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2025.11.26

サウンド設定の「モノラル」「ステレオ」とは?ゲーム体験との関係性

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 ゲーム体験において、効果音やBGMなどの「音」は非常に大きな役割を担っています。とはいえ、「サラウンド」はもちろん、「モノラル」や「ステレオ」の違いなどには分かりにくい部分があり、「よくわからないまま、なんとなく使っている」という人も多いでしょう。

音を聞く男性のイメージ


 そこで今回は、まずモノラルとステレオの違いを明確にし、サラウンドの解説やゲームの中での音の意味合いについて解説します。

サウンド設定の「モノラル」「ステレオ」とは

 PCやゲームのサウンド設定には「モノラル」と「ステレオ」の切り替えがありますが、モノラルとステレオで何が違うのかを正確に説明できない人も多いでしょう。

 「ステレオは音が良く、モノラルは悪い」というイメージがあるかもしれませんが、その認識は実は正しくありません。ステレオとモノラルのそれぞれに適した状況があるからです。

 モノラルという言葉は、「1つの音」を意味しています。スピーカーが左右にある場合や、イヤホン、ヘッドホンなどを左右の耳に当てている場合でも、モノラルでは左右から同じ音が出ます。その結果として、モノラル音源を聞くと、中央の1点から音が出ているように聞こえます。このため、モノラルは点音源と表現されることもあります。

 一方、ステレオは左右のスピーカーに異なる音が割り振られているため、左右のスピーカーからは異なる音が聞こえます。この結果として、ステレオ音源を聞くときには立体感や広がりを感じられます。この特性からステレオは面音源とも表現されます。

 上記を見ると「やはりステレオが優れているのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。ステレオの場合、聞く人と左右のスピーカーが正三角形になる配置が理想的と言われています。これを裏返すと、人が大勢いて左右どちらかのスピーカーに寄っている人には理想的な音に聞こえないことがわかります。

 モノラルであれば広い空間に多数の人がいるときでも、音の聞こえ方に大きな差が出ません。また、聴覚に障がいがあるなどで片耳でしか音を聞けない人にとっては、左右異なる音が出るイヤホンでは聞こえない情報があるため、片耳ですべての音を聞けるモノラルにも大きな価値があります。

違いを簡単に感じる方法

 モノラルとステレオの違いが判らないという人は、ぜひスマートフォンで試してみることをおすすめします。

 iPhoneであれば、「設定」→「一般」→「アクセシビリティ」の順で操作していくと、「モノラルオーディオ」という項目があるので、オン/オフを切り替えて試聴してみてください。

 Androidであれば、「設定」→「ユーザー補助」→「音量の調整」の順で操作していくと、「モノラル音声」という項目があるのでオン/オフを切り替えて試聴してみてください。

 なお、iPhoneでもAndroidでも、イヤホンやヘッドホンで試聴すると、ステレオとモノラルの違いが明瞭です。

サラウンドとチャンネル数とは

1対のスピーカーとノートパソコン


 この項目では、サラウンドとチャンネル数について解説します。

サラウンドの種類

 ここではまず「サラウンド」という言葉の意味から説明しましょう。「surround」という英単語には囲む、取り巻くといった意味がありますが、その名の通りサラウンドは5台以上のスピーカーを配置して、前方だけでなく後方からも音が聞こえる状態を指します。

 上記を踏まえて、ここからはサラウンドの種類について解説します。サラウンドサウンドには、テレビや映画などで一般的に使用される5.1チャンネルサウンド、さらに包括的な状態を作り出す7.1チャンネルサウンド、上方にもスピーカーを配置するDolby Atomosの3種類があります。

チャンネル数の種類

 サラウンドを語るとき、必ず「チャンネル」という言葉が出てきます。ここでいうチャンネルとは、スピーカーの数と考えるとわかりやすいです。

 前の項目で、サラウンドの種類に5.1チャンネルサウンドや7.1チャンネルサウンドがあると解説しましたが、5.1の場合スピーカーが5台、サブウーファー(低音の増幅を担当するスピーカー)が1台、7.1の場合スピーカーが7台、サブウーファーが1台です。この法則に乗っ取れば、ステレオは2チャンネルと表記されます。

 ちなみに、5.1チャンネルサウンドの場合、スピーカーは視聴者の前側に3台(前と左右)後ろ側に2台(左右)配置し、サブウーハーは前側の左スピーカーの横に置くことが一般的です。一方7.1チャンネルサウンドは、5.1の配置に、視聴者の左右に1台ずつ加えます。

 また、2chのステレオにサブウーファー1台をくわえて、2.1chとする配置もあります。この場合スピーカー数が少ないのでサラウンドサウンドにはなりませんが、サブウーファーから出る重低音が音の臨場感を高めます。

 また、Dolby Atomosの場合、天井にもスピーカーを配置するので、7.1.2ch(スピーカー7台、サブウーファー1台、天井のスピーカー2台)といった具合に表記されます。天井にスピーカーを置くことで、音が立体的に聞こえる効果が高まります。

バーチャルサラウンドとは

 サラウンドサウンドは、本来5台以上のスピーカーを使って視聴するものです。しかし、家庭でサラウンドサウンドを再現できる環境を整えるのは容易ではありません。そこで、ステレオ環境(スピーカー2台)で疑似的にサラウンドサウンドを出す技術が生み出され、バーチャルサラウンドと呼ばれるようになりました。

 本来のサラウンドサウンドは後方にもスピーカーを配置しますが、ステレオ環境ではスピーカーは2台しかありません。そこで2台のスピーカーでも後方から音が聞こえるように、バーチャルサラウンドには「バイノーラル化」と「クロストークキャンセル」という技術が導入されています。

