのか?
──Discordが学生のコミュニティ活動をサポートした事例はありますか。
みずイロ 東大eスポーツサークルさんと話をしたことがあります。自分たちは勿論のこと、東大以外の大学の学生との交流も含めて、Discord上でのコミュニケーションがメインの活動になっているようでした。
「Discordの機能が彼らをサポートした」というよりも、彼らがDiscordの機能を上手く使って活動している印象です。
ベックスドラ 多くの学生さんがDiscordを使っています。僕が運営しているDiscordコミュニティでも、学生のメンバーさんが大会を主催するときは、Discordコミュニティ内で告知をして、参加者を募っていることがあります。
──Discordのどのような機能・特徴が、学生さんにとって良い点だと考えていますか。
みずイロ Discordは無料でどんな機能も使える。学生さんにとっては特にうれしいですよね。
それと、ボイスチャットの中には、有料じゃないと過去のテキストが消えてしまうものもありますが、Discordは過去のテキストも見ることができます。
またスマホにLINEが必ず入っているように、ゲーマーのPCには必ずDiscordが入っているので、コミュニケーションツールに迷わなくて良くなったのも優れた特徴といえるでしょう。
ベックスドラ 実名で登録する必要がない点です。コミュニケーションツールだとLINEになるが、特に未成年だと実名を明かして活動をしづらいでしょうから。
(編集:BCN eスポーツ部)
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外部リンク
Discord
https://discord.com/
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