インタビュー
2024.03.28
Fighters Crossover主催運営かげっちさんに聞く「大会開催の心得」
- 大会/イベント
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3月9、10日、高田馬場のeスポーツ施設Ash Winder esports Arenaで、『ストリートファイター6(スト6)』のコミュニティ大会「Fighters Crossover 全国大会 #00」が開催されました。全国大会は3人一組で1本勝負の勝ち抜き戦で行われる団体戦です。
1月20日に開催された大阪、福島を皮切りに、全国各地のFighters Crossoverのコミュニティにて予選大会を行い、予選通過チームが全国大会へ進出となりました。予選を突破した30チームに、9日に行われたLast Chance Qualifier(LCQ)の2枠を合わせた32チームで開催されます。
関東圏や関西圏では、プロチームやプロ選手が組んだチームの予選突破が目立ちましたが、それ以外の地域では、地方在住のノンプロの強豪選手が勝ち上がっています。
優勝したのは……?
全国大会の会場では、大会を進行するステージと自由に対戦が楽しめる対戦台のふたつに分かれていました。招待制の大会では、来場者は基本的にステージを観るだけです。オープン参加型のトーナメントの場合も、対戦台の用意がない、もしくは少ないことが多いですが、今回はいつものFighters Crossoverに、大会が融合したような印象です。せっかく全国から集まって、オフラインで滅多に会う機会がない選手同士が会うとなれば、対戦したくなるのは必然です。このあたりから見てもFighters Crossoverがコミュニティの対戦会がベースであることがわかります。
全国大会は、1先の勝ち抜き戦という、何があってもおかしくない状況にあり、強豪チームとみられたチームが初戦で敗退する事態も起きています。結果的には、うんす選手とヤマグチ選手、ひぐち選手による「うんす軍」、ITK選手とゆかりさん選手、Reiketsu選手による「BCD」、ひびき選手とts選手、なおーん選手とナリ君選手、KEI.B選手による「おんぶにだっこ」、プロゲーミングチームの「エヴァ:e」(シュウジ選手、ひかる選手、わびいち選手)がベスト4へ進出しました。そして、Fighters Crossover初の全国大会は、うんす軍がエヴァ:eを倒し、優勝を果たしました。
かげっちさんにインタビュー
この大会は、CAPCOMに許諾された公式の大会ですが、運営会社や企業による運営ではなく、かげっちさんこと影澤潤一さんが個人で主催・運営するイベントです。昨今は、個人でもeスポーツイベントを開催することは珍しくないですが、それでも個人でこの規模の大会を開くのは稀です。そこでかげっちさんに個人で大会を開くうえでの心得や学生が大会を開くためのアドバイスを聞いてきました。
――Fighters Crossover初の全国大会開催でしたが、苦労した点はありますか。
かげっちさん(以下、敬称略) 告知から全国大会決勝の今日までの期間がすごく短く、いろんなことをお試しでやった大会でした。#00なのは、そういう意味も込めています。これまでやってきたことと『スト6』をどうやって絡めていくか考え今大会に結びついたのですが、思った以上にいろいろな人に受け入れていただき、規模がここまで大きくなりました。
今の競技シーンって、プロゲーマーやハイアマチュア向けの大会が主流になってきています。それ以外の人たちでも楽しめる大会ができたのは良かったですね。プロゲーマー以外となると、高校生大会とかそういった限定大会が思いつきますが、そうした場合も多くの人が楽しめるようなことではなくなるので、現状の形でできたことが成果ですね。
あとは、資金繰りですね。一部のプロシーンでは拡大している印象もありますけど、eスポーツシーンはシュリンクしている傾向にあります。企業の支援も少なくなってきています。なので、まだ残っている人たちと協力し、場を広げていくわけです。コミュニティの立場なので、スポンサーとなってくれる企業に競合他社を入れてもやれたのは良かったですね。今回は、HORIとGRAFTが一緒に参加していただけましたが、どちらともフラットに一緒にやれました。
――高校生が大会、イベントを主催するには何が必要ですか。
かげっち 人、もの、金をどうやって用意するのかが重要ですね。学生の最大のメリットは時間があること、人がいること。逆にデメリットは場所やお金が不足していることですね。なので、利用できるところは利用していくことです。