 近年、バイノーラルという言葉はしばしば使われるので、イメージできる人も多いと思います。バイノーラルとは、ヘッドホンなどの二つしかスピーカーがない状態でも、いろいろな方向から音が聞こえるような感覚を与える技術です。

 バイノーラル化を理解するには、頭部伝達関数(HRTF)を説明する必要があります。人間が音を聞き取る際、空間→頭部→耳→鼓膜という順序で音を受けますが、音の周波数によって各部の音圧が異なることがわかっています。この特性を示す関数がHRTFです。

 HRTFを利用して周波数特性を制御すると、前面にあるスピーカーから、後方から聞こえてくるかのような仮想音を作ることができるのです。

 バーチャルサラウンドにはバイノーラル化に加えて、クロストークキャンセルの技術も必要です。バイノーラル化して多方向から音が聞こえるようにするには、右スピーカーから出る音は右耳だけ、左スピーカーから出る音は左耳だけに届けなければなりません。しかし、各スピーカーから出た音は左右の耳に届くクロストークという現象が起きるため、そのままではバイノーラル化した意味がありません。

 そのため、右スピーカーからは通常の音だけでなく、左スピーカーから出る音の位相を反転させて発することで右耳に左スピーカーの音を聞こえないようにします。左側でも同様の処理を行うと、後方などスピーカーがない方からの音が出ているように感じる状況を作ることができます。

音質の違いがゲーム体験に差を与えるゲームジャンル

ヘッドセットやモニター、キーボードのイメージ


 この項目では、音質の違いが影響しやすいゲームのジャンルを記載します。

FPS

 FPSにおいて索敵は勝敗を左右する大きな要素なので、足音などを逃さず聞き分けるために、ヘッドセットの音質にこだわる人が多いです。

 ヘッドセットには再生周波数帯域というファクターがあり、この数値で再生できる音の範囲がわかります。FPSの場合、幅広く拾いたいので20Hz~20kHz程度のものがおすすめです。

 また、バーチャルサラウンド機能があるゲーミングヘッドセットも多数存在します。当コラムの「バーチャルサラウンドとは」の項目で解説したように、バーチャルサラウンドは音の方向や距離を伝えることに役立つので、敵がいる方向を早く察知したいFPSにはおすすめの機能とされています。

 しかしその一方、「サラウンド機能を使うとむしろ音の距離感がぼやける」、「すべての人がバーチャルサラウンドで足音が聞きやすくなるわけではない」と言う人もいます。

 これを踏まえると、足音などの細かい音までしっかり聞き取りたい人は、ゲーミングアンプのイコライザーで必要な音を聞き取りやすくすることを推奨します。ゲームタイトルごとに適したイコライザー調整を紹介するサイトもあるので、プレイしているゲームについて検索してみるのもよいでしょう。

音楽ゲーム(リズムゲーム)

 音楽ゲーム(音ゲー)やリズムゲームも、音が重要な位置を占めるジャンルです。音楽ゲームについては、まずキック音やベースラインが聞き取りやすいとリズムを把握しやすいので、低音域の音質が重視されます。また、ボーカルやメロディーラインが位置する中音域は、解像度が高く輪郭が明瞭であることが重視されます。

 イヤホンやヘッドセットを音楽ゲーム用に選ぶのであれば、上記の音質に加えて、体を動かしやすいようにフィット性と軽さ、耳が蒸れにくいことなども重要です。

レースゲーム

 レースゲームでは、FPSのように音が勝敗を左右することはありませんが、サウンドの作りこみには膨大なリソースが割かれています。実際には動いていないゲーミングチェア上で、カーシートにいるかのような没入感を得るには、リアルな音が欠かせないからです。

 例えばリアルレースシミュレーションゲームである「アセットコルサコンペティツィオーネ」では、エンジン音やギヤノイズの音だけでなく、縁石に乗り上げた時の音まで再現されていますし、ホームストレートを走るときにはほかの場所と音の聞こえ方が違うなど、細かい点までこだわって開発されています。

 また「グランツーリスモsport」にはサウンド設定を2chステレオから7.1chサラウンドに変更できる機能があります。サラウンド環境下でプレイすると排気量が大きな車ならではの重低音が楽しめますし、後輪の音はしっかり後ろから聞こえてくるので臨場感が全く異なります。

ホラーゲーム

 ホラーゲームを楽しむうえで、サウンドは非常に重要な要素です。ホラー映画やホラーゲームでは緊張感を高める演出は欠かせないものです。そして、その際には視覚情報だけでなく、BGMや効果音が大きな役割を果たすからです。

 例えばサバイバルホラーゲームの代表作である「バイオハザード ヴィレッジ」のサウンドは質感やスケール感へのこだわりが強く、ゲーム内のキャラクターの呼吸音が自分のものと感じられるほど音質や距離感に配慮されています。

【まとめ】モノラル・ステレオの違いを知り、ゲーム体験を充実させよう

 ゲームにおいて効果音やBGMは大きな位置を占めています。ゲーム会社のサウンドクリエイターがこだわり抜いた演出を最大限に楽しむには、スピーカーやヘッドセットの役割を知って適切に選ぶことが重要です。

 また、FPSなどの索敵要素があるゲームでは音の聞き分けが勝敗を左右しますし、サウンド環境が良いほど楽しめるジャンルが多数あります。この機会にゲームをプレイする際のサウンド環境を見直してみてはいかがでしょうか。

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