一般的なコミュニティを利用し、学生以外の社会人などに協力を仰ぐことで、それを解消することができるようになります。地域のコミュニティを探して頼るのも重要です。『スト6』で大会を開こうとしているのであれば、Fighters Crossoverのように同じタイトルで大会を開いているコミュニティを頼るのが一番です。同じタイトルを好きなもの同士、協力したいと思ってくれます。社会人はお金はあるけど、時間がないので、それを補填できるような動きができれば、協力は促せます。開催場所や機材を貸してくれることはあります。
あとは、いきなり大きなことをせず、まずスモールなイベントを開催し、徐々に大きくしていくのが良いですね。失敗することは前提で、その失敗をしてもリカバリーできるかが重要。リカバリーできる範囲のことをやっていき、トライアルアンドエラーを繰り返すことで、やれることも増えていきます。
人に頼るというのは学生の特権と言えます。多くの人は、学生が頑張っている姿勢を見ると協力する気になってくれます。ただ、学生はそういった特権を持っていても、なんでも好き勝手にできるわけではありません。必要最低限のことはしなくてはならないし、守るべきルールがあるのであれば、それは守っていかなくてはならない。
――今は大会開催のガイドラインを提示しているメーカーも多いので、そういったものをしっかりと確認しておくのは最低限のことですね。
かげっち 許諾が必要な場合とかもありますね。許諾の取り方とかわからないことがあれば、Fighters CrossoverのDiscordサーバーに回答できるものを用意しています。何かやろうとするときはまず相談してみるのはありですね。
ただ、最初から任せっきりにするのではなく、やれることはやってみて、壁にぶつかって、自分たちの力でどうしようもなくなったとき、コミュニティや界隈の人たちに頼ると良いですね。現状の格闘ゲーム界隈は自浄作用があり、どこまでやって良く、どこまでやったらダメなのかを自主的に判断していますし、逸脱したコミュニティなどがあれば、それを諫めることもあります。
なので、「俺たちが好きなようにやりたい」というのを重視するのではなく、そういった界隈の意見もしっかり聞き入れることは大事ですね。あとは、そうは言ってもいろんな人が居るので、関わったコミュニティやその中の人がどんな人であるかの見極めも多少は必要です。
――最後に大会やイベントを開催したいと思っている高校生、大学生にひとことお願いします。
かげっち 今回の大会もそうですが、記事や配信などをみて、イベントを知った人も多いと思います。そこで自分たちも大会を開いてみたいと言う気持ちは大事にして欲しいですね。そういった方々が頼ってくるのであれば、協力したいですし、相談について真剣度が高ければ、こちらも真剣度を上げて対応します。
コミュニティとしても、次の世代が育つことは願っています。あとは楽しみながらやることですね。学生の特権を活かしつつ、やるべきことをやっていくことが必要だと思います。もし気になることがあれば、Fighters Crossoverをスタッフとして手伝ってみるのもありですね。今は全国で定期的にイベントを開催しているので、近くで開催しているFighters Crossoverに参加し、スタッフに話しかけてみてください。いろいろ教えることはできると思います。私も主催活動を始めたのは大学生からなので、学生が主催するということについても良くわかっています。
Fighters Crossoverは現在、秋葉原を中心に、札幌、仙台、郡山、岩手、立川、横浜、川崎、群馬、名古屋、静岡、長野、新潟、金沢、大阪、神戸、香川、鳥取、福岡、熊本、大分、長崎で開催されています。そのほとんどが、その地域で開催したいと手を挙げた人にかげっちさんらが手助けし、運営されています。大会運営に興味があるのであれば、近くの開催地に行ってみて、一度、参加してみると良いでしょう。
また、これらの地域以外で、開催してみたいのであれば、Fighters Crossoverに打診してみるのもありです。好きで集まった同人の集合であるコミュニティはきっと受け入れてくれるでしょう。(撮影/志田彩香・ライター/岡安学)
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外部リンク
Fighters Crossover公式サイト
https://fighterscrossover.com
Fighters Crossover Discordサーバー
https://t.co/zc8A7ayZ53